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低体温症の原因とは?体温が低いと病気になりやすく薬やアルコールでも体が冷える!?9つの症状と5つの予防法

近年、低体温の方が増えていると言われています、低体温のままでは肌トラブルなど様々な病気を引き起こりやすくなるそうです。日頃から体温が低い方は、ぜひ改善していくことができるよう、予防策を知る必要があります。また、震災や遭難、身近で低体温症の方がいた場合にどのような症状が現れて、どのような対処ができるのかを理解して、応急処置ができるように解説いたします。



低体温症となる原因は?

最近は体温が平均よりも低い、「低体温」の人が増加していると言われています。低体温というのは病名ではなく、一般的に36℃未満の体温のことを指します。健康的な人の平熱は36.5~37.1度ですが、36度以下という人が増えているのだそうです。

低体温症というのは「少し平熱が低め」というだけでなく、身体の代謝機能までも低下していることが多いものです。冷え性はもちろん、免疫力の低下や自室神経の乱れといった体調不良、そして女性にとって気になる肌トラブルも低体温によって引き起こされる症状なのです。

一方、医学的な「低体温症」は体の中心部の温度が35℃以下の場合をいいます。これは厳しい寒冷環境や身体の機能の低下によって起こり、重症になると生命に危険が及ぶこともあるのです。

ではどういう状況下において低体温症の注意が必要となるのか、日常生活の見直しが必要かなど、低体温症の原因を理解しましょう。また、低体温症になるとどのような症状が出て、どういった対処が必要かなどの含めて、詳しく解説いたします。

低体温症とは?

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低体温症の定義

低体温症で1つ目のキーワードとなるのは「35℃以下」です。これだけを聞くと、「えっ、それなら私も平熱が35℃台だから低体温症なの?」と思う人や自分は低体温症であると思っている人は意外と多いかもしれません。ですが、それは低体温症とは呼ばないケースがほとんどです。なぜならば低体温症のキーワードの2つ目は、「体の中心の温度が」だからです。

一般的には、手や足の指先など体の中心から離れれば離れるほど、温度は低くなりますし、寒い日ではなく、涼しい日でも外気に触れた肌は温度が低くなります。だからと言ってそれが低体温症かと言われると答えは「NO」です。「体の中心の温度が」「35℃以下」この2つのキーワードが揃って初めて低体温症であるということになります。

通常の体温

通常の体温、平熱を知ることは、自分の体の調子を知るためにもとても大切なことです。ですが、平熱よりも体温が下がったからといっても、必ずしもそれが低体温症であるとは限りません。

あくまでも低体温症であるというのは、「体の中心の温度が」「35℃以下」になりますので、平熱が37℃の人が36℃になったからとって、低体温症と言うわけではありません。おそらくそれはただの冷えでしょう。

ちなみに、37℃の熱と聞いて、発熱していると思っていませんか?実は、37℃の熱と言うのは、医学的にみると、平熱なのです。また、体温を測る部位によっても平熱は異なるそうです。平熱は、あくまでも日頃の体調を知るためのバロメータとして利用し、「平熱が低い=低体温症」ではないということをしっかりと覚えておいてください。

子ども・お年寄りに多い

低体温症は、子どもやお年寄りに多いと言われています。そしてそれはいずれも、寒さに対する適応能力が関係していると言われています。まず、乳幼児は成人ほど寒さに適応する力がありません。さらに、寒い場所から移動する、上着を着るなど、自分で防寒対策をすることができないので、低体温症のリスクが高まります。

そのため、寒いところに何時間も動かずにいると、屋内であっても身体から熱が熱が急速に奪われて低体温症になりやすい傾向があります。

そして、お年寄りは、元々あった寒さへの適応能力が、加齢に伴い失われていってしまうため、低体温症のリスクが高まります。だからと言って「そんなこと言われても…」「やっぱり年には勝てないのか…」なんて思う必要はありません。

じゃあどうすればよいのでしょうか。考えて、自分で体を動かすことができれば、実はとても簡単に予防することができるのです。それでは、どんなことに気を付ければよいのかについて、見ていきましょう。

○高齢者における日常生活の注意点

・温かい服装をする。

低体温症にならないようにするためには、言うまでもなく、体を冷やさないようにすることが大切です。人の体はいきなり、体の中心部から冷えてくるということはありません。

体が冷えるのは、肌が外気にさらされたりすることで周りから徐々に冷え、体の中心の体温を奪っていきます。そのため、重ね着をする、温かい素材を選ぶといったことなどが大切になります。

また、厚手やヒートテックの手袋や靴下などで手や足を温かくすることはスグに思いつくと思いますが、意外と見逃しがちで、忘れると体を冷やす元となるのが、「頭」です。そのため、「温かい帽子」の準備もお忘れなく。

・室温は20℃以上にする。

「寒い環境にいない」これが何よりも大切です。そのためにも、室温は20℃以上を保つように心掛けましょう。家の中を温かくすることで、お年寄りに多い、ヒートショック現象も防ぐことができるので一石二鳥といったところでしょうか。

節約志向が高まってきてはいますが、命には代えられません。それでも、「でもお金もかかるし…」と言う人は、服装でカバーするようにしましょう。

・体の芯から温める。

服装や室温など周りの環境が整ったら、次は中から体温が下がるのを防ぎます。そのためには、温かいものを体の中に入れ、体の芯から温めてあげるということです。

要するに温かい食べ物を食べ、温かい飲み物を飲む、ということです。但し、汗をかいてしまった場合は、しっかりと拭くようにしてください。汗は体の体温を奪ってしまうので、注意が必要です。

また、歳をとると皮下脂肪が少なくなってしまいがちですので、しっかりとご飯を食べるということも大切です。

・体を動かす。

体を温めるためには、体を動かすのが一番です。歳をとると筋力が低下していってしまいますが、体を動かして、筋力低下を防ぎ、体の代謝を上げることで、体が発する熱量が増加します。

寒さを感じると体が震える経験をしたことは誰でも一度はあるはずですが、この現象は、体の筋肉を震わせて熱を生じさせようとする体の防衛本能だと言われています。つまり、適度な筋肉は寒さをしのぐためにも必要と言うことですね。

・飲み過ぎは注意する。

お酒を飲むと体がポカポカ温まるため、いいのではないかと思われがちですが、逆に体を冷やす原因にもなってしまいます。確かにお酒を飲むことで血行が良くなり、体が温かくはなります。

ですが、それと同時に皮膚の表面など体の末端の血管が拡張されてしまいます。すると外気に触れる面積が大きくなってしまうため、体温が外に逃げやすい状態になってしまうのです。

低体温が引き起こす病気は?

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免疫力の低下

低体温症だけではなく、低体温になってしまうことで怖いのが「免疫力の低下」です。人の体は、免疫機能がしっかりと働いてくれることで、風邪になりにくかったりと、様々の病気から守ってくれます。

つまり、裏を返せば、免疫力が低下すると病気になりやすいということです。それでは、なぜ低体温になると、免疫力が低下するのでしょうか。それは、血液に含まれる白血球に免疫細胞があるからです。

そのため、低体温になると血行が悪くなり、体中を駆け巡りパトロールをしてくれる白血球の数が減少し、免疫力が低下してしまうそうです。逆に体温が高くなれば、免疫力が上がるということです。風邪などを引いたときに発熱するのは、血行をよくし、白血球の免疫細胞がウイルスなどを頑張って退治している証拠なのです。

そして、一般的には、体温が1℃下がると免疫力が30%下がってしまうと言われています。風邪などを引きやすくなるだけではなく、ここで更に怖いのは、がんになる確率が上がってしまうということです。驚くことに人は誰しも1日に5000個ものがん細胞が作られるそうです。

但し、がん細胞があるだけでは、がんではありません。このがん細胞がものすごい勢いで増殖していくことで、がん化してしまうそうです。それにも拘らず、がんになる人とならない人がいるのは、白血球の免疫機能のおかげなのです。正常な免疫状態であれば、1日に5000個ものがん細胞が作られても残さず退治してくれるのです。

血行が悪くなる

低体温と血行の関係については、「低体温になると血行が悪くなる」「血行が悪くなると低体温になる」どちらも言えるでしょう。血液は、心臓から送り出され、体中を駆け巡り戻ってきます。体の中心の温度は高いため、血液は温かい状態で送り出され、冷えて戻ってきます。

つまり、血行が悪いということは、血液が戻ってくるまで時間がかかりますので、戻ってきた血液がより冷えた状態になり、体を冷やしてしまいます。また、体が冷えていると、筋肉が硬くなってしまい十分に働かないため、血液を送り出す力が弱くなる、つまり血行が悪くなってしまうのです。

そして、筋肉が硬くなってしまうと、動きが硬くなり、ケガをしやすかったり、肩こりや腰痛などになってしまうことがあります。普段の運動不足が原因の場合もありますが、低体温による血行不良が原因の場合もあるということです。また、女性の場合に低体温は月経痛や月経不順などの症状を引き起こすこともありますので、注意が必要です。

肌のトラブル

体温が低下すると血行が悪くなり、肌のトラブルの原因にもなるそうです。肌は通常、28~40日で生まれ変わると言われています。血行が悪くなると、肌の細胞を新しく作るための十分な酸素や栄養が行き渡らなくなってしまうのです。

このように低体温が皮脂の分泌や、肌の細胞が生まれ変わるのを妨げるため、にきびや肌のくすみの原因となります。また、シミ・シワ・毛穴・たるみなどの年齢とともに現れる肌の悩みも、皮膚の血行不良が大きな要因であるそうです。

自律神経の乱れ

人間は体温を一定に保つために自律神経が働いています。自律神経とは内臓の働きやホルモンの分泌を調整している神経で、「交感神経」は身体を活動的にするときに優位に働き、「副交感神経」は身体を休めたりするときに優位に働いています。寒くなると交感神経が働き、体温を上昇させるために身体の働きをするななど、この二つの神経のバランスで調整しているのです。

低体温になると、「日中は体温を上げて身体を活動しやすくして、夜は体温を低くして身体を休める」という体内リズムが乱れ、常に体温が低い状態になるので、自律神経のバランスを崩して身体の調整が出来なくなるので、様々な不調を引き起こすことになるのです。

寝付きが悪い、汗をかきにくい、トイレの回数が多い、激しい動悸がするなどの症状や、情緒不安定になるということも見られます。また、自律神経は女性ホルモンの分泌にも関与しており、女性ホルモンのバランスを崩してしまうことは生理不順や不妊などを引き起こしかねません。

低体温症の種類は?

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偶発性低体温症

「偶発性低体温症」は、事故などの不慮の事態に陥って、寒さと風邪で耐熱が奪われた結果、体温が異常に低下してしまうことで起こります。いわゆる「凍えている」状態のことです。

冷たい地面に座わる、横たわる、水に漬かる、風にあたるといった条件が加わると、体温がどんどん奪われます。突然、非常に冷たい水につかると、5分から15分で致死的な低体温症が起こるそうです。東日本大震災の津波で身体が濡れてしまって体温を奪われ、命を落とした人がたくさんいました。また、山での遭難で起こることも多くあります。

実生活で一番偶発性低体温症が起こるのは、お酒や睡眠薬を飲んで寒い場所で寝てしまったというケースです。他のケースでは、飢え・路上生活・脳血管障害・頭のけが・広範囲のやけど・皮膚の病気・甲状腺など内分泌の病気・低血糖などでも起こるそうです。

誘発性低体温症

「誘発性低体温症」とは、心臓や脳の手術を安全に行うために、患者さんの体をわざわざ冷却する医療技術のひとつです。

低体温症の原因は?どのような状況で起こる?

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寒冷環境

低体温症になるのは、わざわざ言うまでもなく、寒い場所にいること、寒冷環境にいることが1つの原因です。人の体は、アイスをたくさん食べたり、冷たいものをガブガブ飲んで体の内側から冷えるという場合は除きますが、通常は、いきなり体の中心が冷えて、そこから徐々に全身が冷えていくということはありません。寒さを感じるのは皮膚から、外側からです。

そして、体が冷え続けることは大変危険な状態であるため、人の体は、冷えを感じると自分の体を守ろうと様々な防衛機能が働きます。例えば、体の震えです。体の筋肉をブルブルと震わせ、動かすことで熱を発生させて、体を冷えないようにします。

他にも、血液は体を動かすためのエネルギーを運んでいるため、指先など体の末端への血流を抑制し、命を守るために必要な場所に血液が流れるようにするそうです。但し、その防衛機能にも限界があり、体温が31℃を下回ると自分ではどうすることもできなくなってしまうそうです。

体温が31℃を下回るというのはかなりの寒冷環境になるかと思いますが、一つのボーダーラインとして覚えておくとよいでしょう。

熱喪失状態

熱喪失状態とは、体熱が奪われた状態のことです。津波や突然の雨などで衣服が濡れると、気化熱のよってどんどん身体が冷え、体温が奪われてしまいます。このような状態のときに、偶発性低体温症が引き起こされてしまいます。大柄な人と比べると、小柄な人の方が熱喪失速度が速く、老人、新生児、皮膚疾患がある場合も体温が奪われやすいそうです。

熱産生低下

熱産生の低下とは、体内で作られる熱の量が少なくなってしまうことです。病気が原因で熱産生低下が起こることもありますが、熱を作る機能を低下させる要因には、基礎代謝の低下、運動不足、筋肉量が少ない、食事の摂取量の不足、消化吸収機能の低下などがあります。

体温調節機能低下

寒くなると皮膚の血管が収縮し、血流が少なくなります。こうすることで寒い外気に血液がさらされて、体温が低下することを防ごうとしているのです。しかし、加齢などにより体温調節する身体の仕組みが低下すると、気温が下がっても血流が平常時と変わらないので、体内の熱を逃がしてしまい、体温が低下しやすい状態になってしまうのです。

生活習慣

日本人の平熱が下がってきているというのは知っていますか?1960年ごろは36℃後半だった平熱が、今では36℃前半にまで下がってきているそうです。それでは、なぜ平熱が下がってきてしまっているのでしょうか?それは昔と変わってきた生活習慣が原因だと言われています。

無理なダイエットやテレビゲーム、インターネットなどの普及による運動不足、ファーストフードの食べ過ぎ、オシャレなことを重視した薄着などなど思い当たることがあるのではないでしょうか。

美味しい外食のお店が増えたり、技術が進歩し、便利になることなどは決して悪いことではありません。ですが、それに慣れてしまう、頼ってしまうと、栄養が偏ったり、運動不足で筋力が低下したりと、体にとってはよくないことが起きることもしばしばあります。

使えるものは使いつつも、自分の体の健康のことを考えた生活習慣を作っていくように心掛けるようにしたいですね。

薬の服用

薬の副作用で低体温になることもあるそうです。睡眠薬を長期間使っていると低体温になると言われています。お酒や睡眠薬は低体温症の原因になりますので、節度をもって使用することが重要です。中にはお酒で睡眠薬を飲む人もいるそうですが、これは非常に危険なので、絶対に止めましょう。

また、鎮痛剤を長年のみ続けている方も注意が必要です。これらは「解熱鎮痛薬」と言って、熱を下げる作用と痛みを止める作用が一緒になっていますから、体温を下げることにもなりかねないとのことです。

酒での酩酊

アルコールを飲むと、最初のうちは血管が広がるので血流がよくなって温かくなるような感じがありますが、アルコールは脳の体温調節をする中枢の働きを低下せるので、実際は寒くても血管が開きっぱなしで、寒くても熱が放散されてしまう状態になります。その状態で泥酔して寝てしまったら、体温がどんどん下がってしまうことになります。

また、急性アルコール中毒はアルコールを短時間に多量に摂取したために、通常の酔った状態を超えて、酩酊以上の状態になっていることです。運動失調や意識障害、昏睡、呼吸抑制、血圧低下といった状態が生じます。もちろん体温の低下も招きますので、最悪の場合には心停止などを引き起こすのです。くれぐれも飲みすぎには注意しましょう。

飢餓

食事を摂取すると体内で代謝され、約80%は熱エネルギーになります。食事はまさに「燃料」の役割をしていますので、食事摂取量が少なければ、熱を作り出せなくなるのです。夏バテや体調不良による食欲低下やそもそも元々食が細いため、あまり食べることができないという人でも食べないよりはマシです。そして大切なのが、一日三食食べるということです。

ダイエット中だから食べない…というのはもってのほかです。一時的には痩せるかもしれませんが、それが原因で病気になってしまい、少し痩せるつもりがガリガリに痩せてしまったりということもあるかもしれませんし、いつもの食生活に戻ったらリバウンドです。

むしろ痩せたいのであれば、食事を食べないのではなく、バランスよく食べて、運動することの方が大切です。摂取カロリーだけを制限するのではなく、消費カロリーを上げればよいのです。運動をすれば、基礎代謝が上がり、太りにくい体になり、平熱も上げることができますよ。

病気やケガ1

脳血管障害や頭の怪我、広範囲のやけど、皮膚の病気なども低体温を引き起こす原因となります。やけどはすぐに冷やす必要がありますが、子供や高齢者では体温が36℃以下にならないよう注意が必要です。

病気やケガ2

甲状腺機能低下症や、下垂体・副腎などの機能が低下する内分泌系の病気には、身体の熱産生能力を低下させるものがあります。また、糖尿病などの病気では熱を保つ能力が低下するそうです。

甲状腺機能低下症では、必要量の甲状腺ホルモンが作りきれない為に、全身の新陳代謝が悪くなるので、低体温で寒がりといった症状が見られます。また糖尿病による低血糖も体温を下げる要因になると言われています。

体温が下がってきた時の症状、体の働きは?

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下がり始めた時

体温が下がり始めると、体温調節の機能が働いて、最初は歯がガチガチ鳴るほど身体が激しく震え、皮膚の血管収縮(鳥肌)が起こります。

さらに体温が下がる

体温がさらに下がると震えは止まり、動きが緩慢でぎこちなくなります。あらゆる反応に時間がかかり、思考がぼんやりして正常な判断ができなくなります。

きわめてゆっくり現れる

体温が下がり始めたときの体の震えや鳥肌といった症状は突如現れますが、更に体温が下がったときに出てくる症状は、きわめてゆっくりと現れるため注意が必要です。

つまり、体の震えや鳥肌が治まったからといっても油断は禁物と言うことです。体温が下がり続けると、徐々に頭がぼんやりとしてくることもあり、知らないうちに危険な状態になっていることもあるそうです。そのため、体温が下がり始めたときの症状が現れたら、意識がはっきりとしているうちに体温を下げないように気を付けましょう。

体温が35℃

低体温症で1つ目のポイントとなるのが、35℃です。体温が35℃まで下がってしまうと、これまでに説明した体の震えや鳥肌などの症状が現れるそうです。そして、このような体の反応をまとめて、「寒冷反応」と呼ぶそうです。

寒冷反応は、人が体を守るために起きる反応です。このとき、体の中では、緊急事態宣言が発動し、「筋肉を震わせて体温をあげろー」「血管を収縮させて放熱を防げ―」と指令が出ている状態になっています。

この反応が起こっている間は、体温が下がらないように無理して頑張っている状態であり、酸素の消費量が正常値の3~6倍ほどと著しく増加し、体力も消耗します。そのため、この状態が長引けば、徐々に体温を上昇させる働きが弱まり、体温が奪われる方が強くなってしまいます。こうなってしまうと最悪のケースになってしまいます。

体温が30℃ 1

体温が30℃以下まで下がると、筋肉が硬くなってしまいます。心臓を動かしているのは心筋という筋肉ですので、必然と心臓の動きも悪くなってしまいます。中でも特に起こりやすいのが「不整脈」や「心室細動」と呼ばれる症状だと言われています。

そして、これらの症状に伴い、体全身に供給される血液の量も減ってしまいます。さらには、手や足といった抹消の血管も収縮している状態になるため、「末梢循環不全」と呼ばれる症状も起きてしまうそうです。

体温が30℃ 2

体温が低下するとそれに比例し、呼吸数が減ってしまったり、一息で吸う空気の量も少なくなります。そのため、各器官へ供給される酸素の量が減るため、少ない酸素の量でなんとか頑張ろうと、それぞれの器官での酸素の消費はどんどん減少します。

特に脳の酸素消費量は、体温が30℃で半分の50%になってしまい意識障害が起こってしまうそうです。そして更に体温が下がり、25℃になってしまうとわずか25%にまで低下するそうです。

また、通常は腎不全などが原因で起こる「低比重尿」と呼ばれる、尿が真水に近い状態になる症状も見られるそうです。但し、あくまでも低体温が原因であり、腎不全が原因ではありませんのでお間違えなく。

体温が30℃ 3

体温が30℃以下になると毛細血管の透過性が高くなると言われています。つまり、血液成分から水分などが漏れ出てしまうということです。そうなると何がいけないのかというと、いわゆるサラサラ血ではなく、不健康の証でもあるドロドロ血になってしまうということです。

更にドロドロになってしまった血液は、流れが遅くなってしまっているため、各臓器への血液量が減少してしまいます。すると、DIC(播種性血管内凝固症候群)と呼ばれる病態になり、毛細血管に血栓がたくさんできてしまうことがあるそうです。

体温が30℃ 4

DICの他にも、肺水腫や肝不全、腎不全などにもなってしまうこともあるそうです。つまり、血流量が減ってしまうことで、あらゆる臓器に影響を及ぼし、その結果、多臓器不全を起こしやすい状態になります。最悪の場合は、呼吸や心肺機能までも止まってしまいます。

死亡のリスク

体温が下がれば下がるほど、死亡のリスクが高まります。体温が31℃を下回るほどになると、心臓の機能が低下して、死に至る恐れが出てくるほどの不整脈を怒りやすくなります。25℃を下回ると昏睡状態となり、20℃を下回ると心臓が止まってしまうことがあると言われていますが、実際の死亡例の大半は体温が28℃以下になった場合だそうです。

低体温症の検査・診断方法は?

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直腸の体温を測る

低体温症であるかどうかを判断するためには、脇の下で体温を測るようなことはしません。なぜならば、低体温症であるかどうかは、体の中心、深部の体温で判断するためです。そのため、膀胱や食道、直腸などの温度が35℃以下になっているかどうかを調べるそうです。中でも直腸は調べやすいことから、一般的には直腸の温度を測って診断するそうです。

また、低体温症では、35℃以下であることが分かれば良いというものではありません。30℃なのか25℃なのかと言うのも大切なポイントです。しかしながら、通常の水銀体温計では34℃までしか計測できません。

そのため、体温が34℃以下になるような重症の場合には、20~45℃の広範囲の体温が測れる救急用の体温計があります。この体温計を使うことで、体温が極端に低い、もしくは高い患者さんの体温も測ることができます。

血液検査

低体温症かどうかを見極めるために、血液検査も行われます。

低体温症の病院での治療法は?

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体を温める

低体温症になってしまった場合は、体を温めれば良いというのは誰でも分かりますよね?では、体温が低くなりすぎたとき、病院ではどのような治療方法が取られるのでしょうか?

まずは、電気毛布や赤外線ヒーターなどを使い、身体の表面を温めます。そして、それと同時に身体の中心を温める処置が施されます。皆さんが思いつくのは温かいものを食べたり、飲んだりすることかと思いますが、病院は一味違います。

1つの方法としては、温めた輸液を静脈から投与し、全身を温めます。ポイントは動脈ではなく、静脈ということです。心臓から送り出された血液は全身を駆け巡り戻ってきますが、戻ってきた時には冷えてしまっています。そのため、温めた輸液を静脈から投与することにより、血液が行きも帰りも温かい状態となり、全身を温めてくれるのです。

他にも、腹腔や胸腔にカテーテルを挿入し、それを経由して注入するなどで、内側から身体を温めるようにします。このような処置のことを、中心部加温法と言うそうです。

そして、この中心部加温法は、心臓が停止しているときには、とても重要になります。なぜならば、一度止まってしまった心臓は、体の深部の体温がおよそ32℃以上にならないと、動き出さないと言われています。つまり、一刻も早く心臓を動かすため、命を助けるために、中心部加温法を行う必要があるそうです。

血液透析装置

病院での治療法として、血液透析装置を使うという方法もあります。先ほど、冷えてしまった体を温める方法の1つに温めた輸液を投与するという方法を紹介しましたが、こちらは体内に流れている血液自体を温めるという方法になるそうです。

どうやって行うのかというと、仕組みはとても簡単です。一旦、血液を体の外へ出して血液透析装置で温め、血液を再び体の中に戻してあげるという方法です。

人工心肺装置

そしてもう1つ、人工心肺装置を使用するという方法もあるそうです。血液透析装置同様に血液を体の外に出して、温めて、また戻してあげるというものですが、ただ戻すだけではなく、酸素を加えて戻すという方法になるそうです。

低体温症になると、体温が低下するにつれて呼吸が弱くなるため、血液を温めながら、不足していた酸素も補ってあげるという、とても理にかなった治療法になりますね。

低体温症の人への対応の仕方は?

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軽症

軽症の場合出れば、とにかく温めてあげれば問題ないそうです。但し、災害や登山などで寒くて震える症状の出る人がいたら、救護を要請する必要があります。

基本的には温めて、無理にでも起こしておくことです。眠らせてはいけません。そして救護が来るまでの応急処置法は以下の通りになります。

・寒冷環境を避ける

少しでも温かい場所へ移動することが大切です。屋内がベストですが、難しいようであれば、雨や風、雪などをしのぐことが出来る場所へ移動するようにしましょう。

・熱喪失状態を避ける

温かい場所に避難することが出来たら、次の対応です。雨や雪で濡れてしまっている場合は、熱喪失状態になることを防ぐため、乾いている服に着替えましょう。

・外から体を温める

毛布などを使って冷えてしまった体を外側から温めてあげてください。可能であれば、少しでも温めた状態で掛けてあげたり、覆ってあげるとよいでしょう。

・内から体を温める

最後は身体の内側から体を温めてください。内側と言ってもどうすればよいのか分からない人も多いかと思いますが、実はとても簡単です。

湯たんぽなどを使って、わきの下や太ももの付け根を温めてあげるのが効果的です。この場所を温めることで、身体の中心部をゆっくりと温めることが出来るそうです。でも、湯たんぽなんてないよ…と言う場合が多々あると思います。

そんな時には非常用湯たんぽを作りましょう。必要なのは、熱湯とタオル、そしてビニール袋です。

1.熱湯を準備します。

2.熱湯が準備出来たら、タオルを熱湯の中に浸します。

3.タオルを浸している間に、ビニール袋を重ねておきます。

4.重ねたビニール袋の中に2で浸したタオルを入れます。

5.タオルにしみ込んだ熱湯がこぼれないようにしっかりとビニール袋の口を縛ります。

6.5のビニール袋をタオルでくるんだら、非常用湯たんぽの出来上がりです。

重症

低体温症が重症な場合は、処置をするに辺り、いくつか注意が必要だと言われています。まず、体温が30℃以上はあるが、33℃以下であるような場合です。体温がこの範囲にある場合、不整脈を起こす可能性があるため、注意が必要です。ポイントは「そっと」です。

基本的には、身体は動かさない、動かす必要がある場合は、自分で動かすことはさせずに、周りの人が手伝ってあげ、刺激を与えないように「そっと」動かすようにしてください。そして、温め方にも注意が必要です。

温める部位は、上記のとおり、脇の下や太ももの付け根になりますが、ここでも「早く温めてあげないと」と逸る気持ちは抑えて、ゆっくり、「そっと」温めてあげるようにしてください。これが、不整脈を防ぐポイントになるそうです、

また、軽症の場合は、問題はありませんが、重症の場合は、外側から温めることは基本的にはやめた方がよいそうです。それは、外側だけを温めても、最終的には冷たい血液が戻ってきてしまい、臓器の温度を下げてしまい、ショック症状を起こすことがあるそうです。

続いて、体温が30℃以下まで下がってしまった場合です。これはかなり危険な状態です。呼吸や心臓が止まってしまうというケースもあるため、息はしているか、心臓が動いているかを確認することがとても大切です。息をしていない場合や呼吸が弱い場合は、人工呼吸をしてあげましょう。

ここで注意すべきは、刺激を与えないように、通常よりもゆっくりと行うこと、そして、回数を少なめにするということです。心臓が止まってしまっている場合は、とくにかく心臓マッサージをすることです。中には3時間以上も続けた結果、息を吹き返した人もいるそうです。心臓はとにかく止めないように、動かし続けることが大切と言うことですね。

低体温症を予防するためには?

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バランスのいい食事

意外と思うかもしれませんが、低体温の予防として、バランスのいい食事をすることが大切だと言われています。体温を保つためには熱やエネルギーが必要です。この熱やエネルギーを生み出すために必要だと言われているのが「糖質」なのです。

但し、糖質だけをとればよいのかというとそれは間違いです。糖質だけでは、熱やエネルギーを生み出すことはできません。糖質から熱やエネルギーを生み出すためには、ビタミンやミネラルが必要となります。もちろん、ビタミンやミネラルだけでは、材料がないため、熱やエネルギーを生み出すことはできません。糖質とビタミン、ミネラルが揃わないとダメなのです。そのため、バランスいい食事が大切なのです。特に現代人にはビタミン・ミネラルが不足しがちで、それが低体温を引き起こしていると言われているため注意が必要です。

ビタミン・ミネラルの豊富な野菜・海藻・果物を上手に取り入れ、バランスのいい食事を心がけましょう。また、忙しさなどでどうしても栄養を食事で補えない人は、適度にサプリメントなどを利用するのもひとつの方法です。

適度な運動

低体温を予防するためには、適度な運動が大切です。そもそも、日本人の平熱は徐々に下がってきており、今では36℃前半にまで下がってきているそうです。その主な原因は、筋肉量の低下だと言われています。

技術が進歩し、どんどんと便利になっていく反面、体を動かすことが少なくなったり、簡単にできるようになっているため、以前と同じ生活をしていても、筋肉への負荷が減ってきています。

例えば、今まで普通の自転車を使っていたけど、電動自転車に変えたという場合は、坂道が多い道であれば、その効果は抜群で、とても楽ですよね。つまりは、筋肉があまり使われなくなったということです。

人の身体は筋肉を動かし、熱を発生させています。それは、運動しているときはもちろんのこと、じっとしているときでも、熱を発生させている基礎代謝にも影響してきます。筋肉量が減ってしまえば、その分基礎代謝も減ってしますため、体は低体温へと向かってしまいます。

便利になった分、空いた時間を使って、トレーニングをしたり、日頃の生活の中での動き1つ1つに気を付けることでも、十分に効果を得ることはできます。ポイントは、筋肉を付ける、基礎代謝を上げるという意識を持つことが1番、そして、それを行動に移すことです。

一番身近で、手軽にできるのは、「歩く」ことです。筋肉の7割は下半身にあり、大きな筋肉もあるのでとても効率よく鍛えることができます。

毎日続けられることが大事ですから、歩くことが習慣になるように、通勤時に1駅分だけ歩くとか、近所の買い物には歩いていくなどもいいでしょう。

歩くのに慣れてきたら、1日1万歩以上歩くなどの目標を決めてウォーキングにチャレンジするのもいいですね。体温の低い朝のウォーキングで、体温は0.7~0℃ほど上昇させることができます。

正しい姿勢

姿勢が原因で腰痛や肩こりが起こることはよく知られていますが、姿勢が悪いと血流の悪化につながり、体温を下げることなります。しかも悪い姿勢は筋肉のバランスを崩し、十分に使われない筋肉が次第に衰えてしまうので、基礎代謝を低下させ、さらに低体温を招くと考えられています。

水分

冷たいものを食べたり飲んだりすると身体がひんやりしますが、冷たいものを摂り過ぎると体温を下げる原因になります。体温を保つためには常温以上の温度のものが望ましいでしょう。もちろん水分不足も血流が悪くなったり、暑い時期には熱中症などの心配もあるので、注意しなくてはなりませんが、過剰摂取も体温を下げてしまうことになるので、良くありません。

ストレスをためない

日常生活で知らず知らずのうちに溜まってしまうストレスですが、あまりにストレスが増加すると、交感神経の緊張が続くことになるので、身体も緊張状態となります。すると血管が収縮して血流が悪くなるので、低体温につながるそうです。

またストレスによってあるホルモンが分泌されるのですが、それは筋肉を分解することでストレスを緩和する働きがあります。そのため、ストレスが強いと筋肉量が減るために低体温になるとも言われています。

いずれにしても常にストレスにさらされた生活では、体温を保つことが非常に困難です。低体温を改善するためには、時にはリラックスできる環境を作ったり、自分なりのストレス解消法を見つけましょう。

まとめ

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こちらで紹介した偶発性低体温症は、凍えて死にそうになる状態です。暖房も完備されている現代で、凍えることなんてないと思うかもしれませんが、登山での遭難、サーフィンで流される、被災直後の避難所では実際に起こっているのです。そうした特異な状況でなくても、お酒を飲んで寒いところで寝てしまったなど身近に起こる可能性もあるものです。

万が一のために、ご自身やご家族など身近な人のために、この疾患の症状や簡単は予防法や対処法は知っておくと役に立つことがあるかもしれません。

また、平熱が低いという「低体温」ですが、これも身体にとって何も良いことはありません。免疫力の低下で病気になりやすくなったり、肌トラブルなど、美容や健康にとって困ることばかりです。一度ご自身の体温を見直してみませんか?もしかしたら長年悩んでいる肩こりや頭痛も低体温によって引き起こされているかもしれません。できるだけ体温をあげる生活を心がけ、健康的な毎日を送りましょう。