TOP > 病名から探す > 腎臓・泌尿生殖器の病気 > 子宮の病気 > 子宮内膜症は女性なら誰もが心配!原因不明とも言われるその5つの説と代表的な11のチェック項目・治療法まで詳しく紹介!

子宮内膜症は女性なら誰もが心配!原因不明とも言われるその5つの説と代表的な11のチェック項目・治療法まで詳しく紹介!

女性特有の病気の中で、比較的ポピュラーな病気として知られる子宮内膜症は、女性ならいつ誰が発症してもおかしくない病気と言われています。その症状はさまざまですが、実は原因がまだはっきりと解明されていない病気なのです。日本人は我慢強い傾向がありますが、どんな病気も早めの発見と治療が大切です。子宮内膜症もまた早期発見、早期治療が原則です。子宮内膜症を疑うべき症状や治療法、予防法など細かく見て行きましょう。



若い女性に多い子宮内膜症の症状

子宮内膜症は誰でも一度は聞いたことがある病気のひとつです。月経のある女性の数%~10%ほどの方が持っていると推定されており、特に20~40代に起こる可能性が高い病気です。中でも、妊娠経験のない女性や、月経と月経の間が短く、かつ、月経の続く日数が長い女性ほどなりやすいそうです。

発症時期が低年齢化しており、特に10~20代の女性に子宮内膜症が増えているという、あまり良くない傾向にあります。若い女性がスタイルを気にして無理なダイエットをすることや、現代病であるストレス、生活習慣の不規則なども原因と考えられます。

子宮内膜症とは?

http://gty.im/962179222

子宮内膜症とはいったいどんな病気なのでしょうか?健康な女性であれば、毎月定期的にやってくる月経(生理)。まずは月経の仕組みからお話しします。

子宮内膜は子宮の内側をおおっている細胞や毛細血管、分泌腺などが含まれた組織です。子宮内膜は女性ホルモンの一つである、卵胞ホルモン(エストロゲン)の作用で増殖していきます。

排卵が起こるとその後には黄体というものができます。黄体からは黄体ホルモン(プロゲステロン)という女性ホルモンが分泌されます。黄体ホルモンは、受精が成立した場合、受精卵を受け入れて育てやすい子宮のベッドを作るために、さらに子宮内膜の厚みを1cm程度までに増す働きをします。

受精が成立しなかった場合は黄体は退行してしまうため、黄体の働きが止まり、黄体ホルモンの分泌は減少します。すると、子宮内膜の血管も退行し、子宮内膜への血液の供給が止まります。そして、内膜の表面が壊死して剥がれ落ちます。これと同時に出血が生じ、これが月経になるという仕組みになっています。

では、子宮内膜症はというと、子宮内膜の組織が、本来の子宮内腔ではなく、骨盤の腹膜や卵巣の中に入り込んでしまっている状態です。これは女性ホルモンの刺激を受けて増殖する疾患です。これから子宮内膜症の症状について細かく紹介していきますが、月経と似て非なるものという事をまずは認識してください。

現代病ともいわれている

子宮内膜症になる女性が増えている最大の要因は、女性のライフスタイルの変化により、月経回数が増加したことにあると言われています。いわゆる現代病とも言われるゆえんです。子宮内膜症の患者さんの数は、現在では800万人を超すと言われており、これは、昭和40年代と比較すると、約3倍に当たるそうです。

戦前の女性は、初経を迎えてから間もなく結婚し、妊娠、出産を繰り返していました。妊娠、出産および授乳の時期は月経が止まるため、閉経するまでに経験する月経の回数はわずか50回ほどだったそうです。子宮内膜症は、月経の回数を重ねるごとに進行する病気なので、月経の回数が少なかった昔の女性には、子宮内膜症が起こりにくかったのでしょう。

ところが、現在の日本女性は初経年齢が低年齢化している上に、閉経を迎える年齢は高齢化していると言われています。そのため、月経の回数も期間もはるかに増加していることになります。その結果、子宮内膜症になる女性が増加しているのです。

加えて、働いて自立する女性が増え、戦前や昭和の時代に比べると、結婚する年齢が遅くなり、必然的に出産する年齢も遅くなっていると言えます。子供の数も減り、子どもを産まない女性も増えてきました。妊娠、出産や授乳によって月経が止まる期間が減少したことにより、子宮内膜症のリスクが高まっていると考えられています。

不妊の原因のひとつ

不妊女性の増加も最近の傾向のひとつですが、子宮内膜症が不妊の原因のひとつであると言われています。ある調査では、子宮内膜症の女性の約半数が不妊状態で悩んでいたという報告があります。最近では、子宮内膜症になる要因と、不妊になる要因とが似ている部分が多いと考えられています。

では何故、子宮内膜症が不妊の原因になるでしょうか?

1.子宮内膜症による炎症や癒着での組織の変形

2.子宮内膜症に伴って分泌されるさまざまな物質による化学的環境の変化

これらによって妊娠が妨げられると考えられます。

具体的に見てみると、

1.排卵しづらくなる。

2.卵子の質が低下する。

3.卵管の通りが悪くなる。

4.排卵された卵子を卵管に取り込むことができなくなる。

5.着床しづらくなる。

6.卵子に向かって泳いでいる精子の邪魔をする。

などです。

子宮内膜が別の所で広がる病気

子宮内膜症は、本来子宮内腔にしか存在しない子宮内膜の組織が、なんらかの原因で、子宮内腔以外の様々な場所にでき、その場所で子宮内膜として増殖や脱落を起こす病気です。子宮内膜症が発生しやすい場所は、骨盤内の下腹部の様々な場所です。

具体的にいうと、骨盤腹膜、卵巣表面や内部、子宮表面や筋層、ダクラス窩と呼ばれる子宮と直腸の間、S状結腸や直腸の表面などです。まれに、へそや肺、胸膜や横隔膜などに発生することもあります。

子宮内膜症の病変部も、女性ホルモンの変化に伴って子宮内膜と同じように活動します。そのため、月経時には脱落して出血を起こします。骨盤内の腹膜や臓器の表面で出血した場合は、そのあたりに痛みが生じます。

また、卵巣内に子宮内膜が発生した場合は、病巣が袋(嚢胞 のうほう)をつくり、毎月出血を繰り返すことにより血液が貯留していき、段々と嚢胞が大きくなっていきます。貯留した血液は古くなるとチョコレートのような色や状態になるため、これを「チョコレート嚢胞」と呼びます。卵巣と周囲の組織との癒着が強いと、生理の時に痛みが生じます。

比較的若い世代に起こりやすい

比較的若い世代に起こりやすいといわれる子宮内膜症ですが、その理由としては、生理の回数や妊娠との関係があるといわれています。子宮内膜症はエストロゲンとプロゲステロンという女性ホルモンの増減により、増殖し、またその場所で剥離、出血を繰り返す病気です。閉経後には女性ホルモンの分泌が止まるため、子宮内膜症も自然と減少していきます。

現在の日本女性は初経年齢が低年齢化している上に、閉経を迎える年齢は高齢化しています。その結果、子宮内膜が女性ホルモンの影響を受ける期間が長くなるとともに、働く女性が増え、妊娠、出産の回数が減るといったライフスタイルの変化が原因と言われています。

子宮内膜症の原因

http://gty.im/760160181

はっきり解明されていない

なぜ子宮内膜症になるのでしょうか。今のところ、その原因ははっきり解明されていません。諸説あるというのが、事実です。いまのところ、子宮内膜移植説と体腔上皮化生説の2つの説が有力ですが、その他にもさまざまな説が浮上しています。

生理の血液が逆流する説

<子宮内膜移植説>

月に一度の生理が起きると、血液は体外へ出ていきますが、その生理の血液が卵管を通って逆流して子宮内膜細胞が子宮外で発育して子宮内膜症になるという説です。

腹膜が子宮内膜に変化する説

<体腔上皮生説>

これは、腹膜が子宮内膜に変化するという説です。お腹の中の組織、腹膜が子宮内膜組織にかわって子宮内膜症になるというのです。腹膜がエストロゲンや月経血の刺激を受けるためだと考えられています。

子宮内膜症の発症のメカニズムを説明することは困難です。現時点では、この二つの説が重要であると考えられています。

ストレスやアレルギー説

一説には、ストレスやアレルギー説もいわれています。現代は、ストレスとアレルギーが原因といわれている病気が数多く存在しています。子宮内膜症もその一つです。

<ストレス説>

肉体的・精神的両面のストレスが一因になると言われています。肉体的ストレスのうち、子宮内膜症に良くない原因となるのは身体が冷えることです。身体が冷えると、痛みに対してもより敏感になると言われているため、生理痛がひどくなる要因になります。

また、骨盤内でうっ血が起こると、血液の巡りが悪くなり、冷えの症状もよりひどくなる要因になります。下半身の血の巡りを常に良くしておくために、下半身を締め付けるような服装は避け、同時にお腹を冷やさないように心がけましょう。

一方、精神的ストレスは、自律神経や内分泌系のバランスが崩れる要因になります。ストレスの影響は身体の弱い部分に現れやすく、女性では生殖器系に負担がかかると言われています。ストレスがかかると、自律神経のうち交感神経が緊張した状態になります。これは身体が緊張した状態になるということです。

また、内分泌系のバランスが崩れるということは、女性ホルモンのバランスの崩れにもつながります。このように、精神的ストレスによって、子宮内膜症の症状が悪化することが考えられます。

<アレルギー説>

子宮内膜症の薬物治療の中で、アレルギーの薬である「ロイコトリエン拮抗剤」が有効であったという報告があります。このため、子宮内膜症の原因の一つがアレルギーだとも考えられています。ロイコトリエンというのは、免疫細胞の一つである肥満細胞から放出される物質で、アレルギーに深く関わっています。

子宮内膜症の組織中に肥満細胞が多数見られたという報告もあり、このことから、子宮内膜症の一因がアレルギーではないかという説が注目を集めているそうです。

喫煙

喫煙も子宮内膜症の原因の1つだと考えられています。喫煙によって、血管が収縮し、血流が悪くなりますので、さまざまな病気の原因になりうるのです。

子宮内膜症の代表的な症状チェック

http://gty.im/728766361

ここでは、子宮内膜症の代表的な症状をチェックしていきます。ここに紹介する症状がある方は要注意です。

生理痛がひどくなった

日常生活に支障をきたすほど重症で、ベッドから起き上がることができない、痛みが激しくて、鎮痛剤も効かずないので体をまるめていなければならない方もいらっしゃいます。救急車で病院に運ばれる方もいる程なのです。月経の時だけでなく月経前や、月経後に痛みが出てくる方もおられます。

出血量が増えた

子宮全体の細胞組織が大きくなるため、月経量が多くなったり、月経が長く続く場合もあります。また、子宮内膜組織の発生が子宮の筋肉の中に起こった場合を「子宮腺筋症」と呼びます。子宮腺筋症の発生は、子宮内膜症とは異なり、正常の子宮内膜が子宮の筋肉内に潜り込んで起こると考えられています。

子宮内膜症の患者さんは、子宮腺筋症も同時に起こっていることが多いと言われています。子宮腺筋症になると、子宮の筋肉層が厚くなることにより、子宮が全体的に大きくなります。その結果、増殖・脱落する子宮内膜が増えることになります。よって、月経量も多く、痛みも強くなります。

レバーのような塊が出る

子宮腺筋症と子宮内膜症の合併症になると、レバーのような塊が出る場合があります。

疲労感や吐き気やめまいが強い

ホルモンバランスが崩れ、何とも言えない疲労感を感じたり、吐き気やめまいを強く感じることもあります。

鎮痛剤を飲んでも治まらない

子宮内膜症がある女性の月経痛は、鎮痛剤を飲んでもまったく効かないほど、激しい痛みがある場合もあります。

生理以外でお腹が張る

生理の際にお腹が張るといった経験がある方は少なくないかと思います。子宮内膜症になると、細胞の肥大により、生理でもないのに同じようにお腹が張る場合もあります。

生理以外で下腹部痛がある

月経時以外の下腹部痛は約50%が感じています。月経数日前から痛みを感じる人もいます。月経に関係なく痛む場合もあります。人によって子宮内膜症の病巣の場所が異なるため、下腹部にも痛みを感じるのです。

生理以外で出血がある

生理時以外に出血があることを不正出血と呼びます。不正出血には、生殖器に何らかの異常があって起こる「器質性出血」、ホルモンバランスの乱れで起こる「機能性出血」、排卵期に起こる「中間出血」があります。

子宮内膜症の場合、生殖器が周囲の組織と癒着を起こしたりして、器質性出血が起こりやすくなります。また、消化器系の器官に子宮内膜症が生じている場合、消化器系の器官は常に動いているため、その刺激によって不正出血が起こることがあります。

性交時に痛みがある

子宮内膜症の出来ている場所によっては性交痛が強い時もあります。子宮と直腸のあいだのくぼみ(ダグラス窩)です。セックスで腟の奥の方が痛むのも、子宮内膜症の症状の一つです。

排便時に痛みがある

子宮内膜症がダグラス窩という部分に生じると、排便時に痛みが生じることがあります。ダグラス窩は子宮と直腸の間にある部分です。ここに癒着があると、排便時に直腸が収縮する際、子宮も引っ張られることになり痛みが生じます。また、癒着部分に炎症を起こして、下痢が起こることもあります。

痛む場所は、肛門周辺ではなく、直腸の奥の方に突き上げるような痛みが生じます。トイレに行くことが億劫になり、便秘になる人もいます。

避妊していないのに妊娠できない

子宮内膜症は、不妊の原因になり得ます。子宮内膜症による癒着のために、卵巣と卵管の動きが低下して不妊の原因となります。癒着により、卵子の輸送が妨げられるためと感が得られています。不妊症の原因は様々ですが、そのうちの約20%は、子宮内膜症が要因になっていると言われています。

その他の子宮内膜症の症状

Embed from Getty Images

腰痛

その他の症状としては、腰痛が挙げられます。これには癒着が関係していると考えられます。癒着のある部位が腰に近い部位であれば、腰痛となるわけです。体の疲労などによる腰痛は安静にしていたり、マッサージなどで症状が軽くなりますが、子宮内膜症が原因の腰痛は安静にしていても鎮まらないことが多いのです。

排尿痛

膀胱の近くに病巣ができると排尿痛がある場合があります。痛みのために、トイレに行くことが億劫になり、我慢をして、膀胱炎などの他の症状が出てしまうことも考えられます。

頻尿

膀胱の近くに病巣ができることにより、頻尿になる場合もあります。冷えや水分の摂りすぎでもないのに、頻尿になった場合は、他の症状と照らし合わせて、子宮内膜症を疑った方が良いかもしれません。

血尿

膀胱の近くに病巣ができることにより、血尿が出る場合もあります。子宮内膜症の症状により、尿に血液が混ざります。

頭痛

高レベルのエストロゲン(女性ホルモン)、一酸化窒素などによって、頭痛が起きる場合があります。日常的に頭痛を感じている方は子宮内膜症の症状とは気づかない場合もあります。その他の症状もあるようであれば、子宮内膜症の可能性もありますので、注意が必要です。

子宮内膜症の検査

http://gty.im/683735669

問診

問診はどんな病気でも医師にとって、とても重要です。患者が現在どんな状態なのか、どのような病気が考えられるのかなどの判断材料になります。症状の経過やその症状に至った原因などを判断し、治療方法を検討していく基準となるデータです。原因の特定が難しい子宮内膜症の場合も同じです。できるだけ詳しく正確に答えましょう。

既往歴や症状などに関する質問内容に回答していく方法です。皆さんも病院で受付時に問診票を書き込んだ覚えがあるのではないでしょうか。ここには問診で聞かれる可能性があるの質問内容を紹介します。

初潮の時期

生理周期

生理の日数期間

生理痛の有無

生理の量

既往歴

家族に婦人科系の病気にかかった人はいるか

妊娠の有無

内服中の薬の有無は

気になる症状

症状のある部位

症状が出始めた時期

病院によって、質問内容に違いがあると思いますが概ね、これらの質問です。受診前に質問事項について、メモしておくとスムーズですね。

妊娠を希望されている方は、基礎体温を測っていらっしゃるかもしれませんね。子宮内膜症によって炎症が起こると、高温期が終了しても基礎体温が下がらないなどの変化が見られることもあるので、基礎体温表を医師に診てもらうことで診断の一助になることがあります。

内診

妊娠を経験した方は内診の経験もあるかと思います。内診は子宮内膜症の診断に有効な方法です。医師が器具を使って膣の中の状態の確認と指による膣内への触診を行います。

子宮の硬さや子宮筋腫の有無、ダグラス窩のしこりの有無や卵巣の異常、圧痛の確認などを行います。大きな苦痛を伴う検査ではなく、時間も短時間で済みますが、内診台にあがって内診を受けることに抵抗があるかもしれません。余計な力が入ってしまうと正確な診断ができませんので、大きく深呼吸をして、医師に任せましょう。

超音波検査

問診や内診で子宮内膜症の疑いが見られた時は、次に経膣超音波検査を行います。これは、膣の中に超音波を発生する棒状の検査機器を入れ、子宮や卵巣の大きさや位置、中の状態を調べる方法です。

超音波は固形物に当たると跳ね返り、画面上で白く映ります。また、水分の多いものは黒く映るため、卵巣内に水様のものが溜まっているかどうかもわかります。

他には腹部超音波検査を行うこともあります。腹部超音波検査は、お腹の上から超音波を当てて子宮や卵巣の状態を画像で診断する方法です。

超音波検査を行ってもこれといった病巣が見つからず、しかし子宮内膜症が強く疑われる場合には、腹腔鏡で子宮や卵巣の状態を直接見て、病巣を探すこともあります。

MRI検査

MRI(MRI=MagneticResonanceImaging:磁気共鳴画像診断装置)は、強力な磁気を発生する検査機器で、磁気が体内の水分に反応して映像を映し出します。MRI検査では、その機械の中に入り、体の断面像を撮影する検査です。子宮や卵巣の内外の様子や腹腔内の様子が画像で映し出されます。

MRIの機械の内部は狭く、その中で一定の時間動かないように指示されるため、閉所恐怖症の方の場合は辛いかもしれませんが、肉体的苦痛を伴うことはなく、精密な画像診断ができます。

MRI検査の画像では、断面を細かく見ることができるため、全体像を捉える超音波検査の画像よりも詳しく子宮の状態を見ることができます。一方で、5mm以下のような小さい病変は発見できず、また、癒着の度合いなどは分かりません。

画像診断には他にCT検査(Computed Tomography:コンピュータ断層診断装置)もあります。CTは、X線が体内の組織に吸収される度合いを利用して体の断面を撮影し、コンピュータを使って分析する検査です。子宮内膜症では、CTよりもMRIの方が有効とされています。

血液検査

血液検査では腫瘍マーカーというものが測定されます。子宮内膜症の目安となる腫瘍マーカーには、CA199、CA724、CA125というものがあります。これらの数値が基準値を超える場合は子宮内膜症が疑われますが、診断率は50%ほどと言われているため、診断の目安として使われています。ただし、CA125以外は保険適応ではないため、本人が希望しない限りはあまり測定されません。

これらの物質は、元々は卵巣がんの目安になる腫瘍マーカーです。それが子宮内膜症が活発に活動しているの場合にも高く出るということが分かったため、子宮内膜症の目安としてとして導入されました。

※腫瘍マーカーは、がん細胞がつくる物質、または、がん細胞に反応して正常細胞がつくる物質です。腫瘍マーカーの数値によって、病状を判断する基準となるものです。

月経周期の中でかなり変動するなど、数値に相当なバラツキが出るため、診断率はそれほど高くありません。あくまでも補助的な検査方法となります。ただ、子宮内膜症の治療を施す際に治療の経過、効果などを診るために使う方法としては有効です。

子宮内膜症の治療

Embed from Getty Images

薬物療法

薬物療法には、いくつかの方法がありますが、ホルモンの働きをコントロールする方法が用いられます。

子宮内膜症は月経が繰り返されることにより、その度に悪化する病気です。つまり、薬物療法では、自然な月経を止めることで進行が抑えられます。そのためには、薬によって妊娠したような状態(偽妊娠)、または閉経したような状態(偽閉経)をつくることになります。

●偽妊娠療法

妊娠すると子宮内膜症の症状が改善する方が多いことから始められた治療法です。ホルモン剤を服用して、体のホルモンバランスを妊娠したような状態にする治療法です。これには2種類あります。

1つは黄体ホルモン製剤であるジドロゲステロン(商品名 デュファストン)を服用する方法です。この方法では、月経開始14日目から2週間内服する、または月経開始7日目から3週間内服する方法です。もう1つは低用量ピルを内服する方法です。低用量ピルには、黄体ホルモンと卵巣ホルモンがバランス良く配合されています。

いずれも休薬期間があり、その間に出血がありますが、薬の服用により排卵が止まり、子宮内膜の増殖が抑制されているため、子宮内膜が薄く、出血量も少なく、痛みも軽くなります。ただし、すでにできてしまっている子宮内膜症は消えることはありません。

低用量ピルの副作用として、乳がん、子宮がん、血栓症の割合が僅かながら上がります。20歳代で1万分の1の確率で発生すると言われています。ただし、喫煙者は血栓症や心筋梗塞の危険性が非喫煙者より高まるため、低用量ピルを服用したい方は医師にご相談ください。また、肝機能や血栓ができやすくなっていないかを調べるために、定期的に血液検査をすることが勧められるでしょう。

●偽閉経療法

閉経すると子宮内膜症の進行が止まることから始められた治療法です。薬の投与によって、体を閉経したのと同じような状態にします。治療中のエストロゲンの量は非常に少ないレベルに抑えられます。

注射薬では、酢酸リュープロレリン(商品名 リュープリン)、酢酸ゴセリン(商品名 ゾラディックス)、酢酸ブセレリン(商品名 スプレキュアMP)があり、4週間に1回、注射で投与します。点鼻薬では、酢酸ブセレリン(商品名 スプレキュア、イトレリン)、酢酸ナファレリン(商品名 ナサニール、ナファレリール)があり、1日2回あるいは3回、鼻の中にスプレーして投与します。

これらの薬では、エストロゲンの分泌が激減するため、子宮内膜症だけでなく、子宮筋腫や乳がんといった、エストロゲン依存性の疾患が改善すると言われています。副作用としては、体が閉経と同じ状態になるため、更年期障害のような症状が出ます。また、骨量が低下するという副作用もあり、6ヶ月以上続けて使用することはできません。その他、肝機能障害やうつ症状が出ることもあります。

内服薬では、ボンゾール(商品名 ダナゾール、ダナンカプセル)があります。これは男性ホルモンを主体とした薬で、継続して使用できる期間は4~6ヶ月と決められています。血栓症が最も注意すべき副作用です、その他、声が低くなる、体重が増える、ニキビができるといった副作用もあるようです。

偽閉経療法は、偽妊娠療法よりも作用が強いため、治療後、子宮内膜症の症状が止まる事があるそうです。また、手術などの他の治療の前に投与する事で、病変を小さくしてから手術をし易くしたり、術後の再発率を低下させる目的で使用することもあります。

症状によっては漢方薬を服用する場合もあります。具体的には、血液の流れを良くする「桂枝茯苓丸」、身体を温める効果がある「当帰芍薬散」、子宮の収縮を抑える「芍薬甘草湯」 などが用いられます。漢方薬は、子宮内膜症そのものを改善するためだけでなく、上記の薬物療法の副作用を軽減したり、再発を防止したりするなどの目的で使用されるようです。

腹腔鏡手術

腹腔鏡手術は、腹部に1cm程度の小さな穴を数ヶ所開け、それぞれの穴にトロッカーという筒状の器具を挿入し、そこからカメラや手術器具を挿入して、カメラの画像をモニターに映し、それを見ながら腹腔内で手術を行う方法です。器具を動かすスペースを作るために、炭酸ガスを注入してお腹を膨らませた状態で手術を行います。

メリットは、開腹手術に比べて傷が小さいことです。そのため、術後の痛みが開腹手術に比べると少なくて済みます。また、傷が小さいため身体の回復が早く、入院が短期間で済み、家事や仕事への復帰も早くできるようになります。傷が小さいので、出血量が少なくて済み、開腹手術より大きな操作が少ないため、術後の癒着も少ないと言われています。さらに、後々の手術痕が目立たないこともメリットの一つです。

一方、デメリットとしては、回復手術よりも時間がかかること、また、癒着や出血の度合いなどによって、途中から開腹手術に変更しなければならないこともあります。悪性腫瘍が見つかった場合も、開腹手術に変更されます。

腹腔鏡手術には、高度な技術と経験が必要なため、腹腔鏡手術を受ける際は、専門の認定医のいる病院を選びましょう。開腹手術に比べると歴史の浅い手術方法ではありますが、機器類も毎年進化しており、腹腔鏡手術の件数は増加傾向にあるそうです。

開腹手術

腹部を開腹して手術を行う方法です。臓器の癒着が進んで広い範囲にみられる場合や病巣が大きく、子宮・卵巣・卵管すべてを摘出する必要がある場合は開腹手術が選択されます。

メリット

・手術時間が腹腔鏡手術と比べて短い。

・手術の難易度が腹腔鏡手術より低い。

デメリット

・体への負担が重い。

・出血量が多い。

・傷が大きいため、術後の回復に時間がかかる。

・入院期間が長い。

・子宮や卵巣、卵管を取り除いた場合は更年期障害の症状が出る場合がある。

手術方法は、症状の種類や程度、進行具合、年齢、妊娠の希望の有無などを総合的に考慮し選択されます。両者を併用する場合もあります。子宮や卵巣を残せば再発の可能性はあります。

子宮内膜症の予防

Embed from Getty Images

チェストツリーを摂る

チェストツリーとは、ハーブの一つで、ドイツでは医薬品として認可されているそうです。和名をイタリアニンジンボクといい、手指のエキスには、プロゲステロンの不足を補う作用があると言われています。そのため、ホルモンバランスの乱れや、月経不順など女性特有の悩みに対して効果があるそうです。

女性ホルモンを正常に保つ働きがあるため、子宮内膜症の予防にも効力を発揮することがあるようです。チェストツリーは苦甘くあまり美味しいと言えないものですが、子宮内膜症の予防に、チェストツリーを服用することを検討されてみてはどうでしょうか?

鉄分を十分に摂る

鉄分と言えば、貧血を防ぐ女性にとって欠かせない栄養素です。子宮内膜症の予防にも効果があると言われています。また、すでに子宮内膜症になってしまった方にとっては過多月経で失う血液の量は多く、普段から十分な鉄分を取っておくことは重要です。

女性の多くは貧血ですから、更に出血により症状が深刻化する可能性もあります。鉄分は、レバー、ほうれん草、春菊、ひじき、しじみ、牡蠣などに多く含まれます。サプリメントをうまく利用して鉄分を補給するのも良いかもしれません。

動物性食品を摂りすぎない

動物性食品、特に乳製品は女性ホルモンに影響を与えてしまうと言われています。乳製品は体に吸収されやすく、子宮などに歪みが発生する可能性があります。加えて、食生活の欧米化によって脂っこい食品や肉などの動物性食品を食べることで血液がドロドロになることも考えられます。子宮内膜症の予防のために動物性食品は摂りすぎないように注意しましょう。

体を冷やさない

冷えは免疫力の低下をもたらします。とにかく体を冷やさないようにすることも重要です。子宮内膜症には「冷え」は禁物です。動物性蛋白質の過剰摂取は冷えの原因になります。動物性タンパク質は、腸内で発酵が起こり、その後急速に冷える性質があるためです。適度な摂取を心がけましょう。

また、砂糖の過剰摂取は血糖値を急激に上げます。そのためインシュリンが大量に分泌され、今度は血糖値が急激に下がります。これが低体温を引き起こすと言われているので注意しましょう。温かい食事や飲み物、入浴など、体を温めるように心がけてください。

規則正しい生活

昼夜が逆転している若い女性も増えています。夜更かしは、健康な体の大敵です。十分な睡眠を確保し、規則正しい生活を心がけてください。

低用量ピルを服用する

子宮内膜症の治療の項目でも紹介しましたが、低用量ピルは、飲み続けることで月経の出血量や月経痛が軽くなり、子宮内膜症の進行を予防する働きがあるのです。

まとめ

Embed from Getty Images

いかがでしたでしょうか。子宮内膜症の症状や検査方法、治療法などは、さまざまなものがありますね。ひとりひとりの状態によって判断し、きちんと治療していくことが重要です。いつもと違う生理痛や出血量など、体の変化に耳を傾けて、早めの受診をしましょう。

普段から子宮内膜症にならないための予防も大切ですね。規則正しい生活や冷え対策、食事への配慮などは他の病気にも共通するものです。毎日の心がけで、病気の予防をして、いつまでも健康な体で暮らせるようにしたいものです。