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水頭症って?実は胎児から大人まで誰にでも患う可能性があるんです!3つの原因と5つの種類と症状!

水頭症という名前は聞いたことあるけど、どういう病気か知らない人の方が多いですよね。そんな水頭症の種類や原因や治療方法や後遺症の有無などわかりやすくまとめましたので、水頭症について知りたい方、ご覧ください。



水頭症は小児でも成人でも起こりうる?

水頭症と聞くと、生まれたての赤ちゃんに起こるイメージもありますが、実は大人でも起こることがあるようです。生まれつき、頭が大きかったりするのは特に機能的に問題があることが多く、治療の対象になりますが、大人が後天的に頭が大きくなっていくのは「正常圧水頭症」といって、後天的な理由により頭の中に水が溜まっていき、脳が圧迫されて様々な症状を起こしていくようです。

ここでは年齢問わず起こり得る「水頭症」について、基本的な情報をご紹介していきましょう。

水頭症とは?

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脳室が拡大した症状

水頭症とは脳の中の水分が増えてくる状態の事です。脳に水なんてあるの?と疑問に思うかもしれませんが、脳内の水分とは脳脊髄液のことを言います。

多くの水頭症の原因の一つには、脳内にある脳脊髄液が過剰に貯留することで、脳が圧迫されてパンパンになることで起こります。圧迫された脳は様々な症状を引き起こす為、視神経が圧迫されてまぶたがむくんできたり、嘔吐したりすることもあります。こうした脳に脳脊髄液が貯留していくことは、すなわち脳室が拡大していくことを意味し、生まれてから既に起こっているものと、大人になってから起こるものとがあります。

脳室・脳脊髄液

脳室とは?

脳室という場所は、人間の脳のどの位置になるのかご存知でしょうか?

脳室は脳脊髄液を貯蔵する場所で、おもに4つの部屋に分かれています。脳室では脳脊髄液という液体が常に満たされていることで、脊髄に循環しています。脳室には左右に一つづつある「側脳室」と「第三脳室」「第四脳室」があります。全て互いに連携していて脳脊髄液を循環させています。

水頭症は、この脳室に脳脊髄液が過剰に充満してしまうもので、脳室が正常以上に大きくなったものを言います。

脳脊髄液とは?

頭の中にある液を脳脊髄液と呼んでいます。脳脊髄液は脳室内を循環していきますが、元々どれほどの量が体に備えられているのでしょうか?

脳脊髄液は無色透明をしていて、髄液検査を行って脳脊髄液に感染がないかどうか等を調べるとても重要な液です。また、脳側室の脈絡叢というところで産生や分泌を行っているそうです。

人の脳にはおよそ110~170mlの脳脊髄液が存在しているそうです。案外少ないような感じですが、小さい脳の中に常にこれだけの液体が循環していると思うと少し神秘ですよね。このような脳脊髄液は循環することで、役割を担っているのですが、5~7時間くらいで入れ替わるそうです。

そして、脳脊髄液の役割は、脳を外部からの衝撃から守ることです。脳や脊髄、全身の神経などに、ブドウ糖やカリウム、タンパク質、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、リン脂質、ビタミンC、ホルモンといった栄養分を与えているそうです。

こうした栄養分を与える脳脊髄液は、一日ではなんと4~7回も循環しているそうです。すごいですね。

先天性・後天性

冒頭でも説明しましたが、水頭症は子供でも大人でも発症する病気です。生まれつきの異常で起こっている場合を「先天性」とし、生まれた後で生じた異常、ケガなどによる脳室内部の出血・脳腫瘍・硬膜下血腫や感染症などによる炎症で起こってきた場合を「後天性」としています。

水頭症のタイプ

水頭症のタイプには大きく分けて2種類あります。ご紹介する2種類の水頭症のタイプからまたさらに細かい種類のタイプへ分けられます。

交通性水頭症

水頭症には、交通性水頭症というタイプがあります。これは脳の表面にあるクモ膜下腔という場所で、髄液がうまく産生吸収ができないものを言います。脳脊髄液の停滞や生産、吸収に不都合が生じてしまった場合、脊髄披裂や脊髄髄膜瘤というトラブルが起こった場合、この様な交通性水頭症にかかることが多いようです。また、合併症として髄膜炎、腫瘍細胞が髄液に浸潤していった場合に起こることが多いそうです。

非交通性水頭症

一方、非交通性水頭症というタイプもあります。これは、脳室の中を脳脊髄液が循環していく時に、うまく循環できなくなるものを言います。出生直後の新生児や乳児では先天性水頭症で良く起こる、中脳水道狭窄症による水頭症が、この非交通性水頭症にあたります。

先天性水頭症はいつわかる?

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胎児期水頭症

先天性水頭症

胎児期の水頭症は先天性のものになりますが、これはいつどうして起こってしまうのでしょうか?妊娠中に発症し、出生時に早期発見された水頭症を、「先天性水頭症」と呼んでいます。この中には、原因不明の物が多くを占めます。

原因は、妊娠中に胎児がお腹の中にいる時に、何らかの原因で髄液の産生と吸収のバランスが崩れると起こると言われているようです。しかしその原因は特定はされていません。いずれにしても脳脊髄液の産生と吸収に障害が起きることが原因であるようです。

その他、遺伝子に問題がある場合もあります。現在わかっているものでは、X連鎖性遺伝性水頭症という疾患では、遺伝子のXq28に位置する「神経接着因子L1CAM」が原因遺伝子として証明されているそうです。

先天性水頭症の頻度は、およそ0.0003%前後でそれほど頻度の高いものではありません。現在はスクリーニング検査があるので、出生前には既に水頭症であるか否かが診断可能になっています。また、検診で超音波検査が主流ですので、この検査でも水頭症の疑いがあるかどうかは、ある程度診断が可能になります。このように検査でわかる水頭症は、55%ほどが胎内診断で診断が可能になっているそうです。

他の疾患1

先天性水頭症と言っても、単に脳に脳脊髄液が溜まるので先天性水頭症だけだと思いがちですが、実は先天性水頭症にも種類があるのです。これは基礎となる水頭症に、様々な疾患が含まれていることで分類されています。

例えば、一番多いものが脊髄髄膜瘤に合併する水頭症でおよそ36%を占めています。そして次に多いものが、脳室拡大を主な所見とする水頭症で、単純性水頭症とも呼ばれ、全体の14%を占めています。更にダンディーウォーカー症候群、全前脳胞症、二分頭蓋に合併する水頭症と続きます。

他の疾患2

「胎児期頭蓋内出血」「トキソプラスマ症」や「サイトメガロウイルス感染症」など胎内での様々な感染症や先天性な疾患に合併して、二次的な疾患としての水頭症も存在します。

トキソプラズマはネコの糞や土の中や生肉や殺菌していないチーズから感染することが知られています。お母さんが感染してもなんともありませんが、胎児には多大な影響を与えてしまうことが知られています。サイトメガロウイルスは第二子以降の妊娠時に罹患することが多いとされています。

水頭症の種類は?

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非交通性水頭症

先述したように、先天性の水頭症には、非交通水頭症と交通性水頭症といった分類がされてます。

小児に多い水頭症は、ほとんどが非交通性水頭症なのだそうです。これはどういった症状が起こるかというと、もちろん脳脊髄液が正常以上に満たされてしまうため、脳内圧が上昇していきます。髄液は循環が悪くなるので、処置を行わないとどんどん脳圧が上がっていってしまいます。

こうした脳圧上昇が起こると、必ず頭痛が起きてきます。まだしゃべれない赤ちゃんの場合は、いつもと違った泣き方をしていたら気にかけてあげましょう。さらに嘔吐やひどい場合は意識が無くなるといった重大なことになりますので、早期発見早期治療は非常に重要になっていきます。

交通性水頭症1

交通性水頭症は基本的には成人に多いそうです。

髄液の循環を阻害している脳内の閉塞している部分があります。例えば脳腫瘍などが原因で脳脊髄液が循環する場所の交通が悪くなってしまう場合がこれに当たります。脳脊髄液の交通が悪くなり閉塞してしまうと、当然脳圧が上がっていきます。脳圧が上がると、頭痛が起き、嘔吐したりすることもあります。こうした急激な症状が起きて急性増悪することがあるのが特徴で、体調の変化には十分注意する必要があります。

交通性水頭症2

一方同じ交通性水頭症と言っても、脳内に閉塞している部分が見当たらない場合は、脳脊髄液が停滞していても、頭蓋内圧は正常であったりすることが多く、頭蓋内圧が急激に亢進することは少ないようです。こういった水頭症は、頭部に外傷を受けたり、クモ膜下出血などに多いようです。

症状としては、ふらつきが起き、歩行困難になることもあります。また、物覚えが極端に悪くなり痴呆のような症状になることもあります。さらに調節がうまくいかない事から、尿を漏らしてしまいといった尿失禁をすることもあります。

続発性正常圧水頭症

正常脳圧の水頭症には、続発性の水頭症と、特発性の水頭症とに分けられています。これはどこが違うのかというと、続発性は何かしらの病気があってそれに続いて起こるものを言います。反対に特発性は、原因が分かりにくいといった違いがあります。

続発性は、脳腫瘍やクモ膜下出血、事故による頭部外傷などの後遺症から、脳内の一部の部分に閉塞が起こり、それが原因で脳脊髄液の吸収が悪くなってしまうのです。脳脊髄液は流れているのですが、流れが悪いことが原因で、脳脊髄液の吸収が悪くなり、症状が起こるのです。

特発性正常圧水頭症

特発性正常圧水頭症の、特徴的な三大症状は、認知障害、歩行障害、尿失禁とされています。先述したように、特発性は原因がわからないもので、髄液循環システムの異常が起こると髄液が過剰に脳内に溜まってしまい、水頭症を起こしてしまうのです。

こうした特発性の正常圧水頭症はシャント術という手術を行うと、著しい改善を行うもので、頭部のCT、MRIを撮影すると、脳室の拡大が見られます。認知症の患者さんの5~6%ほどにこの特発性正常水頭症がみられると言われています。

水頭症の症状は?

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乳児期1

乳児期の一番の特徴として頭の拡大が目立ちます。頭の大きさが成長曲線の正常値から大きく外れます。そして、大泉門の皮膚が外に張し、不機嫌が続いて常にうとうとと、眠ってばかりです。

乳児期2

乳児期に水頭症が疑われる時は、まだ首が座っていなかったり不安定な時期ですから、もちろん脳の骨も固まっていない時期です。このような時に脳脊髄液が循環を阻害されると、脳圧が上がっていくのですが、圧が上がって脳内にたくさんの脳脊髄液が充満しても、頭が大きいという点以外は、機嫌は良いことが大様です。

しかし酷くなると、周囲の刺激に敏感になったり、嘔吐をしてみたり、やたら泣くことが多かったりと、一見育てにくいと思うような様子をみせます。

幼児期1

乳児期には、多少の脳脊髄液の充満があっても、それほど脳圧には変化がなかったのが、幼児~学童期になると、症状もかなり異なります。

脳室に脳脊髄液が溜まり脳圧が高くなると、既に脳の骨が固まっているので、圧が抜けにくくなります。ですから、脳圧は素直に上がっていき、頭痛や吐き気などの症状が起こるようになります。さらに気持ち悪さから食欲もなくなってしまいます。

幼児期2

しかし幼児期1のような症状に親が気がつかないこともあります。しかし、脳圧が高まったことによって眼の神経が圧迫され、眼の神経にむくみが生じることによる「視力の低下」や「目の動きの不自然さ」や「食欲不振による体重減少」「全身の倦怠感」により水頭症が発覚することがあります。

幼児期3

水頭症の症状は年齢や脳圧の高まりによって症状も変わっていきます。治療が遅れることによって、障害が残ったり、まれではありますが、死に至る事もあります。「けいれん発作が現れる」「歩行がおかしい」などの歩行障害で水頭症が発覚することもあります。

正常圧水頭症

「正常圧水頭症」は、脳脊髄液の循環が悪くなることで、一部に滞りがみられるので、急激に脳が大きくなることは少ないようです。ゆっくりと大きくなっていくので、症状もゆっくりと出現し、時間と共に悪化していきます。まずは、「歩行障害(小刻みな歩き方)」「足が上がらない」など歩行がゆっくりで不安定となり、転倒しやすく、90~100%の方に出現する症状です。

そして、認知症のような症状がおよそ70~90%にも及ぶ高確率で起こります。作業や思考速度が非常に遅くなったり、注意しようとしてもできないといった注意機能障害が起きたりすることがあるようです。また、顕著なのが尿失禁が50~80%の方に出現します。

上記が正常圧水頭症の3大徴候と言われており、放置した場合は、命に直接関わることはありませんが、上記の症状が強くなり、最終的には寝たきりになってしまいます。これらの3大徴候は老化現象と類似しているために、高齢の方が患うとただの老化現象として見落とされているケースが多くあるとされています。

水頭症の種類の所で説明した「特発性正常圧水頭症」と「続発性正常圧水頭症」がこの症状に当てはまります。また、病状が進行してから治療を受けた場合は、症状の改善ができない場合もあります。

水頭症の原因は?

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起こす原因

原因として「髄液の生産過剰」「髄液循環路の閉塞」「髄液の吸収障害」があります。それらを引き起こす病気の存在「髄液の生産過剰」には脳室脈絡乳脳症が原因となり、「髄液循環路の閉塞」は髄膜炎やくも膜下出血やくも膜顆粒の機能不全が原因となり、「髄液の吸収障害」は中枢系の先天異常や頭蓋縫早期癒着症や頭蓋内出血や髄膜・脳室炎や脳腫瘍などがあげられます。

先天性水頭症

先天性の水頭症には複数の原因が考えられます。わかりやすいのが、母体内でのウイルスに感染するといったことです。この場合は、胎児期にウイルスに対して抗生物質を飲み対処すると言うことが出来ます。

そして、先天的な障害(奇形)で、遺伝子的問題として、何らかの遺伝子上の問題も考えられるということがあります。この場合は、羊水検査をして原因を突き止めるということが考えられますが、現在日本では胎児に対して何らかの手術をするということは行っていないので、原因がわかっても妊娠中に対処することはできません。

あとは突発的な原因です。原因としては不明ですが、脳の血管が詰まるなどのアクシデントが起きてしまい、脳がうまく形成されなかったとか、何らかの原因で髄液の産生吸収のバランスが崩れるなどといった場合があるようです。

後天性水頭症

後天性水頭症はになると、 頭蓋内出血(脳室の内部への出血の、硬膜下血腫等)や 炎症(髄膜炎等の感染症)や脳腫瘍などが、年齢を問わず主な原因として挙げられます。

水頭症の検査・診断方法は?

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診察

小児の水頭症は、CTやMRIといった画像診断をするとわかります。小さいうちは、頭蓋骨がまだ完全に出来上がっていない為、脳圧が高くなってきても、頭が大きくなっていくだけで、症状はない場合があります。ただし、成長曲線をひくと、やはり頭囲は大きいことがわかります。

ただ、元々遺伝で頭部が大きい子もいますので、一概に頭が大きい=水頭症とはなりません。健康な赤ちゃんでも、生まれたばかりの時は、脳の大きさが大きいなと感じることもありますし、頭囲の大きさだけでは、きちんとした診断はできないことは覚えておきたいですね。

しかし、頭囲が標準の範囲にあっても、急激に頭囲が大きくなってきた場合は、病院に行って検査をしてもらったほうが良いでしょう。乳児健診でも頭囲を測定しておき、数ヶ月毎にどのような成長をしているのかを経過観察していくのは、早期発見にとても重要なことだと言えます。

画像検査

診察のところでも述べましたが、水頭症は頭部の画像診断を行う診断が有効です。

CTスキャンやMRI検査がこれに当たりますが、どちらも痛みも無く簡単に検査が行える上、画像によって脳内の拡大や脳脊髄液の循環なども大まかに把握することができる為、非常に有効な検査方法になります。画像診断において脳室の拡大が顕著にある場合は、水頭症を疑います。

髄液タップテスト

髄液循環障害の検査にはいくつかの方法の1つして「髄液タップテスト」があり、「髄液排除試験」ともいわれていて、基本的には腰椎(腰骨)の間から脳脊髄液を少量排除して症状の改善具合を観察するという方法です。正常圧水頭症が疑われる場合に、脳脊髄液を抜いて症状が改善するかを観察するという方法です。

水頭症の治療法は?

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起こしている原因によって異なる

水頭症を起こしている原因によって治療法は異なってきますが、脳腫瘍は水頭症を合併することがとても多く、脳腫瘍が原因の水頭症の場合は腫瘍に対する治療をします。腫瘍の摘出を含めた腫瘍そのものに対する治療を行うことが一般的です。

そのほかの原因

水頭症の程度に応じて治療が異なってきますが、現在の医療では薬などの内科的治療では、残念ながら直すことはできず、多くの治療は外科的治療となります。治療は主に脳室に充満した脳脊髄液を体外に排出するのが目的になります。

脳脊髄液を体外に排出する手段として利用されるのが、シャントチューブです。脳内の脳脊髄液を排出する際にこの方法がとられますが、脳室やクモ膜下腔の髄液を外に排出するのではなくて、身体に影響のない安全なチューブを用いて、脳脊髄液が心臓や他の臓器に吸収できるよう促す方法です。ですからチューブは皮膚の下に埋め込み、外から刺激を受けることはありません。

シャントチューブを埋め込む手術は、シャント術とか、シャント手術と言われています。

シャント術

子供から大人まで年齢を問わず行われている手術法

シャント術は全身麻酔で行います。しかし手術時間は案外短くておよそ1時間程度で終わります。脳神経外科の手術としては、難易度はそれほど高いものではない為、シャントチューブがきちんと埋め込まれた後の経過をむしろしっかり観察していきます。余分な髄液を流す場所としては「頭からお腹部」「頭から心臓」「腰椎から腹部」と3タイプあり一番良い方法が選ばれます。

一番多いのが頭から腹部ですが、腰椎から腹部の手術も増えてきています。また、チューブと同時に身体には髄液の流れる量を調整する装置も埋め込まれます。

使用されるシャントチューブは埋め込んでしまいますから、安全性の高いものが選ばれます。

これがシリコン製のカテーテルで、半永久的に脳脊髄液を体外に排出できる優れものです。このカテーテルは、もちろん定期的に検査をして、漏れがないかや健康に支障をきたしていないかなどを注意深く経過観察していきます。

シャントの種類

圧固定式バルブ

シャント術を行った後は、適切に脳脊髄液が処理されなくてはいけません。それがバルブで、そのバルブで設定した量で脳脊髄液が流れていくように、速度調整ができるようになっています。これには「低圧」「中圧」「高圧」の三種類の開放圧があり、脳脊髄液が溜まる量によって、医師の判断で調整されていきます。

圧可変式バルブ

可変式差圧バルブというのは、体外から調節が出来るバルブのことで、90年代から使われるようになりました。これは医師が磁気を用いて定期的にバルブの調整を行うことで、脳脊髄液が自然に流れるのを促します。定期検査では必ず検査を行い、調整に誤りがないかを確認します。

ただこの方法は、磁気を使用して調整するため、患者さんが磁気に近づくと調整が乱れてしまうので、近くに磁気を置かないようにするか、磁気に近づかないようにします。距離を置けばかなり磁気の影響は少なくなるようです。

ですから、磁気枕磁気ネックレス、磁気ブレスレット、磁気治療器等は使用しないようにしましょう。また電化製品にも磁気が強いものがありますから、なるべく距離を置いて生活することが大事です。

重力可変式バルブ

体を動かすと脳圧も変化することから、自動的に脳室の圧を調整する方法がこの重力可変式バルブです。重力によって横位と立位での脳脊髄液の量が異なるので、立位の時の脳脊髄液が過剰に排出されていくのを防ぐ方法です。

流量を調節するタイプの不便な点を改善したもので、流量不足で状態が悪くなるのを防いでいきます。

特殊機能バルブ

圧可変差圧バルブというのは、体位によって圧力が変化することができるもので、寝ている時や起きている時などの脳圧の変化にも対応できるバルブです。

立位や横位で脳脊髄液が流出して、脳圧が低下してしまう場合には、サイフォン効果防止装置であるこの特殊機能バルブを追加でつけたりするようです。

第三脳室底開窓術

中脳水道が閉塞して水頭症になっている場合は、神経内視鏡で見ながら、第三脳室(髄液の貯まるところ)の底面に穴をあけ、脳室内の髄液が直接くも膜下腔に流れるようにして、水頭症の治療をする方法があります。

すべての水頭症に行えるものではありませんし、2歳以下の子供には有効性が確立されていませんが、脳内でシャントを作るという、身体にとってより自然な方法で、身体の中にカテーテルを入れないことにより、感染症のリスクが軽減され、開けた穴が塞がらない限り再手術は必要ないなどのメリットがあります。

リハビリテーション

手術直後に改善しなくても、徐々に改善の可能性もあり

シャント手術を行った後は、脳圧の調整がうまくいかないことによる歩行障害が起こる事は、殆ど無くなります。また、三大症状であった認知症の症状や、失禁に関しては、個々の年齢や状態で異なりますが、およそ半分程度は改善しているようです。認知症はすぐさま良くなるのは少ないようですが、退院後ゆっくり経過が良くなることもありますので、親族の方は温かい目で見てあげる必要があります。

歩行障害は、リハビリなども取り入れると脳に刺激が伝わり、いくぶん早めに歩行ができるようになるそうです。

術後の生活上での注意点は?

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合併症

シャント術の術後は、合併症にも注意して生活していきます。手術後すぐに合併症が起こる場合もありますが、数年経ってから症状が出てくることもあるので、しっかり経過を見てもらうようにしましょう。

特に脳脊髄液に感染が起こり髄膜炎になるのは、手術の時に脳脊髄液に感染してしまった合併症ですが、これは治療を行うと良くなるそうです。シャント術は、シャントシステムがきちんと埋め込まれた時は快適なのですが、段々経年変化で詰まることがあります。こう言った時は、シャントシステムを取り除かなくてはいけない場合もあるようです。

最近ではこうした詰まりに関しての、医療技術の進歩も目覚ましいため、多くは詰まりがかなり減っているようです。

機械的トラブル

可変式バルブは、磁石でバルブ圧の変更が可能になっているため、髄液の流れ具合を調整しやすく水頭症治療に好んで使われていますが、磁石で圧力を調整しているため、日常生活上ちかくにある強い磁石でこのバルブの圧力が影響を受けやすい可能性があります。

他には、シャントチューブの詰まりがあります。何らかの異物がチューブ内に詰まることで、チューブ内の内圧が亢進して、破裂することがあります。こうしたトラブルは、どの年代でも起こるもので、トラブルが起きたらチューブを交換し直す等の対処が必要になります。

機能的トラブル

水頭症になると、脳脊髄液が過剰に分泌されることが多くなりますが、これは当然循環して排出されなければなりません。しかし、シャント手術がうまく体に適応できないと、脳脊髄液が過剰に排出されて、頭痛や吐き気といった症状が起こります。

頭をぶつけたとき

日常生活を送る上での普通の運動に制限はありませんが、無理に身体をひねるなど激しい運動をしたり、転んで頭をぶつけたりした場合に、皮膚のすぐ下を通っているシャントチューブやバルブが切れたり、破損する事がまれに起こります。

肥満や便秘

シャント手術後に、太ってしまう事はあるでしょう。その場合は、肥満が元でシャント内の流量が不足することがあるようです。肥満の他にも便秘などでもチューブが圧迫されるので、流量が減ってしまうことがありますから注意が必要です。

このようにシャントチューブが圧迫されて、シャント内の流量が減ってしまうと、頭痛や眩暈が起こったりします。酷い場合は、脳の表面に血液がたまる硬膜下血腫という状態になってしまうこともあり非常に危険です。

こうしたトラブルは、圧をその都度変化できる圧可変式バルブで調節することで、ある程度は回避できるようです。

感染

シャント術を行う場合、感染は避けて通れないものです。シャント自体体に安全なものを使用しているとはいえ、本来体内になりものが、体の中に入っていきますから、異物と見なしてしまう事もあるようです。

こういった症状は、術後2ヶ月以内に発生しています。また何故か年齢が若いほど感染率が高いそうです。感染の原因菌は、ほとんどがブドウ球菌です。これは皮膚の常在細菌ですのでどこにでもいる菌ですが、シャントを付けていると感染して炎症を起こすこともあるようです。その他は黄色ブドウ球菌もおよそ20%ほどあります。

感染症になった場合は、抗生物質が効果的です。感染が起こったら一時は、シャントシステムを体外に出して清潔にしてしまいます。炎症が治まればまたシャントシステム全体を入れ替えします。入れ替えしておかないと、シャントシステムの何れかに、菌が付着している可能性があるので思い切って入れ替えることが重要なのです。

留意して観察

「水頭症に対するシャント手術の発展の歴史は、とりも直さずシャント合併症予防の歴史である」という著明な小児神経外科医の言葉がある通り、手術後は身体の変化を留意して観察する必要があります。特に症状の変化を感じなくても3ヶ月に一度は、手術を受けた脳神経外科あるいは小児神経科の定期検診を受けることが良いでしょう。

水頭症は後遺症が残る?

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放置した場合

水頭症を放置した場合はどういった弊害が起こるのでしょうか?

放置していくと、当然脳内の圧が上昇していきます。そして最初は軽い頭痛や眩暈などが起こるだけで済みますが、次第に意識障害が起こってきます。この状態をさらに放置すると半数は死亡してしまう事があり大変危険ですから、一刻も早く病院で処置を行ってもらうようにしましょう。

命が助かったとしてもかなり脳に障害が残ることがあります。

早期発見・早期治療

シャント術によって早期発見で治療が行えた場合、水頭症によって起きていた多くの障害は改善されるとされています。しかし、発見・治療が遅れれば遅れるほど後遺障害を残しやすく回復までに時間がかかます。

原因となる脳の疾患による

後天的な水頭症を放置していると、合併症も起こってきます。元々、水頭症になった原因の疾患が何だったかで、機能障害の程度が異なります。重症であればあるほど、知能低下や、神経障害など脳が機能低下を起こす頻度は上がっていきます。

まとめ

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一言で水頭症と言っても、様々な症状、種類があります。また、小児の水頭症と大人になってから起こる水頭症では原因や症状などが異なっています。

どちらの水頭症の場合も早期発見の早期治療がカギとなっています。小児の場合は、成長曲線の正常範囲を超えた頭囲拡大や急速な拡大などにより発見されることが多いので大人が気が付くことが早期発見につながります。

現在の医学では外科的手術がメインで、症状によって様々な術式があり、髄液シャント術などの手術が主流ですが、もっともっと医学が発展し進歩したら内科的治療方法が見つかるかもしれませんね。

これから手術を受ける人、家族が手術を受ける人、沢山不安があると思いますが、水頭症の治療後、身体にシャントチューブを入れているからといって、日常生活にほとんど問題はありません。体育もできるし、水泳だってできます。ただし、頭をぶつけたりする可能性のある激しいスポーツは避けた方がいいかもしれません。

そして、できればシャントの状態を書き留めたシャント手帳のようなものを持っているといざというとき困らないでしょう。シャントバルブの種類や、圧を変えられるときはいくらに設定されているのか、シャントをどこに入れたか、シャントが良く効いているときの脳室の大きさはどの程度かなどを把握していると、シャントが詰まった時、かかりつけの病院へ行けなくても、どこの病院へいっても安心でしょう。