TOP > 病名から探す > 炎症 > 急性膵炎ってどんな病気?5つの原因と6つの治療法!アルコールに要注意!

急性膵炎ってどんな病気?5つの原因と6つの治療法!アルコールに要注意!

膵臓は胃の後ろ側にある臓器で、消化を助ける消化酵素や血糖値を調節するホルモンなどを分泌しています。その膵臓が急激に炎症をきたしたものを、急性膵炎といいます。急性膵炎は短期間で治癒する軽症なものから、命にかかわる重症なものまでその重症度はさまざまです。急性膵炎の病態や症状、危険因子、予後などについて詳しく解説します。



アルコールを多量に飲む人は急性膵炎になりやすい?

「急性膵炎」とは、膵臓に急激な炎症をきたす疾患です。膵臓は摂取した食物の消化に必要な消化酵素や、血糖を調節するのに必要なホルモンなどを分泌する役割を担う臓器です。胃の後ろ側、みぞおちの奥辺りに位置します。この膵臓に炎症が生じると、本来は食べ物を消化する働きをもつ消化酵素が、膵臓自身を溶かしてしまいます。

急性膵炎の原因はアルコールと胆石によるものが2大原因とされており、アルコールの摂取量が多い人や胆石がある人は急性膵炎のリスクが高いといえます。しかしアルコールを多量に飲む習慣がある人のうち、急性膵炎を起こす人の割合は数%とされており、体質などの要因も影響するものと思われます。

急性膵炎の重症度は、軽いものから重いものまでさまざまです。重症例では命にかかわることすらある急性膵炎について、その病態や症状、原因や治療法などをみていきましょう。

急性膵炎とは?

Embed from Getty Images

急激に炎症

急性膵炎とはその文字の通り、急激に膵臓に炎症が起こることを言います。本来は食べ物の消化を担うはずの消化酵素が、さまざまな原因から自分の膵臓そのものを溶かしてしまう疾患です。

膵臓は食物の消化に必要な消化酵素を出して、食べ物を溶かして小腸に送りこみます。消化酵素にはアミラーゼやトリプトシン、リパーゼなどがあります。アミラーゼは炭水化物を、トリプトシンはタンパク質を、リパーゼは脂肪を分解する酵素になります。

膵臓はこのほかにも血糖値をさげる重要な役割もあり、血糖値を調整する非常に重要なホルモンが分泌されている臓器でもあります。このように消化に関して重要な臓器が、急に壊死してしまいコントロールを失って症状が起こるのです。

症状は軽いものから重いものまで様々ですが、重篤な場合は膵臓やその周辺に出血や炎症を起こして細胞が壊死し、急死する場合もある怖い疾患です。こうした壊死するケースは急性壊死性膵炎と呼んでいます。

膵炎に急性膵炎と慢性膵炎とがありますが、命に関わるような急激な変化を伴うものは急性膵炎の方です。

さまざまなケース

急性膵炎は膵臓が腫れてもすぐに回復できる場合もあります。一方で命を落とす場合は多臓器不全をおこしてしまい、回復が間に合わず死に至るというものです。

重症の急性膵炎では、多臓器不全といって膵臓や肺、腎臓、肝臓、消化器管などにも障害が起こってしまい、急激な炎症と重篤な感染症を合併することがある致死率は約10%と言われています。以前は重症急性膵炎は難病指定をされて援助もありましたが、平成27年からは難病指定からは除外されましたので医療費などの援助はなくなりました。

患者の割合

急性膵炎に罹患しやすい年齢は男性では50代、女性では70代が最も多いそうです。平均では59.3歳だそうですが、実は幼児から高齢者まで幅広く罹患する可能性があるのです。男女比では女性より男性の方が2倍近く多く患っているようです。

重症の急性膵炎では男性は1.8倍女性より罹患しやすく、発症するピークは男性ではおよそ70歳くらい、女性では80歳くらいで意外と高齢の方に多く起こるようです。

急性膵炎の症状は?

Embed from Getty Images

上腹部痛

急性膵炎を起こした時の症状で一番多いのが、上部の腹部痛です。発症したとわかる一番の特徴がこの上腹部の激痛で、初めはチクチク違和感が起こっているものが、次第にみぞおち(肋骨の下あたり)から左の上上腹部にかけて激しい痛みが生じてきます。

膵臓の位置は胃の裏側ですから、背中の部分にも罹患した方の半数に激痛があったと言われています。しかし、この痛みの症状には個人差が大きく、軽い鈍い痛みが継続している場合や、転げまわるほどの激痛という場合もありますが、痛みと重症度はかならずしも比例しません。非常にまれですが、痛みを生じない無痛性の急性膵炎もあるようで、これは検査やほかの疾患を持っていることで気が付くことが多いそうです。

痛みが非常に激しい場合は、深呼吸したり、仰向けで寝ていたりしても痛みを感じます。また、咳をしたり、ちょっと動いたりするだけでも痛みが増すこともありますから要注意です。逆にこうした動作をした時に痛みが増すようなら、急性膵炎の可能が高いですので急いで病院に行きましょう。

仰臥位(仰向けに寝る姿勢)になるとどうして痛みが増すのかというと、腫大した脾臓が脊髄に圧迫されますからその痛みを感じてしまうからです。このように痛みが激しい時は、体を丸くして背中に隙間ができるように、脾臓が脊髄に圧迫されないような体勢をとると、痛みが和らぐことがあります。

そのほかの症状

急性膵炎は上部腹痛が激しいので、その他の症状が隠れてしまいがちですが、他の症状としては食欲不振、嘔気や嘔吐、背部痛、発熱、悪寒、などの症状がみられることもあります。

嘔吐は胃の中が空っぽになって、もう吐くものがなくなった状態でも、嘔吐が続くことがあり、吐いたからといって腹痛が改善しないところが他の疾患と鑑別できる部分でもあります。膵臓が炎症をおこして腫脹するために、腹部の腫れや膨満感が生じてしまうことがあります。

重症化した場合

急性膵炎が重症化した場合は、膵臓の細胞が急激に破壊されている状態なので、症状も急激な変化をきたします。膵炎で破壊された脾臓が細菌感染を起こすと、悪寒がして熱がでてくることがあります。

そして皮膚や顔面が蒼白くなり、冷や汗とともに血圧低下が一気に起こり意識障害を起こすこともあるので非常に危険んです。心拍数が増加していて上記ような症状があれば、黄疸がみられたり、消化管出血をきたして、黒い色の便がでることもあります。

尿の量も減少してくるので、腎不全にならないよう注意が必要です。進行していくと全身に最近が感染した状態になる敗血症を起こしてしまい、重症に陥ることがありますから緊急を要する状態です。

また、肺に炎症が及んでしまった場合は、無気肺(肺組織が虚脱する状態)になることもありますし、胸水が溜まってくることもあります。こうなってくると呼吸が速まります。

腹部所見

触診にて、腹部あるいは腹部全体の圧痛が認められます。しばしば筋性防御(腹壁の筋肉が硬くなる所見)がみられます。腹部の聴診では、腸雑音(腸の蠕動運動の音)が弱いか、まったく聞こえない場合もあります。

急性膵炎の原因は?

http://gty.im/1023347282

アルコール

急性膵炎の一番の原因に挙げられるのがアルコールの多量摂取です。これは急激に大量のアルコールを一度に摂取した場合でも起こりますし、慢性的に多量のアルコールを摂取しても起こります。アルコールが原因で急性膵炎になった確率は、およそ31%で、原因の中で最も多い数字です。男性では42%が罹患していますので、どれだけ男性の多量のアルコール摂取が膵臓に良くないのかがわかります。

しかしながら、これだけ原因がわかっていても、どのような機序でアルコールが急性膵炎を発症させるかは解明されていません。

胆石

急性膵炎を起こす方には胆石を持っている場合が多く、全国で行われた調査では約24%の方が胆石症と急性膵炎の両方を患っているようです。これはアルコール摂取に続いて多い数字です。特に女性に多く、その割合は全体のおよそ1/3を占めているようです。

胆汁は肝臓で作られているたんぱく質や脂肪を消化する消化液のことですが、肝臓から送りだされた胆汁は、胆嚢に貯蔵され凝縮されます。そして食事をすると胆嚢が貯蔵していた胆汁を分泌して、胆管から十二指腸へ送りだします。

この胆汁が固まると胆石になり、急性膵炎や急性胆管炎を発症してしまうことがあります。胆石や急性膵炎は、日本人の食事が欧米化してきて脂肪分やカロリーの高いものを摂取するようになってから、多くなったと言われています。

暴飲暴食や生活が不規則になっているといったような原因でも起こりますので、ストレスのない健康的な生活を送ることで、発症を予防することもできます。

特発性

急性膵炎の原因の第三位としてあげられるのは、特発性の原因です。これは原因は特定できず罹患してしまったというもので、遺伝的要素が強いという結果もでているようです。

遺伝的要素の強い急性膵炎を遺伝的膵性膵炎と呼んでます。これは、膵臓から分泌される消化酵素のトリプシンの遺伝子の異常が原因だと言われています。一番多く見られる遺伝性膵炎には、オチオニックトリプシノーゲンと呼ばれる遺伝で、これはトリプシンの前駆物質だそうです。日本では、遺伝性膵炎の40%の方がこの遺伝子が原因だと言われています。

30%はトリプトシンの働きを抑制する遺伝子であるトリプシンインヒビターという遺伝子で、残りは原因になる遺伝子の解明はまだできていません。

遺伝的なものでは、たんぱく質を分解する消化酵素の遺伝子に異常が起きてしまい、急性膵炎が発症し、遺伝的に異常があるため慢性の膵炎に移行しやすいという特徴があります。

その他の原因

急性膵炎のその他の原因としては、薬剤によるものや病気によるものがあります。薬で急性膵炎を起こすタイプは、アザチオプリンやフロセミドなどの薬剤によるもの、血液中の脂質濃度が高い女性でのエストロゲンの使用等が挙げられます。

疾患で急性膵炎を起こしやすいものは、膵癌、副甲状腺機能亢進症、高カルシウム血症、ムンプス(おたふくかぜ)、脂質異常症などが挙げられます。

他には、手術や内視鏡検査の最中に膵臓の損傷をした場合や、傷や穿通性の外傷で膵臓が破損してしまった場合、急激な血圧低下による膵臓への血流が減少してしまった場合や腎移植が挙げられます。

急性膵炎の合併症は?

http://gty.im/1023639490

早期合併症

重症急性膵炎では、膵炎の発症早期に呼吸不全、循環不全、腎不全などの多臓器不全や、意識障害などの神経症状、出血傾向、ショックなどをきたすことがあります。局所的な合併症としては、感染性あるいは非感染性膵壊死や腸管壊死などを引き起こすことがあります。

重症度判定

急性膵炎においては重症度判定基準と重症度スコアが定められており、軽症、中等症、重症(I、II、最重症)に分類されます。重症度の判定は原則として入院から48時間以内に判定することとされており、早期における臨床徴候が重要となります。

前述の早期合併症に挙げたショック、呼吸困難、神経症状、出血傾向などのほかにも、感染症の有無も重症急性膵炎の判定項目に含まれます。このように重症急性膵炎では、膵臓以外の全身の諸臓器にあらゆる変化が認められることがわかります。

後期合併症

後期合併症には、膵仮性のう胞、腹腔内出血、消化管狭窄、膵のう瘍、腹腔内のう瘍などが挙げられます。全身的な合併症には、敗血症、エンドトキシン血症、DIC、臓器不全などが挙げられます。

急性膵炎の検査・診断方法は?

Embed from Getty Images

診断基準に基づいて検査

急性膵炎は診察をして血液検査を行うと、ほぼ急性膵炎の可能性が高いと推測されます。その他はCT,MRIといった画像を使った検査を行うとほぼ急性膵炎だと診断できます。しかしながら確定診断をする場合は、「急性膵炎診療ガイドライン」に基づいて行われます。ガイドラインで定めている急性膵炎の診断基準では、

○上部の腹部に急激な腹痛発作が見られかつ圧痛がある

○超音波やMRI、CT等枝検査した場合、膵臓に急性膵炎に伴う異常所見がみられる

○尿中や血中に膵アミラーゼやリパーゼなどの膵酵素の上昇がみられる

急性膵炎は、このうちの2項目以上を満たし、急性腹症や膵臓疾患などを除外したものが条件です。重症の場合もこの診断基準が基本となって適応されます。

診察

急性膵炎診療ガイドラインが定める診断基準「1)上腹部に急性腹痛発作と圧痛がある」に従い、腹部に特徴的な痛みなどの症状があるときや、触診において圧痛や筋性防御などの特徴的な腹部所見があるときは急性膵炎が疑われます。

血液・尿検査

急性膵炎診療ガイドラインが定める診断基準「2)血中または尿中に膵酵素(膵アミラーゼ、リパーゼなど)の上昇がある」に従い、血液検査や尿検査が行われます。

血液検査

急性膵炎を疑う場合に必ず行うのが、血液検査です。膵臓で作られるアミラーゼやリパーゼという膵臓の酵素を測定すると、血中濃度が上昇していることがあります。多くは急性膵炎の発症の初日に上昇していき。3~7日になると通常の値に戻っていくのが特徴です。

これは膵臓に炎症が起きているので、炎症反応であるCRPや白血球も上昇してきます。胆石を伴う急性膵炎の場合は、GPT、LAPを含む肝臓胆嚢系の酵素が上昇していきます。膵臓はほとんどが損傷しているので、酵素を産生する力が低下しており、ひどい膵炎の場合は膵酵素濃度が上昇しないという場合もあります。しかし、炎症は起きているので白血球数は増える傾向にあります。

尿検査

尿検査でも急性膵炎になった場合にはアミラーゼが排出されます。これは膵臓から出たアミラーゼが体の外に出ていくので尿中にも現れているのです。

尿検査がなくともある程度急性膵炎と診断はできますが、ガイドラインに沿って確定診断しなければならないので、尿中の膵臓の酵素が上昇しているのかも検査します。胆石がある時は、尿の色は黄色になり体にも黄疸が現れます。

画像検査

臨床症状や血液・尿検査などで急性膵炎が疑われる場合は、急性膵炎診療ガイドラインが定める診断基準「3)超音波、CT、MRIで膵臓に急性膵炎に伴う異常所見がある」に従い、腹部超音波検査、腹部CT検査、腹部MRI検査などの画像診断が行われます。

急性膵炎になると、膵臓の細胞は壊死して徐々に破壊されていきます。どの程度壊死しているのかは血液検査で確認できますが、画像診断では腫瘍や炎症の有無などの異常について調べます。

急性膵炎では胆道結石の有無や総胆管拡張がみられるか否かを調べます。慢性膵炎では、膵管内の膵石の存在があるかどうかや、特徴的な画像所見がないか、膵臓自体に問題がないかを確認していきます。

急性膵炎の治療法は?

Embed from Getty Images

急性膵炎と診断されれば、原則として入院加療が必要となります。

絶飲絶食

一般的な急性膵炎の治療方法として、まずは膵臓に刺激を与えず安静を保つようにするために、絶飲絶食(一切飲み物や食べ物を摂取しない)とします。

大量の点滴輸液

点滴で電解質を含む輸液を大量に補液して、血圧と循環状態を保てるようにします。

薬剤の投与

急性膵炎では膵臓の細胞が壊死していえるためその後細菌感染が心配になります。感染症を予防するためには薬剤の投与が必須になります。感染症予防のためには抗生物質が効果的です。腹部の痛みがひどい時は、鎮痛剤も同時に服用になります。

鎮痛剤は非ステロイド性の消炎鎮痛剤が使用されることが多いのですが、痛みがひどくなると非麻薬性のものも使用されることがあります。

膵臓が分泌する消化酵素で自分自身を消化してしまい、膵臓の組織が破壊されていきます。膵臓の酵素は血中を巡って、膵臓以外の腎臓や肺といった多臓器にも障害を挽きおこしてしまいます。これを防ぐために、蛋白分解酵素阻害薬が投与されます。

重症の場合

重症の急性膵炎の場合は、緊急に処置を行わなくては命の危険があります。膵臓は一気に破壊されて、循環器を始め多臓器に障害がおこります。呼吸状態も不安定になるので、これらの管理をするために、ICUで集中治療をすることもあります。

血液浄化療法(持続的血液濾過透析)

重症急性膵炎の場合は、膵臓の炎症が多臓器にまで及ぶのは、血中のサイトカインという炎症が起きている時に上昇する物質が影響していると言われています。これを防ぐためには、血液透析を行い「血液浄化療法」を行います。この方法で血中にあるサイトカインを取り除き、不必要な体内にある水分を除去して、腎臓に負担がかかるのを防ぐのです。

動注治療

重症急性膵炎の場合、動注治療と言う方法をとることがあります。動注治療とは、膵臓の壊死した部分に高濃度の蛋白分解酵素阻害薬と抗菌剤が到達するようにする方法で、壊死部位に到達するよう膵臓に入っていく動脈にカテーテルを留置して、持続的に薬剤を投与するというものです。

急性膵炎の早期の場合は、初めは炎症が起きているのですが3~5日ほどすると他の臓器に炎症が広がっていくので、こうなってからの動注療法は効果が見られません。ですから行うなら急性膵炎が起こってから48時間以内に行い、遅くても3日以内にしなければなりません。

ところがこの動注療法は医療保険適応でないため、もし行う時でも自己負担となり医療費が高額になってしまいますので、行われる時は患者さんの親族に確認が必要となります。

ドレナージ術

急性膵炎で膵臓に多大な壊死があり、そこが細菌感染してしまった場合には、ここに溜まった膿などをチューブを入れて体外に排出しなくてはなりません。その方法としてドレナージ術が用いられます。ドレナージでは、膵液や胆汁が排出されることがあるので、チューブに接した皮膚にかゆみが生じることがあります。

手術

急性膵炎を起こした場合、上記のような治療の他には手術で治療を行う時あります。これは壊死した膵臓の組織を切除して不必要な物質を洗浄していき、細菌感染がこれ以上進まないようにするものです。

重篤な場合は、約4週間以降に膵臓付近に膿が貯留することがあります。こうった状態を膵膿傷と呼んでいます。膿がたまっているので、経皮的ドレナージを行って膿を排出するか、それでも排出できない時は、手術を行って除去することがあります。

胆石がある場合

胆石がある場合は、胆石が膵臓の管の出口を詰まらせている可能性が高いので、膵炎が悪化してしまうことがあります。黄疸がでていたり血液検査で胆嚢の酵素が上昇していたなら、胆石を取る手術も行われます。これは「内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)」という内視鏡下で行う方法です。この方法によって胆石を排出しやすくしていきます。

急性膵炎が軽症で合併症もない場合は、胆嚢を摘出する手術をする場合もあります。重症の急性膵炎の場合は、膵炎が落ち着いたあとに胆嚢を切除するようになります。これは急性膵炎が治癒しても、胆嚢があると再び膵炎が起こってしまうことがあるからです。

急性膵炎はどのような経過をたどる?

Embed from Getty Images

軽症の場合

急性膵炎は軽症なら簡単に回復していきます。こういう場合を「浮腫性膵炎」といい、膵臓が単に腫れているだけで治癒します。ところが急激に膵臓が消化されていった場合や多臓器にまで症状が現れてきた場合は、命の危険もはらんでいますので、治療は予断を許しません。軽症や中程度と診断された場合には、生命の危険はほとんどありません。軽症や中程度ので死亡する確率は5%程度のようです。

長期予後は良好

急性膵炎は死亡率は全体としてはわずか2%足らずですので、ほとんどの方は治療を行えば順調に経過していき予後も良好です。多くは健康だったころと同じくらいまで回復します。その後は社会復帰も可能ですから仕事もできるようになります。

重症の場合

一方重症になってしまった場合はどうでしょうか?膵臓の損傷が激しい「壊死性膵炎」や、膵臓に出血が起こっている「出血性膵炎」では、炎症が膵臓だけに収まらず多臓器にも及んでしまいます。死亡率としては最も重症なタイプでは30%を超え、そのほかの重症のタイプでは10~50%になります。

さらに発症してから数日で死亡してしまう原因には、腎不全や心不全、肺不全といった多臓器不全が挙げられます。1週間以内に死亡するケースでは、細菌感染や破裂で出血したことが原因になることがあります。

後遺症が発症することも

急性膵炎のほとんどは、何事もなく治癒することが多いのですが、中には後遺症が残ることがあります。壊死性の膵炎のような膵臓の損傷が多かったタイプや、糖尿病を患っている場合はインスリンを投与したり消化酵素剤を服用することで、後遺症を予防します。

また、低脂肪食を中心とした食事療法などの適切な治療を継続的に受けていくことが重要となっていきます。低脂肪食を心がける生活は、今後の再発防止のためにも大切です。

急性膵炎を予防するポイントは?

Embed from Getty Images

飲酒を控える

急性膵炎の原因で最多と言われているのがアルコールの摂取です。予防するためには飲酒を控えめにすることが最も重要なことになります。どれだけ飲んだら急性膵炎になるのかは、急性膵炎の発症前24時間以内に100g以上のアルコール相当量を摂取した場合おこりやすくなるようです。

データによると、急性膵炎を起こす方のアルコールの摂取量は、1日あたり100g近く飲み、飲酒回数も 1 週間あたり 6日以上と、男女ともほぼ毎日飲酒をする、アルコール依存症だそうです。

100gというと500mlのビールではおよそ5本分、日本酒では5合程度に換算されます。これほどの量を一気に飲酒すると急性膵炎のリスク上がってしまいます。

また膵炎の発症前1ヶ月間のアルコール摂取量も影響があるようです。1日あたり50~99gを毎日摂取していると、リスクは3.5倍ほどにも跳ね上がるそうです。

過剰な飲酒は膵疾患や肝疾患だけでなく、悪性新生物(がん)や心疾患、脳血管疾患などの発症リスクを高め、それらによる死亡率を高めるとする研究結果が発表されています。アルコールの摂り過ぎは避けるようにしなければなりません。

アルコール相当量は飲酒量とアルコール度数によって算出できます。「1ドリンク=10g」に相当するアルコール量は以下の通りです。

・ビール・発泡酒(5%):250mL

・チュウハイ(7%):180mL

・焼酎(25%):50mL

・日本酒(15%):80mL

・ウィスキー・ジンなど(40%):30mL

・ワイン(12%):100mL

アルコール相当量100gは、以下の飲酒量に相当します。

・ビール・発泡酒(5%):2500mL:大ジョッキ約3.5杯、中ジョッキ約5杯

・焼酎(25%):500mL:コップ2.5杯

・ワイン(12%):1000mL:ワイングラス8杯、ワインボトル1.3本

規則正しい食生活

急性膵炎の原因が生活習慣の乱れにありますから、規則正しい生活を送ることが非常に大切です。食事する時間はなるべく同じ時間を心がけ、毎食適度な量を食べるようにしましょう。空腹状態が続くと、食べようと思った時には消化液が足りない状態になっているので、脾臓には負担が大きくなってしまいます。一番は暴飲暴食は絶対にしないことが予防のポイントになります。

肥満にならないようにする

肥満になると急性胃腸炎になりやすく、さらに重症化しやすいとされています。重症化するということは死亡率も上がってくるので、BMIが30以上ある肥満の方は十分注意が必要です。肥満になると一部臓器への合併症が起こりやすいと言われています。ちなみに合併症の中でも特に多いのは、呼吸器不全です。

また、全身性の炎症正反応という多臓器に炎症が起きてしまう致命的な状態に陥りやすいという報告もあるようですから、くれぐれも肥満の方は低脂肪の食事をして、暴飲暴食には注意しましょう。

肥満は急性膵炎の原因となる胆石のリスク要因でもあります。脂質の多い食べ物は控え、適度な運動を心がけて肥満にならによう努めましょう。

胆石

胆石はアルコールに次ぐ急性膵炎の危険因子です。胆石は必ずしも膵炎や胆嚢・胆管炎を引き起こすわけではなく、場所や大きさによっては全くの無症状のことがあります。しかし胆石をもつ人はもたない人に比べてそれらの疾患を明らかに発症しやすいことがわかっていますので、胆石が見つかったときには無症状であってもなるべく治療しておくことが望ましいといえるでしょう。

定期的に健診を受ける

急性膵炎に限ったことではありませんが、あらゆる疾患において早期発見、早期治療が大切です。急性膵炎を発症すると多くの場合激痛を伴うため発覚は容易ですが、中には自覚症状に乏しい疾患も多くあります。高血圧、脂質異常症、糖尿病、動脈硬化などの生活習慣病や、悪性新生物(がん)などは初期の自覚症状に乏しく、健診で見つかることは少なくありません。

早期に発見できればそれだけ予後もよく、治療への苦痛も少なく済むことが多いです。定期的に健康診断や人間ドックを受けるようにし、なにか病気がみつかれば放置せず、適切な治療を受けるようにしましょう。

急性膵炎はアルコールと過食に注意

Embed from Getty Images

急性膵炎とは、膵臓が急激に炎症をきたす疾患です。軽症から重症なものまでその程度はさまざまで、軽症ではまず命にかかわることはありませんが、最重症例での致死率は30%以上にのぼります。

膵臓は炭水化物やたんぱく質、脂肪などの消化を助ける消化酵素や、血糖を調整するホルモンであるインスリンなどの分泌をつかさどる重要な役割を担う臓器です。この膵臓が炎症をきたすと、消化酵素が膵臓自身を溶かしてしまいます。重症なものでは細菌感染を伴い、膵臓の組織が壊死したり膵臓周囲にも炎症が拡がるなどし、中にはあらゆる臓器が不全に陥る重篤な病態となります。

急性膵炎の2大原因とされるのがアルコールと胆石です。そのため予防にはアルコールを控えることは勿論のこと、胆石の原因となる肥満や過食、不規則な食生活などを避けることが重要です。特に近年は食生活の欧米化に伴い、胆石をもつ人が増えているといわれています。生活習慣を見直し、日頃から予防に努めるようにしましょう。