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尋常性乾癬って何?ウイルス性ではないから人に感染しない!できやすい部位3ヶ所と5つの治療方法や検査方法を公開

皮膚疾患の中でも非常に発症者が多い「尋常性乾癬」。日本国内では人口の0.1%、およそ10万人の人がこの尋常性乾癬に悩まされているという報告もあります。近年では更に増加傾向にあると言われているこの辛い皮膚症状は何故起きるのでしょうか?その原因や症状、そして治療法などの基礎知識をわかりやすく解説します。



尋常性乾癬について知っていますか?

皮膚には様々なトラブルがつきものです。急性的なじんましんや痒みを伴う疾病、先天的な皮膚炎や内臓疲労などからくる吹き出物まで、数え上げればキリがないとも言えるでしょう。

その中のひとつでもあるのが「尋常性乾癬(じんじょうせいかんせん)」です。「尋常性=ありふれている、よくある」という意味がある通り、珍しい症状ではなく乾癬を患っている人の9割がこの尋常性乾癬であると言われています。

よくある疾病である尋常性乾癬なのですが、その他の皮膚疾患同様に誤解や勘違いを受けやすい皮膚症状のために、他者の目が非常に気になったり、あるいはその症状の辛さから精神的に引きこもりやすくなりがちで、患者の社会的生活を脅かしている深刻な病気とも考えられています。

尋常性乾癬について正しい理解と認識を持ち、適切な治療や快適な社会生活を送れるようにしていくことも「治す」ための重要な手段です。では、尋常性乾癬とはどのような病気なのでしょうか?

尋常性乾癬とは

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皮膚角化疾患

尋常性乾癬は炎症性角化症とも言われ、体の一部、あるいは全身に赤い盛り上がった発疹が出る皮膚症状です。時間経過と共に赤く盛り上がった部分の上に乾燥した角質が厚く付着し、白銀色に変化することも多くあります。この状態を「鱗屑(りんせつ)」といいます。

鱗屑した皮膚はさらに経過をたどるとぼろぼろと剥がれ落ち(落屑)、また同様の経過をたどるという慢性的な皮膚症状です。一時的に快癒しても、季節変化や環境ストレスなど何らかの原因で再び症状が出てくる場合が多く、繰り返すことで肌質が弱くなったり、ちょっとした刺激で痒みが出ることもあります。

表皮が増殖

尋常性乾癬はその発疹が出ている皮膚表皮の異常増殖が認められます。これはどういうことかというと、女性には耳馴染みの深い「ターンオーバー」が関係しています。

人間の肌は通常、2週間~4週間で肌細胞が生まれ変わるように出来ています。新しい健康な皮膚が合成されたら古くなった肌は垢として排出される、これがターンオーバーですが、尋常性乾癬の場合このターンオーバーのペースが「その症状が出ている部位でのみ」異常に早くなってしまうというわけです。

尋常性乾癬とはすなわち「過剰に皮膚細胞の合成を行って角質化させ、無理やりふるい落とす」という体のメカニズムを無視した症状とも言えるでしょう。

感染はしない

強い赤みのある皮膚状態や、皮膚が剥がれ落ちやすい症状、またその病名や漢字のイメージから「人に伝染る(感染する)」と誤解をしてしまう、勘違いされてしまいやすいのが尋常性乾癬のつらい現実です。

しかし、尋常性乾癬は伝染性の病気ではなく、人に伝染る心配は一切ありません。剥がれ落ちた皮膚や赤くなった皮膚に細菌やウイルスは存在せず、また内臓疾患などの重篤症状を起こすこともほぼありません。

プールや温泉に入ることももちろん大丈夫ですし、運動や仕事も制限は特にありません。悪化させない、再発させないための日常的な注意はいくつかありますが、それは「健康を考える方全てに当てはまる」程度のものですので、社会的生活を低下させたり、患者さん本人の気持ちを塞ぎ込ませるようなものではありません。

尋常性乾癬は近年、増加の一途にあります。けして珍しい病気、命を落とすような病気ではないこと、そして悲観する必要のない疾病であることを忘れないで下さい。

尋常性乾癬の症状

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発疹

尋常性乾癬で真っ先に起こりやすい主症状が発疹です。体の一部分、あるいは全身など人によって発疹が出る場所は様々ですが、赤く膨れ上がったような丘疹が出来ることが多くあります。出来始めは赤ニキビのようにも見えますが、時間経過とともに徐々にその発疹は拡大していきます。

次第にその丘疹が角質化し始めると、白色や白銀色の角質化した状態に変化していき、やがてその部分が剥がれ落ちます。この状態から一時的に改善したり消失したりすることも多いのですが、また同様の発疹症状が出てくる再発もあり、「改善と消失」の繰り返しが起きやすいとされています。

かゆみ

尋常性乾癬では「強い・激しいかゆみ」を伴う患者さんはあまり多くなく、気温変化や刺激などによってかゆみを生じる方は患者さん全体のうちのおよそ50%程度とされています。症状には個人差が大きく、かゆみの他「熱感」や「腫れぼったさ」を感じる方もいるようです。

その他、爪などに乾癬が出た場合には爪の変形や剥離が起きたり、頭皮に出た場合には髪が伸びてくる刺激でかゆみを生じたり脱毛症状がある場合などもあります。

爪や頭皮も皮膚の一部ですので症状が出る事自体は珍しいことではないのですが、ちょっとした刺激でも患部のかゆみや不快感を生じる患者さんは多く、症状自体がストレスとなることは非常に多い傾向にあります。

関節炎

内臓を侵すことはありませんが、1~2%、およそ10人に1人程度の確立で関節炎を伴う症例があり、その場合は痛みを軽減させる治療が優先されることがあります。この関節に症状が現れるタイプの乾癬は「関節症乾癬」といい、手足の指や脊椎、仙腸関節など様々な部位の関節に痛みを生じます。

リウマチ性関節炎とは違うものですが、痛みを取る、軽減させる治療法は似ている場合もあります。痛みは日常生活に支障をきたすことが多いので、皮膚治療と痛みの緩和治療を並行して行うことが多く、投薬量などは通常よりも多くなる傾向にあります。

また、皮膚症状と関節炎症状に時間差が生じることがあります。皮膚症状が出て数年後に関節炎を起こしたり、同時に起こしたりとその患者さんや症状の程度によって差がありますので、気になる痛みがあるようなら医師に相談して下さい。

尋常性乾癬のできやすい部位

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頭皮

尋常性乾癬は人によって症状が出る場所は様々ですが、いわゆる「擦れやすい場所」「刺激を受けやすい部位」に発症しやすい傾向にあります。目や喉などの粘膜部位や、足の裏や手のひらに出ることは稀とされています。

患者さんの中でも比較的多いのが頭皮に出来る尋常性乾癬です。額や襟足などの髪の生え際やつむじの周囲、耳の後ろなどに乾癬が広がると、時間経過とともにフケのようにぽろぽろと剥がれ落ちてくるために非常に深刻な悩みのたねにもなってしまいがちです。

ブラッシングで落とそうと過剰に頭皮に刺激を与えてしまうことで、乾癬がより悪化してしまったり再発のサイクルを早めてしまうこともあります。医師の治療と指導をしっかり守り、むやみにブラッシングや頭皮の洗いすぎなどの刺激をしないように注意しましょう。

膝は人間の関節の中でも、運動機能が大きく働く場所ですのでその分細胞活動も活発です。また、衣服などの刺激を受けやすい上に、皮膚そのものが薄い場所でもありますので、尋常性乾癬を発症しやすいと考えられています。

最近になって増えているのがこの膝の尋常性乾癬ですが、その背景には細身すぎるスキニーデニムなどの流行もあるのではないかという説もあります。立ったり座ったりする時にデニムの固い生地が膝関節に大きな刺激を与えるため、症状の進行や悪化率が高くなる可能性があるためです。

膝関節に尋常性乾癬を発症してしまった場合は、症状が落ち着くまで生地が固い服は避ける、刺激を感じやすいデザインのものは控えるなどの注意も必要です。

肘関節も膝と同様、刺激を受けやすい場所になります。特に頬杖をつく癖がある人や、袖まくりなどをしやすい生活環境にある人はその刺激が皮膚症状を強く出してしまう可能性があります。

肘や膝などの乾癬の場合、頭皮などと比べると比較的隠しやすい場所であることから、痒みや痛みなどがなければ医師に相談しないという患者さんも多く、自己判断で市販薬やクリームをつけてしまいただれや炎症を起こしてしまう人もいます。

もしも丘疹や赤みの範囲が拡大したり、白っぽく角質化してくるということがあれば、自己判断はせずに皮膚科を受診し、適切な治療を行うようにして下さい。

尋常性乾癬の原因と考えられているもの

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原因はまだ解明されていない

尋常性乾癬が何故起こるのか、どうして尋常性乾癬を発症すると皮膚の一部だけが異常増殖するのかなどの「根本的な原因」は、実はまだよくわかっていません。人によって関節炎を起こしたり、症状の若干の差があったりなどの臨床例から研究が進められています。

実は尋常性乾癬は戦後から患者が増加した病気で、それ以前にはあまり患者数は多くない疾病でした。また、欧米ではその患者数は戦前から多くいたという記録があり、食文化や生活スタイルの変化が一因である可能性は高いのですが、医学的に立証はされていません。

細菌やウイルス性などの病理的原因でないことは医学的に解明されていますが、国内では臨床の歴史が浅い疾病であることも誤解を受けやすい原因なのかもしれません。

遺伝的な要因

尋常性乾癬は家族や兄弟などの共通遺伝子をもつ人も発症しやすい傾向にあることから、ある種の遺伝的な素因はあると考えられています。自己免疫系統の機能バランスなどが乱れることにより、過剰な皮膚細胞の増殖や代謝を行ってしまう可能性があるので、同様の遺伝子であれば症状も起きやすいというわけです。

しかし、家族や兄弟であっても症状を発症する人もいれば、発症しないという人もいるために、遺伝的な要因はあくまでも「素因」であるというのが前提です。

つまり乾癬は、この遺伝的な「素因」を持つ人がある種の外的要因を受けた場合に引き起こされるものであり、家族だから、兄弟だから必ず遺伝する、というものではありません。

ストレス

尋常性乾癬は「遺伝的な素因」に「環境要因(外的要因)」が加わって引き起こされやすいものだというのは先に述べた通りです。その外的要因の中で真っ先にあげられるのがこのストレスです。

ストレスには様々なものがあり、人間関係や仕事、生活においての自律神経の乱れなどでこうした皮膚症状を引き起こすことは珍しくはありません。じんましんやアトピー性皮膚炎などの場合でもこうしたストレスが大きな誘因となることがあります。

ストレスそのものが悪いということではありませんが、過度なプレッシャーや抑圧、心配事などはこうした体からのSOSとして表に現れてしまうのです。

気候の変化

体の細胞の中で、気候や気温の変化を真っ先に感じやすいのは皮膚です。季節の移り変わりや急激な気圧変化を起こす嵐や台風などにより大気中の水分や物質量の変化が起きると、肌の敏感な人はそれを感じ取って「警報」を鳴らすのですが、尋常性乾癬もそうした変化には敏感です。

また、尋常性乾癬は冬になると悪化しやすい傾向にあります。これは冬の紫外線量の関係や乾燥による刺激、衣服が厚手になることで繊維的な刺激が増えるためという説があり、特にかゆみを感じる症状の人は寒暖差などによりその症状が悪化する場合があります。

紫外線不足

紫外線というと「絶対的に肌に悪い!」と感じる方も多いかもしれませんが、紫外線のある種の波形は人体にとっては細胞の活性化を促す大事なエネルギーです。

尋常性乾癬は「冬場に増悪しやすい」という傾向があると先にお話しましたが、逆に夏場においては若干ながらその症状が抑制される場合があり、これは太陽光に含まれている紫外線の一部が尋常性乾癬の症状を抑制しているのではないかと考えられています。

こうしたことから、尋常性乾癬には紫外線の光線を用いた治療も取り入れられることがあり、適度な紫外線が人体にとって不可欠であるということの証明にもなっています。

食生活

尋常性乾癬は戦後にその患者数が増加した病気です。欧米諸国では戦前よりその患者数は多いことで、「食生活の欧米化」が誘因のひとつであるという可能性は極めて高いと考えられます。

特に東洋医学的な観点からすれば、高脂肪分の摂取や動物性たんぱく質の摂り過ぎなどで体内の酵素が代謝しきれなくなると、体に溜まった活性酸素や毒素を皮膚から排出しようという作用が働き、それが尋常性乾癬を引き起こしているというのが通念となっており、食生活の見直しやデトックスなどが推奨されています。

また、乾癬を患う患者さんの中には実はメタボリック症候群を合併している人が多く、近年では「尋常性乾癬とメタボリック症候群」の関連性も強く研究されています。食生活改善をするということは、体質の改善をするということに繋がりますので、結果的には乾癬の症状を緩和させることに繋がりやすくなるというわけです。

尋常性乾癬の検査・診断方法

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皮膚への刺激による発疹の発生

尋常性乾癬はアトピー性皮膚炎やその他の乾癬症状など、似通った諸症状をもつ皮膚炎と区別するためにいくつかの検査や基準によって診断するようになっています。尋常性感染のひとつの診断基準となるのが、発疹が出ていない場所を引っ掻いたりして、新たに発疹が現れてしまうことです。このことをケブネル現象といいます。

必ずしも乾癬の患者さんのみに現れる症状というわけではありませんが、多く見られる症状のためアウスピッツ現象の有無と同時に診断基準のひとつです。ケブネル現象が起きる患者さんは非常に皮膚が過敏になっており、衣服の擦れや洗髪時のこすり過ぎなどでもこうした症状が現れることがあります。

天状に出血が見られる

アウスピッツ現象も、ケブネル現象同様、尋常性感染の診断基準の一つとなっています。アウスピッツ現象とは、白銀色になった角質化した皮膚を無理やり剥がすなどしてしまった時に「点状に出血する」という現象で、乾癬の特徴的な症状とされています。

日焼け後の肌のように、通常は垢状になった皮膚は剥がしても特に出血はしませんが、乾癬の場合は毛細血管が分厚くなった表皮近くにある状態ですので簡単に出血してしまいます。そのため、この出血状態の有無によって乾癬であるかどうかの一つの基準としているのです。

皮膚がぼろぼろと剥がれる

白色に変色した皮膚の部分を軽くこすってみると、蝋燭のロウのようにぼろぼろと皮膚が剥がれ落ちる症状のことを蝋片現象としています。この蝋片現象ののちに点状出血(アウスピッツ現象)が起きる場合もあり、乾癬症状の特徴のひとつです。

尋常性乾癬などでは、症状の出ている部位の皮膚の新陳代謝が異常に早まっているため、肌の保水量などの成分バランスが取れていない状態です。そのため、このようにぼろぼろと剥がれて落ちる症状となるのですが、剥がれて一時的に症状が良くなっても再び同様の症状を繰り返してしまうことも多くあります。

検査方法について

見ただけ、触診しただけでは判定が難しい症状である等の場合には、症状の起きている皮膚組織の一部を取って詳細に解析する病理検査が行われます。この検査によって、細菌性あるいはウイルス性の皮膚炎なのか、アトピー性皮膚炎やその他の皮膚症状なのかの鑑別を行います。

皮膚の一部を切除するため、若干の痛みがあったり幾つかの注意が必要である場合もあります。アルコールや常用薬などを一時的に控える必要がある場合や、数日間感染予防の飲み薬を服用することもありますので、不安なことや気になることがあったら先に医師に相談しておくようにしましょう。

血液検査

皮膚症状なのに血液検査が必要なのか?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、乾癬はその原因がまだ明確ではないものの、自己免疫系の機能の異常である可能性が高い症状です。そのため内服療法を選択する場合も多くあり、悪化因子がないかどうか、副作用を起こしやすい成分がないかどうかを確認するためにも血液検査は有用となります。

また、関節の痛みなどの症状がある関節症性乾癬の場合には、リウマチ性関節炎との鑑別にも必須となります。血中のリウマチ因子は関節症性乾癬の患者さんは陰性であることが多いため、症状が非常に似ていてもこの血液検査で識別が出来るのです。

画像検査

関節症性乾癬などの痛みがある症状が出ている場合には、X線(レントゲン)写真を取ると特徴的な骨の変形があったり、新骨形成などの症状が見られる場合があります。見ただけでは腫れていたとしても、そうした詳細な関節炎の進行具合まではわからないことが多いためにこうした画像検査を血液検査と同時に行い、炎症の重症度や関節変形に対する治療方針を決定するという意味があります。

尋常性乾癬の治療

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塗り薬を使う

尋常性乾癬の治療は主に「外用療法」が用いられます。いわゆる「塗り薬」を使って皮膚組織の異常代謝を抑え、正常なターンオーバーの状態に導くために行われますが、体内の免疫システムがこの外用薬の成分を有効に活用できないことも多く、治療の効果が出るまでに時間がかかる場合もあります。

外用療法で用いられる薬で多いのは副腎皮質ステロイド外用剤やビタミンD3誘導体外用剤などがあります。ビタミンD3は乾癬の原因となっている皮膚細胞の増殖亢進に効果があるとされていて、異常な皮膚のたんぱく質を正常化する働きを持っています。

ステロイド剤は長期使用することによって血管の拡張や皮膚が薄くなるなどの副作用が出ることがあるため、長期化しやすい治療においてはビタミンD3誘導体のみで良い状態を目指すことが多いようです。

飲み薬を使う

外用薬や後述する紫外線療法と並行し、ビタミンA誘導体や免疫抑制剤などの飲み薬を服用する場合も多くあります。内服薬によって体内の免疫の暴走を抑え、皮膚細胞の増殖を抑えたり外用薬の効果を高めるという期待が出来ますが、長期間の服用は副作用のリスクが高まるため重症度の高い時のみの選択とする医師もいます。

定期的に血液検査を行い、腎機能や肝機能に障害や負担がないかどうかをこまめに確認する必要がありますが、外用薬だけだと効果が出づらい体質の場合には短期的にこのような内服薬を使用するほうが早く症状が治まることがあります。

紫外線を用いる

光線療法(紫外線療法)は、太陽光に含まれている肌細胞の生成や正常化に良いとされている「UVB」という非常に幅の狭い紫外線を機械で患部に照射する治療法です。

全身など広範囲に出てしまっている乾癬の治療には不向きですが、小さい範囲の症状であれば週1~2回程度の通院で治療の効果が見られるようです。また、保険が適用出来るため経済的な負担もそれほど大きくはありません。

ただし、免疫抑制剤の服用や外用をしていたり、日光過敏症などの症状がある場合はこの治療が出来ないため、心配な方はまず医師の診断を受け不安を取り除いてから治療開始するようにして下さい。

生物学的製剤

重症度の高い尋常性乾癬であったり、治療抵抗性(内・外用薬の効果が見られないなど)の患者さんの場合には、抗体療法(生物学的製剤)が用いられる場合もあります。乾癬の患部組織にはTNFαというホルモンのような物質が大量に作られています。このTNF−αは「炎症の親玉」と言われていて、それ自体も組織や細胞に炎症を起こす上に他の炎症誘発物質を生成してしまうという性質を持ち、乾癬やリウマチ、膿疱症などの難治性疾患の場合このTNF−αを抑制するのが鍵と言われています。

抗体療法とは、このTNF−αに強力に結合する薬を体内に注射あるいは点滴で取り込み、その活動自体を阻害する方法です。アダリムマブやインフリキシマブといったTNFα阻害薬のほか、IL(インターロイキン)阻害薬のウステキヌマブという新しい生物学的製剤も注目を集めています。

どの抗体療法薬を選択する場合でも同様ですが、使用中は体に本来備わっている免疫力が落ちるために感染症にかかりやすくなるなどの副作用があります。日常からマスクや手洗いなど、感染症に対する予防が重要となりますので医師の指導に必ず従うようにしましょう。

外科療法・入院治療

重症度が高い、難治性の患者さんの場合においては病院によって入院をした上での集中治療を行うケースもあります。その際に皮膚生検手術などの検査も同時に行う場合もあり、原因や改善の余地がどこにあるかを徹底的に探す必要性がある患者には適していると言えるでしょう。

しかし、尋常性乾癬などにおいては例え患部組織を外科的に除去しても、表皮が再生すればまた起きるという可能性が高いため、入院した場合もほとんどは紫外線療法や抗体療法が主となります。乾癬は気長に、地道に改善を目指していかなくてはならない疾病なのです。

日常生活で気をつけること

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ストレスをためすぎない

尋常性乾癬は明確な原因がわかっていません。ですが、効果的な薬剤や光治療によってその30%~70%は緩和・快癒すると言われており、生活習慣の見直しを行うことで症状が寛解(消失に近い状態を維持出来る)するとされています。

薬剤だけ、光線療法だけといった単体的な治療では再発するリスクも上がることから、日常の生活習慣をきちんと見直し、改善していくことが最良だとされています。

日常生活にストレスはつきものですが、過剰なストレスや溜め込みは自律神経のバランスを乱し、皮膚症状の誘因となります。ストレス解消法や解決をするという意識が治療の一環でもあるということを忘れないようにすることが大切です。

規則正しい生活

規則正しい生活は何にも勝る体全体の治療薬です。ある程度決まった時間に起床し、朝日を浴び、適切な食事を摂るだけで生体のバイオリズムが正常化し様々なつらい症状を緩和する効果が認められています。

また、動物には「体内時計」というある一定度の決まったサイクルがあり、多忙などでこれを無視し続けることで自律神経が乱れ、臓器や皮膚に異常が出ることがあります。食事、睡眠、運動などを少しずつでも良いのでバランスよく日常の中に取り入れていくように、ぜひ一度心がけてみてください。

食事に気をつける

先にも述べた通り、尋常性乾癬の患者の増加は「食生活の欧米化」によるものが一因にあると考えられています。高脂肪分や高タンパク質、糖の過剰摂取により表皮のTNF−αが活性化し、炎症症状を増悪させていくリスクが高くなりますので、そのような食習慣は見直す必要があります。

野菜を中心にし、肉類や魚類は脂肪分の少なめのものを摂るようにしましょう。魚であれば赤身よりも白身のほうが良いとされています。乾癬とメタボリック症候群は合併しやすいということを忘れず、適正体重、適正脂肪量を維持できるような食生活にしていきましょう。

適度な日光浴

紫外線は適度な量であれば、皮膚治療には有効とされています。乾癬の治療に紫外線療法がある通り、過剰な光線を浴びなければ症状にはプラスの効果がありますので、程よい日光浴は治療の効果を促進したり再発を予防するなどが期待出来るのです。

真夏の正午など、強すぎる日差しはかえって症状を悪化させたり別の症状の誘因となってしまいますので避けたほうがよいですが、朝方の光や涼しい季節の日中の光線などは治療効果促進以外にも、心身のリラックス効果を呼ぶのでストレス解消などに役立ちます。

また、食生活の乱れなどからくる肥満やメタボリック症候群には運動療法が最も効果的ですので、朝のお散歩などで日光を浴びながら軽い運動をするというのも良いでしょう。

お酒・たばこを控える

乾癬などの皮膚症状は、血流の流れに大きく影響を受けます。特に乾癬の症状は「体が急速にあたたまることで症状が悪化する」という傾向にあり、アルコールを飲むと一気に増悪するという方も多くいます。出来る限りお酒を飲まないようにする、控えめにするほうが治療効果は早く現れますし、再発のリスクも低くなります。

また、喫煙は体を温める効果はありませんが、それに含まれる有害物質が炎症の親玉であるTNF−αを活性化させる可能性があります。健康的な側面から見ても、免疫系統の異常や体の疲れなどを呼び起こしやすく、誘因となりやすいと言えますので、禁煙・節煙を心がけて下さい。

まとめ:皮膚は体のSOSを示す臓器

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尋常性乾癬やアトピー性皮膚炎、原因不明のじんましんなど肌症状を起こすことでストレスが何倍にも膨れ上がってしまう人はけして少なくありません。外に出たくない、人に会いたくない、自分の姿を見るのもイヤ…と、精神的に追い込まれてしまう場合も非常に多くあります。

忘れがちなことですが、皮膚は体の一部であり臓器のひとつであるとも言えます。その役割は体の内部の組織を外的要因から守ることの他に、体の内部からのSOSを自分に教えるという役割も担っています。

皮膚症状はけして「皮膚だけが悪い」のではありません。細胞や体の機能ひとつひとつに起こりうる異常であったり、ストレスや睡眠不足などの外的要因から身を守るための防衛本能である可能性もあります。症状が出たということは、体は悲鳴を上げているということなのです。

もしもこうした皮膚症状が現れたら、落ち込みすぎず一度立ち止まって自分の生活を見直してみるきっかけになるというように考えてみませんか?その見直しが、ゆくゆくは自分の体を若々しく健康に保つことに繋がるかもしれません。1人で悩むのではなく、専門科の知識や周囲の理解など色々な協力を得ながらしっかりと治療していきましょう。