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脳性麻痺の5つの種類と症状とは?赤ちゃんのためにできることってあるの?

脳性麻痺とは赤ちゃんがお母さんのおなかにいるときから生後間もなくの間に、何らかの原因で脳にダメージを負ったことにより生じる運動障害のことをいいます。脳の障害部位によっていくつかの病型に分類され、それぞれ症状は異なります。脳性麻痺の分類とその症状、原因やリスク因子、治療方法などについてわかりやすく解説します。



脳性麻痺において最も大切なことは

「脳性麻痺」というものを一度は耳にしたことがあるかもしれません。胎児の間から生後間もなくの間に何らかの理由で脳にダメージを受け、運動障害の後遺症をきたしたものをいいます。残念ながら現在の医療では脳の損傷を修復することはできないため、脳性麻痺は完治することはありません。

しかしながら適切な治療を受ければ運動障害の悪化を防ぐことができ、備わっている能力を成長とともに最大限に発達させることができます。脳性麻痺の定義や分類をはじめ、脳性麻痺のお子さんの可能性を広げるために大切な取り組み方や接し方について見ていきましょう。

脳性麻痺とはどんなものをいう?

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脳性麻痺の定義

脳性麻痺の定義は、1968年に厚生省(現在の厚生労働省)の脳性麻痺研究班によって発表されたものが現在も用いられており、それによると「受胎から生後4週以内の新生児までの間に生じた、脳の非進行性病変に基づく、永続的な、しかし変化しうる運動、および姿勢の異常である。その症状は満2歳までに発現する。進行性疾患や一過性運動障害、または将来正常化するであろうと思われる運動発達は除外する」と定義されています。

難しくてわかりづらいかもしれませんが、簡潔に言うとお腹の中にいるときから生後1カ月の間に受けた脳へのダメージによって、生涯にわたって続く進行性でない運動障害のことをいいます。つまり脳性麻痺とは疾患名ではなく、脳へ受けたダメージの後遺症により運動障害をきたした状態のことを指します。

脳性麻痺の頻度は出生1000人に対し、約2人

脳性麻痺の頻度は出生1000人に対し、約2人とされています。早産児では発症率が10倍とされており、出生時体重が少ないほど頻度は高くなります。周産期医療が発達し、早産による低出生体重児の救命率が上昇するに伴って、近年では脳性麻痺は増加傾向にあります。

脳性麻痺の主な症状は?

脳性麻痺の主症状は運動障害です。症状の程度は軽度のものから重度のものまで多岐にわたり、また障害された脳の部位によって症状が異なります。運動障害の種類によって、脳性麻痺はいくつかの病型に分類されます。脳性麻痺の分類(AACP)と各病型にみられる症状については、次の「脳性麻痺の分類にはどのようなものがある?」をご覧ください。

脳性麻痺の分類にはどのようなものがある?

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脳性麻痺は運動障害の種類によって、以下のように分類されます。しかし必ずしもはっきりと病型が分類できるケースばかりではなく、いくつかのパターンを併せもつ症例もあります。

筋肉が硬直する痙直型

痙直型脳性麻痺は脳性麻痺全体のの70%以上を占めます。痙直型の麻痺は錐体路が障害されることによって生じます。麻痺を生じている部位は筋肉が硬くなって硬直し、筋力が低下します。痙直型では視線が交差したり、視点が定まらなかったり、視線がさまよう斜視がみられることもあります。

麻痺の種類には、「四肢麻痺(麻痺が両腕と両脚に及ぶもの)」「対麻痺(両脚に麻痺があるもの)」「両麻痺(両腕または両脚に麻痺があるもの)」「片麻痺(片側の腕と脚に麻痺があるもの)」などがあります。

最も重症なのは痙直型脳性麻痺の四肢麻痺で、移動には車椅子が必須であり寝たきりの状態にあるケースも少なくありません。痙攣や嚥下障害、精神遅滞、知的障害などを合併しているケースも多くみられます。嚥下障害がある場合は誤嚥(食道に入るべきものが気管に入ること)しやすく、誤嚥を繰り返すことにより肺が損傷される危険性があります。

対麻痺や両麻痺のケースでは精神発達は正常であることが多く、痙攣発作がみられることもまれです。片麻痺では1/4程度で知能が平均より低くなり、1/3に痙攣がみられるとされています。片麻痺の場合歩行は可能ですが、片足が反対側の脚にぶつかるはさみ足歩行がみられたり、つま先立ち歩行がみられることもあります。

筋肉が意志に関係なく動くアテトーゼ型

アテトーゼ型は大脳基底核が損傷されたもので、約20%にみられる脳性麻痺です。筋肉は通常脳からの指令によって動きが制御されますが、その制御を受けないために筋肉が不随意に(意思に関係なく)動きます。筋緊張の変動によって体の動きが硬くなったり軟らかくなったりすることで、体幹や四肢(特に上肢)に大きくねじるような不随意運動がみられます。一般に筋肉の不随意運動は感情が高ぶると激しくなる傾向にあり、睡眠中には生じないのが特徴です。

アテトーゼ型では知能は正常なことが多く、痙攣の症状もまれです。言葉の発音が困難なことが多くみられます。不随意運動によって頚椎に負担がかかることがあり、二次障害として頚椎症が生じることがあります。感音性難聴を合併する頻度が高いのも特徴です。

平衡感覚に障害がでる失調型

失調型(運動失調型)は全体の5%程度を占め、視床障害によるものが多くみられます。失調型では、深部感覚(筋肉、腱、関節などに関する感覚)や平衡感覚に障害をきたします。自立歩行は可能なこともありますが、動きが不安定で転倒しやすく、車椅子移動が必要となることも少なくありません。素早い動きや細かい動きが難しいことが多いとされています。

強固な筋緊張がでる硬直型(固縮型)

錐体外路系の障害によって生じます。強固な筋緊張のために四肢の硬直がみられ、他人が腕や脚を動かそうとしても抵抗が大きくなかなか動かせません。

異なる病型が一緒になる混合型

上記の異なる病型が混合しているものをいいます。どの病型でも混合する可能性がありますが、最も頻度が高い痙直型と、次に多くみられるアテトーゼ型が混合しているケースが最も多くみられます。

脳性麻痺は二次障害が起こることも

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脳性麻痺は進行性ではないため、脳性麻痺よる運動障害自体は悪化することはありません。しかしアテトーゼ型麻痺では不随意運動が持続し、じっと動きを止めることができないため、それによって二次障害が引き起こされる可能性があります。特に頚部(首)の動きの制御ができないことによって、頚椎を痛めてしまうことがあります。

頚椎を痛めると、頚椎の中を通る脊髄神経が障害をきたし、手足の運動障害や麻痺がさらに重くなってしまうことがあります。思春期頃には歩行可能であったものの、脊髄神経が障害されたことによって更年期になる頃には車椅子を使用しなければならなくなったり、寝たきりなってしまうケースもあります。

一度頚椎の障害を生じてしまうと、完全に治すことはできません。そのためアテトーゼ型の二次障害を予防するために、首の筋肉を一部切る手術や、首の骨がずれないように固定する手術などが適応となることがあります。

脳性麻痺の症状はいつからみられる?

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厚生省(旧厚労省)の定義では脳性麻痺の症状は2歳まで出現するとされており、多くの場合は2歳までには診断されるようです。生後5カ月以降になっても首がすわらない、新生児のころから反り返りが強いなどの症状で医療機関を受診して診断がつくことがありますが、一般に生後半年頃までは症状がわかりにくいとされています。脳性麻痺の症状は進行性ではないため、症状がよくなることはあっても悪くなることはありません。運動障害の症状が進行していくようであれば、脳性麻痺ではなくほかの疾患が疑われます。

脳性麻痺の原因は?

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赤ちゃんがまだお母さんのお腹の中にいる出生前から、出生後の生後1カ月頃までの周産期に、何らかの原因で脳が損傷を受けたことによる後遺症が脳性麻痺です。脳性麻痺となる原因は、いまだ完全には解明されていません。脳がダメージを受ける可能性があるリスク因子としては、以下のようなものが挙げられます。しかし必ずしも原因が明らかなものばかりでなく、中には原因不明とされるケースもあります。

■妊娠中の原因(胎生期)

ウイルスやトキソプラズマ(寄生虫)などの感染症、妊娠高血圧症候群、胎盤機能不全、脳形成異常、染色体異常

■出生時の原因(周産期)

新生児仮死、血液型不適合などによる核黄疸、早産による低出生体重児の脳室周囲白質軟化症や頭蓋内出血

■出生後の原因

髄膜炎、脳炎、頭部外傷

低出生体重は脳性麻痺の発症率に大きく影響します。出生時体重が1000g未満では、それ以上と比較して脳性麻痺の頻度は約5.1~8.7倍になるとされています。周産期医療の進歩によって低出生体重児の救命率が上がったことにより、脳性麻痺は増加傾向にあり、特に痙直型の割合が高くなっています。

アテトーゼ型の原因には、血中のビリルビン値が高いことで起こる脳損傷の「核黄疸」や、仮死状態で生まれてくる「周生期仮死」があげられます。これらは例えば「核黄疸」の場合、赤ちゃんの体に特殊な光を当てることで、ビリルビンを排泄させる「光線療法」など、治療技術が向上したことによって一時は減少しました。

ただ現在は、残念ながら増加の傾向がみられるようです。これは出生時の体重が2500g未満の「低出生体重児」の高ビリルビン血症などが増えていることが関係していると考えられています。

脳性麻痺が疑われた場合の検査は?

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脳性麻痺を特定できる検査はありません。臨床症状により脳性麻痺が疑われた場合、脳の障害部位や程度を調べるために、頭部CT検査、頭部MRI検査、超音波撮像などの画像診断が行われます。ほかには必要に応じて、聴力や視力、嚥下機能のチェックなどもおこなわれます。

脳性麻痺はどんな治療をする?

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脳性麻痺の治療は、症状を軽減することが目的となります。例えば障害によってうまく動かせない手足の機能を僅かでも取り戻すことができれば、日常生活で感じる辛さを少しは軽減できると言われています。

残念ながら現在の医療技術では、脳性麻痺を完治させることはできません。ただ日々の生活を少しでも楽に送れるように、治療は脳性麻痺と診断されてすぐなど、できるだけ早く始めることが重要とされています。

脳性麻痺の治療を支えるには多くの専門職がかかわっている

脳性麻痺の治療には、多くの専門職がかかわります。医学的専門職としては、小児科医、理学療法士、作業療法士、言語療法士、リハビリテーション医、整形外科医、眼科医、ソーシャルワーカー、精神科医、心理カウンセラーなどが挙げられます。各部門の専門職が連携し、各個人に合った治療プログラムを組み立てて支援します。

機能訓練をする、脳性麻痺リハビリテーションガイドライン

機能訓練は、「脳性麻痺リハビリテーションガイドライン」に準じて行われます。脳性麻痺の重症度や運動障害の種類によって必要な機能訓練の内容が異なるため、各個人の状態にあった治療プログラムが組まれます。ガイドラインでは、機能訓練などの治療法のほか、合併症の対応や家族支援、成人期の問題、就学や社会参加などについても記載されています。

脳性麻痺のリハビリテーション

体の動かし方などを訓練する、理学療法(PT)

理学療法は体の動かし方や適切な姿勢の保持などを訓練する、最も基本的なリハビリテーションです。脳性麻痺は運動障害が主な症状ですから、理学療法が最も重要といえます。できるだけ早くから開始することが望ましいため、通常脳性麻痺と診断された後はただちに症状に応じた理学療法が開始されます。

脳性麻痺の運動麻痺というものは、動かしにくい、うまく動かせない、動かすのに努力しなければならないといった特徴を持ちます。もともとは筋肉の力が弱いわけではなく、筋肉を動かす機能に障害が生じているためです。動かしたいのに動かせない、または自分の意思に反して動いてしまうのですから、本人が感じるもどかしさやストレスは相当なものです。そうした心理を十分に理解し、無理強いしたり強く指示したりすることのないよう、接し方に配慮する必要があります。

また、拘縮して動かない関節を無理やり動かそうとすると、痛みを伴うことも少なくありません。場合によっては、筋や関節が損傷してしまうこともあります。動かせばよいというわけでは決してないので、家庭でおこなうリハビリは理学療法士に教わった正しい方法でおこなうようにしましょう。

必要に応じ、関節の変形を防ぐ補装具やバランスを補う装具などが必要となることがあります。多くは下肢に装着するもので、短下肢装具といいます。多くのケースでは3歳頃から装着しはじめ、成長に応じて作り直していく必要があります。歩行器、杖、車椅子なども各々の体格や運動障害に応じたものを作る必要があります。

日常動作の訓練をする、作業療法(OT)

理学療法で身につけた筋の動かし方や姿勢の保持などを応用させ、トイレ、食事、お風呂、衣服の着脱などの日常動作の訓練をおこなうのが作業療法です。個々の能力で可能な限り自立した日常生活をおくるためには、作業療法は必須と言えます。

小児の場合は、絵を描いたり積み木を積んだりといった遊びも立派な作業療法です。脳性麻痺の時に限らず、子どもにとって遊びというものは大切な能力を養うためには欠かせないもので、小児期はさまざまなことを遊びを通じて習得していきます。作業療法ではその子の身体状況や年齢などに応じた遊びを行いますが、リハビリテーションをより効果的なものとするためには、何より児自身が楽しんでおこなうことが大切です。

明瞭に話せるようにする、言語聴覚療法(ST)

言葉は大切なコミュニケーションの手段です。しかし脳性麻痺では唇・舌・顎などの動きや呼吸の調節などに支障をきたし、発語に障害のでる構音障害があることがあります。精神遅滞が伴わない脳性麻痺では言葉を理解する能力は正常であるため、周囲とコミュニケーションがうまくとれないことに対してコンプレックスを抱くことも少なくありません。

言語聴覚療法ではできるだけ明瞭に発語できるよう、構音に必要な機能の動きを改善させる訓練が行われます。構音障害がある場合は嚥下障害を伴うことも少なくないため、まずは食べ物の咀嚼や嚥下などの訓練をおこない、口腔周辺器官の動きを改善していきます。

手術が必要となるケース

機能訓練では十分な効果がみられなくなった場合や、股関節の脱臼が懸念されるケース、尖足(ふくらはぎからアキレス腱の筋肉に痙縮や拘縮が生じてつま先立ちとなる)などの変形が強く歩行に支障をきたしているケースなどにおいては、手術によってそれらの症状を軽減できることがあります。

ボツリヌス毒素治療がおこなわれることも

ボツリヌス菌が放出する毒素であるボツリヌス毒素が、痙性麻痺の治療に使用されることもあります。ボツリヌス毒素は神経に作用する毒で筋肉の麻痺をきたす作用があり、その作用を利用したボトックス治療は脳性麻痺による尖足や眼瞼・顔面の痙攣などの治療に使用されます。これらは保険適応となっていますが、近年話題となっているしわ取りなど、美容整形の分野での使用は保険適応外です。

現在世界中で研究中の脳性麻痺治療

脳性麻痺は脳の障害によりきたされるものですが、現在の医療では損傷された脳細胞を修復する手段はありません。しかしそれをいずれに日にか可能にするために、現在も世界中で研究が続けられています。臍帯血(へその緒に流れる血液)に含まれる幹細胞を使用した研究は、既に臨床研究の段階に入っています。またiPS細胞によって、損傷した脳細胞を再生する再生医療の研究も進められています。

赤ちゃんの脳性麻痺

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脳性麻痺は重度のものを除いて乳児期にははっきりとした症状が現れることが少ないため、成長の過程で気づくことが少なくありません。お子さんに脳性麻痺の疑いがあると診断されたときのショックは計り知れず、多くの方がそのつらい胸の内をブログなどに綴っておられます。

赤ちゃんにみられる脳性麻痺の徴候

脳性麻痺の程度が重いほど、より早期に症状が現れます。脳性麻痺に気づくきっかけとして最も多いものは、運動発達の遅れです。首のすわり、お座り、ハイハイ、つかまり立ち、1人立ち、1人歩き、物を手でつかむといった動作は、赤ちゃんの運動発達の大きな指標となります。これらの発達にはある程度の個人差はありますが、大きく遅れる場合には何らかの異常が隠れている可能性があります。

また運動発達の遅れ以外にも、ミルクを飲むのが下手だったり、ピクピクとした異常な動きが認められたり、背を仰け反らせる反り返りが強かったりといった症状がみられることもあります。生後2~3カ月頃になると手を握ったり開いたりするものですが、脳性麻痺では手をかたく握ったままひらかないといった症状がみられることもあります。

成長に伴い運動発達の遅れは顕著となり、運動障害があきらかとなってきます。痙直型や強直型では手足をかたく強張らせたり、突っ張らせたりするようになります。通常は1~3歳頃に突っ張りが強く表れてくる傾向にあるようです。右足と左足をクロスさせたかたちをとることもあります。アテトーゼ型では意志とは無関係な不随意運動がみられ、常に体を動かしていたりねじるような動きをしたりします。失調型では体に力が入りにくく、歩行時のふらつきなどがみられるのが特徴です。

脳性麻痺は脳に障害を受けたことによる後遺症で、体がうまく動かせなくなることを指します。ただそれだけではなく、視力や聴力の障害、てんかん、知的障害、言葉がうまく喋れないなどの障害を伴う場合もあります。そのため脳性麻痺と診断された場合はほかにどのような障害があるのか、詳細な検査が必要となります。

精神遅滞がある場合、早期に気づきやすい異変としてはあやしても笑わない、目が合わないといったことが挙げられますが、乳児期ではそれらにあてはまるからといって必ずしも精神遅滞があるというわけではありません。精神遅滞も軽度のものから重度のものまでさまざまで、軽度であった場合は学童期を迎えるまで気づかれないこともあります。

お子さんが脳性麻痺と診断されたら

脳性麻痺は確かに完治するものではありません。ですが治らないからといって放っておくと、発育が遅れるばかりでなく、将来的な障害を大きくしてしまう可能性が高まります。脳は一部が傷ついても、残っている部分で障害された部分を補おうとする働きをもっています。そのため、残っている部分を正しく発育させることが重要となります。特に子どもは1日1日成長し発達していくものですから、早期からその子の状態に応じた適切な治療を受けることで、体の運動機能をよりよい状態に発育させることができます。

脳性麻痺ではリハビリテーションは最も大切な治療です。運動障害や麻痺の状態によって有効なリハビリ方法は異なりますので、主治医や担当の専門スタッフに教わり、お子さんにより効果的な接し方をしてあげてください。くれぐれも、できないことを叱ったり、強要したりすることのないように注意しましょう。わかってはいても、思うように体を動かすことができないのが脳性麻痺です。動かせずに一番つらい思いをしているのは、ほかの誰でもない本人なのですから、理解のある接し方が求められます。脳性麻痺では身体的なフォローとともに、精神的なケアも重要となります。

脳性麻痺の児に対する教育機関は?

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脳性麻痺の重症度にもよりますが、多くの場合は周囲のフォローが必要となります。できるだけ健常児と同じ道を歩ませたいと望む方も多いですが、障害の程度によってはそれが難しいこともあります。

乳児期は脳性麻痺を取り扱う病院の外来に通院し、理学療法、作業療法、言語療法などのリハビリテーションを行います。幼児期になると、医療機関でのリハビリテーションに加え、各自治体の療育施設にも通所することになります。最近では同時に保育所に通わせて、一般社会との触れ合いを学ばせるケースも増えています。

幼少期は同年代の子ども同士での触れ合いからさまざまなことを学び、成長していくものです。そうして児の成長を促すのは勿論のこと、成人して社会に出た際に周囲とのコミュニケーションでつまずかないようにするためにも、幼少時から積極的に人とかかわる機会を設けたほうがよいとされています。障害をもつ児を通常の保育所に積極的に受け入れる自治体もあれば、なかなか難しい自治体もあります。詳細については医療機関などを通じ、各自治体に問い合わせてください。

学童期では、小学校の特殊学級か養護学校へ入学することになります。いずれの道を選択するかは、お子さんの状態と受け入れ側の条件などをふまえて決めることになるでしょう。それぞれにメリット、デメリットがありますので、お子さんのためにもよく考えて決めてあげてください。

脳性麻痺の予後は?

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脳性麻痺の予後は病型と重症度によって決まります。小児脳性麻痺のほとんどの患児が成人になりますが、四肢麻痺で寝たきりの最重症ケースでは平均寿命が健常人よりもかなり短いとされています。

脳性麻痺の障害は生涯にわたって続きますが、少しでも自立性を高めるためには早期からのリハビリテーションが重要です。多くのケースでは、理学療法(PT)、作業療法(OT)、言語聴覚療法(ST)などのリハビリや、必要に応じて手術やボトックス療法などをおこなうことで、運動障害や構音障害などの症状がかなり改善されるといわれています。

学校は運動障害や知能障害の程度が軽度であれば、普通学級に通うことができます。障害の程度によっては、他者による介助やケアが必要となります。しかし重度の障害を負っている場合であっても、療育によって本人のやる気を引き出し、前向きな姿勢で治療に臨むことで周囲の介護負担が軽減される傾向にあります。

児の将来の可能性を広げるためにも、医療機関や専門機関による支援は必要不可欠です。本人に対するリハビリだけでなく、問題が生じた際の対応や、正しい情報の提供、本人やその介護者へのカウンセリングなど、地域の医療機関や療育機関、リハビリテーション組織や支援団体などの力を借りることが大切です。

脳性麻痺は予防できる?

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脳性麻痺はどんなに気をつけていても防ぐことができない原因で生じることもあり、また原因不明のこともあるため、必ず予防できる予防策というものはありません。しかし生まれてくる子どもが脳性麻痺とならないよう、その確率を少しでも下げる努力をすることはできます。

まずはリスク因子である妊娠高血圧症候群にならないよう、妊娠中の食事は減塩を心掛けるようにしましょう。低出生体重児で生まれると脳性麻痺の頻度が高くなるため、早産のリスク因子を避けることはとても重要になります。妊娠中は感染症予防(特に風疹・麻疹・水痘など胎児への影響が懸念されるものや早産のリスクが高まるもの)に努め、早産や子宮内胎児発育不全を招く喫煙は絶対に避けましょう。母体や胎児の異常を早期に発見するためにも、定期的な妊婦健診を受けることは大前提です。

脳性麻痺は早めのリハビリが肝心

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脳性麻痺を治すことはできませんが、適切な機能訓練によって残された運動機能を大きく発達させることができます。そのためには、できるだけ早期からリハビリテーションを始めることが大切です。かかりつけの医療機関は勿論のこと、地域の支援センターや支援団体のサポートを受け、お子さんの能力を最大限に高める支援をしてあげましょう。