下がり続ける歯茎を再生させる方法
毎日歯を磨いているのに最近歯茎が下がってきて歯が長く見えたり冷たい水を飲んだときチクッと痛むなど、歯茎に関して悩んでいる方増えているようです。歯茎が下がるなんて基本的に加齢が原因ですが、ほかにもさまざまな要因で歯茎下がりを引き起こしてしまうことがあるんです。
今日は歯茎下がりってなんなのか、正しい歯ブラシ選びや歯科医に相談した方がいい症状など気になる歯茎下がりの原因と対策をご紹介します。記事を読んだ後は、きっとあなたも鏡に映る歯茎が気になって丁寧な歯磨きを心がけるようになるかもしれませんよ。
歯茎が下がる原因って何?
歯茎が下がることを「歯肉退縮(しにくたいしゅく)」と言います。歯肉退縮は様々な原因で引き起こされる歯茎の症状で、歯茎が痩せて下がり歯が長く見えるようになったりします。まずは歯茎が下がる原因を見ていきましょう。
間違った歯磨き方法
間違った歯磨きの方法で毎日磨いていることが、歯茎下がりの原因となる可能性があります。
強く磨きすぎると歯に傷がついたり歯茎を傷めてしまいますし、磨き残しは歯石を作り歯茎を押し下げてしまいます。
歯周病は若年層でも意外と多い
歯垢が残っていると酸となり歯を溶かしてしまいますが、歯を支える骨まで溶かしていく病気を歯周病といいます。歯茎が炎症を起こしている状態を歯肉炎と呼び、歯垢が歯石へと変化して歯と歯茎の隙間にこびりついてしまうとブラッシングだけでは取り除くことはできません。歯周病は自覚症状もあまりないため、若年層の時から気をつけねばなりません。もし放置してしまうと最後には歯が抜けることになるかもしれませんよ。
歯並びの悪さは見た目だけじゃない
歯並びの悪さは磨き残しの原因となります。特に子供だと角度のついた歯の隙間を磨くことは難しく、知らぬ間に歯周病から歯茎下がりになってしまう可能性も。乳歯の抜けるタイミングが悪かったり固く歯ごたえのある食事を避けてしまうと、永久歯の生え方に影響を与える場合もあります。
歯ぎしりや爪を噛む癖が歯を動かす!?
歯ぎしりしたり爪を噛む癖なども歯茎下がりに影響します。ほかにも指しゃぶりやほほづえをついたり、片側に偏って噛むなどの癖も歯並びや歯茎に影響して歯茎を下げる原因につながることもあります。歯肉炎もあるとより歯茎を下げてしまうこともありますので、気になる癖があるようであれば治すよう心がけましょう。
前歯の凸凹は磨き残しが多い
顎の骨よりも大きな歯が生えてきたりして、きちんとおさまるスペースに入りきらず角度を変えて生えてしまったために歯並びが悪くなり歯茎が下がってしまうこともあります。歯が重なっていることを叢生(そうせい)といい、歯列矯正を必要とする場合もありますので歯科医に治してもらうと歯茎下がりも防ぐことができるかもしれません。
抜歯をしないで矯正治療すると歯茎が下がる!?
抜歯を勧められたのに断って歯列矯正を行うと、下がっていた歯茎がさらに下がってしまうことがあります。抜歯をおこなうにはそれなりの理由がありますので、その内容をしっかりと話し合ってから歯列矯正を行うようにしましょう。また歯茎が下がっている原因を突き止め、骨の移植や歯肉の移植といった対処をしたのちに歯列矯正を行うことで防ぐことができます。
加齢によるものが最も多い原因
歯茎が下がるもっとも多くを占める原因は加齢。髪や肌と同じように歯茎も加齢によって変化し、歯茎が痩せて下がってしまいます。加齢の上に磨き残しをしてしまうと、若い頃よりも歯周病へ発展してしまうリスクが高まります。
歯茎は10年で2ミリも下がるといわれていますので、日々のブラッシングをおろそかにせず定期的に歯科へ通院するようにしましょう。
歯茎が下がるのを予防する方法は?
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歯茎が下がってしまったら治すことはできないのでしょうか。
実は歯茎は自身の新陳代謝によって日頃の生活習慣でも十分治る可能性があります。気づいたところから治すことは可能ですので、今日から始めてきれいな歯茎を取り戻しましょう。
健康な歯茎でも柔らかい歯ブラシを選ぶ
歯科医が勧める歯ブラシは「柔らか毛先」。歯肉炎や歯茎下がりが気になるなら柔らか毛先で優しく磨くようにしましょう。痛いからと言ってブラッシングをおろそかにしてしまうと、歯石から歯肉退食へと移行してしまう原因となってしまいます。健康な歯茎であっても歯に傷つけるリスクを減らし、歯茎への十分なマッサージ効果を得られる柔らか毛先の歯ブラシをお勧めします。
歯茎を守る歯磨き粉を選ぶ
歯磨き粉の役割は、虫歯の原因菌の塊である歯垢とともに歯の表面についた色素を落とすことにあります。発泡させることで毛の届かない隙間に潜む菌を退治したり、含まれる薬用成分で歯肉炎などの炎症を抑える目的もあります。
他人に勧められたとしても口腔環境は人それぞれですので、必ず自身のお口にあった商品を選ぶようにしましょう。特に長く同じ商品を使い続けている場合は、現在の状況に合わせていろいろ試してみることもお勧めします。
正しいブラッシングから始まる口腔ケア
歯茎にダメージを与えないようにするには正しいブラッシングを学ぶ必要があります。特に優しく一定の圧力で磨くことを念頭に置いて歯ブラシを動かすようにしましょう。歯ブラシに加える力の目安は100gから200g程度と言われていて、毛を指で軽く触り少ししなる程度を目安にしてください。
正しい圧力できれいに磨くと1か月程度で毛先がヘッドよりも開いてきます。数週間、もしくは数か月で開いてくるようなら磨く圧力や毛の固さを変えてみるようにしましょう。
必要な栄養素の摂取が大切
歯茎下がりを起こした歯茎では、歯茎を生成しているコラーゲン繊維が破壊された状態です。破壊された繊維を再生させるには、コラーゲンの合成を促進させる効果のある栄養素としてビタミンCを摂取するとよいといわれています。抗酸化作用も持っているので、歯周病の予防や抜歯、インプラントなど治療後には積極的に摂取することをお勧めします。
歯茎の腫れの原因と対処法
歯磨きを毎日していても、ブラッシングを間違えていたりすると歯茎が腫れてくる場合があります。そんな歯茎の腫れの原因とその対処法を調べてみました。
親知らずによる歯茎下がりは抜歯治療が必要
親知らずとは、一番奥に出てくるべき第3の大臼歯のことです。上下左右で4本生えてくる可能性があり、きれいに生えそろう人もいますが大きさや方向に問題のある人の方が多いようです。
そんな親知らずが生えてくるとき、正常な位置や方向に生えてこないことで歯肉の隙間に汚れが溜まって炎症を起こしてしまう場合があります。数日で治って繰り返すこともありますが、放置してしまうと大きく腫れて細菌感染などを起こしてしまうこともありますので、炎症が良くならないようであれば抜歯やブラッシングも含めて歯科医に相談してみましょう。
誤った歯磨きによる細菌繁殖が怖い
いつも同じ個所の歯茎が腫れるような場合は、歯磨きの方法に問題がある可能性があります。
歯ブラシが合わなかったり正しいブラッシングができていないことで歯垢が残り、細菌に感染してしまうことがあるのです。誤った歯磨きでは磨き残しの確率が上がってしまいます。正しい歯磨きをしていてもこまめにうがいをしたり、腫れてしまったら無理に磨いたりせず安静に冷やして様子を見るようにしましょう。
歯根破折の治療
歯根破折(しこんはせつ)とは、歯の根の部分にひびが入ったり割れてしまっている状態のことを言います。歯並びが悪かったり無理に歯並びを変えたとき、硬いものを噛むのが好きな方などさまざまな原因で歯は割れてしまうことがあります。基本抜歯してしまうようですが、一部の病院では歯の保存のために抜歯せずに治療する医院もあるようです。
様々な歯茎再生治療法
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ご紹介してきたように、歯茎はさまざまな要因で腫れたり傷を負ったりするリスクがあります。次はすでにダメージを受けた歯茎を再生する歯茎再生治療法をご紹介していきます。
下がった歯茎を元に戻す遊離歯肉移植術
下がってしまった歯茎の場所に他の部分の歯茎を移植する方法を遊離歯肉移植術といいます。下がった歯茎は自然に元に戻ることはできません。見た目にも機能的にも回復させる手術として、この方法をとられるのが一般的です。
その処置時間は1時間程度、術後は多少の腫れと痛みがでますが保険診療が適用される場合はひとつ1万円程度で可能です。もし自費診療であれば10万円程度となるようです。
下がった骨を再生させるGTR法
歯茎下がりが重症化すると歯を支える骨が溶けて神経や顎の骨まで影響を及ぼすようなときは、歯周組織再生療法がとられます。GTR法と言って、空洞になってしまった部分の歯肉と歯周組織の間に人工の膜を入れる手術法です。人口膜を入れることで歯肉上皮が過剰に増殖することを抑え、歯の中心部であるセメント質や歯槽骨が再生されます。
ただしGTR法のデメリットとして、挿入した人口膜を術後数週間後に取り除かなければなりません。また健康な状態にまで約1年かかるといわれています。費用はおよそ5万円から10万円ほどかかり、治療効果を得るためには感染を予防するために毎日のケアが重要となります。正しいブラッシングを行い、定期的な通院が必要となります。
骨と歯茎の再生を早めるエムドゲイン法
歯周組織再生療法には骨と歯茎の再生を促すエムドゲイン法がとられることもあります。エムドゲインはスウェーデンで開発された歯周組織再生誘導材料のことで、主成分は子供のころに歯が生えてくるときの重要なたんぱく質のひとつです。そのエムドゲインを破壊された歯根に塗布することで、歯が発生する過程に似た環境を作りより強く歯周組織が再生するのを促してくれます。
費用は5万円から10万円程度で、GTR法のように2度目の手術は必要ありませんし術後休憩したら帰宅も可能です。ただ感染を防ぐための正しいブラッシングをおこなうことは同じく、定期的な通院も必要となります。
溶けた歯根や顎骨は人工骨で骨を再生させる
歯の根元の骨や顎の骨まで浸食してしまっている場合は、人工骨や自家骨の移植が行われます。人工骨はハイドロキシアパタイトを使用してコンクリートのようにしっかりとした土台を支えてくれていましたが、現在の主流はリン酸三カルシウムといって徐々に骨に吸収されていく素材が使用されています。
人工骨は2万円程度と安価で使用することで下がった歯茎が再生されてブラッシングがしやすい環境が整いますので、術後正しいブラッシングをおこなうことができれば歯周病などのリスクを減らすことができます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。下がった歯茎を取り戻す手術は、それぞれ保険適用しないことが多く10万円程度かかるといわれています。一部の医院では保険適用で1万円程度で治療も可能なようですので、必ず歯科医と相談の上治療方針を決めましょう。
でももっともいい方法は歯茎が下がる前に正しいブラッシング法で健康な口腔ケアをおこなうこと。毎日忙しいとは思いますが、しっかりと歯の汚れを落としていつまでも美味しい食事を自身の歯で食べられるようケアしていくように心がけましょう。