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腹膜炎は激しい腹痛がサイン!原因になる9つの病気をチェック

腹膜炎という病気はあまり身近に感じられないかもしれません。しかし、腹膜炎は様々な病気が原因で引き起こされることがあり、身近な例としては胃潰瘍や便秘でも起きることがある症状なのです。この腹膜炎は起きると非常に強い腹痛で耐えられないほどの状態になるといわれています。もし起きたら緊急で手術が必要なことも多いようです。万が一に備えて、腹膜炎になってしまったらどのような治療を受けるのかも知っておきましょう。



腹膜炎ってどんな病気?

腹膜炎という病気をご存知でしょうか。あまり馴染みがない病気の名前かもしれませんが、様々な原因がきっかけとなって発症することがあるので、私たちも決してかからないとは言い切れません。

腹膜炎は、腹腔に細菌が侵入して、腹痛を起こす病気です。そもそも腹膜、腹腔とはどこにあるのか今いちピンとこないですよね?もし腹膜炎となってしまったら、非常に強い腹痛に襲われて痛いだけでなく、その後の治療が遅れると生命にもかかわることがあるため怖い病気の一つといわれています。

腹膜炎にもしなってしまったら、どのような治療を受けるのでしょうか?ここでは腹膜炎について、基礎的な知識から治療法まで幅広くご紹介していきたいと思います。

腹膜炎とは

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腹膜とは

私達のお腹の中にある臓器(胃や十二指腸、大腸などの消化管や、肝臓や膵臓、卵巣や子宮、膀胱など)は、上は横隔膜、背中は背骨、下は骨盤、そして皮膚や皮下組織・筋肉などのお腹の壁(腹壁)に囲まれた空間(腹腔)と、その腹腔の内側にある膜(腹膜)によって守られています。腹膜は、広げると畳一畳分の面積を持つ半透明の膜のことで、腹部の臓器を全部もしくは一部を覆って内臓を保護するだけでなく、腹水やリンパ液などのバランスを保つ役割も担っています。

腹膜の内部は通常、無菌状態で保たれています。ですが、胆のうや大腸などに穴が開いたり、外から細菌が入り込み、腹膜に感染をおこすと腹膜炎が起こることになります。

腹膜炎の原因で一番多いものは細菌感染によるもので、多くは症状が急速に悪化する急性腹膜炎として発症することになります。

腹水とは

腹水は腹腔内にある組織液のことで、臓器と臓器がぶつからないように潤滑剤として通常でも50~100ml程度は存在しているといわれています。ですが、腹膜に炎症が起きた場合には、腹水が過剰に生成されたり、吸収障害を起こしたりするため、腹腔内が腹水で膨張し、消化管が圧迫されて食欲不振や腸閉塞を起こしたり、横隔膜や肺の動きが制限されて呼吸困難感が出現することになります。

腹水は、がんや肝硬変、結核やネフローゼ症状群などの慢性疾患によって生じる場合が多いといわれていますが、急性腹膜炎でも症状が進行すると腹水が貯留することもあります。

肝臓やネフローゼ症状群などによる腹水貯留に対する治療としては、ベッドで安静を保ち、塩分や水分などの食事制限、余分な水分を体外に排出するため利尿剤の投与などを行います。それでも腹水のコントロールが難しい場合には、腹腔内に直接針を刺して腹水を体外に排出する「腹水穿刺」を行うこともあります。

腹膜の炎症

腹膜炎とは、お腹の内臓を覆っている膜である腹膜の炎症です。この腹膜が炎症を起こすと、様々な症状を引き起こすことになります。腹膜炎の原因の多くは、大腸菌などの細菌感染によるものですが、腹膜炎を、そのまま放置すると腹腔内全体に炎症が広がってしまうため、緊急手術が必要になることが一般的です。

腹膜炎の特徴的な症状は、吐き気が嘔吐などを伴う、急性発症する強い腹痛と言われています。初期の腹膜炎の症状としては、炎症を起こした局所だけの痛みや腫れなどが中心ですが、炎症が腹膜全体に広がるにつれて腹部全体が痛み、歩くだけでもお腹に響くようになります。さらに症状が悪化すると、腹部全体が硬く腫れ、血圧低下や頻脈、意識レベル低下などのショック状態に陥ることがあります。

腹膜炎の分類

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急性腹膜炎

急性腹膜炎は、胃・十二指腸潰瘍穿孔、大腸穿孔、虫垂炎、胆石症による胆嚢炎、急性膵炎、骨盤腹膜炎などが原因で、急速に発症した腹膜炎のことで、緊急に治療をしなければ全身性の炎症へと広がり、高熱や敗血症などによりショックを引き起こし、命にかかわる場合もあります。急性腹膜炎は、また、穿孔性腹膜炎・汎発性腹膜炎(せんこうせいふくまくえん・はんぱつせいふくまくえん)とも呼ばれることもあります。

急性腹膜炎の一般的な経過としては、嘔気や嘔吐、突然の激しい腹痛となどが出現します。特に、胃潰瘍や十二指腸などの上腹部で腹膜炎が発症すると、熱い湯をかぶったような突然激しい痛みと冷や汗が出現するといわれています。そして、徐々に腹部全体に痛みが広がり、歩くと痛みが響き歩けなくなる、腹膜が硬くなるなどの腹膜刺激症状とともに、発熱や血圧低下、意識レベルの低下などの全身症状が出現するようなります。

また、女性の骨盤の中(骨盤腔)には、膀胱、子宮、卵管、卵巣、直腸があります。その臓器を守っている腹膜が「骨盤腹膜」です。淋菌やブドウ球菌、結核菌、大腸菌やクラミジアなどにより、骨盤腔内にある臓器に炎症が起こり骨盤腹膜と癒着を起こしたり、臓器に穴が開いてその内容物が骨盤腔に流れ出ることによって、骨盤腹膜炎が起こるとされています。まれに、子宮内避妊器具(IUD)などの避妊具などが原因で、後腹膜に炎症が起こることもあるそうです。女性の方が下腹部の痛みと発熱、血圧低下などの症状を起こした場合には、「骨盤腹膜炎」の可能性があるため、早めの対処が必要です。

急性腹膜の治療は、原則として外科手術が適応になります。手術を行っても、腹膜炎が広範囲に起こった場合には、敗血症や多臓器不全などへと進行する可能性が高いため、必要に応じて血液透析や人工呼吸器を使用する場合もあります。腹膜炎は、命にかかわる病気なんですね。

慢性腹膜炎

慢性腹膜炎を起こす原因の多くは、結核性腹膜炎であると言われています。結核性腹膜炎の主な症状は微熱やだるさ、食欲不振、軽い腹痛、腹部膨満感、腹水貯留などがあり、腹水は結核性腹膜炎にかかった初期から出現する症状の一つと言われています。結核性腹膜炎の治療は、抗結核薬を中心とした内服治療で、多くの場合は予後良好な経過をとる場合が多いようです。気になる慢性腹膜炎に一つに、特発性細菌性腹膜炎(SBP)と呼ばれるものがあるようです。

これは、主に腹水貯留を起こした非代謝性の肝硬変の患者さんに発症する可能性がある腹膜炎で、主にアルコール性肝硬変の患者さんに多い、感染源が不明な腹膜炎のことを指すようです。

特発性細菌性腹膜炎の診断は、採取した腹水を検査する必要になります。ですが、細菌培養の結果が陰性で腹膜炎を起こした細菌が特定できなかったとしても、腹水の中の好中球数が500/mm3以上、あるいは好中球数が250~500/ mm3を認め、発熱や腹痛、腹膜が硬くなるなどの腹膜刺激症状等の所見があれば、特発性細菌性腹膜炎と診断されることもあるようです。

特発性細菌性腹膜炎では、コントロールが難しく、場合によっては命にかかわる場合もあるため、注意が必要です。非代謝期の肝硬変で、腹水コントロールがうまくいかずに、発熱、腹痛、腹部圧痛などの腹膜刺激症状が出現した場合には、自己判断せずに病院に連絡し、診察を受けることが大切です。

腹膜炎の原因となる疾患

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虫垂炎

腹膜炎を起こす代表的な疾患の一つに虫垂炎(盲腸)があるそうです。虫垂とは、右側腹部にある小腸と大腸の境い目近くにある小指ほどの垂れ下がって見える部分を指します。虫垂炎を起こす原因ははっきりしていませんが、虫垂に急性の炎症が起こり、そのまま放置しておくと、炎症によって腹膜と癒着を起こしたり、虫垂が壊死し穴が開いてしまうこともあります。

虫垂が破れ穿孔を起こしてしまうと、大腸の内容物や細菌が腹膜に流れ込み、化膿性腹膜炎を併発することもあります。化膿性腹膜炎を起こしてしまうと、全身状態の管理が難しくなり、命にもかかわることがあるため、できるだけ早く手術を行い、虫垂を含め炎症を起こした組織を切除するとともに、腹腔内の洗浄を行うことが一般的です。

胆嚢炎

急性腹膜炎の原因の一つに、胆石を原因とした胆嚢の炎症ー胆嚢炎があるといわれています。特に急性胆嚢炎は、胆石が移動して胆汁が流れる胆道や胆管を閉塞することが原因で発症するといわれています。

胆嚢炎の主な特徴は、食後に起こる右上腹部や背中の激しい痛みなどがあげられます。また同時に、吐き気や嘔吐、下痢などが起こることもあります。自然に胆石が移動し、胆汁が流れ出すと症状は改善しますが、胆道や胆管に胆石がはまり込んでしまった場合には、胆のうの炎症が悪化し周囲の組織と癒着を起こしたり、胆のう組織が壊死し、穴が開く(穿孔)場合もあります。胆汁が腹腔内に流れこみ腹膜炎を起こしてしまうと、強い痛みや腹膜刺激症状、全身の炎症が起こるため、緊急手術の対象となります。

膵炎

腹膜炎を発症する疾患の一つに急性膵炎があるといわれています。膵炎は、中高年層の男性に多いとされる疾患で、多くは食生活やアルコールなどが原因ですが、胆石が原因で起こることもあります。急性膵炎の症状は、軽い鈍痛から、七転八倒するほどの強い背中の痛みを示す場合があります。嘔気や嘔吐、下痢などを伴い、重症化すると呼吸困難や血圧低下などのショック症状を示すこともあります。

膵炎は、絶食と薬物療法が基本の治療となりますが、膵液が腹腔内に流れ出るとアミラーゼが周囲の組織を溶かしてしまうため緊急手術が必要です。急性膵炎による腹膜炎は、多臓器不全を併発し、死に至ってしまう重症なパターンもあるといわれています。

急性膵炎で手術を行った場合には、炎症部分を切除するとともに、腹腔内の洗浄、膵液や胆汁の流れが確保できているか確認することが大切です。そのため、手術後は集中治療室に入り全身管理が必要になる場合が多いとされています。

膵炎の発症を予防するには、暴飲暴食を避ける、アルコールの多飲をしないなどがあります。ストレスをアルコールで紛らわせたりしないことが大切かもしれませんね。

胃潰瘍

腹膜炎を起こす疾患の一つに胃潰瘍があります。胃潰瘍は、ピロリ菌への感染、ストレス、食事、タバコ、アルコールなど様々な原因によって起こるといわれています。

胃潰瘍は食後に起こる心窩部痛や背中への放散痛、吐き気、胸やけ、腹部の張り感、黒色便などの症状がおこります。しかし、その症状を胃薬などでごまかしたり、治療を自己中断した場合には、さらに胃潰瘍が深くなり、穿孔や腹膜炎を引き起こすことになるようです。

胃潰瘍の初期症状として、食事を食べると出現する心窩部痛(みぞおちの痛み)、背中への放散痛、胸やなどがあります。さらに、潰瘍が悪化して胃に穴が開くと、胃液や食べ物が腹腔内に流れ出て炎症をおこし、更に腹膜全体へ感染が広がってしまう可能性があります。

胃潰瘍が悪化し、画像上などでは胃穿孔が疑われた場合でも、炎症反応が少なく全身状態が安定している場合には、経過観察を行うこともあります。ですが、多くの場合には腹腔鏡下で手術を行い、穴が開いた組織を切除して塞ぐ治療が行われることが一般的です。

十二指腸潰瘍

十二指腸潰瘍も、胃潰瘍と同じように、病状が進行すると十二指腸に穴が空き、腹膜炎を起こすことがあります。

十二指腸潰瘍の原因は、ストレスやピロリ菌感染などが原因で発症することが多いようです。

十二指腸潰瘍の症状としては、夜間や早朝などの空腹時に上腹部から右季肋部の痛みが出現し、食物を食べると痛みが和らぐことが特徴といわれています。ですが、必ずしもはっきりとした痛みが出現するとは限らず、静かに潰瘍部位が深くなり、出血や穿孔を起こして初めて十二指腸であったと気が付くこともあります。

十二指腸に穿孔を起こした場合には、緊急手術を行うことが一般的と言われています。

胃がん

胃がんが進行すると、がん細胞が腹膜に遠隔転移して、癌性腹膜炎を起こすことがあります。癌性腹膜炎は、特に胃がん、卵巣癌で多くみられる症状の一つです。癌性腹膜炎の診断は難しく、開腹手術を行って初めて気づいたり、腸閉塞や腹水がきっかけで見つかることもあります。

治療としては、手術ではなく、胃がんなどの原疾患に対する薬物療法が治療の中心となります。例えば、抗がん剤などの薬を直接腹腔内に投与したり点滴で全身投与を行うことで、腹水が減少したり、腸閉塞などの症状が改善する場合もあります。

がん性腹膜炎が進行すると、多量に腹水が貯留することになります。そのため患者さんの苦痛を軽減するために、利尿薬やオピオイド、ステロイド、腹水穿刺、改良型腹水濾過濃縮再静注法や腹腔―静脈シャントなどの治療を行い、苦痛症状を緩和して患者さんの生活の質を維持することになります。

大腸憩室炎

腹膜炎をおこす原因の一つに、大腸憩室炎があげられます。大腸憩室炎とは、大腸粘膜の一部が外側にぼこっと小さな出窓のように張り出した状態のことです。主にS状結腸にできることが多く、そこに便などがはまり込み炎症を起こすことが原因で起こるといわれています。大腸の中には大腸菌をはじめとする多くの細菌が繁殖しているため、一度腹膜炎を起こすと治りにくく全身の炎症に移行しやすい傾向があるようです。

大腸憩室ができる原因の一つに、便秘や排ガスなどで腸内の圧が上昇し、たまたま薄くなった腸壁が圧力に負けて外側にボコッと小部屋を作るためと考えられているそうです。そのため、できるだけストレスをためない、植物繊維の多い食生活を心掛けるなどとともに、便秘や下痢をしないように排便コントロールを行うことも大切と言われています。

婦人科系の病気

卵巣嚢腫や卵巣腫瘍、カンジタ膣炎などが原因で、腹膜炎が起こることもあります。女性の方で、婦人科の検査を受けた後から腹痛がある、下腹部の痛みや不正出血、帯下の増加などがある場合には、腹膜炎の可能性もあるため注意が必要です。

透析

腹膜炎を起こすリスクの一つとして、腹膜透析があるといわれています。原因としては、出口部からの感染、カテーテルの破損や接続不良や外れ、透析液交換時の不適切な手技などによって、腹膜に細菌が入り込み腹膜炎を起こすといわれています。

腹膜炎の可能性を示す症状としては、お腹から出る排液に濁りがある、発熱や腹痛、悪心や吐き気、下痢などがあるといわれています。

一度腹膜炎を起こしてしまうと、腹膜がダメージを受け癒着などを起こすため、腹膜透析療法が継続で着なくなる場合もあるため、日ごろからの清潔操作の徹底が大切になります。

腹膜炎の症状

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腹痛

腹膜炎になると、限局した腹部の圧痛などを感じることが多いようです。炎症範囲が広がるに従って、痛みの程度や範囲も広がり、放散痛なども出現することもあります。そのため、急性腹膜炎の症状が悪化している時には、腹部全体の痛みを訴える患者さんも多いようです。

婦人科系疾患などの場合には、特に「骨盤腹膜炎」と呼ばれることもあり、下腹部の持続した痛みを訴えることが多いため、診断の一助になるようです。

吐き気

急性腹膜炎では、腹膜刺激症状として、初期には腹部不快感や、しゃくり、吐き気などの不快な症状tが出現してくる場合があります。

嘔吐

初期症状では、吐き気とともに嘔吐を起こすこともあります。また、病気が進行している場合には、嘔吐によって脱水を起こしたり、ショック状態に陥ることもあるので注意が必要です。

発熱

急性腹膜炎の症状が、局所反応から、血液などに細菌が入り込み炎症が全身性に広がるに従って、悪寒を伴う38度以上の発熱が起こることがあります。

頻脈

腹膜炎になると、頻脈の症状が現れることもあるようです。頻脈は脈拍が早くなった状態です。症状として、息切れをしたり、ドキドキしたりすることがあるといわれています。血圧低下などのショック症状を起こすこともあるようです。

腹膜炎の検査、診断

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血液検査

腹膜炎では、炎症が起こると増加する白血球数の増加と、CRPと呼ばれる数値の増加が一般的に認められます。そのため、腹膜炎が疑われた場合には、採血を行って、血液検査で炎症があるかどうかを確認することが一般的です。

X線検査

X線検査はいわゆるレントゲン検査のことで、患者さんにとってもそれほど苦痛を伴わずに行える検査です。特に胃・十二指腸潰瘍による穿孔時に出現するフリーエアーと呼ばれる横隔膜の下にたまる空気遊離像は腹膜炎の診断の決め手の一つになるようです。

CT検査

CT検査(CTスキャン)は、体の断面図を撮影することができる検査方法です。X線を照射する円形の筒の中に体を通して撮影をしていきます。無痛ですが、放射線の被曝が多少あることがデメリットとなります。似たような症状を起こすことがある、急性胆嚢炎、急性膵炎などの原因になる疾患の区別にも腹部CTが有用とされています。

超音波検査

超音波検査は腹部エコー検査のことで、超音波が出るプローベと呼ばれる器具を腹部に当てることによって腹部の状態を把握する苦痛が少ない検査です。そのため、診察室ですぐに医師が行うことができるスクリーニング検査でもあり、腹部エコー検査で異常がある場合にはさらに詳しい検査を追加することになります。

腹膜炎の治療

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手術

腹膜炎は、その原因を突き止め、できるだけ早期に手術をすることが基本の治療と言われています。

例えば、胃、十二指腸潰瘍穿孔が原因である場合には、状態が安定し上腹部の手術歴がない場合であれば、腹腔鏡でその原因の部位を観察し切除したのち、腹腔内の洗浄を行うことで対処が可能なこともあります。その場合には、患者さんの術後回復がより早期に対処できることになります。

急性胆嚢炎の場合にも、腹腔鏡での手術が可能な場合も多いようですが、腹膜炎などの状況によっては開腹手術になる場合もあります。急性膵炎は、一般的に安静と点滴による治療が第一選択ですが、重症膵炎の場合には開腹手術の対象になることもあります。

小腸や大腸が原因の急性腹膜炎の場合には、開腹手術での対処が多いようです。それは、大腸や小腸に穴が開き内容物が腹腔内に流れ出た場合には、大腸菌などを代表とした細菌性腹膜炎をおこすことによってショック状態となり、命にかかわる場合もあるためと言われています。そのため、穿孔を起こした腸の部分切除を行い、十分な腸内洗浄を行うことになります。また、大腸がんなどが原因で穿孔を起こした場合には、人工肛門を造設して腹膜炎に対する緊急処置は終了し、その後原因疾患に対する治療を行うことになるようです。

婦人科系疾患による腹膜炎の治療も、良性疾患であれば、その臓器の切除と腹腔内洗浄で対処することになりますが、悪性腫瘍の場合には、急性腹膜炎に対する最低限の処置を行って、その後に原因疾患の治療を行うことになるようです。

腹部洗浄

腹膜炎により腹腔鏡手術や開腹手術を行い、原因の臓器の切除と吻合を行っただけでは、腹膜炎を起こした原因を取り除いたことにはならないようです。穴が開いた消化管や臓器から流れ出た内部物によって汚染された腹腔内を、滅菌された大量の生理食塩水で十分に洗浄することが大切になります。また、手術後の腹腔内に、余分な組織液などが溜まらないように、組織液が溜まりやすい場所にドレーンを挿入し、体の外に出す処置も同時に行われることが一般的です。

抗生剤の投与

採血による炎症反応の上昇や部位がはっきりした腹痛などはあるけれど、画像上にははっきりとした消化管や胆嚢、卵巣などによる穿孔像がない場合には、安静と抗生物質による投与などで保存的に治療して経過を見る場合もあります。

酸素吸入

腹膜炎になると、高熱が出る、血圧が下がる、呼吸が早くなるなどの症状が出現することがあります。そのため、十分な酸素が組織に行き届かなくなるため、酸素不足の状態になることが多く低酸素状態になりがちです。そのため、酸素吸入を行って、体に十分な酸素を送ることで組織の安静を保ちます。

消化器穿孔治療

腹膜炎の原因の多くは、消化器の穿孔ーつまり胃や十二指腸、大腸など何らかの原因で穴が開き、腹腔内に消化管や食べ物などが流れ込んだことによって、細菌感染がおこったため起こることが多いとされています。そのため、まずは、消化器穿孔を発見し、その穴を塞ぐ手術が行われます。

胃潰瘍や十二指腸穿孔の場合には、穴が開い部分を含めた組織を切除して、炎症がない組織同士をつないで穴を塞ぎ、腹腔内を生理食塩水で洗浄します。大腸穿孔の場合には、穿孔の原因(がん、憩室、外傷など)の原因を見極め、穿孔した部分を含め腸切除を行うことが一般的です。しかし、原因によっては、すぐに切除した腸と腸をつなぐを行うことが今後の治療に差し支える場合もあいります。その場合には、腹腔内を十分に洗浄した後に、吻合術腸瘻(ちょうろう)や人工肛門などの処置を行う場合もあります。

また、胆石などにより急性胆嚢炎により、胆嚢が壊死し、腹腔内に胆嚢内容物が排出されることもあります。その場合には、ショック症状を起こすことが多く、緊急手術で胆嚢摘出し、腹腔内を十分に洗浄する必要があるといわれています。

腹膜炎の入院について

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入院期間

入院期間については症状の進行具合や、原因などによって差があるため一概にはいえませんが、最低でも1週間から最大では1ヶ月以上にわたることもあると言われています。原疾患の治療が長期化する場合にはより長い期間の入院になるかもしれません。

安静にする

腹膜炎をおこし、炎症が強い場合には、炎症をさらに悪化させないために安静が必要になります。そのため必要に応じて点滴を行うとともに、腹膜炎の原因菌を抑えるために抗生物質などの点滴も数日間行うことが一般的です。そして、採血などのデータを把握しながら食事や安静度をアップしていくことになります。

急性腹膜炎で手術をした場合では、できるだけ早期に栄養を開始するとともに、早期離床が大切と言われています。体力を回復させることが、傷の治りを早めるともいわれています。ですが、腹膜炎の手術を行っても腹腔内に残っていた細菌が増えて創部に痛みや発赤、排膿がみられる場合があります。洗浄などの処置で改善することもありますが、場合によっては再手術を行うことも必要になります。手術後は、体力をつけることも創部の治癒には必要ですが、無理をせず疲れをためないことも大切です。

食事

腹膜炎を起こした後は、術後も消化の働きが落ちていることが多いので、絶食となって、基本全く食べられないことが数日間続くといわれています。回復の兆しがみられ、絶食が終わって症状が改善されれば、消化の良い食事を食べられるようになってきます。

栄養管理

急性腹膜炎で手術などを行った後、以前は絶食が一般的と言われていました。そのため高カロリー輸液などの点滴を行って、栄養補給としていました。

ですが、現在はできるだけ早く経口または経管による栄養補給を行うことが大切であるという流れに変わっています。創部の状態を確認しながら、できるだけ早く経口または経管栄養を開始し、高たんぱく・高脂肪・高エネルギーの栄養を摂取することで、低栄養による筋肉量の低下を防ぐとともに、創部の縫合不全を防ぐことができ、結果として患者さんの離床が早まることが証明されているそうです。

また、経口摂取が可能となった場合にも、エネルギー価の高い食品や、微量元素、ビタミンを意識し摂取することが大切で、場合によっては栄養補助食品なども考慮することも良いといわれています。詳しくは、主治医や管理栄養士さんなどに相談すると良いと思います。

まとめ

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腹膜炎は急性の場合、予後が特に悪いといわれていて、ほとんどの場合で緊急的な手術が必要となるといわれています。もし、自覚症状があれば、一刻も早く病院で治療を受けることが大切になります。

腹膜炎を防ぐには、細菌感染を起こさせないことが大切です。腹膜炎は他の臓器に何かしらの

疾患があって、そこから広がって感染を起こす場合が多いので、原疾患の治療をきちんと行っ

て悪化させないことが重要といえるでしょう。