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ノルアドレナリンの作用は意欲と集中力を高めること!血圧を上昇させたり、脳を覚醒させる効果について

「アドレナリン」はなんとなく聞いたことがあっても、「ノルアドレナリン」て何?という方は多いかもしれません。ノルアドレナリンは、意欲ややる気、集中力を高める人間の生きる活力の源泉ともいわれる物質なのです。しかし、いいことだけではありません。副作用のことなど、詳しくご説明していきます。



ノルアドレナリンの作用とは?

ノルアドレナリンとアドレナリンというものがあるのですが、どちらも交感神経を活性化するホルモンです。交感神経と言われる自律神経のひとつを活性化させて、臓器の働きをよくしたり、弱めたりすることができます。こちらではそのノルアドレナリンの作用を詳しく紹介していきます

ノルアドレナリンとは?

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ノルアドレナリンってなに?

ノルアドレナリンとは、脳内物質のひとつです。「神経伝達物質」とも呼ばれ、脳から身体への指令を伝えるための分子言語のことを言います。簡単に言うと、「脳と体のメッセンジャー」のような役割と言えるでしょう。脳内物質は、大きく4つに分けることができます。

1. 攻撃ホルモンと言われ交感神経を高めるはたらきの強いアドレナリンと怒りのホルモンと言われストレス下や集中力の高いときに分泌されるノルアドレナリン

2. やる気成分とも言われ、やる気や興奮を引き起こす甲状腺刺激ホルモン(TRH)

3. モルヒネに類似した鎮痛作用をもつエンケファリンとランナーズハイなどの快感に作用するβエンドルフィン

4. 男性らしさ、女性らしさを引き立たせ、性的な興奮を引き起こす性腺刺激ホルモンノルアドレナリンは、1番目の「ストレス下や集中力の高いときに分泌される脳内物質」です。それはどういうことなのか、じっくり見ていきましょう。

ノルアドレナリンは何に使われる?

ノルアドレナリンのはたらきは、交感神経を刺激することが主に挙げられます。交感神経を刺激することで覚醒状態の維持や血圧の上昇、瞳孔の拡大、気管支の拡張など一般的に交感神経優位なときに起こるとされる状態になります。このはたらきを利用して血圧が低下した場合にはドーパミンの次に選択される薬となっていることや、早漏の治療にも使われているようです。

医療でいうと、日本で使用されている多くの抗うつ剤は、ノルアドレナリンに作用します。例えば、「三環系抗うつ薬」と呼ばれる抗うつ剤はセロトニンとノルアドレナリンという2つの物質の「再取り込みを阻害する」と言われています。どういうことか、詳しく説明しましょう。

「セロトニン」は気持ちの安定に影響する物質、「ノルアドレナリン」は意欲ややる気に影響する物質です。1度分泌された神経伝達物質は、役割を果たすことにより通常は回収されてしまいます。この「回収」のことを、医学的には「再取り込み」と言います。

この「再取り込み」を阻害することにより、分泌されたセロトニンやノルアドレナリンはそのまま回収されずに残り、効果を発揮し続けます。その効果を期待され、うつの治療に使用されていたそうです。

直接的にルアドレナリンを薬で取り込むのとは違いますが、ノルアドレナリンの効果を利用した治療であるとも言えるでしょう。

ノルアドレナリンが不足するとどうなる?

ノルアドレナリンのはたらきについて先に述べましたが、不足するとその反対のことが起こります。注意力の低下や学習能力の低下が起こり、これらの低下によって無力感を感じることで無気力になったりひどい場合には無関心の状態になってしまうようです。無関心の状態がさらに続くと抑うつ状態になるとされています。

この状態が続くことにより、ストレスに対し極端に弱くなったり、喜怒哀楽の感情の中でも特に「怒」や「哀」といった負の感情が特に強く働くようになってしまいます。

ノルアドレナリン増えすぎるとどうなる?

もともと、分泌されることにより意欲や集中力、やる気を高める作用をもっている物質です。

しかし、過剰になることによりその攻撃性の面が強く出てしまうとされています。イライラしやすくなったり、少しのことですぐに腹を立てて怒鳴るなどの症状が出るようです。過度に分泌が続くことで疲弊し、逆に分泌が少なくなってしまうと不足状態の症状が出るとされています。

また、ノルアドレナリンは血圧や血糖をあげる作用があるため、過剰状態が続いてしまうと高血圧や糖尿病の要因になる可能性があります。

ノルアドレナリンの作用は?

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脳を覚醒させる

強い覚醒力で、人間の意識を維持する役割を持っています。ノルアドレナリンの覚醒力は人間の生命の源泉ともいわれることもあるほどです。覚醒作用により、集中力が高まったり物事への意欲が沸いたりします。

集中力を上げる

ノルアドレナリンは、注意力や集中力を高める作用を持っています。それにより作業効率や判断力、長期記憶や学習能力を高めるともいわれています。

この、集中力が上がる作用については、次でお話しするストレスへの対応も少し影響します。

ストレスに対応する

人間がストレスを受けたときに放出される物質がノルアドレナリンです。そのため、「怒りのホルモン」と称されることもあるほどです。生活で特に、ストレス状態を引き起こしやすい仕事や人間関係といった場面のなかでノルアドレナリンが適度に分泌されることにより、適度な緊張感を与えてくれたり意欲や集中力を高めることによりストレスを回避するような働きをします。

また、温度や湿度、騒音など物理的な不快感からのストレスにも反応し、避けるような行動をとるように促してくれます。

ストレスに順応させる

ストレスを回避するだけではなく、ストレス要因を学習し、順応させる働きも持っています。

例えば、勤めることになった会社に初めて出社するときなど、ノルアドレナリンが多量に分泌され高い緊張状態となります。しかし繰り返し通ううちに次第にその場に慣れ、緊張は薄れていきます。これは、最初に感じたストレスに順応しているからです。

ノルアドレナリンとアドレナリンの違いは?

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心拍数に対する作用

アドレナリンは、上述のように交感神経のはたらきを高めます。これによって交感神経優位の状態である心拍数の上昇や血圧の上昇、気管支の拡張、瞳孔の拡大、血糖値の上昇など身体の興奮の状態が起こります。

ノルアドレナリンも交感神経を刺激し身体を興奮状態にすることは同様ですが、心臓への影響はないとされています。つまり、血管の収縮によって血圧の上昇は起こりますが、心拍数の上昇には関与しないということです。この点が心拍数への作用の違いとされています。

血圧に対する作用

アドレナリンは心臓を興奮させ、心臓の収縮を強めることにより、血圧を上げます。ノルアドレナリンは、血管を収縮させることにより血圧を上げる働きをします。

ノルアドレナリンは闘争か逃走のホルモンという表現がよく用いられ、危険に遭遇したときに戦うのか逃げるのかといった状態になることで分泌が飛躍的に増えます。プレッシャーのかかる緊張状態でストレスがかかると分泌が増えるということです。

副作用

副作用について、アドレナリンとノルアドレナリンの違いを見てみましょう。

■アドレナリンが分泌されることで起きる副作用

・循環器系への影響

アドレナリンのはたらきによって交感神経が刺激されることは理解してもらえているかと思いますが、過剰になった場合の副作用として動悸や高血圧、末梢の血流不全が起こります。ノルアドレナリンと違ってアドレナリンは心臓へも作用するために動悸を感じたり、血圧の高い状副作用について、アドレナリンとノルアドレナリンの違いを見てみましょう。

■アドレナリンが分泌されることで起きる副作用

・循環器系への影響

アドレナリンのはたらきによって交感神経が刺激されることは理解してもらえているかと思いますが、過剰になった場合の副作用として動悸や高血圧、末梢の血流不全が起こります。ノルアドレナリンと違ってアドレナリンは心臓へも作用するために動悸を感じたり、血圧の高い状

受容体

私たちの体には「受容体」といって、外界や体内からの何らかの刺激を受け取り、それを情報として利用できるように変換、伝達する構造の細胞が存在します。例えば、花粉が鼻に入ってきたときに、身体は花粉という体に合わない物質を排出しようと鼻水や涙を流しますね。このような反応は、受容体が起こさせているのです。このときの受容体の名前はヒスタミン受容体というものです。

ヒスタミンのように、アドレナリンとノルアドレナリンに対して反応する受容体が存在します。「アドレナリン受容体」と呼ばれ、さらにα受容体・β受容体に分類されます。

アドレナリンとノルアドレナリンの違いは、このα受容体・β受容体という2つの受容体に対し、それぞれへの反応の強さに違いがあります。

■アドレナリンの場合

アドレナリンはα受容体とβ受容体の両方に親和性を持っています。アドレナリンがα受容体に作用すると、交感神経優位の状態でみられる中でも血管の収縮や瞳孔の拡大、消化管活動の抑制が主に起こるとされています。血管収縮という点では、アナフィラキシーショックの治療に用いることで血圧の低下などを抑えて致命的な状態になることを避けることができるようです。

β受容体に作用すると血管の拡張や心筋の興奮による心拍数の増加がみられるとされています。

■ノルアドレナリンの場合

ノルアドレナリンはα受容体への親和性に対してβ受容体への親和性が弱いとされています。つまり、血管の収縮により血圧の上昇は起こりますが、心拍数が増えることに対しては関与が少ないということです。先に述べた違いは、この受容体への親和性の違いによるものだったということですね。

その他の神経交換物質との違いは?

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ドーパミンとの違い

ドーパミンとノルアドレナリンは、それぞれ快楽や興奮、不安や怒りなどに作用する神経伝達物質であるということは同じです。ドーパミンもノルアドレナリンも同じカテコールアミンという仲間に属します。

しかしドーパミンは、ノルアドレナリンと同じ神経伝達物質であると同時にノルアドレナリンの材料でもあります。ドーパミンに酵素がはたらくことでノルアドレナリンになるということです。

このドーパミンのはたらき場所は脳に限られ、認知機能に主に関与するとされています。ドーパミンが不足するとパーキンソン病になるということはよく知られていますね。ドーパミンは快楽を感じさせる物質でもあり、麻薬などではこのドーパミンを増やす効果があるとされています。

アセチルコリンとの違い

アセチルコリンはノルアドレナリンと同様に化学伝達物質のひとつです。しかし、ノルアドレナリンは交感神経の神経伝達物質であるのに対し、アセチルコリンは副交感神経の神経伝達物質という大きな違いがあります。

アセチルコリンの主な作用は血管の拡張や心拍数の低下などです。

セロトニンとの違い

セロトニンというと、うつとの関連をイメージする人が多いと思います。それだけうつとの関連が認知されているセロトニンは、ノルアドレナリンやドーパミンのはたらきを抑える役割を担っていますが、これが不足することでやる気の低下やイライラ、不眠やうつ状態になっていくとされています。

セロトニンがしっかり分泌されていることによって精神の安定がもたらされるということですね。セロトニンはアミノ酸の一種であるトリプトファンから作られるので、たんぱく質を多く含む食品を積極的に摂ることでセロトニンの分泌を促すことができるようです。

セロトニンはドーパミンやノルアドレナリンとともに三大神経伝達物質と呼ばれており、そのおよそ90%は腸に、そして8%が血液に、残りの2%ほどが脳に存在し神経伝達物質として作用しているとされています。

まとめ

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ノルアドレナリンの作用は、主に意欲や活力、集中力を高めるなど、人間が活動していくうえでとても大切なものです。また、ストレスからの回避やストレス環境への順応もノルアドレナリンが影響していることがわかりました。集中力が高まるのは、ストレス回避のための結果であったというメカニズムを知ると少し意外ではありませんでしたか?

そして、長期間ストレス状態にあることで負の感情を増幅してしまう恐ろしい作用があることもノルアドレナリンの大きな特徴です。

上述したように、長期間にわたるストレスはノルアドレナリンの分泌過多によって疲弊することで逆にノルアドレナリンの量を減少させます。これによってノルアドレナリンの不足の症状が出るようになってしまうのです。

ストレスを長期間にわたり、感じるような環境にあるときは不必要なストレスまで感じてしまっている可能性もあるということです。一人で抱え込まず、医師に相談してみましょう。