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染色体検査の種類や対象となる人は?検査の方法や費用について!

「染色体検査」って聞いたことがありますか?特に妊娠中に耳にする言葉ですが、詳細を把握している人は少ないのではないでしょうか?染色体検査を行う理由はさまざまです。医師から染色体検査を勧められても慌てることがないように、内容をしっかりと理解しておきましょう!



染色体検査について

染色体検査とは、染色体に異常がないかを調べる検査です。染色体に異常があることを「染色体異常」と言います。染色体は人間にとって設計図としての重要な役割をはたしており、異常があると遺伝情報に変化が生じてしまいます。

お腹の中の赤ちゃんの病気などを出生前に知るために染色体検査が行われることは広く知られていますが、それ以外でも検査を受ける人がいます。染色体検査の目的は主に3つ、「先天異常および生殖障害に関する染色体検査」「出生前診断に関する染色体検査」「悪性腫瘍に関する染色体検査」です。検査の内容や費用、検査でわかることなどを見ていきましょう。

染色体とは何か

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遺伝情報が含まれているもの

人間の体は小さな細胞の集合体です。それぞれの細胞の中には両親から受け継いだ「染色体」があり、その染色体には遺伝情報が含まれています。精子と卵子が受精すると妊娠が成立し、胎児は染色体を母・父それぞれから23本ずつ受け継ぎます。46本の染色体は2本1組に分かれ、そのうちの1組が赤ちゃんの性別を決定する「性染色体」です。

性染色体が「X染色体2本」から成ると女、「X染色体とY染色体1本ずつ」から成ると男となります。性染色体以外の染色体は、「常染色体」と呼ばれます。

染色体検査の対象と費用について

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GID性同一性障害

GID性同一性障害とは、生物学的性別と自己で認識する性とが一致せずに継続的に違和感を持っている疾患です。言い換えると、心の性別と解剖学的性別が一致しない状態です。性同一性障害を持つ人は、外見と戸籍上の性別が心で認識する性別と異なります。また、男として生まれたのにも関わらず、女として育てられたようなケースも同障害となります。

性同一性障害と診断される基準は、「性染色体に異常がないこと」です。性染色体に異常がある場合には半陰陽(インターセクシャル)と診断され、性同一性障害とは区別されます。性同一性障害かインターセクシャルのどちらかを判断するため、または性同一性障害のその他の疾患等の有無を見極めるために、染色体検査が行われます。

ターナー症候群

ターナー症候群とは染色体異常のひとつです。正常な女性の性染色体がXX(X染色体が2本)であるのに対し、X染色体が1本しかないことによって発生する一連の症候群です。ターナー症候群を持つ胎児は2000~3000人にひとりの割合で、98%は自然流産となります。

ターナー症候群が疑われるのは主に成長障害のある女性で、手足にリンパ浮腫のある新生女児、低身長で16歳になっても初潮を迎えない女児、同じく低身長で12歳になっても乳房の発達が始まらない女児などです。また、稀に不妊症の検査によってターナー症候群が発見されることもあります。

不妊症・不育症

妊娠を望むのに一定期間妊娠しない不妊症の場合にも染色体検査を行うことがあります。これは、無精子症や高度乏精子症、無月経など不妊の原因となり得る症状に染色体異常が認められるからです。

また、流産をしたあとに、医師から夫婦で染色体検査を受けるようにすすめられることがあります。これは、妊娠しても胎児がお腹の中で育たずに流産してしまう不育症かどうかを調べるためです。染色体異常が発生すると発育が止まり、その異常の内容によっては流産につながるため、流産の原因が母または父の染色体異常によるものかどうかを調べます。

各費用についての比較

上述した染色体検査の対象となる障害や疾患の場合の検査費用を調べました。病院により費用には差がありますので、事前に問い合わせましょう。また、子供医療費助成制度の対象となる年齢で検査を受ける場合には、自治体によって負担額が大きく異なります。

・性同一性障害:健康保険適用で自己負担10,000円前後(3割負担)

・ターナー症候群:健康保険適用で自己負担7,000~8,000円(3割負担)

・不妊症、不育症:自己負担44,000~60,000円(夫婦)、25,000~30,000円(ひとり)

胎児の染色体検査方法と費用について

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新型出生前診断(NIPT)

ここからは、胎児の染色体を調べる検査について見ていきましょう。新型出生前診断とは、母体の血液を遺伝子分解することで胎児の染色体や遺伝子を調べる検査です。日本では2013年に許可された新しい検査ですが、従来のさまざまな検査に比べて安全性が高いと言われています。

新型出生前診断は、妊婦なら誰でも受けられるわけではありません。日本産科婦人科学会の指針により、出産予定日に35歳以上となるの人(凍結胚移植の場合には採卵時の年齢が34歳2ヶ月以上)、21トリソミー(ダウン症候群)、18トリソミー、13トリソミーのいずれかを妊娠・出産したことがある人、担当医師が検査をすすめた人が該当となります。

羊水検査

羊水検査とは、母体の腹部に細い針を刺して羊水を採取し、羊水中に含まれる胎児の細胞を用いて胎児の染色体を調べる検査で、妊娠15週ごろから検査可能です。染色体の数の変化や構造の変化などは正確に分析できますが、微細な変化、モザイク、その他の病気などにおいては診断できず確定診断がされにくいと言われています。

リスクを心配する声も多くありますが、羊水を採取する前に超音波検査により胎盤の位置や羊水量のほか、胎児の位置や姿勢などを確認し、羊水穿刺中も超音波で穿刺針の先端の位置が羊水中にあるかどうかを確認します。そして羊水穿刺後にも超音波検査を実施して、胎児の状態に異常がないことを確認します。検査の後に流産する可能性は、約0.3%と言われています。新型出生前診断やクアトロテストを行って陽性が出た場合の確定診断として、羊水検査が行われることもあります。

クアトロテスト(母体血清マーカー検査)

母体血清マーカー検査とも呼ばれるクアトロテストは、妊婦から採血した血液中の4つの成分を測定し、胎児がダウン症候群、18トリソミー、開放性神経管奇形である確率を算出するスクリーニング検査です。推奨される検査の時期は妊娠15~17週です。

妊婦から採取した血液から、妊娠中に胎盤でつくられるAFP、hCG、uE3、Inhibin Aの4つの成分を測定することで検査されます。これらの成分の値は妊娠期間が進むにつれて増減しますが、それだけでなく胎児がダウン症候群などの疾患であることによっても増減します。

エコー検査

出生前診断として行われるエコー検査は、「胎児超音波スクリーニング」と呼ばれます。超音波診断装置(エコー)を使用して胎児の発育を見たり、胎児の形態的な異常、胎盤・へその緒の異常がないか調べることにより、出生前と出生後の管理・治療を適切に行うことを目的にしています。

妊娠初期に「マーカー」と呼ばれるサインをいくつかチェックして、胎児が染色体異常や心奇形などのリスクが高くないかどうかみる「初期胎児ドック」は胎児超音波スクリーニングに特殊な血液検査を加えた検査です。初期胎児ドックは妊娠12~13週、胎児超音波スクリーニング(中期)は妊娠25週前後が理想とされています。

絨毛検査

絨毛検査とは、胎児の細胞を培養して染色体の数や構造を調べ、染色体に異常が無いかを調べる検査です。繊毛を採取する方法は2種類で、超音波検査により胎盤の位置を確認しながら子宮頸部にカテーテルを挿入するか、妊婦の腹壁に針を挿入して採取します。繊毛検査を受ける時期は、妊娠10~12週が良いとされています。

絨毛検査を行うと、染色体の数的異常などがあるかどうかがを調べることができます。検査を行ってから結果を受け取るまでには2週間前後かかります。

各費用についての比較

では、出生前診断の費用をまとめてチェックしましょう。出生前診断は健康保険の適用外です。高額な検査費用は全額自己負担となりますので、家族とよく話し合って決めましょう。また、病院によっても料金が大きく異なることがあります。

・新型出生前診断(NIPT):200,000円前後

・羊水検査:120,000~150,000円(新型出生前診断やクアトロテストの検査結果の確定診断のために行われる羊水検査は、無料や割引等の病院もあります。)

・クアトロテスト(母体血清マーカー検査):10,000~30,000円

・エコー検査(胎児超音波スクリーニング):40,000~50,000円

・絨毛検査:100,000~200,000円

新型出生前診断(NIPT)について

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検査・結果時期

ここからは、新型出生前診断の詳細を見ていきましょう。時期は10~18週頃、検査の結果は約2週間後にはわかります。安全性が高く注目される新型出生前診断ですが、検査を行う病院として認定された施設は多くはなく、2015年の情報で全国50施設ほどです。以下は検査を行う病院として認定される条件です。

日本産婦人科学会の指針により「遺伝に関する専門外来を設置し、出生前診断の十分な知識や豊富な診療経験を有する産婦人科医師、小児科医師が常時勤務しており、検査を希望する妊婦に対する検査施行前と検査施行後に遺伝カウンセリングを、十分な時間をとって行う体制が整えられている施設」のみが認定されています。

胎児の染色体異常がわかる

新型出生前診断で判明することは、胎児に特定の染色体異常がないかどうかです。特定の染色体異常とは21トリソミー(ダウン症候群)、18トリソミー、13トリソミーの3種で、母体血中の胎児由来遺伝子のうち13番、18番、21番染色体の濃度を分析することによってわかります。

例えば、妊婦血液中の21番染色体断片量(濃度)が平均より多ければ21トリソミー陽性と判定され、胎児はダウン症の可能性が高いとされます。検査の結果が陽性だった場合には、確定診断として羊水検査をすすめられることもあります。

新生児のダウン症の特徴

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筋緊張低下(低緊張)

出生後にダウン症であることが判明する場合もあります。新生児のダウン症の特徴を見てみましょう。新生児ダウン症の特徴である筋緊張低下(低緊張)とは、簡単に言うと「関節が柔らかく、抱っこしたときにぐにゃぐにゃな感じ」です。一般人にはなかなか判断できませんが、産婦人科医や助産婦ならわかるようです。

一般的に新生児は柔らかいものですが、筋緊張低下の場合の柔らかさは異なります。以下の判断方法を参考にしてください。

成熟児:両手両足・体幹ともにベットに付着している姿勢を呈している

早産児:在胎週数によって正常な姿勢が異なる。在胎週数が少ないほど四肢は伸展位をとり、筋緊張は低下している

特徴的な発達遅滞

低体重で発達がゆっくりである点もダウン症の特徴です。筋肉が発達するスピードが緩やかなため、ミルクを吸う力が弱く、また歩き始めるのが遅い子も多いようです。また、知的な発達も緩やかで、健常児と比較すると知能指数は30~59%ほど、社会生活能力指数は60~70%ほどになることが多いです。

合併症の可能性

ダウン症候群であった場合には、高い確率で合併症を抱えることが多いと言われています。新生児期とそれ以降に持つ可能性のある合併症を以下にまとめます。

・心臓の合併症(多呼吸、チアノーゼなど)

・十二指腸閉鎖

・巨大結腸症

・鎖肛

・呼吸器疾患(肺炎、気管支炎)

・粘膜炎症(結膜炎、口内炎)

・中耳炎

・白血病

・てんかん(ウエスト症候群など)

・環軸椎不安定症

・甲状腺機能低下症

・糖尿病

・アトピー性皮膚炎

・足関節外反

まとめ

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いかがでしたか?染色体検査についてまとめました。日常生活で耳にする染色体検査は、通常出生前診断や不妊・不育症の検査として行われるものかと思います。出生前診断は賛否両論で、特に出産を意識しない若年層と子育てを終えた世代は反対が多く、これから出産を控える年代では賛成意見が多くなっています。

反対意見に多いのが「陽性反応が出るとほとんどの妊婦が中絶を選ぶこと、陽性なら堕胎という流れが問題」というものです。しかし、「陽性反応が出たことにより出産までにわが子が持つかもしれない障害についての知識を得た。実際に障害があったが、得た知識を活かして子育てをスタートした」という例もありました。

デリケートな問題であり、正解・不正解はありません。自身の意見を尊重し、家族の理解を得たうえで決定しましょう。