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亜急性壊死性リンパ節炎とは?首のリンパ腺が腫れるの?治療法や費用も紹介

亜急性壊死性リンパ節炎は、その名前は知られる存在ではあると思いますが、詳しく知る機会は少ないかもしれません。しかしリンパ節が急に腫れて痛いといった症状でお悩みの方は多く、そのような人はこの病気が発症している可能性があります。リンパ節の腫れや痛みで、亜急性壊死性リンパ節炎かもしれないと思っている人に、通院のきっかけにしていただければ幸いです。



亜急性壊死性リンパ節炎の特徴について

亜急性壊死性リンパ節炎は、芸能人で発症した人もいて、その名前は知られる存在ではあると思いますが、実際にこの病気について詳しく知る機会は少ないかもしれません。しかしリンパ節が急に腫れて痛いといった症状でお悩みの方は多く、そのような人はこの病気が発症している可能性があります。

亜急性壊死性リンパ節炎については、自然に治癒するケースが多いとされますが、実は別の重篤な症状に発展する病気が隠れていることもあり、さらに診断を確定すれば症状があらわれてもあわてることもなく、医師に継続して診断を受けることで別の病気を合併した場合でも、すぐに処置ができます。

この記事は、リンパ節の腫れや痛みで、ひょっとして亜急性壊死性リンパ節炎かもしれないと思っている人に、通院のきっかけにしていただければと思い書きました。ぜひお読みください。

亜急性壊死性リンパ節炎について

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亜急性壊死性リンパ節炎とは

亜急性壊死性リンパ節炎(あきゅうせいえしせいりんぱせつえん)は比較的若い女性に多く、初期の症状として扁桃腫大(へんとうしゅだい)をともなう上気道症状(じょうきどうしょうじょう)が発現するとされます。

上気道とは、鼻前庭(びぜんてい)、鼻腔(びこう)、咽頭(いんとう)、喉頭(こうとう)のことで、この部位にウイルス感染したことのより鼻水、くしゃみ、鼻づまり、喉の痛みなどの症状が出ることを、いわゆる、かぜ症候群と呼ぶとされます。

この上気道に何かの症状があらわれると前後して、主に側頚部(そくけいぶ:首のよこがわ)の皮下リンパ節腫大と白血球減少をきたすとされます。さらに腫大リンパ節に壊死巣(えしす:血流が悪くなる状態)が存在し、組織球と大型のリンパ球が増殖するとされます。

しかし好中球(こうちゅうきゅう:白血球の一種で炎症の急性期に見られる細胞)などの浸潤(しんじゅん:浸透して広がる状態)は見られないという特異な組織学的所見が見られる全身性の病気とされます。一般的に1~3ヵ月程度で治癒(ちゆ)する予後良好な経緯をたどる病気であるとされています。

亜急性壊死性リンパ節炎の原因

亜急性壊死性リンパ節炎の原因にはウイルス説、アレルギー説、局所の異常免疫反応説などが想定されていますが、はっきりした原因は分かっていないとされます。ウイルス説としては、エプスタイン・バール・ウイルス(EBV:ヒトヘルペスウイルス4型)、ヒトヘルペスウイルス6型、ヒトヘルペスウイルス8型、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、パルボウイルスB19、エルシニア属菌などが関係しているとする説があるとされます。

アレルギー説としては化粧品に対するアレルギーが発病の引き金になったとの説があるとされます。異常免疫反応説においては、抗DNA、抗RNP、抗Sm抗体などの自己抗体が一過性に証明されることがあるとされます(自己抗体は抗核抗体ともいい自己免疫が異常な人に陽性となるとされますが、一般的には陽性であっても健康な人もいるとされますし、抗体によっては健康な人で陽性になることはほとんどないとされる抗体もあります)。

また、ストレスが原因になっているのではないかという主張もあるようですが、医療関係者からの指摘では無いようです。

発症が多く見られる年齢層

壊死性リンパ節炎は、若い成人に多く見られるとされます。全年齢にみられる病気ではあるものの、比較的20~30才代の若い層に多く、男性1に対して女性2~3程度で、女性に多くみられる病気であると指摘されています。世界的には東洋人に多くみられますが白人は比較的まれであり、黒人には極めてまれであることが明らかになっていると指摘されています。

菊地病との関連性

亜急性壊死性リンパ節炎は、別名、組織球性壊死性リンパ節炎とも呼ばれるとされます。また1972年に福岡大学・病理学教室の菊池昌弘教授によって発見され、同年、藤本吉秀氏らによって報告されたことから、菊池 藤本病とか、菊池病と言われるともされます。

再発率

一般的に、亜急性壊死性リンパ節炎については、発病後1~3ケ月後に自然治癒するとされますが、4~5%程度の症例で再発がみられるとの指摘があります。また、再発後に、さらに重い症状の病気を合併する例も指摘されています。

亜急性甲状腺炎との関連性

亜急性甲状腺炎は、甲状腺の組織が炎症の為に壊れてしまい、甲状腺内に貯まっていた甲状腺ホルモンが血液中に漏れ出て甲状腺ホルモンが多い時の症状がでる病気とされます。また、甲状腺が硬くはれ、その部位に痛みを感じるようです。

この病気は自然に治癒するとされますが、症状が強い時は治療が必要です。40~50才代の女性に多く、子供にはほとんど発症しないと指摘されています。また再発は少ないですが、まれにみられるとされます。原因は、ウイルスによると言われていますが、原因ウイルスが見つかっておらず、今のところ原因不明の病気とされます。

亜急性壊死性リンパ節炎との関連を主張する意見は見当たりませんが、原因不明の頸部(首のところ)の病気であることと、自然治癒するケースが多いことが共通点と言えなくはないかもしれません。

亜急性壊死性リンパ節炎の症状

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発熱

亜急性壊死性リンパ節炎の症状を見て行きます。亜急性壊死性リンパ節炎では、上気道(鼻腔、咽頭、喉頭)症状があわられた前後から38度台の不規則な発熱がおこることがあるとされます。これが1週間程度続くとされて1ケ月近く下熱しない例もあるとされます。

このような発熱は30~50%程度にみられるとの指摘があります。また小児の亜急性壊死性リンパ節炎では、ほぼ全例で発熱があらわれるとの指摘もあります。

リンパの腫れ

亜急性壊死性リンパ節炎の症状で、発熱とともに代表的な症状とされるのが、リンパ節の腫れでとされます。首のリンパ節の腫れが圧倒的に多いとされていて、全症例中96%に首(頸部:けいぶ)のリンパ節腫大(しゅだい:腫れ)が見られたとの指摘があります。次に多いのが脇の下のリンパ節とされます。

また、多くの場合片側の側頸部(首の横)の皮下リンパ節が小指の頭くらいに大きくなり、その大半の症例で疼痛(とうつう)を感じ、また触痛(触ると痛い)があらわれるとの指摘があります。リンパ節の腫れは主に1個であるが、炎症の程度が進行している場合は周囲との癒着(ゆちゃく)がある場合もあるようです。

首の腫れがあらわれるのは80~96%程度であるとの指摘があります。また、このようなリンパ節の腫れは、解熱後から起こるとされる主張もあります。さらに全身に腫れがあらわれるのは3~5%程度とされています。

皮膚の発疹

亜急性壊死性リンパ節炎では、風疹様または薬疹様(やくしんよう:薬を注射したり内服したときに起こるようなアレルギー性)の皮膚の発疹(ほっしん)があらわれることがあるとされます。発疹は一過性であり、あらわれる時期は一定ではないようですが、高熱が続くときと症状が強い場合に多く見られるとされます。

このような皮疹については、20%程度の症例に認められると指摘されています。

倦怠感

亜急性壊死性リンパ節炎では、時として全身倦怠感が症状としてあらわれることがあるとされます。しかし、発症の頻度が低く、症状のあらわれかたが特異的であるために全身倦怠感をもって亜急性壊死性リンパ節炎であると診断することは難しいと指摘されています。

関節痛

亜急性壊死性リンパ節炎では、多関節痛を訴えた例も報告されているとの指摘がありますが、他方、全身倦怠感と同様に、、頻度が少なかったり、症状が非特異的であったりするために、亜急性壊死性リンパ節炎の診断とするには難しい症状であるとされます。また、亜急性壊死性リンパ節炎を疑い、後に混合性結合組織病(mixed connective tissue disease:MCTD)と診断された症例が紹介されています。

混合性結合組織病は、膠原病(こうげんびょう)の代表的な疾病である全身性エリテマトーデス(SLE)様、強皮症様、多発性筋炎様の症状が混在してらわれるとされる病気とされます。血液の検査で抗U1RNP抗体が高い値で陽性となるとされています。このように関節痛が起こった場合が、何かの病気が合併してしてる可能性があるとの指摘があるようです。

白血球数減少

亜急性壊死性リンパ節炎の症状として、末梢血液の白血球数が大多数の例で減少するとの指摘があります。4,000/mm3以下の数値に減少するとされます。この状態が数日から数十日にわたって続き、症状が回復するにしたがって正常域の数に近づくとされています。

このような白血球数の減少は、50%程度の症例で認められるとされ、小児においては70%程度あり成人例の報告より高頻度であるとされています。また、場合によっては、白血球減少に血小板の減少も同時に起こる(二系血球減少)、汎血球減少をきたす症例もあるとされます。

亜急性壊死性リンパ節炎の診断基準

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臨床症状

亜急性壊死性リンパ節炎の臨床症状は、前述までのとおりです。統計的なデータを見ると、発熱(30%)、リンパ節腫大(頚部:96%、全身:11%)、再発の頻度(4%)、末梢血液の所見(白血球減少:58%、白血球増多:2%、異型リンパ球出現:31%)などとの指摘があります。

血液検査

亜急性壊死性リンパ節炎では一般の炎症性疾患と同様に赤沈赤血球が沈んで行く速度を測定する検査)が亢進(こうしん)し、血清のCRP値(炎症や組織細胞の破壊が起こると増加する蛋白質の値)が上昇するとされています。

また肝機能を反映するGOT、GPT、LDHの値が上昇し、とくにLDHのレベルは亜急性壊死性リンパ節炎の重症度(発熱、白血球減少、赤沈亢進、CRPの上昇、肝障害の程度)およびリンパ節の壊死の程度と関連性が高いとされます。

亜急性壊死性リンパ節炎では血清フェリチン値が上昇することが多いとされます。一般に血清フェリチンのレベルは全身にわたる組織球増殖の程度を反映するとされていて、亜急性壊死性リンパ節炎をふくむ組織球増殖性疾患では必ず検査しなければならないと指摘されています。

また亜急性壊死性リンパ節炎では抗DNA、抗RNP、抗Sm抗体などの自己抗体(抗核抗体(こうかくこうたい)とも言います。)が一過性に証明されることがあるとされます。また、後で述べるように、微生物感染を示唆する抗体が有意に上昇することがあるとの指摘があり、これらの検査も必ず実施すべきであるとされます。

リンパ節生検

亜急性壊死性リンパ節炎なのか、その他の疾病によるリンパ節炎なのかを確定的に診断するためには、リンパ節生検(りんぱせつせいけん)が必要であるとされます。リンパ節生検とは、組織の一部を切り取る、または、針を刺して組織の一部を採取して、顕微鏡などで確認することを言います。

また超音波(エコー)検査で、リンパ節の血流を確認する検査ができるとされます。超音波検査を実施すると大きめのリンパ節では血流のない壊死した領域を確実に確認できるとされ、小さなリンパ節でも血流の欠損が画像で判定できるようになってきており、初期の段階で局所的な壊死が始まっていることが確認できるとの指摘があります。

亜急性壊死性リンパ節炎の治療

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発熱・疼痛に対する対処療法

亜急性壊死性リンパ節炎の治療法は確立されておらず、対処療法が中心になるとされます。亜急性壊死性リンパ節炎の基礎疾病には免疫不全状態が潜在することがあるとされるため、免疫不全になっているウイルスに対しての2次感染を要望すつ必要があるとされます。

また、発熱・疼痛に対しては、ステロイド剤または非ステロイド性抗炎症剤は一定の効果があるとされ、積極的な治療にも効果があるとの指摘もあるようです。一般的には抗生物質については効果が無いとされます。

自然治癒

亜急性壊死性リンパ節炎は、一般的に何もしなくても1~2ケ月で自然治癒するとされます。これは小児においても同様との指摘があります。

治療期間

亜急性壊死性リンパ節炎の治療期間は、1~3ケ月程度での自然治癒が一般的であるとの指摘もあるため、その間ということになります。その間、解熱、鎮痛を目的としてステロイド剤、非ステロイド性抗炎症剤などを用いての対処療法での治療となります。

また、再発のリスクを考慮しての継続検査が必要であるとの指摘もあります。

治療に掛かる費用

亜急性壊死性リンパ節炎の治療には、根本的な治療法が確立していないことから解熱、鎮痛などの対処療法になりますので、費用が気にされるようなことは無いかと思われます。ただ、診断が確定するまで、あるいは再発や合併症の発症が懸念されるため、検査などについての費用がかかることはあると想定されます。

頸部リンパ節の生検については、リンパ節の大きさや位置により入院期間が変わるとされますが、局所麻酔の場合は日帰りでも可能で、全身麻酔の場合は2泊3日程度の入院で3割負担で5万円程度の費用がかかるとされています。

まとめ

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亜急性壊死性リンパ節炎は、多くの場合、数カ月で自然治癒する病気とされますが、原因不明で治療法も確立していないとされます。初期では高熱が続き、また多くの場合、痛みを伴う首のリンパ節の腫れを伴うとされますので、発症した場合は、しばらくつらい症状が続くことになります。

ただ、我慢すればそのうち治るということでは決してなく、生命にかかわる他の病気を併発していたり、また、いったん治癒しても再発して、その際に、合併症を併発しているなどのケースもあるため、医師の診断を受けずに済ませることは危険です。該当する症状がある人は、内科、耳鼻咽喉科などを必ず受診することを強くお勧めします。