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アニサキスによる食中毒を予防しよう!生のイカやサバには注意!

生魚を食べた後に急に腹痛が起こってしまった場合、「アニサキス」の食中毒の可能性があります。日本人がかかりやすい食中毒の一つですのでご存知の方もいらっしゃるかと思われますが、アニサキスとは寄生虫です。それでは、アニサキスにかかってしまったらどうすればよいのでしょうか?また、予防策はあるのでしょうか?今回はそんなアニサキスのお話です。



「アニサキス」って一体なに?

アニサキスは、魚介類の内臓などに生息している寄生虫です。ご家庭で鮮魚をさばいたりすると、たまに出てきたりすることがあるので、見たことがある方もいらっしゃるかと思われます。このアニサキスは通常、内臓に寄生していますが、寄生している魚が死んでしまうと内臓から身の部分へと移動してしまいます。すると、知らずにその身を刺身などで食べてしまうことがあるため、食中毒を起こしてしまうと言われています。

食べ方や調理方法に気を付ければ症状が出ることはないそうですが、魚介類を寿司や刺身などで生食することの多い日本人は、諸外国人に比べるとアニサキスに感染する例が非常に多いと言われています。ノロウイルスやカンピロバクターに次いで多い食中毒と言われている為、厚生労働省や各都道府県などでも注意喚起しているほどです。

また、アニサキスにはアレルギーを発症させる危険性もあります。これは、体がアニサキスをアレルゲンと特定してしまい、体が防御反応を引き起こす為と言われています。

新鮮な魚は美味しいので食べたいですが、食中毒やアレルギーにはかかりたくはありませんよね。そこで今回は、このアニサキスの食中毒やアレルギーにならない為にどうすればよいのかを、アニサキスに感染してしまった場合の症状や対処法と共にご説明していきます。

アニサキスとは?

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寄生虫

アニサキスとは、アニサキス亜科幼虫の総称で、「線虫」と呼ばれる寄生虫の一種です。アニサキスの幼虫は、体長2~3㎝、幅は0.5~1㎜程度の大きさです。見た目は白色で、少し太い糸状です。アニサキスは、その形態の違いから10種類以上あると言われており、日本で多く見られるのはそのうち3種類程度と言われています。

アニサキスは、海中で卵が孵化し、一つ目の宿主として「オキアミ」に食べられます。オキアミの中で成長したアニサキスは、アジやサバ・イカ・サケなどの魚にオキアミごと食べられるので、それらの魚を二つ目の宿主にします。そして、それらの魚を最終的にイルカやクジラ、アザラシなどの海に生息している哺乳類が食べ、最終宿主として、クジラなどの胃に寄生して、成虫となります。

人が、この第2段階の魚に寄生している段階で、その魚を生もしくは生に近い状態で食べてしまうと、食中毒を起こしてしまうことがあります。これを「アニサキス症」と呼びます。季節的には12~3月の寒い時期に多く見られ、冬の食中毒の代表となっています。魚介類を生食後、1時間~2週間ほどで発症すると言われています。そして、感染は約3週間以内に自然消失するとも言われています。

通常、アニサキス一匹でも発症するそうです。しかし、人の胃の中は海洋哺乳類のそれと違って、アニサキスにとって住み心地の良いものではないそうです。この為、アニサキスは幼虫のままとどまり、人の中で成虫へと成長することはないそうです。

寄生している魚は?

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サバ

近年のアニサキスによる食中毒の事例の中で、一番多いのが「サバ」です。加熱調理を行えばアニサキス症を予防することはできます。ですが、サバは焼いて食べるだけではなく、生のお刺身やお寿司で食べる方も多い魚です。

国内のサバの産地14か所で、アニサキスの寄生状況を調査した結果、218尾の真サバのうち、74.3%にあたる162尾から、1尾あたりの平均寄生数22個体が検出されたそうです。つまり、サバにはアニサキスが寄生しやすいということがわかっているわけです。

日本で水揚げされているサバは大きく分けて、主に九州から三陸沖に分布する太平洋系群と、東シナ海から日本海沿岸に分布する対馬暖流系群の2系群に分けられています。この二種類の真サバをそれぞれ解析したところ、生息海域によって寄生するアニサキスの種類が異なることが分かったそうです。

そして、真サバの内臓から刺身となる筋肉部分へとアニサキスが移行する確率を調べると、高知から青森までの太平洋側で水揚げされる真サバに寄生する種のアニサキスの方が、100倍以上高かったそうです。

さらに感染者を調べると、100名から抽出したアニサキスの99%は、太平洋側の真サバに寄生している種類のアニサキスだったそうです。このことから、アニサキスの種類の違いでも、アニサキス症にかかるかどうかが関わっているのではないかと考えられています。

なお、アニサキスは、家庭料理で使うしょうゆや塩、わさび、酢などでは、その量や濃度などに関わらず、死ぬことはないそうです。この為、酢でしめた「しめ鯖」の中でもアニサキスは生き続け、食中毒を起こすことがあるそうです。しめ鯖だから大丈夫、と言うわけではないので気を付けてください。しめ鯖を作る場合は、塩で締める工程で、マイナス20℃で24時間以上かけて中心部まで凍結させると予防になるそうですよ。市販品は大体このような過程で作られているそうです。

ちなみに、サバは人気の魚ですので、養殖魚が販売されている場合もあります。養殖魚の場合は、アニサキスの寄生した生餌を食べていない限りは、ほとんど寄生はしていないそうです。

サケ

お寿司やお刺身などで食べているサケ、いわゆる「サーモン」は、冷凍ものが多いのにお気づきですか?スーパーなどでは冷凍のままの場合や、「解凍品」と書かれて販売されていることもあるかと思われます。そして、生のままの紅鮭は、焼物用として売られていることが多いです。これは、サケにも多くのアニサキスが寄生している為です。

アニサキスは肝臓や胃袋などの内臓に寄生していますので、サケを処理する時点で早急に内臓を取り出すそうですが、それでも宿主が死ぬとアニサキスはすぐに身の方へと移動してしまいます。特にハラスと呼ばれるハラミの部分に寄生していることが多いため、加熱をするか、マイナス20℃以下で24時間以上凍結しなければ死滅させる必要があります。

北海道の郷土料理の中に「ルイベ」と言うものがありますが、これは冷凍保存した魚を凍ったままで味わうというものです。もともとアイヌの料理で、サケなどの魚を冷凍することで保存期間が長くなる上に、アニサキスなどの寄生虫が死滅するので、そのような加工方法がとられていたそうです。

また、サケの卵である「いくら」にも、アニサキスがいる場合があるそうです。市販されているイクラで発症した例はありませんので大丈夫と言われていますが、自分で新鮮なイクラを処理する場合には注意が必要です。しかも、いくらの鮮度が良ければ良いほど、アニサキスは多いそうです。ご自宅でイクラを処理する場合は、70度以上の熱湯に30秒程度漬けるなどして、アニサキスを死滅させる工夫が必要と言われています。

ニシン

アニサキスは、ニシンにも寄生しています。「ニシンなんて食べたことない」と思うかもしれませんが、おせち料理などでは欠かせない魚ですし、地域によってはよく食べられている魚です。秋田県などでは「カド」「カドイワシ」と呼ばれています。

国内のほとんどのニシンは北海道産と言われています。どちらかと言うと焼くなどの調理して食べることの方が多い魚ですが、刺身やマリネなどにして食べることもあるそうです。生で食べる場合には、アニサキスに注意してください。

イカ

イカにも、アニサキスは寄生します。自分でさばいたイカの刺身で食べたら食中毒になったという話をよく耳にしますが、これはアニサキスのせいです。イカの刺身を見ると、細かく切り込みが入っていますよね。これは、食べやすくするためでもありますが、アニサキスを切って殺す目的があるそうです。

生のイカを購入すると、アニサキスがたくさんついている場合があります。表面から内臓の方にまでいますので、目に見えるものはすべて取り除き、なるべく加熱処理をして食べるようにしましょう。冷凍のものであれば、アニサキスは死滅しているので安心です。

イカの刺身や内臓などを生で食べたい場合は、出来ればプロの調理したものを食べるとよいでしょう。ホタルイカにも寄生していますので、生のホタルイカや沖付けを食べる場合は気を付けてください。

メジマグロ

メジマグロにも、アニサキスが寄生しています。メジマグロは、クロマグロの幼魚の呼称です。成長してクロマグロとして水揚げされるうちの98.8%は、卵を産む前の3歳以下のメジマグロが占めているそうです。

メジマグロは、春から夏にかけてフィリピン沖から日本近海で孵化し、日本沿岸を季節によって南北移動して成長し、1歳くらいになると北アメリカまで渡り、数年かけて再び太平洋を横断して日本に戻ってくる回遊魚です。時期によって場所を移動しますが、どうやら南方海域に棲んでいる時にアニサキスに寄生すると考えられています。

ほぼ内臓に寄生している為、新鮮なうちに内臓を取り除く処理を行うと、感染を減らすことが出来るそうです。しかし、メジマグロは年間通して冷蔵物が多く流通しているため、生食をする場合には注意が必要と言われています。

アニサキス症の症状

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アニサキス症は、まず症状の程度により「劇症型」と「緩和型」に分けられます。緩和型の場合、症状は軽微で、自覚症状がない場合もあるそうです。一方劇症型の場合は、激しい痛みなどが起こることがあります。これは、過去に感染したことのある場合は再感染で強い過敏反応を起こして劇症型となり、初めて感染する場合は異物反応にとどまる為、軽症で済むのではないかと考えられています。

さらに、感染する部位によって「胃アニサキス症」「腸アニサキス症」「消化管外アニサキス症」に分けられます。「胃アニサキス症」は、胃でアニサキスが暴れることで起こり、「腸アニサキス症」はアニサキスが腸にまで移動してしまい悪さをすることで起こるそうです。

多くのアニサキスは消化管壁を貫通できませんが、万が一貫通してしまった場合は、穿孔性腹膜炎や寄生虫性肉芽腫、腸閉塞を発症することがあると言われています。これが「消化管外アニサキス症」です。起こるのはまれですが、腹腔内へと逃げたアニサキスが寄生した部位によって、異なった症状が現れるそうです。

アニサキスは人の中で長期間生存できませんので、いずれは排出されます。この為、数日間痛みに耐えられるようであれば我慢すれば治るとも言われています。ですが、アニサキス症にかかるととても痛いと言われていますので、我慢せずに早めに病院に行く方がよいでしょう。

激しい腹痛

魚介類を生食で食べた後、数時間から十数時間してから、みぞおちの辺りに激しい腹痛などを発症するのが、「胃アニサキス症」です。主に8時間以内に発症すると言われています。

食後十数時間後から数日後に、激しい腹痛が下腹部に起こった場合は、「腸アニサキス症」が考えられます。腹膜炎の症状が発症することもあるそうです。

腹痛が起こる理由は、アニサキスが寄生するために、胃や腸の壁を食い破り、腸の外へと出て行こうとするからです。また、アニサキスの再感染によるアレルギー反応が関係しているとも考えられています。

胃アニサキスの場合、症状がその日のうちや翌日には現れますので、原因が比較的わかりやすいです。しかし、食事から数日後に発症する腸アニサキス症の場合、食事内容を忘れてしまうため、原因が分かりにくい場合があると言われています。どちらにせよ激しい腹痛がある場合は、速やかに医療機関を受診するようにしましょう。

吐き気

胃アニサキス症が発症すると、腹痛と同時に吐き気を起こすことがあります。吐き気が止まらないこともあるそうです。

嘔吐

吐き気と同時に、嘔吐を起こすこともあります。ただし、嘔吐の場合は胃液が多いそうで、下痢はほとんど伴わないと言われています。これは一般的な食中毒とは異なる症状です。また、時には吐血することもあるそうです。

アニサキス症の原因

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基本は生魚(刺身)を食べたこと

アニサキス症の原因は、アニサキスの幼虫が寄生していた魚を、刺身などの生で食べてしまうことです。食べる時によく噛むとアニサキスも死んでしまいますので問題はないそうです。ですがが、よく噛まずに食べてアニサキスが生きたまま胃へと到達してしまうと、アニサキスは胃の中で暴れたり、胃酸から自分を守ろうとして胃粘膜の中に潜り込もうとします。それによって腹痛などの症状が起こります。

生で魚を食べるのであれば、冷凍したり火を通すなどの調理の段階で気を付けることも大切ですが、よく噛んで食べることも大切です。

アニサキス症の診断方法

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胃カメラによる内視鏡検査

胃アニサキス症の場合、内視鏡検査で胃の中にアニサキスがいないかどうかを検査します。アニサキスは胃壁に刺入し、その周りの胃粘膜が赤く腫れていることがほとんどのようです。胃粘膜にアニサキスを見つけた場合、鉗子で摘出します。アニサキスがいなくなるかあるいは死ねば、痛みはすぐ消えると言われています。しかし、アニサキスの一部外壁に残ると痛みが持続することもあるようです。

また、小さい場合は、挟んで切って胃の中で殺してしまうこともあるようです。切ったアニサキスは取り出すほどの大きさではないので、そのまま消化されるそうです。

しかし、腸アニサキス症の場合は、アニサキスを見つけるのは困難です。その場合はX線や超音波検査などで小腸を調べ、アニサキスが死滅して症状が緩和するのを待つ対症療法がおこなわれることが多いそうです。なお、生きたアニサキスが腸壁に潜り込み腸閉塞を起こしてしまった場合には、外科的手術によってアニサキスを摘出する必要がある場合もあります。

また、症状の原因がわからずに緊急手術となってから、腸アニサキス症であったことがわかる場合もまれにあるそうです。

アニサキス症の治療

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痛み止めが処方される?

現在のところ、アニサキスを体から追い出す薬、または効果的な駆虫薬はありません。市販の胃薬などを飲んでも効果はないそうです。すぐに内視鏡を使用することができない場合や内視鏡の後などに、胃薬や痛み止めが処方されることはあるそうですが、それはアニサキス自体に効果があるものではなく、傷ついた胃の壁を修復させるためやアニサキスによる胃腸の痛みを軽減させるためのものだそうです。また、抗アレルギー剤などが処方されることもあり、こちらも症状を緩和させることなら出来るそうです。

直接的に効果のある薬がないので、胃アニサキス症の場合は胃の中であれば内視鏡で取り除くことも出来ますが、腸アニサキス症には対症療法しかありません。アニサキスが胃壁や腸管を破って胃腸に穴をあけない限りは、アニサキスは大体1週間ほどで胃液によって死滅してし、痛みは一週間で治まると言われています。そして最終的に吸収されるか排泄されるそうです。

アニサキスの腹痛はものすごく痛いと言われていますが、痛みの感じ方は人それぞれです。あまり痛みはなく、最終的には胃液で死ぬのだと思ったら、死滅するまで耐えてしまう方もいらっしゃるそうです。ですが、痛くて仕方がないのに一週間も耐えるのであれば、内視鏡検査を受けた方が無難とも言えます。「これはアニサキスが原因かも?」と思ったら、とりあえず病院に行ってください。

アニサキスによるアレルギー反応

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アニサキスは、アニサキス症だけではなく、アレルギー症状を起こすこともあります。サバなどを食べてじんましんが出る人にアレルゲンの検査をしたところ、実はサバではなくアニサキスが原因であったという症例がいくつかあります。日本ではまだ多くないそうですが、スペインなどでは胃アニサキスよりもアレルギーの方が多いのだそうです。

しかも、アニサキスが生きていても死んでいても、冷凍してあっても、加熱調理をしていたとしても、アレルギー反応が出るそうです。アニサキスが寄生していたものには、もれなく反応を起こしてしまうということです。この為、魚の加工品やかまぼこなどでもアレルギーを引き起こす可能性があるそうです。

アレルギーの対象になる魚が多いため、他の食物アレルギーのように特定の食品を食べなければ大丈夫、というわけにはいきません。アニサキスによるアレルギー症状が出ない為に、魚を食べないという選択をするのが一番有効的です。しかしこの場合、魚の他からカルシウムなどを摂取する必要があります。魚を食べる場合は、アニサキスが寄生することのない小ぶりな魚や養殖魚を食べたり、川魚を食べるなど、注意しなければいけません。

また、以前はアレルギー症状がなかった場合にも、知らないうちにアレルギーになってしまっていることがあり、アナフィラキシー症状を引き起こすこともあります。この為、火を通してあるかどうかに関わらず、魚介類を食べて気分が悪くなったり、じんましんが出た時は、すぐに病院を受診しましょう。毎回出るわけではないけれども、サバやイワシやイカなどを食べるとじんましんが出ることがある方も、アニサキスアレルギーが疑われます。病院では血液検査をすると、アニサキスのアレルギーなのかどうかがわかりますので、不安な場合には一度医師に相談してみると良いでしょう。

血圧低下

アニサキスアレルギーになると、体のかゆみやじんましんだけではなく、腹痛、吐き気や嘔吐などが起こることがあります。そして、重度になると、血圧が低下するなどのアナフィラキシー症状が出ることもあるそうです。

呼吸困難

呼吸困難や意識消失などのアナフィラキシー症状が出ることもあるそうです。このような症状が出た場合は、ただちに病院へ行き、診察を受けましょう。

アニサキス症の予防

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アニサキスによる食中毒を防ぐには、生の海産物を食べないことが一番確実な方法です。しかし、日本人の食習慣としては、新鮮な魚を生で食べる、ということはなかなかやめることが出来ることではありません。この為、どうしてもリスクは残りますが、生食をする前に事前にいくつかのポイントを行っていき、リスクを下げていくことをおすすめします。

天然魚の場合、外海でアニサキスに寄生されていますが、養殖の場合はアニサキスに寄生されていることはめったにないそうです。魚の選び方から気を付けていくのもポイントの一つです。

また、厚切りにするよりは薄く細かく切る方が、食中毒は起こりにくくなります。細かく切っておくと、取りきれなかったアニサキスが魚の身の中に残っていたとしても、アニサキスが傷つき弱っていることがあります。飾り包丁程度から、たたきにするまで、気になるようであればより細かくすると良いでしょう。

さらに、よく噛んで食べることでも、アニサキスによる食中毒を防ぐことが出来るとも考えられています。魚を生で食べる時は、いつもよりもよく噛むように意識すると良いでしょう。このほかにもいくつかポイントがありますので、気を付けていくことで、ぐんと食中毒の感染を防ぐことが出来ると言われています。

加熱

アニサキスは高温に弱いです。アニサキス症にならないようにするためには、加熱後に食べることが、確実な感染予防となります。加熱する場合は、少なくとも60℃で1分以上、70℃で死滅させることができるそうです。

冷凍

アニサキスは高温に弱いですが、低温にも弱いです。新鮮な魚介類をアニサキスの死滅のために加熱することはできませんので、冷凍して死滅させることが多いです。冷凍する場合は、20℃で24時間以上冷凍すると、感染性を失うことができます。

オランダでは1968年から、生食するニシンは調理前に必ず-20 ℃以下で24時間以上冷凍するよう法律で義務付けています。このおかげでアニサキス症の患者を激減させているそうです。また、アメリカのFDA(食品医薬品局)は、生食用の魚は「-35 ℃以下で15時間」、または「-20 ℃以下で7日間」冷凍処理するよう勧告しているそうです。

さらにはEUの衛生管理基準でも、生食用の魚-20 ℃以下で24時間以上の冷凍処理が支持されているそうです。国際的にみても、アニサキスに感染しない為には、冷凍することが効果的と考えられているのです。ですが、日本では、業者が魚を冷凍する義務は定められていないそうです。何かあった場合でも、自分で自分を守るしかないようです。なお、家庭用の冷蔵庫の場合、20℃にまで庫内の温度が下がることがありませんので、完全に死滅させることはできない可能性があるそうです。ご家庭で冷凍する場合は注意しましょう。

内臓を取り除く

魚が新鮮なうちに内臓を取り除くことも、感染の予防に効果的です。先ほどもお話ししましたが、アニサキスは寄生先が死んでしまうと、内臓から筋肉へと移動してしまいます。この為、移動してしまう前に内臓を速やかに取り除いてしまうと良いそうです。内臓を取り除いてもなお心配な場合は、内臓の周りの筋肉部分を骨ごと除去してしまうのも有効的です。

また、魚を室温に近い20℃ほどの温度で保存した場合も、アニサキスは腹腔内から内臓周辺の筋肉へ移行することがあるそうです。この為、魚はより新鮮なうちに内臓を除去して、冷蔵庫などの低温で保存するようにしましょう。

目視で確認

アニサキスは目に見える寄生虫です。魚の表面についている場合はすぐに見つけることができますので、生の魚を購入し調理する際は、必ず目視で注意深く確認してください。色が透明に近い白の為、すべて取りきるのは大変ですが、アニサキスを見つけた場合は一つ一つ除去してください。光に透かしたりしてよく見ると良いそうです。また、刺身用のおろし身を買った場合にも、アニサキスが付いている場合があります。家庭でよく見て取り除きましょう。

とはいえ、プロでもすべてを取り除くことが大変と言われている為、目で確認しても取り残してしまうことはありえます。心配な場合は、やはり加熱したり冷凍する方が安心だと思われます。

内臓は食べない

アニサキスは、魚の内臓に寄生しています。内臓は生で食べない様にしましょう。魚を丸ごと一匹購入して開くと、内臓にアニサキスがたくさんついている場合があります。内臓は捨ててしまう部分もありますが、食べることが出来る白子などにもついていますので、内臓を食べる場合は必ず火を通すようにしましょう。

まとめ

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生きたアニサキスを食べてしまうと、胃痛や腹痛を引き起こし、最悪開腹手術を行わなければいけないことがわかりました。美味しい魚を食べた結果起こってしまうことですが、一度アニサキスにかかってしまうと、しばらくは魚を食べる気にならない方も多いそうです。そのくらい、アニサキスに感染するのはつらいということでしょう。

アニサキスは、今回ご紹介した魚以外にも、アジやイワシ、カツオ、サンマ、タラ、キンメダイなどの日本人にとっての身近な魚に寄生しているそうです。焼き魚にしてしまえば大丈夫ですが、刺身の美味しさを知っている分、生でも食べたいと思ってしまいますよね。

そんな時は、今回ご紹介した「加熱」「冷凍」「新鮮なうちに内臓を取り除く」などのポイントにしたがって、処理を行ってから食べるようにしましょう。特にご家庭で魚をさばいて食べる場合には注意が必要です。よく見て確認し、アニサキスにかからない様に、慎重に料理をしてください。

ですが、注意深くしていたとしても、アニサキスにかかってしまうことはあります。生魚を食べてしばらくしてから、激しい腹痛などの症状がある場合は、早めに病院に行きましょう。もともと胃痛持ちであったり過去に胃潰瘍を患ったことのある方の場合、それがアニサキスではなく胃の疾患からくるものなのではと思い、わかりにくいこともあります。ですが、激しい痛みが持続する場合はどちらにせよ診察を受けた方がよいでしょう。

アニサキスは、日本人がかかりやすい食中毒ですが、なるべくかからないように予防する事はできます。食後にお腹が痛くならないよう、ポイントを押さえて生魚と付き合っていきましょう。