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咳止めの市販薬の選び方は?医者が教える!知らないと怖い効果とリスクとは?

咳がひどいと寝不足になったり、ぐったりしてしまったりと辛いですよね。でも、咳止めの薬には、大きなリスクも伴います。市販薬を気軽に購入する前に知っておいた方が良いことと、選び方のポイントをまとめました。



良く効く咳止め市販薬の選び方とお薦めランキング

咳がひどくて咳止めを買おうとしたけど、薬局にはたくさんの薬が並んでいて、どれを買ったらいいか迷ったことはありませんか?咳があるからと言って病院に行く時間もないし、市販薬で治ればいいかなと期待しますよね。

市販薬にはどんな種類の成分が入っているか、症状別に選ぶポイントなどをまとめました。なお、薬を飲む前にちょっと考えて頂きたいことも書いていますので、参考にして下さいね。

利益相反(COI):本記事の作成にあたり、筆者は鎮咳薬に関係するいかなる機関からも利益提供を受けておりません。

咳止め薬を飲む前に知っておいたほうがよいこと

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咳の働き

咳止めを飲む前に、ちょっと知っておいて頂きたいことがあります。まず、咳というのは、鼻や口から気道に入ってしまったウイルスや病原菌など異物を体から外へ排除しようという働きです。基本的には気道に異物が入ったことが感知されると、脳の延髄という所から反射的に信号が出て、本人の意志とは無関係に咳が出るようになっています。

咳止めは飲んだほうがいいの?

咳が重要な働きを持っているということがお分かり頂けたでしょうか?そうなると、本当に咳止めを飲むべきなのかという判断が難しくなってきますね。上記の呼吸器学会のガイドラインにもあるように、咳止めは治療するという意味では効果に乏しいようです。

「咳」という症状を来す病気には、ただの風邪や気管支炎、喘息だけでなく、重篤な病気の可能性もあるため、咳だけ治してしまうと背後にあった病気が分からなくなってしまうこともあり得るのですね。こうなると、あまり咳止め薬は治療のためには飲む必要はなさそうです。

ただ、そうは言っても、咳のために夜眠れなかったり、喉や頭が痛くなったり、食事が進まなくなってしまったり、と辛いこともありますよね。そういう時は、市販薬を使ってみてももちろんかまわないと思います。もちろん、ただの対症療法であることは十分承知の上で…。

咳止め市販薬を選ぶポイント

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パッケージをチェックする

ひとまず、咳止めの市販薬を購入することにした方は、まずパッケージに書いてある成分を確認するとよいでしょう。咳を鎮める鎮咳成分には、「麻薬性鎮咳成分」と「非麻薬性鎮咳成分」の2種類があります。いきなり「麻薬」と書いてあるとびっくりされるかもしれませんが、実は一般的な市販薬にも麻薬性のものが使われているんですね。

また、上記のように咳は脳から信号が出て生じているので、一般的に咳止めというのは基本的に脳に直接働きかけて止める仕組みになっています(これを中枢性鎮咳薬と言います)。一方、脳に働きかけない咳止め(非中枢性鎮咳薬)というのは、咳止めというよりは、気道の炎症を抑えたりするものが多いです。

また、市販薬には、鎮咳成分以外に、痰の排出を促したり、喉の炎症を抑えたり、気道を広げたりする別の作用の成分も入っていることが多くあります。従って、純粋な咳止めの成分は、下記の通りです。

麻薬性鎮咳成分

麻薬性鎮咳成分は、モルヒネと似た構造をしており、基本的には弱いですが依存性があります。リン酸コデイン、リン酸ジヒドロコデインなどがあります。

非麻薬性鎮咳成分

非麻薬性鎮咳成分は、麻薬性でないので依存性はありません。麻薬性鎮咳成分と同様に、脳の咳中枢に働きかけて咳を止めます。効果は弱いですが、安全性は高いです。子どもに使う場合も安心ですね。

市販薬でよく見られる成分には、咳を止め痰を出しやすくするデキストロメトルファン、代表的な咳止めアストミンの主成分で知られるジメモルファン、気管支を緩める作用もあるクロペラスチン、痰を出しやすくなる効果もあるチペピジン、気管支を広げる役割のあるペントキシベリンなどがあります。購入する際には参考にしてみるといいでしょう。

咳の症状別に選ぶ

咳の症状で重要なポイントは、痰が絡む咳(乾性咳嗽)か、痰が絡まない咳(湿性咳嗽)か、

という点です。

乾性咳嗽

このタイプの咳では、アレルギー性の咳喘息、アトピー喘息が多いですが、それ以外に胃食道逆流、心因性、アンギオテンシン変換酵素阻害薬によるものなどがあります。乾性咳嗽の場合は、中枢性鎮咳成分以外に、抗アレルギー薬に含まれる気道の炎症を抑える成分が効くかもしれません。

湿性咳嗽

湿性咳嗽の場合は、ただの風邪、気管支炎、肺炎、副鼻腔炎などを含めた感染性の病気が考えられます。他にも気管支喘息の場合は、痰が伴います。この場合は、咳止めに去痰剤が含まれているお薬がよいですね。

咳の症状別お薦め市販薬は?

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痰が絡まない乾いた咳

新ブロン液エース、エスエスブロン錠、アネトン咳止めZ液など、麻薬性鎮咳成分を含むお薬は、乾いた咳を止めるのに効果はあるでしょう。ただ、むやみな使用は禁物です。

痰が絡む湿った咳

鎮咳成分とともに去痰薬も含まれる市販薬には、コンタック咳止めSTや、ベンザブロックがあります。ストナ去痰カプセルは去痰剤のみが含まれるので、これだけで飲んでもかまいませんが、どうしても咳を止めたい方は鎮咳成分のみのお薬と併用しても大丈夫です。

咳止め市販薬の効果ランキング

新ブロン液エース

「咳を止める」という目的だけで、市販薬のランキングと作るとすれば、一番効くのがこれでしょう。麻薬性鎮咳成分を含む強いお薬で、強力に咳を止めるのに役立ってくれるでしょう。ただ、このお薬は問題点が多いため、後述の項目も御覧下さい。

アネトン咳止めZ

シロップ状になっていて、レモンティー風味に整えられています。鎮咳成分は麻薬性のリン酸コデインですが、それ以外にもアレルギー性の咳を意識してあるためか、気管支拡張作用のあるメチルエフェドリンや、抗ヒスタミン成分のクロルフェニラミンマレイン酸が入っています。

その他、痰を溶解するリゾチーム、痰の排出を促すセネガ流エキス、眠くならないための無水カフェインと、様々な成分が配合されていますね。このお薬はブロン液ほど有名(?)ではありませんが、やはり依存性の成分を含み、ブロン液と同様注意が必要です。後述の新ブロン液エースの項目をご覧ください

コンタック咳止めST

コンタックSTは、非麻薬性鎮咳成分である、デキストロメトルファンが主成分です。麻薬性でないので、安心ですね。抗ヒスタミン剤も含まれていないので、眠くならないようになっています。その他、気管支拡張作用のあるジプロフィリンや、痰を溶解するリゾチームが含まれていますね。筆者が今回挙げた中で、自分が飲むとしたらこれでしょうか。

ミルコデ錠A

このお薬は、喘息やアレルギー性の疾患に効果のある、テオフィリンやメチルエフェドリンが含まれていて、中枢性の鎮咳成分は入っていないようです。その他、痰の絡みを和らげる3種の生薬配合がウリのようです。

テオフィリンはまだまだ喘息でも使用されていますが、喘息の治療は今はステロイド薬が中心なので、このお薬を飲みながら喘息による咳を鎮めるのは得策とは言えませんね。ゼーゼーと痰を伴う咳に対して、あくまでも一時しのぎなら、よさそうです。

ストナ去痰カプセル

このお薬は、カプセル状になっており、医療機関でも処方される処方薬と同じ2種類の去痰剤が入っています。処方薬と同じ成分のみしか入っていないので、安心して使用できます。副作用もほとんどありませんので、お子さんでも安心です。

新ブロン液エースについて

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実は要注意!ブロン液の歴史

実は、歴史的にブロン液のシリーズは、依存症の患者を多く出してきました。1980年代に発売されたエスエスブロン液Wという商品では、塩酸メチルエフェドリン(気管支喘息の治療に使われるが、エピネフリン誘導体で覚せい剤であるアンフェタミンと類似の構造をもつ)が使われています。

その他、リン酸ジヒドロコデイン、無水カフェイン(もともとカフェインは中枢刺激薬)、マレイン酸クロルフェニラミン(抗ヒスタミン剤だが、コデインの作用を強める)を含み、これらの成分により幻覚妄想が生じたり、依存症、うつ病などの感情障害が生じるのです。

その後、エスエス製薬が自主規制して成分を変更し、ブロン液、ブロン錠などの鎮咳薬乱用は減少してきました。しかし、依然としてブロン液やその他の麻薬性鎮咳薬を含めて、依存症になる人はおられ、その後も依存症は報告されています。筆者は、最近でも精神科診療でブロン液の依存症の患者さんを何名も診た経験があり、非常に注意が必要だと思っています。

依存症となると、一般的な麻薬と同じように、ブロン液を飲まずにはいられなくなり、やめようとすると不安、イライラ、倦怠感、うつ症状などが現れることがあります。ブロン液は1本1,200円もするので、一般のお薬よりも高価であり、金銭的にも依存症は大きな負担になります。もし依存症となった場合には、精神科に入院した方がよいでしょう。

成分

現在の、新ブロン液エースの成分は、1本120ml中、リン酸ジヒドロコデイン30mg、グアイフェネシン170mg(痰を薄める)、クロルフェニラミンマレイン酸12mg、無水カフェイン62mgとなっており、以前の商品と比較してだいぶ依存性の成分量は減ってきているようですが、やはり飲みすぎには注意が必要です。

特徴

咳や痰に効く成分が含まれている他、メントール配合(矯味剤)のシロップ剤で飲みやすくなっています。しかし、この飲みやすさが、錠剤よりもさらに多くの依存症患者を生んでいる原因でもあるのではないでしょうか…。

使用上の注意

もうすでに書いてきましたが、依存性には極めて注意が必要です。また薬の飲み合わせとして、同じ麻薬性鎮咳薬をいくつも服用したり、コデインの作用を強める抗ヒスタミン剤(抗アレルギー薬に多いです)を併用しないように気を付けましょう。眠気もあり、運転する方は注意が必要です。授乳中の方は内服を控えておきましょう。

購入方法

新ブロン液エースは第2類医薬品であり、通常は薬剤師の常駐する薬局、ドラッグストア、ドラッグストアの併設されたコンビニなどで購入することができます。ただし、現在、このお薬の購入は1回につき1本と規制されています。それはなぜでしょうか…?もうお分かりですよね。依存性があるからです。

子供用咳止めお薦めの市販薬は?

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子供の咳止めは必要?

大人でも咳止めを使うかどうか迷うくらいですので、子供の場合はなおさら本当に薬が必要なのかどうか、判断が分かれるところですね。もちろん、基本的に咳をとめても、病気そのものが治るわけではありませんので、本来は治療のためにどうしても必要なお薬ではありません。

ただ、子供が夜中中、ゴホゴホと咳をしていてうまく眠れないようであればかわいそうですよね。それに、子供の場合は、咳と共に吐いてしまうこともよくあります。また、大人以上に咳をするということで体力を消耗します。従って、軽い咳なら使う必要はありませんが、そこまで咳がひどいのであれば、やっぱり一時的には使ってあげてもかまわないと思います。

なお、お子さんの場合には、やはり麻薬性の鎮咳成分はあまりお勧めできません。ちなみに、小児科医が医療機関で処方する咳止めには、通常は麻薬性鎮咳成分の入っていないものを処方します。また、気管が細くつまりやすかったり、痰を排泄する働きがまだ弱かったりするので、鎮咳成分以外に去痰成分を配合してある方がよいと思います。

こどもパブロン咳止め液

1歳から内服できる咳止め薬です。子供用ですが、麻薬性のリン酸コデインが含まれています。それ以外にも、去痰成分であるブロムヘキシンとリゾチーム、気管支拡張作用のあるメチルエフェドリン、抗ヒスタミン成分のマレイン酸カルビノキサンと、様々な成分が配合されています。

子供の場合は大人が管理することが前提なので、依存症はないかもしれませんが、そんなに進んで飲ませたい気持ちにはなれないところです。リン酸コデインとマレイン酸カルビノキサンとダブルで眠気を誘うので、泣いてばかりいる子が寝てくれることは期待できるかもしれませんが…。

ムヒのこども咳止めシロップS

アンパンマンのパッケージで有名なこのシロップは、やはり麻薬性のリン酸ジヒドロコデインが含まれていますが、こどもパブロン咳止め液の半分量です。そのためか、このお薬は、生後3ヶ月未満には使用できないようになっていますが、逆に言うと3ヶ月以上には使えてしまう薬です。

また、その他に気管支拡張作用のあるメチルエフェドリン、抗ヒスタミン成分のクロルフェニラミンマレイン酸、痰の排出作用のあるグアイフェネシン、ナンテンジツ流エキスが含まれています。

キッズバファリン咳止めシロップS

こちらは生後3ヶ月未満には使用できませんが、3ヶ月~8歳までと比較的小さなお子さん向けのお薬のようです。鎮咳成分はデキストロメトルファンと非麻薬性です。また、グアイフェネシン、キキョウ流エキス、セネガ流エキスといった痰に作用する成分の他、気管支拡張作用のあるメチルエフェドリンと抗ヒスタミン剤のジフェンヒドラミンが入っています。

咳止め市販薬の副作用と注意点

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主な副作用

麻薬性鎮咳薬は、眠気や口の渇き、便秘の副作用があります。もちろん、先述したように、依存性の問題もありますが、この辺りについては添付文書には「過量服用、長期連用しないでください」と書いてあるくらいですね…。

市販薬の添付文書にはどのような副作用がどのくらいの割合で出ているのかという統計が書いていないですが、逆に言うと予想以上にいるのかもしれません。妊婦の方は服用は控え、もし服用しなければならないようであれば、非麻薬性鎮咳薬にした方がよいでしょう。

注意点

今回書いてきたのはあくまでも急に発症した咳への市販薬の効果のお話でした。従って、内服しても効かない、飲むのを止めるとまた咳が続いてしまうなど長期の咳の方は、市販薬を飲み続けるのはやめ、医療機関を受診するようにしましょう。

例えば、空咳がいつまでも続く方は、咳喘息かもしれません。咳喘息の場合は一般的な咳止めでは効きませんので、やはり医療機関を受診され、アレルギーに対応するお薬を処方してもらった方がよいと思います。

一般的に、市販薬よりも医療機関での処方薬の方が、効果も高く、費用も安く設定されています。無理してがんばるよりも、早めに受診して下さいね。

咳止めの市販薬は容量用法を守って!

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今回は、市販薬の咳止めの選び方でしたが、そもそも咳止めを内服することに大きなリスクもあることがご理解頂けたでしょうか?咳止めの危険性について、きちんと説明しているサイトもあまりないので、ぜひ参考にして頂ければ幸いです。そして、どうしても必要な時は、用量用法を守って、一時的な使用にして下さいね。