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髄膜炎ってどんな病気?後遺症が残る可能性があるって本当?15個の大人と子供の症状や原因などをタイプ別に解説!

髄膜炎とは、髄膜に炎症をきたす疾患です。髄膜は脳と脊髄を保護する役割をもつ膜で、その部位が炎症をきたす原因には細菌感染によるものと、ウイルスなどによるものがあります。前者は細菌性髄膜炎、後者は無菌性髄膜炎といい、後遺症が残るなど重症化しやすいのは細菌性髄膜炎です。髄膜炎の種類や原因、症状や後遺症、治療法や予防法など、髄膜炎に関する情報をまとめました!



髄膜炎とは

髄膜炎とは、脳と脊髄を覆う髄膜が炎症に炎症が及んだ病態をいいます。髄膜炎は大きく分けて、細菌に感染することで生じる「細菌性髄膜炎」と、ウイルスなどによる「無菌性髄膜炎」とがあります。

髄膜炎の初期症状は発熱や嘔吐などといったもので、風邪との区別がつきにくく、診断が難しいとされています。症状が進んでくるとけいれんや意識の消失をきたし、ときに知能障害や発達障害、難聴などの生涯に渡る重い後遺症が残ったり、死に至ることもある恐ろしい病気です。

髄膜炎の種類

無菌性髄膜炎

ウイルスなどによる髄膜炎を無菌性髄膜炎といいます。発熱、頭痛、嘔吐の3主徴があり、後部硬直などの髄膜刺激症状がある場合に診断がなされる髄膜炎です。ウイルス性髄膜炎とも呼ばれますが、ウイルス以外の病原体(真菌など)によっても引き起こされることがあります。

原因となるウイルスは、エンテロウイルス属が全体の約80%を占めています。そのため、エンテロウイルスによる感染症が流行する夏から秋にかけて多くみられるのが特徴です。

細菌性髄膜炎と比較すると、経過は良好とされています。比較的年長の幼児や学童に多くみられます。

細菌性髄膜炎

細菌性髄膜炎の原因となる主な菌は、ヒブ(約60%)と肺炎球菌(約30%)です。どちらも普段から鼻や喉の奥に存在する菌ですが、通常であれば害を及ぼすことはありません。しかし免疫力が低い小児や高齢者などでは、感染症を発症してしまうことがあります。細菌が血中に入り込み髄膜に感染が及ぶと、細菌性髄膜炎を引き起こします。

ヒブと肺炎球菌の他に髄膜炎をきたす原因菌は、B群レンサ球菌、黄色ブドウ球菌、髄膜炎菌、大腸菌、リステリア菌などです。中でも髄膜炎菌によって引き起こされる髄膜炎は「髄膜炎菌性髄膜炎」と呼ばれ、日本での発症数は少ないものの、他の細菌と比較すると感染力が強く「流行性髄膜炎」とも呼ばれています。また症状が急激に進行する劇症型髄膜炎となりやすく、発症後2日以内に5~10%が死に至るといわれています。

無菌性髄膜炎になる主な原因

エンテロウイルス

無菌性髄膜炎の原因となるウイルスとして最も多いのがエンテロウイルス属で、全体の約8割を占めるとされています。エンテロウイルスは夏風邪の代表ウイルスとして挙げられるウイルスで、手足口病やヘルパンギーナを起こすウイルスはエンテロウイルスに属します。

エンテロウイルスの感染経路は、糞口感染(感染者の便中に含まれるウイルスが口に入ることで感染する)と、飛沫感染(感染者の咳やくしゃみで飛沫したウイルスを吸い込むことで感染する)です。流行時期は、例年5月頃からみられはじめ、7月にピークとなります。潜伏期間は4~6日とされています。年齢は0歳が最も多く、全体をみると乳幼児が多くなっています。

エンテロウイルスによる髄膜炎は発熱、頭痛、嘔吐が主症状ですが、髄膜炎と気づかれないうちに治ることも多いといわれています。予後は一般的に良好とされています。

ムンプスウイルス

ムンプスウイルスは、流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)の原因となるウイルスです。流行性耳下腺炎の合併症として、無菌性髄膜炎を引き起こすことがあります。

ムンプスウイルスの感染経路は、飛沫感染や接触感染(感染者の唾液などに含まれるウイルスが口に入ることで感染する)です。年間を通して流行しますが、特に冬から春にかけてが多いようです。潜伏期間はおよそ2~3週間で、好発年齢は5~10歳とされています。

ムンプスウイルスによる髄膜炎では、耳下腺が腫れてから3~10日後に発症します。流行性耳下腺炎を発症後、高熱、頭痛、嘔吐の症状がみられたら髄膜炎が疑われます。髄膜炎を合併する頻度は、おたふくかぜ全体の2~10%とされています。予後は良好で、ほとんどが2週間程度で後遺症なく完治するとされています。

ヘルペスウイルス

ヘルペスウイルスには8つの種類があることが知られており、口唇ヘルペス、性器ヘルペス、水ぼうそうや帯状疱疹、突発性発疹など、ヘルペスウイルスの種類によって生じる症状はさまざまであるということです。ヘルペスウイルスの中では、性器ヘルペスの原因として知られる

単純ヘルペス2型(HSV2)が、脊髄炎や髄膜炎になりやすいとされています。

実はこのヘルペスウィルスというのは私たちのほとんどが持っているウィルスでもあるんですよ。というのは、子供の頃に水ぼうそうにかかったことのある人の体には、一生ヘルペスウィルスが住みついているからなんです。だから、口唇ヘルペスや帯状疱疹は、水ぼうそう経験者ならだれでも起こりうるという訳なんです。

マイコプラズマ

気管支炎や肺炎の原因として知られるマイコプラズマですが、ときに髄膜炎や脳炎などを引き起こすこともあります。さらに喘息やリウマチ性疾患、アレルギー性疾患などの炎症性慢性疾患にも移行することがあるとされており、マイコプラズマに感染した人の25%が、肺以外の症状を呈するとされています。

マイコプラズマはそれらの多様な経過と病状を呈することも恐れられていますが、近年では従来は効果がみられた抗生剤に対して耐性をもった耐性菌が多く出現していることも問題視されています。

インフルエンザウイルス

冬季に毎年流行の兆しを見せるインフルエンザですが、その原因であるインフルエンザウイルスもまた髄膜炎の合併症を引き起こすことがあります。インフルエンザを発症したあと、高熱がなかなか下がらず頭痛、嘔吐などの症状がみられたら髄膜炎が疑われます。

髄膜炎であれば後遺症が残る可能性は低いですが、インフルエンザは脳症の合併症を引き起こすことがあるため注意が必要です。インフルエンザ脳症はインフルエンザの合併症の中では最も重篤なもので、死亡率は約30%、後遺症も約25%にみられるとされています。

細菌性髄膜炎になる主な原因菌

新生児~生後3カ月乳児の場合

新生児~生後3カ月乳児における細菌性髄膜炎は、B群レンサ球菌、大腸菌、黄色ブドウ球菌、リステリア菌などの原因菌によって生じます。

細菌性髄膜炎の感染経路の多くは飛沫感染で、原因菌が気道から侵入し、血中に入り込んで髄膜に到達するのが一般的です。しかし新生児のB群レンサ球菌感染症の場合には、産道感染によるものである可能性も考えられます(後述の新生児髄膜炎を参照してください)。

生後3カ月以降の乳児~幼児の場合

生後3カ月以降の乳児~幼児では、インフルエンザ菌(ほとんどがヒブ)、肺炎球菌、黄色ブドウ球菌などが主な原因菌となります。

年長児~青年の場合

年長児~青年期では、肺炎球菌、インフルエンザ菌、髄膜炎菌が細菌性髄膜炎の主な原因菌です。

成人の場合

成人の場合は、肺炎球菌、髄膜炎菌などが多いとされています。

高齢者(50歳以上)の場合

高齢者(50 歳以上)では、肺炎球菌、グラム陰性桿菌、リステリア菌が多くなっています。

特に肺炎の原因菌として広く知られる肺炎球菌は、免疫機能が低下してくる65歳以上では重症化しやすく、高齢になるほど致死率も高くなっています。

大人に見られる症状

髄膜炎の初期症状は風邪と区別がつきにくく、血液検査でもあまり変化がみられないことがあります。そのためある程度病状が進んでしまってから発見されることが少なくありません。

発熱

髄膜炎は炎症性疾患であるため、通常は38度以上の発熱を伴います。しかし高齢者では38度以上の発熱が認められないケースもあります。

頭痛

年長の小児以降では、頭痛も髄膜炎の主徴のひとつです。頭痛は髄膜刺激症状の中では最も早期に出現するものであり、また高い頻度で認められる症状です。

頭痛は後頭部や前頭部など一部に限局することもありますが、多くの場合頭全体の痛みを感じます。持続性、または拍動性の痛みを生じます。頭を振ったり、下を向いたり、体を動かすことによって頭痛は増強する傾向にあります。頭痛の症状は、髄膜炎の軽快とともに消失します。

項部硬直

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項部硬直とは、髄膜炎でみられる髄膜刺激症状です。仰向けに寝転がって頭部を前方に屈曲させたとき(うつむくような姿勢)、通常では下顎が前胸部に接するまで曲げることができますが、項部硬直では首の後ろの筋肉緊張がみられ、下顎を前胸部につけることが難しくなります。頭部の前屈には強い抵抗がみられますが、左右への屈曲や回転では抵抗がないことが特徴です。

項部硬直は髄膜炎の代表的な症状とされていますが、高齢者では約半数が項部硬直の症状がみられないとされています。

嘔吐

髄膜炎では嘔吐を伴うことも多いとされています。

上気道感染症状

成人では髄膜炎症状に先行して、鼻水、くしゃみ、鼻づまり、喉の痛みなどの上気道感染症状を伴うケースもあります。

意識障害

興奮、せん妄、錯乱、昏迷、傾眠、昏睡などさまざまなレベルの意識障害を伴うことがあります。特に高齢者では頭痛や項部硬直はおよそ半数にしかみられず、発熱と意識障害のみが症状としてみられることも少なくありません。

光・音を嫌がる(羞明・音恐怖)

髄膜炎では羞明(しゅうめい)を伴うことがあります。羞明とはまぶしさを過剰に感じてしまう状態のことをいい、通常量の光下にあっても強いまぶしさを感じ、ときに目を開けていられないような不快感や痛みを生じます。

また、音に対して過敏となる聴覚過敏となることもあります。

けいれん

けいれんは肺炎球菌による髄膜炎で多いとされています。

小児に見られる主な初期症状

髄膜炎の診断は髄液検査で行われます。しかし髄膜炎の初期症状は風邪に似ていて、何かしら髄膜炎を疑う症状がなければ髄液検査は行われません。なぜなら髄液検査は背骨と背骨の間に針を刺し、脊髄液を採取するという侵襲のある検査だからです。そのため、入院設備のない開業医で行われることはまずないと考えられます。そうしたことも、髄膜炎が初期の段階で診断されにくい大きな理由です。

乳幼児は言葉で不調を訴えることができませんから、髄膜炎の症状に周囲の大人が気づく必要があります。しかし2歳未満の小児では髄膜刺激徴候を伴わないことも少なくなく、髄膜炎の症状や徴候は非特異的であるため注意が必要です。

体温の上昇または低下

乳児および幼児では、発熱だけとは限らず逆に体温が低下することもあります。

嘔吐

成人と同じく、小児でも嘔吐の症状がみられることが多いです。嘔吐が続く場合小児ではより

脱水をきたしやすく、補液などの加療が必要となります。

哺乳力低下

髄膜炎に限らず、言葉で不調を訴えることのできない乳幼児にとって、哺乳力の低下は不調を示す大きなサインとなります。ママはお子さんの哺乳量を常に把握しておくようにしましょう。

不機嫌

乳児、幼児の機嫌が悪いことも異常を早く知る手段です。乳幼児は熱が高くても比較的機嫌がよいことが多いですが、不機嫌な状態が続く場合は何かしら痛みや不調があることを疑った方がよいでしょう。

けいれん

髄膜炎では中枢性のけいれんを生じます。2~3日発熱が続いてからけいれんを起こした場合は、髄膜炎や脳炎によるけいれんを疑う必要があります。けいれんを止める処置が必要になりますので、速やかに医療機関を受診しましょう。1時間以上けいれんが続くと、脳に後遺症を残すリスクが高まるとされています。

小児のけいれんで代表的なものには熱性けいれんがありますが、これは熱のあがり際や熱が上がった直後にけいれんを起こすものです。けいれんを起こしてはじめて、熱があることに気がつくというケースも多いです。熱性けいれんの場合は数分で治まることが多く、脳に影響を及ぼすことは非常に稀とされています。けいれんが長引いたり、何度も繰り返すようであれば、熱性けいれんではない可能性が高まります。

不活発(嗜眠)

いつもより元気がなくぐったりすることがあります。髄膜炎による意識障害の可能性もありますし、脱水によるものかもしれません。いずれにせよ活気がないように感じられた場合は、医療機関を受診するようにしましょう。

泣き声の変化

甲高く泣く、泣き声が弱いなど、泣き声の変化にも注意しましょう。

髄膜炎の治療

対症療法(無菌性髄膜炎)

無菌性髄膜炎では、主に入院加療の上で対症療法がとられます。補液により脱水の予防・治療をしつつ、発熱や頭痛、嘔吐などの症状を緩和させるための治療がなされます。無菌性髄膜炎と診断されたあとも、入院中は細菌感染による髄膜炎である可能性を念頭に置き、注意深く経過の観察をする必要があります。

無菌性髄膜炎の原因として最も多いエンテロウイルスの髄膜炎では、一般に予後は良好とされています。また結核菌やリケッチアなどによる髄膜炎でも、適切な治療が早期に行われれば予後は良好なことが多いようです。しかし生後数カ月の乳児の場合、精神発達遅滞などの後遺症が残ることもあり、症状が軽快したあとも継続的な観察が必要となります。

抗生剤など(細菌性髄膜炎)

腰椎穿刺で髄液検査を行い、髄液の中に細菌が検出されれば細菌性髄膜炎と診断されます。細菌性髄膜炎の疑いがある場合、ただちに抗生剤を静脈内に投与する治療が必要です。感染菌に効果があるとされる抗生剤が選択されます。

しかし髄液や脳は体の深部にあるため、抗生剤がうまく届きにくいとされています。また近年では、薬剤に耐性をもった耐性菌の出現が問題視されており、本来は効くはずの抗生剤の効果が十分に発揮されないケースが増加傾向にあります。

細菌性髄膜炎の後遺症

成人の場合、細菌性髄膜炎の致死率は20%前後で、生存者の約30%に後遺症が残るとされています。

一方小児の場合、致死率は5%以下で、後遺症の率は15%前後とされています。しかしヒブによる髄膜炎では脳の後遺症が20%程度、肺炎球菌によるものは20~30%といわれています。

一見後遺症がないように見えても、年数が経つと知能障害が目立つようになってくることもあります。

知能の発育に障害が現れることがある

一見して後遺症なく髄膜炎が治ったようにみえても、その後に発達障害や知的障害が発覚するケースもあります。そのため、治癒後も継続的な観察とフォローが必要となります。

聴覚に異常が現れることがある

細菌性髄膜炎の後遺症として最も多くみられるのが感音性難聴で、14%程度となっています。特に肺炎球菌による髄膜炎では約30%に後遺症が残り、難聴は20%を占めます。

神経系に障害をきたすことがある

脳神経麻痺、痙性麻痺などが後遺症として残存することがあります。また細菌性髄膜炎の回復後に認知機能障害が生じるケースが少なくなく、肺炎球菌による髄膜炎の回復患者のうち、27%に認知機能低下がみられたという報告もあります。

てんかんが起こることがある

成人の髄膜炎の後遺症として、けいれんが残ることがあります。小児では、髄膜炎の治癒後もてんかん発作としてけいれんが生じることがあります。

頭位の拡大が見られることがある

小児の場合、脳室に髄液が溜まってしまうことがあり、進行すると頭位の拡大がみられることがあります。このことを水頭症と呼んでいます。髄膜の炎症によって髄液吸収障害をきたし、髄液が吸収されずに脳室に貯留していった結果、引き起こされるものです。

髄膜炎の予防

髄膜炎は後遺症を残す確率も高く、致死率も決して低くはない恐ろしい病気です。劇症型と呼ばれるものでは、熱が出てから1日足らずで死亡に至ることもあります。最善の治療を施しても、ヒブでは約3~5%、肺炎球菌では約7~10%が死に至ります。そのように恐ろしい髄膜炎ですから、かかりたくない、かからせたくない病気であることは確かです。出来得る限りの予防法を実施し、可能な範囲で予防を心がけたいものです。

乳幼児は早期にワクチン接種

細菌髄膜炎の原因はヒブと肺炎球菌で約9割を占めます。いずれの菌もワクチンが有効ですので、乳幼児はヒブワクチンと小児用肺炎球菌ワクチンを接種することが大切です。ワクチンは、ワクチンを接種した本人が髄膜炎の発症を予防することができるのは勿論のこと、ワクチン接種を受けていない対象者も細菌性髄膜炎から守ることができます。

現在では日本を含め、先進国のほとんどの国がこれら2つのワクチンを定期接種に定めています。定期接種とは、「予防接種法」に基づいて自治体が実施する予防接種をいいます。ワクチンが接種できる月齢、年齢になったら、必ず接種するようにしましょう。

■乳児

ヒブワクチン、小児用肺炎球菌ワクチンのどちらも生後2カ月から接種できます。生後2カ月から接種スケジュールを立てた場合、3回接種+1歳で1回の追加接種となります。現在は同時接種が推奨されているようです。1回目の接種の月齢が生後7カ月以降になると接種できる回数が減ってしまいますので、早い段階で接種スケジュールを立てて、しっかりとワクチン接種を受けるようにしましょう。

■高齢者

肺炎球菌ワクチンの接種対象者が定められています。その年度の接種対象者は、4月1日から翌年の3月31日まで定期接種を受けることができます。

日常生活では手洗い、うがいをする

手洗いは細菌やウイルスによる感染症予防の基本です。細菌やウイルスなどの病原菌は、多くの場合手を介して体内に侵入することが多いためです。

ドアノブや電車のつり革など、不特定多数の人が触れる場所には細菌やウイルスも多量に付着しており、それらに触れた手で自分の目や鼻、口に触ったり食事をとったりすることで、病原菌が体内へと侵入します。手に病原菌が付着しないようにすることは困難ですから、手についた病原菌を手洗いによって洗い流すことが大切と言えるのです。

またうがいも、感染予防にはとても重要です。空気中に浮遊している細菌やウイルスを吸い込んでしまうことは仕方のないことですが、口の中や喉に付着した病原菌をうがいによってある程度洗い流すことはできます。

感染予防の基本である手洗いやうがいを、日常生活の中で徹底するようにしましょう。家庭、学校、職場などにおいて全員がそれらを徹底することで、感染の拡大を防ぐことができます。

新生児髄膜炎について

新生児期の髄膜炎では、細菌性髄膜炎を起こした新生児のうち約30%は死亡に至っています。

正期産児では2/10,000、低出生体重児では2/1,000の頻度で生じているものです。

原因

B群レンサ球菌、大腸菌、リステリア菌の3つで新生児髄膜炎の75%を占めるとされています。その他には、腸球菌、非腸球菌性D群レンサ球菌、α溶血性レンサ球菌、グラム陰性腸内細菌、インフルエンザ菌b型、髄膜炎菌、肺炎球菌なども原因菌として報告されています。

感染の機序

新生児の髄膜炎は、新生児敗血症による菌血症からもたらされるケースが多いとされています。新生児敗血症の原因としては、出生前18時間以上前に生じた前期破水、前置胎盤や胎盤早期剥離による母体の出血、妊娠高血圧症候群、急遂分娩、母体感染などの産科的合併症によって生じるリスクが高まるものです。

症状の現れ方

新生児敗血症の徴候として、体温調節障害、呼吸窮迫、黄疸、無呼吸などの症状が現れます。同時に、嗜眠、けいれん、嘔吐、過敏性などの中枢神経系の徴候が現れます。泉門の膨隆は約25%、項部硬直は15%にみられるとされています。また、脳神経障害がます。

B群レンサ球菌による髄膜炎では、生後1週間以内に早発型新生児敗血症に伴う肺炎性疾患に合併する形で現れることがあります。通常のB群レンサ球菌髄膜炎では、この期間より後、生後3カ月以内に、産科合併症を伴わない形で、単独疾患として生じます。その場合、発熱、嗜眠、けいれんといった、より髄膜炎の特異的徴候が現れやすい傾向にあります。

検査と診断

診断は腰椎穿刺による髄液検査によって行われます。しかし新生児への腰椎穿刺は侵襲が大きく実施が難しいため、実施できる医療機関は限られます。特に呼吸状態が悪い、ショック状態にある、血小板が減少しているなど、新生児の状態が悪い場合には腰椎穿刺はリスクが高いとされています。

治療法

抗生剤による治療が行われます。早発型敗血症などで先に抗生剤を投与している新生児では、耐性菌をもっていることがあります。

新生児髄膜炎を発症した場合、生後2年間は神経学的合併症に注意が必要であるため、経過観察が必要となります。

合併症・後遺症

治療を行なわなかった場合、新生児髄膜炎の致死率は100%に近いとされています。適切な治療が施された場合でも、グラム陰性菌による新生児髄膜炎の死亡率は20~30%、グラム陽性菌による新生児髄膜炎の死亡率は10~20%とされています。血管炎、壊死性髄膜炎を生じる菌では、死亡率が70%にのぼるものもあるとされています。

B群レンサ球菌による髄膜炎では、通常のものより早発型新生児敗血症に伴うもののほうが死亡率が高くなっています。

生存した新生児のうち、水頭症、難聴、精神遅滞などの神経学的後遺症は20~50%に生じるとされており、特にグラム陰性の腸内桿菌が原因となっているケースでは予後不良とされています。

髄膜炎に関するガイドライン

細菌性髄膜炎診療ガイドライン 2014

2014年時点での日本における細菌性髄膜炎の診断、および治療水準の向上を目的に作成された「細菌性髄膜炎診療ガイドライン 2014」は、細菌性髄膜炎の「疫学的現況」「転帰・後遺症」「症状・症候」「検査」「起炎菌の遺伝子診断」「鑑別診断」「治療」「発症予防」をまとめたガイドラインです。

参考:細菌性髄膜炎診察ガイドライン

まとめ

髄膜炎は細菌感染による細菌性髄膜炎と、ウイルスなどによる無菌性髄膜炎にわけられます。特に重症となりやすいのが細菌性髄膜炎で、適切な治療を受けても後遺症を残すことも珍しくなく、最悪の場合命を落とすこともあります。特に乳幼児と高齢者では注意が必要です。

髄膜炎の初期症状は風邪と似ているため、初期の段階では診断が難しいとされています。髄膜炎の代表的な症状は発熱、頭痛、嘔吐、項部硬直などです。それらの症状がみられたら、速やかに医療機関を受診しましょう。

乳幼児では症状を訴えることができず、また定型的な症状を示さないケースも多いため、更に診断が難しくなります。そのため、周囲の大人が些細な異常に気付いてあげなければなりません。いつもと様子が異なるようなことがあれば、早めに受診するようにしましょう。