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プロプラノロールってどんな薬?乳児血管腫や片頭痛などの効果のある3つの病気や添付文書を参考に禁忌・作用などを紹介

プロプラノロールは、高血圧、狭心症、不整脈や片頭痛、さらには、乳児血管腫とよばれる病気にいたるまで広範囲に利用されている薬です。プロプラノロールはどんな薬で、効能・効果はどうか、副作用にはどんな症状が心配されるのか、併用してはいけない薬はどんなものか、妊婦・高齢者など使ってはいけない人はいるのか、など詳しく解説したいと思います。



プロプラノロールの作用と副作用

プロプラノロールは、高血圧、狭心症、不整脈や片頭痛、さらには、乳児血管腫とよばれる病気にいたるまで広範囲に利用されている薬です。プロプラノロールはどんな薬で、効能・効果はどうか、副作用にはどんな症状が心配されるのか、併用してはいけない薬はどんなものか、妊婦・高齢者など使ってはいけない人はいるのか、など詳しく解説したいと思います。

あなたや身近な人がプロプラノロールを使う場合の一助に、この記事がなれば幸いです。(薬の使用に際しては、医師、薬剤師の指示に従い、また、少しでも気になることや不安があれば、すぐに受診して医師に相談するこえをお勧めします。)

プロプラノロールについて

プロプラノロールとは

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プロプラノロールは、高血圧、狭心症、不整脈の治療や、片頭痛の予防に使われるとされます。β受容体遮断作用と呼ばれる作用により血圧を低下させ、心拍数を下げて狭心症の発作を予防し、頻脈性の不整脈を抑制するとされています。

プロプラノロールは、患者向医薬品ガイドによれば「本態性高血圧症(軽症~中等症)、狭心症、褐色細胞腫手術時、期外収縮(上室性、心室性)、発作性頻拍の予防、頻拍性心房細動(徐脈効果)、洞性頻脈、新鮮心房細動、発作性心房細動の予防、片頭痛発作の発症抑制、右心室流出路狭窄による低酸素発作の発症」これらの治療に処方されるされます。

なお、プロプラノロールは塩基性薬物です。塩基性薬物は、溶液のpH値が高いと吸収されやすく排泄されにくいとされています。(反対の性質を薬剤が酸性薬で、溶液のpH値が低いと吸収されやすく排泄されにくいとされます。)

プロプラノロールの構造

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プロプラノールの構造は「アリールオキシアミノアルコール構造を持つアドレナリンβ受容体拮抗薬(べーたじゅようたいきっこうやく)」とされています。※図はプロプラノロールのインタビューフォームから

塩酸プロプラノロールとは

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塩酸プロプラノールは、一般名と呼ばれる名称です(プロプラノロール塩酸塩といいます)。

販売名は、インデラル錠、プロプラノロール塩酸塩錠、ソラシロール錠、プロプラノロール塩酸塩錠:ツルハラ、プロプラノロール塩酸塩徐放カプセル:サワイなどの商品があるようです。インデラル錠以外の販売名のくりすは後発医薬品(ジェネリック医薬品)です。

記憶とプロプラノロールの関係

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オランダの心理学者らによれば、プロプラノロールを健康な治験者が服用したところ、クモに対する恐怖の記憶が減退したとされます。プロプラノロールには、記憶を薄めてる効果があるかもしれず、将来的に不安障害や恐怖症などの治療に活用できるかもしれないと指摘されています。

代謝酵素とプロプラノロール

http://gty.im/100489383

プロプラノロールの添付文書には「3.相互作用 本剤は主として肝代謝酵素YP2D6,CYP1A2,CYP2C19で代謝される。」と記載されています。体内に投与された薬物は主に肝臓で代謝され、違う構造の化合物に変換されます。この反応を担っているのが薬物代謝酵素です。

薬物代謝酵素の中でもシトクロムP450 (Cytochrome P450:CYP) は臨床で使用されている薬の約70%を代謝する主要な第I相薬物代謝酵素とされています。薬の代謝反応には、脂溶性が高く組織に移行しやすい薬を水溶性の化合物に変換して尿や糞へ排泄されやすくする役割と、薬効を減弱したり増強したりする役割があります。

代謝反応により、毒性代謝物が産生されることもあるとされています。また薬の代謝が原因で、薬物相互作用、薬効の個人差や人種差、副作用や毒性の個人差などが引き起こされます。この代謝酵素を知ることで薬の併用など注意点を知ることができます。

例えば、良く言われるグレープフルーツジュースと薬の飲み合わせについては、カルシウム拮抗剤などでグレープフルーツ果汁が併用されることにより、CYP3A4という代謝酵素の活性が阻害されるため薬物の代謝が遅れることによるとの指摘があるようです。

イソプロテレノールとの関係

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イソプラテレノールは、プロプラノロールとは逆の作用をするβ刺激剤とされています。どちらがどちらか薬学の勉強されている方にはややこしいので、こんな語呂合わせがあるようです。

プロプラノロールは脈をのろく(ノロく)するからβ遮断剤で、イソプロテレノールは脈が急ぐ(イソぐ)からβ刺激剤。

アトロピンとの関係

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プロプラノロールを飲み過ぎた場合や効き方が強すぎた場合に、脈が弱くなりすぎた際の対処としてアトロピンを使う方法があるとされます。プロプラノロールの添付文書には8.過剰投与として「過度の徐脈をきたした場合には、まずアトロピン硫酸塩水和物(1~2mg)を静注し、更に必要に応じてβ1刺激剤であるドブタミン(毎分2.5~10μg/kgを静注)を投与する。」とされています。

プロプラノロールの作用

狭心症や不整脈治療薬

http://gty.im/707438773

患者向医薬品ガイドには「β受容体遮断作用と呼ばれる作用により血圧を低下させ、心拍数を下げて狭心症の発作を予防し、頻脈性の不整脈を抑制します」とあります。心臓ではβ受容体刺激は、心拍数と収縮力増大、房室結節(ぼうしつけっせつ)での興奮伝導促進に働いているとされています。

プロプラノロールのβ受容体遮断作用によって、心拍数および心収縮力を低下させ、心筋の酸素消費量を減少させるように働きます。この働きが交感神経興奮により心筋の酸素消費が高まっている状況下で生じる労作狭心症(ろうさくきょうしんしょう)の治療に有効であるとされます。

また、心臓の房室結節(ぼうしつけっせつ)での興奮性を低下させるため、心房細動(しんぼうさいどう)、心房粗動(しんぞうそぼう)、発作性上室性頻拍(ほっさせいじょうしつせいひんぱく)などの不整脈に対して効果を示すと指摘されています。

乳児血管腫

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乳児血管腫(にゅうじけっかんしゅ)は鮮明な紅いあざが苺状に膨らむことが多いため、苺状血管腫(いちごじょうけっかんしゅ)として知られている疾患です。乳幼児に最も高い頻度で発症する良性腫瘍で、日本人の発症率は 1%前後とされています。

生後1~4週に血管腫が出現し、1 歳くらいをピークに最大化して5~7歳くらいまでに90%以上が症状が事前になくなるとされています。多くは経過観察となりますが、目や気道付近など、発症部位により生命および機能に影響を及ぼす場合があると指摘されています。

2008年に海外の科学雑誌に乳児血管腫に対して、プロプラノロールの効果が報告されて小児用のシロップ剤が開発され2014年以降、米国、ヨーロッパ、オーストラリアなど34か国で承認されているとされています。

片頭痛

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プロプラノロールは、月に2回以上の頭痛発作がある場合に、1カ月あたりの発作回数を減少させることが期待できるとされています。欧米のガイドラインでもプロプラノロールは片頭痛予防薬の第1選択薬のひとつとして推奨されている、とされています。

急性期治療のみでは日常生活に支障がある場合や急性期治療薬が使用できない場合、永続的な神経障害をきたすおそれのある特殊な片頭痛には、プロプラノロールによる予防療法を行なうよう勧めらとされています。

ただし、片頭痛予防薬として使用する場合には、同じく片頭痛の治療薬として使用される安息香酸(あんそくこうさん)リザトリプタンとの併用が禁忌(きんき)であることに特に注意が必要でとされています。

プロプラノロールの副作用

だるい・めまい・ふらつき

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プロプラノロールの副作用について見て行きましょう。

患者向医薬品ガイドには以下のとおり記載があります。

うっ血性心不全(またはその悪化):からだがだるい、全身のむくみ、吐き気、息苦しい、動くときのの息切れ

さらに「めまい、ふらつきがあらわれることがあります。特に飲み始めは、高いところでの作業や自動車の運転等危険を伴う機械の作業に注意してください。」とありますので、仕事上、どうしても車の運転が必要な場合などは医師にそのことを必ず申告して、服用に際しては充分に注意が必要と思われます。

徐脈・低血圧

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患者向医薬品ガイドには以下のとおり記載があります。

徐脈(じょみゃく):めまい、意識の低下、考えがまとまらない、息切れ、脈がとぶ、脈が遅くなる、判断力の低下

失神を伴う起立性低血圧(きりつせいていけつあつ):気を失う、立ちくらみ、めまいまた添付文書には、禁忌(次の患者には投与しないこと)として「低血圧症の患者[心機能を抑制し、症状が悪化するおそれがある。]」とされています。さらに「投与は少量より開始し、長期投与の場合は心機能検査(脈拍・血圧・心電図・X線等)を定期的に行うこと。特に徐脈になったとき及び低血圧を起こした場合には減量又は中止すること。」とされます。医師の指示どおりに服用して、定期的に検査を受けるなどが必要と思われます。

手足の冷え・しびれ感

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患者向医薬品ガイドには、以下の記載があります。

末梢性虚血(まっしょうせいきょけつ:レイノー様(よう)症状等):からだがだるい、顔が青白くなる、息苦しい、手足が冷たい、手・足の指先が白~紫色になりやがて赤くなる、手・足の指先の痛み、手足のかゆみ添付文書でも重大な副作用として「うっ血性心不全(又はその悪化),徐脈,末梢性虚血(レイノー様症状等),房室ブロック,失神を伴う起立性低血圧」とされています。

これらの症状があらわれた場合は、すぐに医師と相談することが重要と思われます。

目の乾燥

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また、発生頻度が不明な副作用として、眼に「視力異常、霧視(むし:かすみめ)、涙液分泌減少(るいえきぶんぴげんしょう:ドライアイ)」などが挙げられており、「このような症状があらわれた場合には、投与を中止すること。[角膜潰瘍(かくまくかいよう)等の重篤な合併症を防止するため]」とされます。

眼がゴロゴロする、しょぼつくなどの症状を感じたら、医師に相談して対処するようにしましょう。

プロプラノロールの禁忌

心不全や喘息の患者

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プロプラノロールの添付文書には、禁忌(次の患者には投与しないこと)として、以下の記載があります。

「肺高血圧による右心不全(うしんふぜん)のある患者[心機能を抑制し、症状が悪化するおそれがある。]」

「うっ血性心不全のある患者[心機能を抑制し、症状が悪化するおそれがある。]」

肺高血圧とは心臓から肺に血液を送る肺動脈が細くなり、血液が通りにくくなって持続的に肺動脈の血圧が高くなる病態のことを言うとされています。心臓の右心房(うしんぼう)を含む右心系の機能が障害された状態を右心不全といい、全身の血液の循環に障害がでてきます。

肺高血圧になると、肺動脈に血液が流れにくくなり、そこに血液を送り込んでいる心臓の右心室(うしんしつ)は心筋を肥大させて血液を送り出すように変化します。しかし、右心室はもともと高い圧力に耐えられるようにできていないため、このような負荷のかかった状態が続くと、心筋の収縮力は低下し、右心室は拡がったまま戻らなくなり、このような状態を右心不全というとされています。

右心室が拡張して働きが悪くなると、中心静脈圧(ちゅうしんじょうみゃくあつ)が上昇して全身のうっ血が起こります。その結果食欲がなくなったり、顔面や下肢(かし)のむくみが生じたり、肝臓(かんぞう)が大きくなり右上腹部が痛むなどの症状があらわれるとされています。

その他、使用禁忌として、過敏症、気管支喘息、気管支痙攣(けいれん)、糖尿病性ケトアシドーシス、代謝性アシドーシス、低血圧症、その他が指摘されています。病歴がある場合は医師に相談してから服用することが重要と思われます。

レイノー症状のある人

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レイノー(様)症状とは、どのようなものでしょうか。寒冷刺激や精神的緊張によって、手足の末梢の小動脈が発作的に収縮し血液の流れが悪くなり、手や足の指の皮膚の色が蒼白、暗紫になることを言うとされています。冷感、シビレ感、痛みを伴うこともありようです。血流が回復すると逆に充血し赤くなるとされています。

膠原病(こうげんびょう)が原因で良く起こるとされています。プロプラノロールの添付文書によれば、慎重投与(次の患者には慎重に投与すること)として「 重度でない末梢循環障害のある患者(レイノー症候群、間欠性跛行症(かんけつせいはこうしょう)等)[症状が悪化するおそれがある。]」とありますので、過去にそのような症状があった場合は、必ず医師に申告するようにすることが重要でしょう。

妊娠中の人

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添付文書では特に、妊婦、産婦、授乳婦等への投与として

「(1)妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、緊急やむを得ない場合以外は投与しないことが望ましい。[妊娠中の投与により新生児の発育遅延、血糖値低下、呼吸抑制が認められたとの報告があり、また、動物実験で胎仔(たいじ)に対して、母体より長時間β遮断作用を示すことが報告されている。](2)投与中は授乳を避けさせること。[母乳中へ移行することが報告されている。]」

とされていますので、使用に際しては医師に確認することが必要でしょう。

服用を注意する人

持病やアレルギー持ちの人

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添付文書には、使用禁忌として、過敏症(アレルギー症状)、気管支喘息、気管支痙攣(けいれん)、糖尿病性ケトアシドーシス、代謝性アシドーシス、低血圧症、その他が指摘されています。現在、持病がある人や、過去に病歴がある場合は医師に相談してから服用することが重要と思われます。

糖尿病の人

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添付文書には、慎重投与(次の患者には慎重に投与すること)として「特発性低血糖症、コントロール不十分な糖尿病、絶食状態(手術前後等)の患者[低血糖症状を起こしやすく、かつ、その症状をマスクしやすいので血糖値に注意すること。]」とあります。

プロプラノロールのようなβ遮断剤は、血糖降下作用を増強するとされていますので、このような症状や治療を行っている人は充分に注意し、医師に申告することが必要でしょう。

高齢者

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添付文書では、特に高齢者への投与として「高齢者には,次の点に注意し,少量から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。

(1)高齢者では一般に過度の降圧は好ましくないとされている。[脳梗塞等が起こるおそれがある。]

(2)休薬を要する場合は徐々に減量する。」とされています。

重要な基本的注意として「本剤使用中の狭心症の患者で急に投与を中止したとき、症状が悪化したり、心筋梗塞を起こした症例が報告されているので、休薬を要する場合は徐々に減量し、観察を十分に行うこと。また、患者に医師の指示なしに服薬を中止しないよう注意すること。

狭心症以外の適用、例えば不整脈で投与する場合でも特に高齢者においては同様の注意をすること。」とされます。

服用に際しても、また、中止に際しても注意が必要ですので、医師の指示のもと正しく服用することが重要と考えられます。

まとめ

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プロプラノロールの効果・効能や副作用について見てきました。高血圧、狭心症、不整脈の治療や、片頭痛の治療にも効果があるとされる反面、心不全、徐脈、低血圧、手足の冷え、しびれ、目の乾燥におよぶ副作用も指摘されています。

どんな薬にも副作用は必ず存在します。妊婦、高齢者などで服用する必要がある場合は特に注意が必要です。また、持病がある方なども要注意ですので、医師に正しく申告して、納得が行くまで説明をしてもらい正しく使用してください。