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細菌性胃腸炎ってどんな病気?冬に感染しやすい?食事や制吐薬などの7つの治療法とサルモネラ菌などの4つの細菌を紹介

細菌性胃腸炎とは、細菌が原因となって引き起こされる胃腸炎のことです。この胃腸炎の原因となる細菌が悪さをするとどんな症状が出るのでしょうか。細菌性胃腸炎は治療や予防法が確立されているため、詳しくご紹介します!



細菌性胃腸炎について

細菌性胃腸炎は感染性胃腸炎のうちの1つです。

感染性胃腸炎は、一般的に夏場によく起こる「細菌性胃腸炎」と、冬場に流行しやすい「ウイルス性胃腸炎」の2つに分けることができます。細菌性胃腸炎はサルモネラ菌、カンピロバクター、腸炎ビブリオなど、細菌によって起こる胃腸炎で、「食中毒」とも呼ばれています。一方ウイルス性胃腸炎は、アデノウイルス、ロタウイルス、ノロウイルスなどのウイルスが原因となる胃腸炎で、「嘔吐下痢症」とも呼ばれています。

今回はこのうち細菌性胃腸炎について、詳しくご紹介していきます。

細菌性胃腸炎の原因と経路

細菌感染が原因

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細菌性胃腸炎は、細菌が原因となってひきおこされる胃腸炎です。これらの原因となる細菌は、夏場に活動性が高まり繁殖力が増します。そのため生卵や生肉などの生ものや、魚介類に細菌が付着し、繁殖することが多くなるため、これらの食べ物を摂取することで、細菌性胃腸炎がひきおこされると考えられています。

食事から感染

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細菌性胃腸炎は一般的に、細菌が付着した食品を口にすることで引き起こされます。原因となる食品を口にしてから、早くて5時間程度、遅くとも3日以内には症状が出るようです。

そのため、同じ食べ物を食べた人たちが集団で感染力が高いので感染することが多いですが、体力や免疫力、その日の体調などにより、かかる人とかからない人が出てきます。特に子供や高齢者は免疫力が弱いためかかりやすく、さらにかかってしまうと重症化しやすいので、注意が必要です。

細菌性胃腸炎の症状

腹痛や下痢

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細菌性胃腸炎の症状として、まずあげられるのが腹痛や下痢です。下痢は水様便や便が少しゆるくなるなど、程度に差はありますが、これは感染した細菌を体の外へ排出することが目的で、腹痛はそれに伴って起こると言われています。

この激しい下痢や腹痛が続く期間は1日~4日ほどですが、あまり止痢剤を使わないのが一般的です。細菌性胃腸炎を治すには、体内に侵入してきた細菌を排出することが最も効果的なため、身体を守るための防衛反応である下痢を止めず、自然に近い形で排出させる方が回復が早いとされています。

しかし、この下痢や腹痛が続く期間はとてもつらいため、あまりにも頻度の高い下痢や、生活に支障が出る場合は、止痢剤が処方される場合もあります。

なお腹痛や下痢は細菌性胃腸炎だけでなく、ウイルス性胃腸炎でも起こります。もし冬場に激しい腹痛や下痢が起こった場合はウイルス性胃腸炎の可能性がありますが、自己判断は禁物です。

ウイルス性胃腸炎の場合は有効な抗ウイルス薬がないため対処療法になりますが、細菌性胃腸炎の場合は抗菌薬がよく効くようです。どちらにせよ激しい腹痛や下痢が続く場合は、脱水も心配ですから医療機関を受診するようにしましょう。

発熱や嘔吐

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嘔吐も下痢と同様、体内に侵入してきた細菌を排出するためにおこります。また細菌性胃腸炎は感染症であるため、発熱を伴うことも多くみられます。

感染症にかかると、全身を使って細菌をやっつけようとはたらきます。このはたらきにより、血液中の白血球やマクロファージなど、異物を食べてやっつけるタイプの免疫細胞が活性化します。このときに作られるのが、発熱作用のある「サイトカイン」と呼ばれる物質です。このサイトカインが脳に「敵(細菌)が侵入してきたので、体温を上げてやっつけろ!」と指令を出すために体温が上昇し、発熱がみられるのです。

なぜ細菌が侵入してきた際に発熱がみられるかというと、細菌をやっつける際、体温が高い方が細菌は弱まりやすく、白血球やマクロファージは活発化すると考えられているためです。そのため、発熱することで、体内に侵入した細菌をやっつけようとしているのです。

血便

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細菌性胃腸炎の場合、便に血が混じる血便が出ることがあります。一般的にウイルス性胃腸炎で血便が出ることはないので、血便が出た場合は細菌性胃腸炎が疑われます。あくまで目安になりますが、細菌性かウイルス性のどちらか疑問に思った時は、血便が出ていないか確かめてみましょう。

脱水症状

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細菌性胃腸炎の症状の出方としては、まず嘔吐が始まり、それから下痢の症状が出てきます。はじめ、嘔吐の症状が出ているときの脱水症状は軽度ですが、下痢の症状が出てくると、脱水症状が強くなります。

嘔吐症状が強い段階では、脱水症状を避けようとして水分を摂取しても、吐いてしまうことがほとんどです。そのため、嘔吐症状が強い段階では何も食べず、何も飲まないという絶飲食が基本となります。

嘔吐が治まってから1~2時間程度たったら、失った水分を取り戻すために少しずつ水分補給を行いましょう。急に大量の水分を摂るとまた吐いてしまう可能性があるので、ペットボトルのキャップを使うなど、少しずつ様子を見ながら飲むといいですね。

脱水症状が重度である場合は、経口のみでの水分補給では症状が回復しない場合があるため、その際は病院で点滴をうってもらいます。

神経障害や呼吸障害

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細菌性胃腸炎は神経障害や呼吸障害を引き起こすことがあり、これは命に関わる場合もあります。そんな恐ろしい症状を引き起こす代表的な細菌が、ボツリヌス菌です。

このボツリヌス菌は主にはちみつから感染することが多いとされています。特に乳幼児は腸内の環境が整っていないため、感染しやすく重症化する例が多いため、1歳未満の乳幼児にははちみつを与えない方がよいとされています。

このボツリヌス菌は中枢神経に麻痺を起こすため、筋肉が弛緩します。その影響でまぶたが勝手に下がってくる、ものが二重に見える、言葉がうまく話せなくなるなどの神経障害が起こり、更にそれが悪化すると呼吸筋が麻痺して呼吸ができなくなる場合もあります。そのためボツリヌス菌による細菌性胃腸炎で、最悪死に至ることもあると言われています。

悪寒や筋肉痛

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体内に細菌が侵入すると、細菌をやっつけるために発熱することがありますが、その際に悪寒を感じることがあります。通常、人間の身体は36~37度に設定されていますが、細菌が侵入することで脳が「体温を上昇させろ」と指令を出し、人間の身体は38~40度まで上昇します。こうすることで、身体は通常の温度に比べて寒気を感じるため、これが悪寒として症状に現れます。

また、発熱を促す身体の反応として、筋肉の収縮があげられます。発熱している際に、ぶるぶると身体の震えを経験したことはありませんか?これこそが筋肉の収縮の正体です。筋肉が収縮することによりエネルギーが生産され、熱を上げるはたらきをします。

そのため、体内に侵入してきた細菌をやっつけるために発熱がおこり、これに伴って悪寒や筋肉痛といった症状が出ることがあります。

細菌性胃腸薬の治療

制吐薬

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嘔吐は体内に侵入してきた細菌を排出するためにおこる身体反応なので、細菌の排出を促すために制吐薬を処方されない場合もありますが、あまりに嘔吐がひどい場合には、対症療法として制吐薬を処方される場合もあります。

主に「ナウゼリン」という薬が制吐薬として処方されることが多いですが、このナウゼリンは中枢性制吐薬であるため、嘔吐中枢に作用し、嘔吐をとめる薬です。また、嘔吐症状が強い場合は、経口で摂取しても吐いてしまうことが多いため、座薬として処方されることが多いです。

鎮痛薬

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腹痛が強い場合には鎮痛薬が処方されることもありますが、前項でも述べた通り、腹痛は体内に侵入してきた細菌を排出するために、強い力で腸がうごくためにおこります。しかし、鎮痛薬を用いることで腸のはたらきが弱まり、細菌の排出が阻害されてしまうことがあります。そのため、どうしても腹痛がつらい場合には処方されますが、それ以外の場合には処方されないことが多いようです。

止痢薬

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止痢薬も制吐薬と同様です。下痢も、体内に侵入してきた細菌を排出するためにおこる身体反応です。そのため止痢薬を用いて下痢をとめることで、腸内に細菌が停滞してしまう可能性があります。それを防ぐために、止痢薬は処方されないことが多いようです。

嘔吐と下痢の症状は大変つらいですが、細菌を排出するための身体の正常な反応です。そのため止痢薬も制吐薬も処方されないことが多いですが、どうしてもつらい場合は医師に相談してみましょう。

抗生剤

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細菌性胃腸炎の治療では、体内に侵入してきた細菌をやっつけるために抗生剤が処方される場合があります。しかし、ウイルス性胃腸炎の場合、抗生剤は基本的にウイルスには効果がないとされているため、同じ感染性胃腸炎の治療でも使用する薬は異なります。

そのため、医師に処方された薬剤は、指示に従って、用法・用量を守って使用するようにしましょう。

食事

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食事は、吐き気が強い時や腹痛のある時は、食べても吐いてしまうことがほとんどなので、絶食となります。吐き気が落ち着いてきたら、まずは脱水や体内の電解質バランスが崩れることを予防するために、スポーツドリンクなどのミネラルが含まれるものから水分補給を始めるのがよいでしょう。その際、飲み物は冷やさずに常温の方が胃への負担が少ないですよ。

そして下痢や腹痛が落ち着いて治りかけてきたら食事を開始しますが、このときのレシピも重要です。最初から脂っこいものや胃に負担がかかりやすい食べ物は避け、おもゆや野菜スープ、すりおろしたリンゴなどの消化の良いものから始めましょう。だんだん食べられるようになってきたらうどんやヨーグルトなどのレシピもよいですね。

最初のうちは1回に食べる量を少なくし、1日に5~6回に分けて食べることで、胃への負担を少なくすることができますよ。

水分補給

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細菌性胃腸炎にかかってしまったら、脱水と電解質異常を防ぐために、とにかく水分補給が重要です。特に幼児や赤ちゃんは嘔吐や下痢で脱水に陥りやすいため、完治するまでは水分をこまめに与えるようにしましょう。

細菌性胃腸炎となる主な細菌

サルモネラ

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サルモネラは鶏・豚・牛・犬・猫・ネズミ・カメなど幅広い動物が保有している細菌です。このサルモネラ菌に卵や食肉、その加工品が汚染されることで食中毒が起こります。特に赤ちゃんや高齢者の方は、卵を生の状態で食べることは控えましょう。

予防方法としては、サルモネラは熱に弱いため、十分に加熱処理をすることで、細菌感染を防ぐことができます。そのため肉類や卵などは十分に加熱してから食べるようにしましょう。

なおサルモネラ菌の潜伏期間は、数時間~2日ほどだと言われています。その後に腹痛や下痢、嘔吐や高熱などの症状があらわれ、それが3~7日続くようです。

腸炎ビブリオ

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腸炎ビブリオは魚介類に感染していることが多いため、刺身や寿司など魚介類を生で食べたり、使用したまな板や包丁から他の食品に感染することがあります。

この細菌は熱に弱いため、十分に加熱処理をすることが大切です。また、この細菌を保有した魚介類からほかの食品に細菌がうつることを防ぐために、魚介類は真水でよく洗ったり、魚介類に使用したまな板はほかの食品には使用しないようにしましょう。潜伏期間は6~18時間とされており、激しい下痢や腹痛が主な症状として現れます。

ブドウ球菌

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黄色ブドウ球菌は健康な人でも20~50%は保持しているとされる代表的な常在菌の1つで、あらゆる食物で増殖します。この細菌はエンテロトキシンとよばれる毒素をつくって感染を引き起こしますが、特に人の手指から付着することが多く、お米や肉類、魚介類から感染することが多いようです。

主な症状は吐き気や嘔吐で、腹痛や下痢を起こすこともあります。潜伏期間が1~5時間と短いのが特徴で、発熱することはほとんどないと言われています。

この黄色ブドウ球菌自体は十分に加熱することで死滅させることができますが、この細菌が作り出すエンテロトキシンという毒は熱に強く、100度で30分加熱しても破壊されることはありません。ただこの毒素は10度以下では作り出すことができないので、感染の可能性がある食品は冷蔵庫などで低温保存することが大切です。

カンピロバクター

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カンピロバクターは自然界に広く存在する細菌ですが、酸素が存在しない場所で増殖するため、パック詰めされた食品やビン詰めの食品などから検出されることがあります。特に鶏の腸管に多く存在するため、加熱が不十分な鶏肉を食べると、食中毒を起こすことがあるようです。

また牛や豚の肉から感染することもあり、更にこの細菌は家畜の排泄物と共に体外へ出されるため、河川や井戸水から検出されることもあります。また犬や猫などのペットから感染することもあるので、触れ合った後は必ず手を洗い清潔にしておくことが大切です。

カンピロバクターの潜伏期間は一般的に2~7日ですが、毒素が多い場合は数時間で症状が出る場合もあります。主な症状は頭痛や嘔吐、発熱や下痢で血便を伴うこともあり、更に悪化すると血圧低下や呼吸障害がみられることもあるそうです。

感染を予防するには、冷蔵庫で保存していた食品でも十分に加熱してから食べること、それからまな板や包丁から感染することもあるので、調理器具もしっかり消毒することが大切です。

細菌性胃腸炎の予防

食品の十分な管理

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細菌性胃腸炎の予防には、まず食品の十分な管理が不可欠です。肉や魚、野菜はできるだけ新鮮なものを選んで購入すること、もちろん賞味期限も必ずチェックしましょう。それから購入した肉や魚は透明なビニール袋に入れて肉汁などが他の食品につくことを防ぐ、購入した後はまっすぐ帰宅する、なども感染予防になります。

また細菌の増殖を防ぐには低温で保存することがポイントになるので、購入した食品はすぐに冷蔵庫に入れることも重要です。食品はあまり詰め込まないようにして、定期的な掃除も忘れないようにしましょう。

なお冷蔵庫は10度以下に保つことが大切ですが、その状態で食品を保存していても細菌が増殖しない訳ではないので、賞味期限にかかわらずできるだけ早く食べるようにしましょう。

調理器具・調理場の衛生管理

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細菌性胃腸炎の原因となる細菌の中には、食品から食品へうつるものもあります。そのため、生ものを使用した調理器具は転用しないこと、そして十分に殺菌・加熱処理することが重要です。

また、常温では細菌は繁殖しやすいため、台所に落ちた食品にも細菌が繁殖する可能性があります。そのため、調理場所は清潔に保つようにし、衛生管理にも十分気をつけましょう。

調理する人の衛生管理

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細菌性胃腸炎の原因となる細菌の中には、人の手から移る細菌もあります。そのため、調理をする人は、調理前に必ず手洗いをすることが大切です。

また前項にもあげたように、食品から食品へうつる細菌もあるため、調理する順番も考えるとよいでしょう。例えば、魚介類や生肉を処理する前に野菜を調理するなど、魚介類や生肉の取り扱いは後にすることで、細菌がほかの食品にうつるのを防ぐことができますよ。

まとめ

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細菌性胃腸炎は夏場にかかりやすい細菌性感染症ですが、食事や調理、食品管理への心がけで予防することもできるのです。そのため、食品の取り扱い時には必ず手洗いをして清潔を保持することを心がけましょう。細菌性胃腸炎にかからないように日頃から予防することが最も大切なことです。食品を取り扱う際は、ぜひ今日から手洗いをするようにしてみましょう!