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ウェルシュ菌が引き起こす食中毒の全て!カレーや煮物の温め直しに要注意!3つの原因や症状と4つの予防・対策法を紹介!

ウェルシュ菌って聞いたことありますか?食中毒のニュースで耳にしたことがあるかもしれませんね。ウェルシュ菌はカレーや煮物など大量に調理する食品で、大規模な食中毒を引き起こすことがあります。家庭でもカレーの温め直しなどで起こることがあります。死亡例はあまり見られませんが、かからずに防ぎたいですよね。ウェルシュ菌の特徴や引き起こす症状、治療法や予防策と、類似した他の菌についても、詳しく解説します。



ウェルシュ菌食中毒の全てを知りたい!

食中毒というと高温多湿な季節のもの、と思いがちですが、実は通年注意が必要なのです。食中毒には、原因となる菌と、それが増殖してしまう条件、菌が人体内で悪い影響を及ぼす過程があります。

ここで取り上げるウェルシュ菌は、どこにでもいるありふれた菌で、そのため食品に付着してしまう機会も多いのです。それでもウェルシュ菌が悪さをするにはある条件が必要です。

つまりその条件を満たさなければ、菌は増えることも毒素を出すことも出来なくなるはずなのです。大勢でカレーを作ったり、作り置きの料理を温めて食べたりする時に、ぜひ活用してほしい食中毒防止の知識です。

ウェルシュ菌とはどんな菌なの?

大腸内の常在菌です

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人間の身体には常在菌と言って、元々体内に住んでいる細菌があります。口の中や腸内が代表的なばしょですが、ウェルシュ菌は人間の大腸に住んでいる常在菌です。また、ウェルシュ菌は畜産食料品となる動物の腸内にもいます。そのため、私たちが普段スーパーで購入するようなお肉や魚介類(冷凍含む)にも見られるのです。

また、ウェルシュ菌は自然界にも多数存在しています。私たちの身近な生活圏にあるため、人や調理器具、食品や食材に容易に付着してしまうのです。この細菌は、食中毒でおなじみのボツリヌス菌の仲間で、細胞分裂が早いという特徴があります。

ウェルシュ菌は空気が嫌いなようです

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ウェルシュ菌は酸素のないところでよく増えます(嫌気性)。増えることができにくい環境下では「芽胞」という種のような胞子のような殻の姿で、生き残ります。芽胞は熱にとても強く、100度で1~6時間の加熱にも耐えられるものもあります。

高温を芽胞状態で耐えたのち、他の細菌より高い温度帯(43度~47度)で発育します。適温になると、芽胞から通常の菌体に戻って急速に増え始めるのです。

食中毒を起こす細菌です

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ウェルシュ菌は先述したように、細胞分裂が非常に早い細菌であるということです。その速さは、最も速いといわれる腸炎ビブリオやコレラ菌にも匹敵するほどなので、ウェルシュ菌が多く付着する食品を食べると食中毒のリスクが高いです。また、カレーや煮物などを大きな鍋で大量に調理した場合、加熱時に熱に弱い菌は死んでしまいますが、ウェルシュは熱に強い芽胞の状態で生き延びます。

鍋のまま室温で放置された食品の温度が徐々に下がって適温になると、ウェルシュ菌は増殖し、芽胞を作る時にエンテロトキシンという毒素を産出するのです。食中毒の発生件数としては上位ではありませんが、大量調理で起こりがちなので、発生時は大規模になることが多いです。

ウェルシュ菌食中毒の症状とは?

腹痛が起こります

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ウェルシュ菌の付いている食品を食べると、腸の中で菌がエンテロトキシンという毒素を産生し、腹痛と下痢を起こします。潜伏期間は6~18時間(平均10時間)で、摂取した後24時間以降に発病することはほとんどありません。

症状として、膨満感と腹痛を起こします。激烈な痛みではないようです。が、発熱はほとんどありません。あっても微熱程度です。吐き気も嘔吐もあまりみられません。症状は一般的には軽い部類に入るでしょう。

下痢にもなります

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下痢の回数は1日1回から3回程度のことが多く、主に水様性と軟便です。まず腹部の膨満感を感じて、腹痛、下痢へと移行すること多いようです。トイレで過ごす平均回数としては、頻回ではないですし、トイレに籠りきりという下痢状態ではないようです。嘔吐や発熱もあまりみられないようなので、ひどく重い症状とは言えないでしょう。

そうは言っても、罹患している時は辛いのですから、腹痛・下痢から早期に回復することが望まれますね。稀に、体調・体質により、重症化することもありますから、発症後の体調管理には気を付けましょう。

ウェルシュ菌食中毒の原因、3つのNG

1:「前日に調理する」はNG

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「明日は時間がないから、今日のうちに作っておこう」という発想は大量に調理をしなけれないけない時に、誰もが考えることではないでしょうか。当日に無理なくスケジュールを進行するために、前日に調理しておきたい時ってありますよね。

しかし、ウェルシュ菌に関して言えば、それはNGもしくは要注意行動なのです。ウェルシュ菌も、食品の中である程度の数にまで増殖しないと、食中毒を引き起こせません。前日に調理するということは、大きな鍋の中で、菌が増殖する環境を作ってしまうのです。

2:「長時間室温で放置」はNG

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大量に調理したカレーや煮物はすぐには冷めません。調理場に鍋ごと放置して、徐々に温度が下がるのを待つことになります。高温で調理した際に、ほとんどの菌は死滅しているのですが、ウェルシュ菌は芽胞の状態で生き延びています。

ゆっくりと鍋内の温度が下がる途中で、ウェルシュ菌が芽胞から通常の菌体になり、増殖するのに最適な温度帯になってしまうのです。45度位に下がると、菌は急速に増殖し始めます。

鍋ごと冷蔵庫に入れても、鍋の中心部の温度は、簡単には下がりません。鍋を触って、冷えたと感じても中心部はかなりの高温であることが多いのです。また、鍋などの中は、酸素が少ない状態です。嫌気性のウェルシュ菌にはもってこいの環境なのです。

3:「再加熱の不十分」もNG

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「昨日あれだけ加熱したんだから、今日は軽く温めればいいよね?」とつい思いませんか?「あの高温で菌はいなくなってるはずだし」「温め直しで、焦げるのは嫌だし」「ずっと鍋についていなきゃいけないし」ですよね。

これが食中毒を招く行為なのです。増殖していたウェルシュ菌をしっかり死滅させるのは、温め直しでも高温にすることが大切です。また、鍋の中央は、なかなか高温になりません。よくかき混ぜて、鍋内の温度を均一の高温にしないと、菌を退治できないのです。

ウェルシュ菌食中毒になってしまったら?その治療法とは?

特別な治療法はなしです

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ウェルシュ菌食中毒の症状は、比較的軽いので、1~2日で回復すると言われています。安静にして、ゆっくりと下痢の収まるのを待っているのが、回復への近道です。特に「ウェルシュ菌食中毒にはこの薬を使用しないと」という特効薬があるわけではなく、自然と治癒するのを待つのです。

もちろん、水分を摂り、脱水症状にならないように気を付けます。回復までを長引かせるのは、弱った体を大事にしないで無理をしてしまうから、ということにならないようにしましょう。

安静にしていれば1~2日で回復すると言われています

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ウェルシュ菌食中毒にかかった場合、大体1~2日で回復すると言われていますから、安静にしていれば、翌々日には通常通りの生活に戻れそうですね。早い人は当日に復活できるそうですよ。

それでも、注意をするべきなのは、ウェルシュ菌食中毒にかかった人の汚れた洗濯物や、使用したトイレには、ウェルシュ菌がたくさん付着しているということです。今度は家族や友人がウェルシュ菌に…という連鎖になってしまわないように、注意する必要があります。

ウェルシュ菌食中毒の予防・対策法は?

長時間室温に放置しない工夫を!

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大きな鍋で大量に調理する食品と言えば、カレー・スープ・シチュー・煮物などでしょうか。手作りパーティーや子供会・懇談会・スポーツクラブの合宿など、色々な催し物で、よく作られる料理ですよね。

すでに述べましたが、高温で加熱して多くの菌が死滅しても、ウェルシュ菌は芽胞で生き延びます。室温で放置された鍋の中で、好条件で増殖しますから、この増殖を阻むことが大切です。

どうしても前日に作らざるを得ない時は、エアコンで室温を下げ、できるだけ早く鍋の温度を下げる工夫をしましょう。扇風機をつけて空気の流れを作り、まめに鍋をかき混ぜることで、早く冷ますことができます。予備の鍋に移せばさらにいいですね。

保管する時は60度以上を保つこと

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イベントなどで、作った大量の料理をずっと火にかけたまま保管している場合、係りの人が交代で鍋の面倒を見るということになるでしょう。煮詰まったり焦げたりするのを避けるために、ぎりぎりの弱火で、保温状態を保つことが多いのではないでしょうか。

この状態で、45度近くをキープしてしまうと、ウェルシュ菌にとって最適な環境になってしまいます。ですから、「火にかけた状態だから安心ということにはならない」という認識が必要です。火にかけたままで、保管する場合、60度以上を保つようにしてください。60度以上なら、ウェルシュ菌が菌体に戻り増殖することができないからです。

すばやく冷まして冷蔵庫へ

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大鍋で大量に作った料理を室温で放置しないで、と書きましたが、可能ならば鍋での保管ではなく、もっと冷やして安心できる温度にする方がおすすめです。

出来上がった料理を、小分けにしてすばやく冷まして冷蔵庫に入れて保管するのです。小分けにすると、早く冷めますし、ウェルシュ菌の嫌う空気に触れやすくなるのです。ポイントは、小分けにした容器で、中心まで急速に冷やすことです。ウェルシュ菌が増える環境にしないということですね。

作り置きを食べる時は十分に加熱します

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作り置きの料理を食べる時、中途半端な温め方では、かえって菌が増殖してしまうと書きました。ですから、温め直して食べる時には、十分に高温で温める必要があります。中心部までよく火が通るように、かき混ぜながら温めるのがコツです。鍋の中の温度も均一になりますし、ウェルシュ菌の嫌いな空気が入ることができるのです。

本来ならば、調理した料理はすぐに食べるのが安全なことは言うまでもありませんよね。イベント使いではなく、家庭で多めに作った料理ならば、すぐに冷蔵(10度以下)するか、可能ならば冷凍してしまうといいですね。

ウェルシュ菌と似た食中毒を起こす菌のことも知っておきたい!

セレウス菌も熱に強いのです

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ウェルシュ菌と同様に、熱に強い殻(芽胞)を作るという特徴を持った菌がセレウス菌です。セレウス菌も土・水など自然環境中に広く分布しています。米・小麦など豆類・香辛料などに付着していることが多く、100度で30分加熱してもこの芽胞は分解されません。

セレウス菌の食中毒は、嘔吐型と下痢型があり、嘔吐型は食後1~5時間で、下痢型は8~16時間で発病します。どちらも重症化することは稀です。嘔吐型は毒素が食品中で産出され、食品と一緒に摂取することで食中毒が発生します。日本ではこの嘔吐型が多いのです。

セレウス菌は熱や酸、消化酵素に強いので、体内では分解されません。予防法としては、食材をよく洗浄してから使う、下ごしらえ済みの食品を加熱前に放置せずに冷蔵する、チャーハンやスパゲティなどを翌日再調理して食べることは避ける、などがあります。

毒性の強いボツリヌス菌も芽胞を作ります

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食中毒でおなじみのボツリヌス菌ですが、テロリストによって生物兵器に使われているのではないかと言うほど毒性が強く、中毒を起こした場合に体の筋肉が麻痺することが知られています。呼吸筋に影響が出た場合、適切な治療が行われないと命にかかわります。

食中毒を起こす場合、食後4時間~10日で症状が出ます。瞼が上がらない、モノが飲み込めない、力が入らないなど麻痺が現われてきます。この前に嘔吐・腹痛・下痢が見られることもあります。すぐに救急車で病院に運び人工呼吸器をつけなければ、自力で呼吸ができなくなります。

予防のためには、1才未満の乳幼児には蜂蜜を与えないことです。井戸水で哺乳瓶などを洗わないこと。ボツリヌス菌は土壌によくいる嫌気性の菌で、芽胞を作り生き延びますが120度30分で死滅します。冷蔵品は冷蔵し、食べる時はよく加熱することで発症を防げます。

ウェルシュ菌食中毒を防いで美味しくご飯を食べましょう

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いかがでしたか?ウェルシュ菌が意外と身近に存在していると知ると、ちょっと怖くなりますね。わたしたちの周りには様々な細菌が存在していますが、知らないうちに口に入ってくる細菌に悪さをされないためにも、知識を活かして頂きたいと思います。

イベントや懇親会などで、大鍋で料理を作る際には、ぜひよく加熱しすぐ冷やし、できれば当日調理して食べてくださいね。空気に触れさせるためにもよくかき混ぜて温めてください。

他の細菌に対しても、室温で放置することは避けて、高温で加熱して食べることが重要です。食品のパッケージの表示をよく読んで、最適な管理方法で扱いましょう。