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新型うつ病って?7つの診断チェック シートで探るその特徴や対処法・3つの治療法や薬について徹底解説!

新型うつ病という言葉は最近よく耳にするけれど、うつ病とどう違うのか知らない人も多いかと思います。また、新型うつ病で悩んでいる人や家族がかかっている人もいることでしょう。ここでは、その特徴や原因、対処方法、治療、患者さんとの接し方、会社との関係などについて詳しくみていきましょう。



甘えじゃない!新型うつ病

通常のうつ病では、持続する気分の落ち込みや不眠、食欲低下がみられますが、新型うつ病はこれと症状がかなり異なっています。新型うつ病は、仕事場などでは気分が落ち込み仕事ができないのに、プライベートで自分の興味の向く事に関しては元気が出るなどの傾向があるため、わがままや甘えていると思われがちですが、本人としてはとても辛い状態にあるのが特徴です。

ですから、うつ病とは原因、対処方法、治療、患者さんとの接し方が全く違ってきます。ここでは、これらについて解説しますので、新型うつ病で悩んでいる人や家族がかかっている人などは、新型うつ病について理解を深めて参考にしてくださいね。

新型うつ病診断チェックテスト

チェックシートいくつ当てはまる?

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チェックシートには多くの項目がありますが、そのうち7つを紹介します。はいかいいえで答え、いくつ当てはまるか数えてみてください。

1.ささいなことに激しくイラつきますか?

2.最近は以前より疲れやすくなりましたか?

3.食欲が増加しましたか?

4.体が鉛のように重いことがありますか?

5.自分の興味のあることや、楽しみにしている趣味を行っているときには、一時的に気分がよくなりますか?

6.他人に非難されると激しい失望と怒りを感じますか?

7.病気になったのは他人が悪いと思いますか?

当てはまっても確定ではない

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当てはまる項目がいくつあったでしょうか?当てはまる項目が多い場合は、新型うつ病の可能性があります。通常は、チェックシートではいがいいえよりも多い場合に新型うつ病の可能性があると診断されます。ですが、当てはまるからといっても確定ではなく、あくまでも可能性があるということです。

新型うつ病とは?特徴は?

非定型うつ病と分類される

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従来のうつ病は「定型うつ病」または「メランコリー型うつ病」ともいい、数週間から月単位で気分が落ち込んだまま、食欲もなく、早朝に目が覚めます。最近増えている新型うつ病は「非定型うつ病」に分類され、通常のうつ病とは正反対の症状をみせます。

新型うつ病は、気分の変動が激しく、同じように気分の落ち込みはあるものの、うれしいことや楽しいことが身の回りに起こると一転して気分がよくなるなどの特徴があります。

嫌な思いをした時に症状が発生

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他人の言動に傷つきやすく、嫌な思いをした時に症状が発生します。例えば、自分の作った企画書に上司が少し注文をつけただけで全人格を否定されたかのように感じて会社を休んだり、同僚から口紅がいつもより赤いと言われただけでその人とは口を利かなくなってしまうなどです。

こうした状態を「拒絶過敏性」と呼びますが、新型うつ病では、これが原因して社会機能が低下し、下り坂の人生を歩むことになってしまう人が少なくないそうです。

新型うつ病の症状は?

過眠や過食が多い

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一日の睡眠時間が10時間以上にも及ぶほど、過眠傾向にあります。いくら寝ても寝足りないような気がするのが特徴です。また、食べることで気持ちをまぎらわしたり、甘いものが無性に欲しくなって発作的に食べる、といった過食傾向がみられます。そのために体重も増加しがちです。

激しい感情の変化

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ささいなことでイライラしたり、くよくよしたり、1日のうちで気分が激しく変動します。 例えば、職場の同僚とおしゃべりしたり、食事をしたりしている時は普通に楽しく過ごせます。

しかし、上司から仕事のことで注意されたり、子供の担任の先生から友達とトラブルがあったという連絡を受けたりすると、自分が責められているという感覚を持ってしまい、ささいな一言で激しく落ち込みます。また、子供や夫にあたって、怒鳴り散らしたり物を投げつけたりすることもあります。

他人を責めることが多い

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従来のうつ病は何かあると自分を責めることが多いのですが、新型うつ病では自分がうまくいかないのは周りが悪いという他人を責める傾向があり、また自分がうつ病であるということを強く主張する傾向にあります。 しかし、本人はかなり苦しんでいることが多く、自殺を繰り返すこともかなりの頻度で見られるそうです。

昼夜逆転など生体リズムの乱れ

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新型うつ病の場合、一日のうちでは、タ方になると気持ちが不安定になりやすいのが特徴です。タ方から夜になると不安やイライラが高まってぐあいが悪くなります。過眠のため、朝も起きれないことがあります。生体リズムに乱れが生じ、昼間遅くまで眠っていて、そのぶん夜目覚めている昼夜逆転が生じやすくなります。

昼間にも眠けを感じ、「鉛様まひ」といって、手足に鉛がついたように体が重く、ぐったりとした身体感覚を持つことが多くなりますが、これも生体リズムの乱れにより昼間覚醒できないために起こると考えられます。

新型うつ病の原因とは?

確定できる原因は未だ不明

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残念ながら、現在では非定型うつ病の起こる原因そのものについては、未だに解明されていません。非定型うつ病でも、神経伝達物質のノルアドレナリンが関係しているのではないかと考えられていますが、まだはっきりしたことはわかっていません。ただ、発病するきっかけや誘因については、これまでの研究で明らかになっているものもあります。

ストレスや家庭環境が関与?

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発病に関与しているとして考えられるものは、ストレス、性格、遺伝、脳の神経伝達物質、家庭環境や教育、社会環境などです。新型うつ病の発症も、ストレスが何らかの要因の一つになっていると考えられています。便利な世の中になった反面、社会環境は驚く早さで日々変化し、生活にはゆとりがなくなり、焦りと不安が募る社会になってきています。

核家族化が進み、父親は仕事でほとんど不在の日々が多く、家庭は母親と子供だけのところもあります。このような家庭環境では、母親もストレスをかかえて生活し、心を病んで、ついには子供への虐待を繰り返すようになります。また、最近多くなっている離婚や別居などが、子供の心に大きな傷となって強いストレスとなります。家庭環境も発症の要因と考えられています。

新型うつ病の対処方法

生活リズムを整える

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生活のリズムを乱れたままにしておくと、憂うつやイライラなどの気分や、体の重さといった症状がますます悪化してしまいます。規則正しい生活を心がけることが重要です。また定型うつ病では休養をとることが肝心ですが、非定型うつ病では、昼間は活動することが、リズムの乱れを改善するために大切です。

朝はきちんと起き、食事もきちんと3食摂り、夜は12時前には寝ましょう。私たちの体内リズムは、朝起きて光を浴びることで調整されます。目に光が入ると、脳の松果体から出るメラトニンという睡眠物質の分泌が抑制され、睡眠がリセットされます。これによって、一日24時間でサイクルする体のリズムが整います。

毎日の目標を定める

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この本を読むなど簡単なことでいいので、毎日の目標を持ちましょう。朝起きたら、今日はこれをしようとか何かをやり遂げようと、その日の目標を持って、毎日を生きることが大切です。何かをしないといけないんだと自分自身で自覚を持つことが、昼間の覚醒を促し、生活リズムを整えるのに役立ちます。

整理整頓を心がける

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体を動かす方法としては、掃除や片づけなどもお勧めです。適度な運動になるだけでなく、「今日は机の片づけをする」ということが、その日の目標になってリズム調整に役立ちます。きれいになると達成感もあります。体を動かす姿を周囲の人に見られると気分が安心し、感謝されることで人間関係の改善にもなり気分がよくなります。

身体を動かし汗を流す

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一日1回は外に出て、光を浴び、散歩をするなど身体を動かし汗を出しましょう。ウォーキングなどの軽い有酸素運動をすると、それによって脳では気分を安定させる脳内物質の分泌が増え、気持ちが楽になります。また、ストレス発散にもなります。

新型うつ病の治療・治し方

認知の歪みを矯正する

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認知行動療法は、うつ病や不安障害の治療の第一選択となっている心理療法です。認知とは「考え」のことをいい、行動療法とは「行動を修正する」ことで、つまり、病気の原因となっている認知や行動の悪循環となっているパターンを見つけ出し、それを良い循環に変えていくことによって、症状を改善していくことを目的とする療法です。

自分の思考パターンをつかみ、認知の歪みを矯正することにより、感情が変わり、行動も変わり、生活も変えていくことができます。

人間関係療法を行う

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自分の主張をうまく表現して、人間関係を円滑にしていくための人間関係療法が行われることもあります。自分で自分のことを受け入れていないと、他の人はそれ以上に受け入れにくいはずです。 そこで、まずは自分をもっと認め、次に相手のマイナス面をありのままに受け入れ、さらにその人のプラス面にも目を向けるようにし、他の人のことをもっと認めるようにします。

また、どの部分でうまくいかなくなっているのかという問題点を丁寧に考えてみることが大切です。そして、完璧な人間関係はないことを知ります。意見の食い違いを認め合うことで人間関係に幅が出てきます。

言いづらいこともしっかりと伝え、 コミュニケーションは、言葉だけでなく態度や雰囲気、言葉の抑揚などを使って行うものなのだと考えましょう。思い切って自分流を捨ててみたり、困ることを恐れないで、自分と相手の人を信じて辛抱強く付き合ううちに、また新しい人間関係が出来上がってくるものだと思いましょう。

EMDRは眼球の動きを利用

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EMDR(眼球運動による脱感作と再処理)は、最近取り上げられることの多くなったPTSD(外傷後ストレス障害)に対して最も効果的といわれ、大変注目されている治療方法です。パニック障害やうつ病、躁うつ病などへの応用も期待されています。

外傷的なできごとがあると、そこでの傷となる経験は、その経験が生じたときの映像や音、臭い、思ったこと、身体感覚などの形で脳の神経ネットワークに貯蔵されると考えられています。PTSD以外の精神疾患のでも、過去の記憶がいつまでも引っかかっていることが症状につながっていることが多く見られるそうです。

EMDRは、外傷的なできごとを考えてもらいながら、治療者が患者さんの眼の前で指を一定の速度で動かし、それを眼で追いかけてもらうという眼球の動きを利用した治療技法です。眼球運動は脳を直接的に刺激し、脳が本来もっている情報処理のプロセスを活性化できるそうです。

新型うつ病治療の薬は?

通常の抗うつ薬が効きにくい

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新型うつ病は、神経伝達物質のノルアドレナリンなどが関係しているのではないかと考えられているために、薬物治療として、抗うつ薬が使用されます。しかし、通常うつ病に多く使われるパキシルなどのSSRIだけでは、このタイプのうつ病には効きにくいことがわかっているそうです。

気分安定剤で強化療法

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抗うつ薬だけでは効きにくいため、気分安定薬(リーマス・デパケン・テグレトール)による強化療法の併用などが行われます。気分安定薬とは、気分の波を安定させるお薬で、気分が高まる躁状態と気分が落ち込むうつ状態の両方に効果があります。

NaSSAなどの新薬併用

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抗うつ薬とNaSSA(レメロン・リフレックス)などの新薬が併用されることがあります。

NaSSAは、脳内のノルアドレナリンやセロトニンなどの神経伝達を増強することにより、うつ気分を和らげ、不安、イライラ、不眠などの症状を改善するお薬で、うつ病やうつ状態に用いられます。

新型うつ病の人への接し方

少し励ますことが大切

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通常のうつ病では、ゆっくりと体を休め、休養をとることが必要です。周囲の人が「がんばれ」と言葉をかけたり、励ますと、本人が自分自身を追い込んでしまうのでよくありません。逆に新型うつ病の場合は、少し励ますことがかえって本人のためになり、大切なことになります。

言葉は優しく心は厳しく

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新型うつ病の人は、ささいな一言で激しく落ち込みがちです。言葉は優しくかけましょう。しかし、心は厳しく持ちながら、本人の気力を奮い立たせるように接することが大切です。そして、 不安や焦燥感が強いときは、しっかり見守ることが大切です。

小さな成功体験に導く

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仕事に行ける場合には、多少つらくても時間どおり会社に出かけたり、仕事に取り組むことも必要です。毎日目標を決めさせ、達成させることも必要です。決まった時間に起きて会社に行く、その日の課題をやり遂げさせるそういう小さな成功体験でに導き、達成できればそれに対して評価する(ほめる、育てる)という対処方法が、比較的効果があるようです。

会社は新型うつ病対応に苦慮

NHK調査では65%の企業に新型うつ病

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NHKが独自に実施した企業へのアンケート調査では、新型うつ病とみられる社員を抱える企業は65%に上り、対応に苦慮する企業の実態が浮かび上がってきています。企業側は、生活習慣やコミュニケーションの取り方の指導など対応を模索し、従来の社会の価値観に適応させようという大人と、適応できない苦しみを抱えた若者のギャップがあるそうです。

甘えや怠けとの偏見が多い

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新型うつ病が問題となっているのは、うつ病それ自体の問題というよりも、その「よくわからなさ」、つまり他者からながめた場合の受容の困難さにあるといえます。うつ病に限らず身体的な問題が生じることは、会社や企業にとってはリスクとなります。

しかし、新型うつ病で問題となるのは、会社には来られないにもかかわらず、友人との旅行や会食などは問題なく楽しめるなどの点にあって、また休養中に旅行に行くことを目的とした休暇願が堂々と提出されることにあります。このため、新型うつ病の患者は、職場の上司や同僚から甘えや怠けだと非難される場合が多く、「よくわからない」人という位置づけがなされがちです。

診断書の提出など自衛策を

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本人は苦しんでいる状態で、治療が必要なのですから、会社や周りの人の理解を得るためにも、医師の診断書を提出するなどしましょう。職場にも多少の問題はありそうですが、本人の努力も必要であると、抑うつ状態の原因の一端を本人も引き受けましょう。職場と関連した抑うつ状態なので、そこで抱えている問題を解決しないと症状は続きます。

本人が望めば、職場との調整も進められます。職場の上司や人事部門の担当者にも来院してもらい、本人の職場での様子を聞いたうえで、配置転換など会社側で改善できる点がないかどうかを本人ともよく話し合ったりもします。大切なことは、職場でのコミュニケーションを密にすることです。

通常は仕事を続けながら外来治療で十分なケースも少なくないそうですが、本人の苦悩が強ければ短期間の休養が勧められます。職場の人間関係が影響する場合、異動を申し出たり、転職を試みるのもひとつのきっかけになります。いずれも、医師と相談しましょう。

まとめ

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新型うつ病は、従来のうつ病と同じように気分の落ち込みはあるものの、会社には来られないにもかかわらず、プライベートな趣味などは問題なく楽しめるため、単なる甘えや怠けととらえられがちです。ですが、本人は辛い状況で、治療が必要な状態です。症状としては、過眠や過食が多く、激しい感情の変化があり、他人を責めることが多く、昼夜逆転など生体リズムが乱れがちです。

ノルアドレナリンなどの神経伝達物質が関与していると考えられていますが、確定できる原因は未だ不明です。ストレスや家庭環境が関与しているとも考えられています。新型うつ病の対処方法としては、生活リズムを整え、毎日の目標を定めたり、整理整頓を心がけたり、身体を動かし汗を流すなどがあげられます。

治療法としては、薬物治療は通常抗うつ薬が効きにくいため、気分安定剤やNaSSAなどの新薬が併用されます。もっとも中心とされるのが、認知行動療法や人間関係療法などの心理療法で、EMDRなども利用されます。

新型うつ病の人への接し方としては、少し励ますことが大切で、言葉は優しく心は厳しく接し、小さな成功体験に導き評価してあげることが効果があるようです。会社も新型うつ病の対応に苦慮していて、診断書の提出で、周りのの理解を得て治療したり、話し合ったりすることが大切です。