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老人性うつ?認知症と間違えやすいかも?発症原因や抗うつ剤などの3つの治療法と励ましなどの対応や接し方を5つ紹介します

老人性うつじゃないかなと思う家族の方はいらっしゃいませんか?どうしたらいいのかなと心配している方も多いと思います。ここでは、老人性うつの発症原因や治療法、入院、介護、そして、ご家族の接し方5つについて詳しくみていきましょう。



若い人が知らない老人性うつ

うつ病というと、ストレスや過労から若い人がかかると思われがちですよね。ですが、高齢者もうつ病になることがあり、これを老人性うつと呼んでいます。若い人のうつ病と老人性うつは原因や症状が異なっているために分けて考えられています。

ここでは、老人性うつの発症原因や治療法、入院、介護、そして、ご家族の接し方5つについてみていきます。お祖母さんやお祖父さんの様子がおかしいなと感じている人やご両親が高齢の方などは、ぜひ参考にしてくださいね。

認知症と間違えやすい老人性うつ

高齢者の10~20%がうつ病?

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高齢者のうつ病は、最近の高齢化に伴い増えてきています。高齢になると身体的な機能が低下し病気になりやすくなったり、配偶者や親しい知人が亡くなったりして、生き甲斐をなくしたりしがちです。こうしたことがきっかけになってうつ病を発症しやすくなっているのです。

高齢者の場合は他の病気も抱えているため、うつ病の診断が難しいこともあり、正確な統計はありませんが、65歳以上の老人の10~20%がうつ病ではないかという見方や、70歳以上の人の30%に抑うつ症状がみられるという報告もあるそうです。

症状が認知症と間違われやすい

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高齢者のうつ病で、症状がよく似ていて間違われやすいのが認知症です。認知機能の低下、たとえば、物覚えが悪くなった、物忘れが増えたなどの症状を認めるため、認知症と間違えらえることが多く、認知症外来を受診する患者の5人に1人はうつ病という報告もあるそうです。

認知症と勘違いされやすい高齢者のうつ病は仮性痴呆といい、反応や動作が鈍くなったり、物忘れがひどくなったり、自分がどこにいるのかわからなくなったりすることもあります。仮性痴呆は、うつ病が改善すれば消えていきます。両者に共通している点は、活気がなくなり引きこもりがちになる、物事に興味を示さなくなるなどの症状です。

違う点は、うつ病の場合は気分変化として憂うつ感がありますが、認知症ではありません。また物忘れについては、認知症が進んでいる患者の場合、物忘れをしている自覚がありませんが、うつ病患者の場合は物忘れの自覚があり記憶力の低下に悩んで積極的に訴えようとする傾向があるそうです。

老人性うつ病の発症原因は?

退職などの環境の変化

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定年退職したけれどすることがない、子どもが独立して夫婦だけの生活になったといった退職や子どもの独立などの生活環境の変化がきっかけとなって発症することが多いといわれています。自分はもう若くはないのだと感じてしまったりするのです。

また、長期間入院・通院を続けているのによくならない、転倒して膝を悪くしてから外出しなくなった、脳卒中になり後遺症が残ったなどの身体的衰えや病気などが原因で発症することも多いそうです。

近しい人の死などの喪失感

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配偶者や親など近しい人の死や可愛がっていたペットが死んだなどの喪失感や、自分や身近な人が病気などで生命の危機にさらされるなど、悲しみや寂しさかから発症することが多いともいわれています。

その他にも、子どもが離婚した、親戚とトラブルになっている、夫に女性からメールが入っているのを見たなどの精神的な不安感などがきっかけで発症することもあるそうです。

老人性うつ病の治療薬と治療方法

抗うつ剤による薬物療法が中心

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老人性うつの場合も、通常のうつ病の治療と同様に基本は薬物治療です。高齢者には、抗コリン作用や鎮静作用が少ないSSRIやSNRIといった抗うつ剤が第一選択薬となります。両者の効果が乏しい場合は、3環系、4環系の抗うつ剤に変えられます。有害な副作用が認められる場合には、漢方薬も用いられ、柴胡加竜骨牡蠣湯が有効であると注目されているそうです。

初期段階は認知療法も効果的

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老人性うつが重症化する前の初期の段階では、精神療法が行われ、認知行動療法や問題解決療法も効果的だと言われています。また、アートセラピー、音楽療法などの集団療法が行われることもあります。

薬物療法と並行して周囲の人達とつながりなど環境を整えることも大切です。デイサービスなどで定期的な交流の場をもつことで、孤独な時間を減らしたり、適度な精神的、身体的刺激を加えていくことによって、自尊心が回復するするきっかけになることはよくあるそうです。

身体の病気も考慮した治療が必要

高齢者の場合、持病を持っている場合が多く、薬の飲み合わせの問題がありますので、現在治療している病気や使用している薬の種類については、必ず医師に伝えましょう。特に注意が必要なのが、緑内障や前立腺肥大症、排尿障害の場合で、多くの抗うつ薬はこれらの病気を悪化させる可能性があります。また高齢者の場合、身体的な治療(慢性疼痛、視覚障害、聴覚障害)や栄養管理や運動も含めた健康管理の支援を行っていくことも、重要になってきます。

老人性うつ病で病院に入院?

症状が深刻な場合入院になる

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大部分のうつ病は精神病ではありません。ですから、薬物療法や心理療法で徐々に治ってくるのが通常です。しかし、症状が深刻で生死にかかわる危険性があったり、妄想などの精神病症状を持つ精神病性うつ病とか妄想性うつ病と呼ばれる場合は、病気の自覚がなくなるため入院治療が必要になることがあります。

入院設備のある病院は限られる

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一般に、老人性うつを発症した場合、心療内科や精神科を受診します。これらの病院では、大きな病院でないと入院施設がなかったりします。その場合は、入院施設のある大きな病院を紹介してもらうことができます。精神科の大きな病院では、老人病棟があったり、国立の医療センターでは、高齢者の受け入れも可能です。

入院費用の準備が必要

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入院となると、入院費用を準備する必要があります。入院費は制度を利用した場合には負担が軽くなりますが、通常は健康保険法の規定通り必要です。一日の入院料に加え、食事代などです。その他にも、日用品の購入費用、必要に応じ洗濯料やおむつ代などが必要となります。

症状によっては、入院が長引く場合もあります。高額医療制度を利用すると、限度額以上の負担分は戻ってきますので、そのような制度も利用しましょう。

どうする老人性うつ病の介護

精神科・心療内科への受診は必須

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老人性うつは本人も周囲の人も気づきにくい病気です。早めに見つけて治療することが大切になります。体調は変わらないはずなのに、元気がない、沈み込むといった様子が見られたら精神科や心療内科を受診しましょう。症状が悪化する前に、専門的な治療を受けるようにしなければなりません。

うつや精神科に対する理解が以前より進んできたとはいえ、本人が受診を拒否する場合も考えられます。本人が嫌がるようなら、初めはかかりつけ医に相談するとよいでしょう。それから、精神科や心療内科を受診するようにしましょう。

地域包括支援センターで介護認定

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介護をする場合、介護保険が利用できるサービスがあります。介護護保険のサービスを利用するためには、要介護認定の申請をして、認定を受ける必要があります。本人や家族が市役所へ要介護認定の申請に行けない場合は、地域包括支援センターが手続きを代行しています。地域包括支援センターは介護認定のほかに、要支援1・2の場合は介護予防サービスを利用するために必要なケアプランを作成したり、要介護1~5の場合にはケアマネジャーの紹介を行っています。また、介護に関すること以外にも健康や福祉・医療に関することなどの相談もできます。

手帳取得など制度を利用する

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介護保険利用に関して、介護が必要ということは、同時に何らかの障害が存在しているので、障碍者手帳を申請することができる場合があります。障害者手帳には、身体・精神・知的の各手帳があり、心臓の人工ペースメーカー埋め込み術をしている人や腎臓機能障害で人工透析治療を受けている人なども認定されます。老人性うつや認知症で、精神保健福祉手帳を申請し取得することも可能です。

日常生活において何らかの援助や介助、介護の必要な人は利用するとよいでしょう。また、これらの手帳取得は各自治体の福祉医療(保険診療自己負担分への助成)受給にもつながります。

妄想の症状も…対応・接し方は?

老人性うつは治療で治ると理解

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うつ病は、しばしば「心のかぜ」などとよばれるため、心の弱さや気持ちの問題などで起こる病気と思われがちですが、そうではありません。脳内の神経伝達物質の機能の異常によって起こる病気で、適切な治療が必要です。

高齢者うつも普通のうつ病治療同様に、薬物療法と休養が大切です。一進一退を繰り返しながらの回復ですが、適切な治療を続けることで治る病気です。家族も治療により治る病気であることを理解しましょう。大切なのは、必ず直る病気なのだと信じ、本人とともに治療に取り組むことです。

頑張れなどの励ましは厳禁

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家族は心配のあまり、本人を励ましてしまいがちです。ですが、うつ病の人は、がんばりたくてもがんばれないのです。そのためがんばってという励ましの言葉は、かえって本人を追いつめることになってしまいます。温かく見守ってあげることが何よりも励ましになります。

妄想は本人の強い不安から現れる

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老人性うつの特徴として、妄想を伴うことがあります。妄想内容も様々で、疾病妄想・貧困妄想・過剰な罪悪感が三大妄想です。がんなどの重い病気になったと信じて検査結果で心配ないと話しても訂正ができない疾病妄想、貧乏になったと確信する貧困妄想、自分が重大な罪を犯したと思い込む罪業妄想です。

他にも、被害妄想や何をしても無駄だと治療を拒否したり拒食から衰弱したりする虚無妄想などがみられます。老人性うつの人は、不安や焦燥感が強く、強い不安から妄想が生まれてくるものと考えられます。お薬を飲むことで不安感も和らいできます。

日中寝てばかりにならないように

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うつ病では不眠がよくあらわれます。寝つきが悪くなるだけでなく、夜中に目が覚めて寝つけなくなったり、朝早く目が覚めてしまったりします。また、高齢者に限らず、うつ病の症状は朝や午前中にひどくあらわれ、午後から夕方にかけて改善していくことが多くみられます。そのため、日中眠くて寝てしまうこともあります。

逆に、夜の睡眠が極端に長くなったり、日中も寝てばかりいるといった過眠症状があらわれることもあります。 日中寝てばかりにならないように、話しかけたり一緒に何かするなどしてコミュニケーションを図るようにしましょう。

対処法に悩んだら地域にSOSを

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老人性うつに係わる家族が理解に苦しんだり対処法に悩むこともあるでしょう。介護する側がうつになってしまう場合もあります。地域には市町村保健センター、健康増進センター、老人福祉センターなど支援を受ける場所や相談できる窓口があります。悩んだらこのような支援センターなどにSOSを求めましょう。

まとめ

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老人性うつは、高齢者の10~20%がうつ病ではないかともいわれるように、高齢化に伴って増えてきていますが、認知症と間違われて気づくのが遅れがちです。老人性うつは、退職などの環境の変化や近い人の死など喪失感がきっかけとなって発症します。元気がない、沈み込むようなことが続いて様子がおかしいなと感じたら、早めに専門医を受診しましょう。

薬物治療が中心となりますが、認知行動療法などの心理療法なども行われます。妄想が強いなどの場合は入院による治療になることもあります。介護に際しては、介護認定を受け介護サービスを利用したり、精神保健福祉手帳を利用したりするとよいでしょう。

対応や接し方は難しいかと思いますが、治療で治るとよく理解したうえで、温かく見守ったり、不安感を理解したり、話をしてコミュニケーションを図ったり、地域に相談するなどして励ましてあげてくださいね。