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腰部脊柱管狭窄症とは?どんな手術が必要?牽引などの3つのリハビリやトリガーポイントなどの7つの薬物治療を紹介

歩いていると足に痛や痺れを生じて、休みながらでないと長い距離を歩くことが出来ない、仰向けで寝ると足に痺れを感じる、腰を後ろへ反らすことが出来ない、などの症状に悩まされている方はいらっしゃいませんか。もしこのような症状に心当たりがあれば、それはもしかしたら腰部脊柱管狭窄症という疾患によるものかもしれません。ここでは腰部脊柱管狭窄症の原因や症状、治療法、エリアごとの名医などについてご紹介していきます。



腰部脊柱管狭窄症においての様々な対処法とは

腰部脊柱管狭窄症セルフチェック

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腰部脊柱管狭窄症という疾患を聞いたことはあるでしょうか?この疾患では、腰痛、足の痺れや痛み、歩ける距離が短くなるなどの症状が出ます。下記に腰部脊柱管狭窄症の代表的な症状についてまとめていますので、病院を受診する前に一度自分の状態について確認してみてください。

<腰部脊柱管狭窄症セルフチェック>

・歩いていると足に痺れや痛みを生じて、休みながらでなければ長距離をあることが出来ない

・休むときは前かがみの姿勢をとると痺れや痛みが軽減される

・仰向けで寝ると足に痺れを生じる

・腰を後ろへ反らすことが出来ない

・スリッパがすぐに脱げてしまう

・足に力が入らず、脱力感を感じる。また、午後から症状が酷くなる

・お尻や足に引きつれたような感覚や、チリチリ・ジリジリするような不快感を感じる

・足の裏に触れても感覚がなく、直接触れているように思えない

・肛門周辺に痺れているような感覚がある

・排便や排尿がしにくく、残尿感を感じる

ご自身に当てはまるものはありましたでしょうか?もし当てはまるものがあるようであれば、一度整形外科を受診してみるようにしてください。

病院の治療の流れ

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病院を受診すると、まずは問診が行われます。どのような症状があるのか、どんな時に症状が起こるのか、といった点をまとめておくと問診がスムーズですので、可能であれば受診前に自分の状態を確認しておくようにしてください。

問診の後、脊柱管狭窄症の診断に必要な検査がが行われます。受診した病院の設備にもよりますが、単純X線検査(レントゲン検査)、MRI検査、脊髄腔像影(ミエログラフィー)といった検査が代表的なものです。脊髄腔像影を行う場合は、1泊の検査入院となります。

検査後は、症状に合わせた治療法が取られます。脊柱管狭窄症の治療法は大きく分けて2つあり、1つは薬物療法やリハビリなどを行う保存療法、もう1つは手術療法です。また、日常生活での予防法や対処法について指導されることもあります。

脊柱管狭窄症は中年以降に発症することが多い為、「こんなに年をとってから手術をするのは無理なのでは」「手術をしてもあまり意味がないのでは」と考えて手術を躊躇ってしまいがちですが、手術により快適な生活を取り戻した方は決して少なくありません。

もし医師から提案された治療法に不安や疑問を感じた時は、その場できちんと質問しておき、自分に合った適切な治療法を受けることが出来るようにしていってくださいね。

腰部脊柱管狭窄症とはどんな病気??

脊柱管とは

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病名の中にある「脊柱管」。この部位は体のどこにあるのかご存知でしょうか。脊柱管とは、背骨の中に通っている管のことで、その中に脊髄神経が入っています。

脊髄神経は、体を動かす時や痛みを感じた時などにその情報を伝達するためのものです。そのため、背骨や組織に何らかの異常が生じて脊髄神経が圧迫されたり、損傷を受けたりすると、神経末端にある皮膚や筋肉に異常を生じることになります。

なぜ脊柱管が狭くなるの??

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脊柱管が狭くなってしまう原因には、変形性脊椎症による椎体骨棘、変性すべり症、黄色靭帯肥厚、椎間板膨隆、椎間関節の肥厚変形などが挙げられます。

また、中年以降は長年の負担により腰の骨そのものがゴツゴツとしてきたり(変形性腰椎症)、骨と骨の間にある椎間板が潰れて出っ張り(椎間板ヘルニア)、脊柱管を圧迫してしまうこともあります。

脊柱管は老化現象によっても狭くなっていきますし、背骨の形は遺伝しますから、もし家族や親戚の中に脊柱管狭窄症の方がいるようであれば、将来自分も脊柱管狭窄症を発症する確率が高まると言われています。

腰部脊柱管狭窄症と要介護のリスク

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最近注目を集めている「ロコモティブシンドローム(運動器症候群)」についてご存知でしょうか。これは体をうまく動かせ無くなる運動器の障害のために、要介護になるリスクが高まっている状態のことを指しています。

脊柱管狭窄症は、このロコモティブシンドロームの1つであり、放置していても症状は改善することはなく、次第に悪化して行ってしまいます。また、腰部脊柱管狭窄症の方は骨粗鬆症による背骨の圧迫骨折や変形性膝関節症などを合併しているケースが非常に多いと言われています。

将来の要介護状態を予防するためにも、脊柱管狭窄症の症状に心当たりがある場合には、出来るだけ早い段階で病院を受診し、適切な治療を受けるようにしてくださいね。

腰部脊柱管狭窄症の症状とは

間欠性跛行

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間欠性跛行とは、歩いてると足に痺れや痛みを感じて歩けなくなってしまうのですが、少し休むと再び歩けるようになるという症状のことを言います。

例えば、バス停からバス停まで行くにも途中で何度も休まなければならなかったり、団体旅行ツアーでツアー参加者の歩くペースについていけなかったり、家事の立ち仕事をしているとふくらはぎに痛みを感じたりする、といったものが当てはまります。

間欠性跛行は原因により神経性と血管性の2つに分けることが出来、神経性跛行の代表的な疾患に腰部脊柱管狭窄症、血管性跛行の代表的な疾患には閉塞性動脈硬化症を挙げることが出来ます。

神経性跛行と血管性跛行では同じ症状が出ますが、休む時の姿勢に違いがあります。神経性跛行では、立った状態で休んでも症状は改善しませんが、腰が前かがみの状態になるようにベンチに座ったりしゃがんだりすると症状が改善されます。

一方、血管性跛行は休む姿勢に関係はなく、歩くのをやめて休憩すれば症状の改善がみられます。もし自分の症状が神経性跛行によるものだと感じたら整形外科を、血管性跛行によるものだと感じられたら心臓血管外科を受診して相談してみるようにしてくださいね。

腰部への違和感

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腰部脊柱管狭窄症では、腰痛はそこまで強くないとされています。実際に安静にしている時ではほとんど症状を感じることはありません。ただ、軽度の腰痛や腰回りの重み、違和感やはり感などを感じることがあります。

足のしびれや痛み

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背筋をしっかりと伸ばして歩いたり、階段を上がっていたりすると、太ももや膝から下の部位、足の裏などに痺れや痛みを感じて歩きにくくなっていきます。この症状は両足に出る場合と、片足のみに出る場合があると言われています。

また下肢全体の力が落ちて、足先をうまく持ち上げることが出来なかったり、階段で躓いたり、スリッパが脱げやすくなるなどの症状が現れることもあります。

会陰部のしびれ感や灼熱感

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腰部脊柱管狭窄症の症状は、神経が圧迫されている場所によって痛みなどの症状が出る部位も変わります。脊柱管の中心部にある馬尾神経が圧迫されるものを馬尾型、馬尾神経から分岐した神経根が圧迫されるものを神経根型、馬尾型と神経根型両方の症状が起こる混合型と区分されます。

馬尾型に特徴的な症状として、両足のしびれ、冷感、痛み、排尿障害などが挙げられますが、症状が悪化していくにつれて、会陰部のしびれ感や灼熱感といった症状が現れることもあります。

疼痛を伴う陰茎勃起

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男性に特有の症状として、間欠性跛行と共に疼痛を伴う陰茎勃起(間欠性勃起)が現れることがあります。これも馬尾型の脊柱管狭窄症に見られる症状です。

一般的に、腰部脊柱管狭窄症は自然と治ることがほとんど無い疾患とされています。もし、座ったり横になったりして休んでも足の痺れが取れないような状態まで症状が進行してしまうと、たとえ手術を行ったとしても症状がなくならないこともあります。決して放置せず、必ず病院で治療を受けるようにしてくださいね。

腰部脊柱管狭窄症になりやすい人とは

先天性によるもの

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背骨の形は遺伝するため、生まれつき脊柱管が狭く、先天的に腰部脊柱管狭窄症になりやすい方はいらっしゃいます。ただ、先天的に脊柱管が普通の人より狭い場合であっても、幼児期や青年期に症状が出ることはほとんどありません。

通常は加齢とともに発症率が高まり、40代や50代頃の平均よりやや早めの発症原因となることが多いとされています。

高齢の人

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脊柱管狭窄症は、中年以降、50歳を過ぎてから徐々に発症率が高まると言われています。若い頃は何ともなくても年齢を重ねるにつれて、腰の骨にかかっていた負担が蓄積して腰の骨自体がゴツゴツに変形してしまったり、骨と骨の間のクッションの役割を果たす椎間板が潰れてしまったりするためです。

また高齢者に多く見られる疾患の1つに骨粗鬆症がありますが、骨が脆くなることにより背骨の骨が圧迫骨折を起こしてしまうと、折れた骨が脊柱管の神経を圧迫して脊柱管狭窄種を発症してしまうこともあります。

若い時に重労働をした人

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若い頃に重労働をしていたり、重いものを持つことが多かった職業についていて無理をしたりすることが多かった方は脊柱管狭窄症の発症リスクが高いと考えられています。

また、若い頃に腰を痛めた経験がある方では加齢とともに変形性脊椎症を発症しやすいため、そこから腰部脊柱管狭窄症へと繋がってしまいやすいと言われています。

中年の女性

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中年の女性に起こりやすいとされている、変性すべり症も脊柱管狭窄症の発症リスクを高める原因となります。

変性すべり症とは、椎間板の老化により腰椎が不安定になってずれてしまった状態のことを言います。変性すべり症の主な症状は腰痛と下肢痛ですが、椎間板がずれて脊柱管自体が狭くなってしまっているため馬尾神経が圧迫されて脊柱管狭窄症の症状が出現します。

長時間の運転をする人

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若い頃に長時間運転をする機会が多かったり、ある程度年齢を重ねてからも長時間運転をする方は、変形性脊椎症を発症しやすいため脊柱管狭窄症になりやすいとされています。

変形脊椎症とは、加齢とともに椎間板が老化して弾力が失われ、椎間関節や周辺組織が変性することで、椎体の縁や椎間間節に過剰な負荷がかかって骨棘を形成する疾患のことを言います。骨棘が形成されると神経が圧迫されるため、脊柱管狭窄症を発症しやすくなってしまうのです。

腰部脊柱管狭窄症の手術療法とは

開窓術

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開窓術とは、部分椎弓切除術とも呼ばれることのある手術方法で、神経が圧迫されている椎弓の一部と黄色靭帯のみを切除して、神経の圧迫を取り除くものです。腰部脊柱管狭窄症の手術方法として最もメジャーなもので、広く行われています。

手術の際は全身麻酔をかけて、1時間から2時間程度で終わることが多いとされています。ただ、再手術の場合は神経周囲に癒着が起こっているため、これ以上の時間がかかる場合が多いようです。

椎弓切除術

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脊柱管狭窄症では、基本的に部分椎弓切除術が行われることが多いですが、もし狭窄が高度で症状が重度の場合や再手術の場合には、椎弓全体を取り除く広範囲椎弓切除術が行われる場合があります。

椎弓切除術により手術を行った場合は、術後に軟性コルセットを約1か月間ほど装着する必要があります。

脊柱管拡大術

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脊柱管が狭くなって神経を圧迫し、手足に生じている痺れや痛みの症状が顕著に表れている場合に選択される手術方法です。基本的には椎弓を中心から左右に開いて脊柱管を広げて、神経の圧迫を取り除くという方法で行われます。

ただ、脊柱管拡大術については、これ以外にも様々な手法が開発されているため、手術を受ける病院や医師によって異なるやり方が取られることも少なくありません。。

手術後の装具着用期間は、1週間から2週間程度と他の手術法に比べて短いというメリットがあります。

脊椎固定術

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脊椎すべり症があったり、脊椎が不安定な状態になっていたりする場合、神経の圧迫による強い痛みを生じている場合には脊椎固定術が行われることが多いとされています。

固定方法としては、後方椎体固定術や後側方固定術が行われることが多かったですが、最近ではさらに負担の少ない方法が工夫されているようです。金属による固定(脊椎インスツルメンテーション)と骨移植術が併用されるケースが多い傾向にあります。

脊椎固定術では、術後に硬性コルセットを3か月間程度装着する必要があります。脊椎固定術は、移植した骨が完全にくっついてしまうと腰椎の長期的な安定を見込むことが出来ますが、そのような安定した状態になるまで約半年ほどの時間がかかるとされています。

術後の痛みと後遺症について

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腰部脊柱管狭窄症では、手術直後は痛みから解放されて自由に歩けるようになっていたとしても、時間の経過とともに痛みが再発することもあります。この原因は症状によって異なりますし、受けた手術の種類によっても異なるとされています。また、何か別の疾患が発生しているということもあります。

時に手術後に後遺症が現れることもあると言われています。もし重度の腰部脊柱管狭窄症により脊髄や神経が著しく圧迫されてしまっていた場合には、手術を行ったとしても脊髄や神経の機能を完全には回復出来なくなってしまうのです。そのため、手術後に痺れや痙性麻痺が残ってしまうことがあります。

手術の費用と入院期間について

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脊柱管狭窄症で手術を行った場合、入院期間は個人差や手術を行った病院にもよりますが、概ね2週間から3週間程度となることが多いようです。手術の翌日から座って食事をすることが可能で、歩行は2日から3日後から行うことが出来るようになります。

手術にかかった費用は、健康保険の自己負担分を一旦病院へ支払う必要がありますが、高額療養費制度の適応となりますから、加入している健康保険に申請することで、治療費が一定額を超えていた場合の差額を受け取ることが出来ます。自己負担金額は、手術方法により異なりますが、通常20万円から30万円ほどとされています。

腰部脊柱管狭窄症の薬物療法とは

非ステロイド性抗炎症薬

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腰部脊柱管狭窄症の薬物療法において、足に痛みを生じている場合は非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)という痛みや炎症を抑える作用を持つ薬が用いられます。貼付薬、外用薬、内服薬などの種類があり、症状によって使い分けることになります。

ただ、内服薬の場合は胃腸障害を起こしやすいというデメリットがあるため、胃腸障害を予防するために胃酸抑制作用のあるプロトンポンプ阻害薬が一緒に処方されることが多いようです。

慢性的に非ステロイド性抗炎症薬を使用すると、消化管潰瘍を生じることがあります。その場合は、薬物療法を中止して手術を受けるよう医師から勧められる場合もあるようです。

血管拡張血流改善薬

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プロスタグランジンE1製剤と呼ばれることもあります。末梢血管を拡張させ、血流を改善する作用のある薬剤です。腰部脊柱管狭窄症により足の痺れや間欠跛行などの症状を生じるのは、神経の圧迫により血行が悪くなっていることも原因ですから、そのような症状には効果的です。

ただ、副作用として嘔吐や吐き気、下痢、眠気、発疹といったものがあるため、どうしても体に合わない場合には別の薬剤に切り替えたり、薬物療法を中止して手術が行われることもあります。

神経障害性疼痛治療薬

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数種類の非ステロイド性消炎鎮痛薬を使用しても期待する効果が得られない場合には、神経障害性疼痛治療薬(神経性疼痛緩和薬)という種類の薬剤を使用します。もともとこの薬剤は帯状疱疹後の神経痛を抑制するために使用されていたものですから、脊柱管狭窄により末梢神経が障害されている場合の痛みには非常に効果的です。

非ステロイド性消炎鎮痛薬とは作用機序が異なりますから、非ステロイド性消炎鎮痛薬で効果が出ない場合でも、鎮痛効果を期待することが出来ます。主な副作用として、眠気やふらつき、めまいなどが報告されています。

オピオイド鎮痛薬

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オピオイド鎮痛薬とは、トラマドール塩酸塩とアセトアミノフェンの配合剤のことを言います。アセトアミノフェンは市販の風邪薬などにもよく用いられている成分で、解熱鎮痛効果を持ち、副作用発現率もあまり高くありません。

一方、トラマドールは弱オピオイドという種類に分類される薬剤で、中枢神経に作用して強力な鎮痛効果を発揮します。非ステロイド性鎮痛薬や神経障害性疼痛治療薬とも作用機序が異なるため、これらの薬剤を使用して鎮痛効果が得られない場合にも効果を期待することが出来ます。

ただ、オピオイド鎮痛薬は、副作用として吐き気や嘔吐、便秘、眠気、めまいなどが報告されているため、使用する際には注意が必要とされています。

硬膜外ブロック

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上記のような薬物療法を行っても効果が得られない場合に選択されるのが、神経ブロックと呼ばれる治療方法です。神経ブロックでは、神経やその周りに局所麻酔薬を注射して、痛みが脳に伝わらないようブロックします。

脊柱管狭窄症の治療でよく用いられるのが硬膜外ブロックで、脊髄や馬尾神経を包む硬膜の外側の空間に薬剤を注入します。硬膜外ブロックを行うと麻酔薬の効果により、近く神経だけではなく運動神経も麻痺してしまいます。さらに血管も拡張して血圧が低下するため、硬膜外ブロックを行った後は、1時間から2時間程度は安静にする必要があります。

通常硬膜外ブロックを行う場合には腰椎の椎骨間に注射針を刺しますが、仙骨裂孔に注射針を刺すこともあります。仙骨裂孔に注射針を刺した場合は、仙骨ブロックと呼ばれています。

選択的神経根ブロック

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腰部脊柱管狭窄症では、選択的神経根ブロックという手法が取られることもあります。この場合は、症状の原因と推測される1本の神経根(またはその周囲)に局所麻酔薬(または局所麻酔薬にステロイド薬を加えたもの)を注入します。

選択的神経ブロック注射は、注射をした瞬間に激痛が生じますが、注射をした神経根が症状を引き起こしている原因であれば、すぐに痛みやしびれなどの症状は治まります。選択的神経今ブロックは、症状の改善とともに症状の原因となっている神経根を特定出来るため、治療と診断を兼ねて行われることが多いです。

硬膜外ブロックにしろ選択的神経ブロックにしろ効果は個人差が大きく、1年以上も効果が持続する方もいれば、注射した当日にしか効果が得られない方もいらっしゃいます。神経ブロックを数回行っても効果が得られないようであれば、手術を勧める医師が多いようです。

トリガーポイント注射

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腰部脊柱管狭窄症だけではなく、腰痛疾患全般において腰部の局所の筋肉が硬くなって、押すと強度の再現痛や関連痛を起こす場合があります。これは筋肉由来の腰痛疾患に特有のものと考えられていますが、詳細な病態ははっきりとは分かっていません。

トリガーポイント注射とは、この硬くなっている局所の筋肉に局所麻酔薬を注射する治療方法です。ただ、一時的に痛みは改善するものの根本治療にはならないため、症状によっては手術を受ける必要もあるようです。

発症した際日常生活で気を付ける事とは

歩くときは前かがみの姿勢

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腰部脊柱管狭窄症の場合、背中を反らせる姿勢をとると脊柱管の内部が狭くなるため、より神経が圧迫されることになります。そのため、歩くときは胸を張って歩くのではなく、心持ち前かがみで歩くようにすると、痛みや痺れを抑えることが出来ます。

また、前かがみに座っていると痛みもなく楽なのですが、長時間ずっと座りっぱなしになってしまうと、運動不足から筋力低下を引き起こすことになります。出来るだけ神経を圧迫しないように注意しながら、普段通りの日常生活を送るようにしてくださいね。

杖や手押し車を使う

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背中が反ると神経が圧迫されて症状が現れますから、少し前かがみになって楽な姿勢をとることが大切です。とはいえ、前かがみの状態で歩くのも大変ですから、歩いて移動する際には杖や手押し車(シルバーカート)などを使用して、自然と前かがみの姿勢になるようにしてみてください。

また、立ち仕事を行うため、杖などを使用することが出来ない場合は、膝が軽く曲がる程度の踏み台を用意して片足を載せて行うようにしてください。腰の神経の圧迫が軽くなるため、症状が現れるのを防ぐことができるようになります。

移動に自転車を使う

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腰部脊柱管狭窄症の症状は、馬尾神経や神経根に血流障害が起こることで生じます。この痛みや痺れといった症状は、脊柱管が広がる前傾姿勢で軽減され、脊柱管が狭まる立ち姿勢や伸展姿勢をとると悪化します。

そのため、座った姿勢で自転車を使用すれば、脊柱管狭窄症の症状はほとんど出ることはありません。自転車を使用して活動範囲が広がれば、筋力低下を防ぐことも出来ます。自転車を活用出来る環境にある方は、ぜひ活用してみてくださいね。

コルセットの使用

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腰部脊柱管狭窄症で用いるコルセットには、背中が後ろに反らないように強制的に前かがみの姿勢を取るようにする金属製の硬性コルセットと、硬いコルセットを使用するのが辛い場合に用いる比較的柔らかい軟性コルセットがあります。

特に高齢者において硬性コルセットは使用するのが難しい場合が多いですから、紐で締め具合を調整できる軟性コルセットが選択されることが多いようです。コルセットを使用することで、腰回りの筋肉が支えられますから、筋力トレーニングやリハビリなどをスムーズに行うことが出来るようになります。

適度な運動で筋力を鍛える

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腰部脊柱管狭窄症になると、長時間歩くことが困難になるため、つい動かないでじっとしていることが多くなります。ですが、これではどんどん筋力が衰えてしまって、寝たきりにつながることもありますから注意が必要です。

また、腰部脊柱管狭窄症の手術を行う場合でも、あまりに筋力が低下していると術後のリハビリをしっかりと行うことが出来ずに、そのまま寝たきりになってしまうこともあります。

間欠性跛行があって歩きにくい場合でも、自転車や手押し車を利用すると移動しやすくなりますから、運動不足の状態を防ぐことが出来ます。医師や専門医の指導のもと、自分に出来る範囲で運動を行うようにしてください。

脊柱管狭窄症は安静にしていても治る病気ではありませんから、出来る範囲の運動を行って筋力を維持するよう心がけるのが大切です。

腰部脊柱管狭窄症のリハビリ方法とは

牽引

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腰椎牽引器を使用して行うリハビリ方法です。牽引療法では、腰を引っ張ることと緩める動きを繰り返して神経の圧迫を緩和し、痛みやしびれを和らげます。ただし、痛みが強い時には行うことは出来ませんから、他の治療法で痛みを抑えてから行います。

牽引治療法では、体重の1/3から1/2程度の力をかけて1回あたり10分から15分ほど行うことが多いようです。また、化膿性脊椎炎などの脊椎の炎症性疾患、悪性腫瘍、妊娠中の方は行うことが出来ません。

温熱・光線療法

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温熱・光線療法とは、物理療法の1種で物理的エネルギーを体に加えることで、血液循環を改善させ、筋肉の緊張緩和や痛みの軽減を期待するリハビリ方法です。これらの他の物理療法には、電気療法や超音波療法などがあります。

温熱療法は「ホットパック治療」と呼ばれることもあります。患部にホットパックを乗せて温めることで筋肉が緩み、痛みが緩和されます。腰部脊柱管狭窄症だけではなく、筋肉痛や腱鞘炎、打撲、捻挫、腰痛症など様々な疾患に対して用いられる方法です。

光線療法では、低出力レーザーを患部に当てて温め、血流量を増加させて筋肉や関節などの痛みを緩和させます。こちらも腰部脊柱管狭窄症だけではなく、様々な疾患の痛みの緩和方法として用いられる方法です。

エクササイズ

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腰部の最深部にある腹横筋は、腹部前方の腹筋膜と後方の腰背筋と連結して、腹腔を囲む輪のような構造を形成しています。この構造により腰椎の安定性は高まっており、このことを腰部抗重力支持機構と言います。

この腰部抗重力支持機構を強化するようなエクササイズを行うことで、腰椎の前弯が抑えられて脊柱管が拡大し、脊柱管狭窄症の症状が改善するとされています。

この方法は脊柱管狭窄症の保存的治療の中で脊柱管を広げる根本的治療を行える数少ない手法ではありますが、取り入れている医療機関はそこまで多くないため、受診した病院によってはこの治療法を行っていない場合もあります。

腰部脊柱管狭窄症の名医紹介

北海道・東北地方

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北海道<医療法人社団 我汝会 えにわ病院:佐藤栄修先生>

北海道の腰痛のスペシャリストとして知られる名医です。また、佐藤先生以外にも、えにわ病院には脊椎専門医が3名いらっしゃいます。いずれの先生も日本製形学会学会認定の脊椎脊髄病医であるとともに、日本脊椎脊髄病学会認定脊椎脊髄外科指導医でもあります。

最新の機器も揃っていますし、リハビリ部門の実績も高いです。手術件数も多く、どの先生も経験豊富なため安心して治療を受けることが出来ます。

恵庭にあるため、札幌からでは通院しにくいという方は、同じグループの我汝会さっぽろ病院が札幌市内にありますので、ぜひ調べてみてくださいね。

福島県<福島県立医科大学付属病院:大谷晃司先生>

腰痛の名医として「たけしの家庭の医学」への出演経験もある医師です。医科大学付属病院のため、手術件数も多く、医療設備も整っています。

ただ、大学病院であるため診療は完全予約制で、かかりつけ医からの紹介と予約が必要になります。大谷先生の治療を希望される場合には、事前にかかりつけ医から病院に連絡を入れてもらい、予約を取るようにしてください。

関東・中部地方

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東京都<国際医療福祉大学三田病院:福井康之先生>

みのもんた氏の腰部脊柱管狭窄症の手術を担当されたこともある医師です。約2,000例にもなる手術経験と分かりやすい説明から患者の信頼を集めています。

三田病院を受診する場合は、まず電話で予約を取るようにしておきましょう。HPから問診票をダウンロードすることが可能ですので、事前に記入しておくと当日スムーズに診察を受けることが出来ます。

愛知県<あいち腰痛オペクリニック:伊藤不二夫先生>

テレビやラジオでの健康相談、医師会での講師など様々な教育活動にも積極的に参加し、学会でも広く活躍されている腰痛の専門家とも言える医師です。出来るだけ体への負担が低い手術を取り入れていることに加え、手術実績も豊富なため、安心して治療を受けることが出来ます。

外来は基本的に予約のみのため、事前に電話をして予約を取るようにしておきましょう。また、HPから問診票をダウンロードすることが可能です。事前に記載しておくとスムーズに診察を受けることが出来ます。

近畿地方

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大阪府<JCHO 大阪病院:冨士武史先生>

脊柱管狭窄症の名医としてマスメディアで紹介されることも多い医師です。大阪病院脊椎外科センターに所属しており、脊椎外科や頸椎外科を専門にされています。

大阪病院を受診される際は、かかりつけ医からの紹介が必要ですから、事前に紹介状を用意してもらってください。また、大阪病院は初診の際は予約がないと診察を受けることが出来ません。必ずかかりつけ医に相談して、かかりつけ医から予約を取ってもらうようにしてください。

紹介状がない場合でも予約があれば診察を受けることもできますが、初診料とは別に選定療養費2,700円が必要になります。HPから初診申込書をダウンロード出来ますので、紹介状と合わせて持参するようにしてくださいね。

兵庫県<国立病院機構 神戸医療センター:宇野耕吉先生>

神戸医療センターの副院長で、日本整形外科学会認定脊椎脊髄病医と日本脊椎脊髄病学会指導医の資格を持っていらっしゃる医師です。脊椎脊髄外科を専門とされ、様々な年齢層の背骨の問題に積極的に取り組まれています。

また、病院全体としても脊椎脊髄疾患のパイオニアとして広く認知されており、全国から多くの患者さんが来院されています。

神戸医療センターを受診される際は、かかりつけ医から紹介状を書いてもらうようにしてください。しょうかいじょうがなくても診察を受けることは可能ですが、初診料に加えて別途選定療養費2,700円が必要になります。予約は特に必要ありません。

中国・四国地方

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鳥取県<博愛病院:奥野誠先生>

一般の整形外科診療はもちろんのこと、人工関節手術や骨粗鬆症の治療に特化した診療が行われています。鳥取県初の人工関節センターを備え、奥野先生はセンター長としてご活躍されています。手術実績も豊富で手術への信頼度が非常に高い病院です。

博愛病院を受診する際には紹介状は不要ですが、担当医に希望がある場合は事前に予約をしておくことをお勧めいたします。ただ、医師の緊急手術などの都合により予約をすることが出来ないこともありますので、事前に電話で予約診察が可能かどうか確認しておくと安心です。

また、当日と翌日の予約はすることは出来ませんので、注意するようにしてくださいね。

九州地方

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長崎県<長崎労災病院:小西宏昭先生>

年間約380例の腰部脊柱管狭窄症や腰痛の手術を行っている医師です。また、小西先生の他、8名の整形外科専門医がいるため、病院全体としての手術実績も高く、病棟の設備も整っています。

長崎労災病院を受診する際には、かかりつけ医からの紹介が必要になりますので、事前に紹介状をもらっておきましょう。紹介状がなくても受診することは可能ですが、待ち時間が長時間になったり、金銭的な負担が大きくなります。

また、かかりつけ医から長崎労災病院の地域医療連携室に事前申し込みをしてもらうことで診察予約をすることが可能です。小西先生の治療を希望する場合は、まずかかりつけ医に相談するようにしてくださいね。

まとめ

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腰部脊柱管狭窄症は、放置していても症状が改善しないどころか悪化してしまう疾患です。症状が酷くなると、手術を行っても期待した効果を得られなくなってしまうこともありますから、間欠性跛行などの腰部脊柱管狭窄症に特有の症状に気がついた時には、出来るだけ早い段階で病院を受診して適切な治療を受けるようにしてください。

腰部脊柱管狭窄症の治療は、症状などに合わせて様々な方法で行うことが出来ます。どうしても手術を行いたくない理由がある場合などは、早めに医師と治療方法について相談しておきましょう。

ただ、手術となるとどうしても躊躇ってしまいがちですが、脊柱管狭窄症は手術を行うことでかなりの改善効果を得ることが出来る疾患です。最近は体への負担が少ない手術方法も開発されていますので、医師の説明をしっかりと聞き、リスクやメリットについてきちんと判断した上で、手術を行うか行わないかの選択をするようにしてくださいね。