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シスプラチンの副作用とは?しびれや下痢などの副作用を軽減することはできる?作用機序や添付文書と注意点を紹介!

シスプラチンとは白金(プラチナ)を含む金属化合物で広く知られた抗がん剤です。この記事ではシスプラチンを使った治療方法について記載するとともに、知られている副作用とその対策、さらに併用が禁止されている医薬品や使ってはいけないとされる患者さんのことなど、シスプラチンについて知っておいたほうが良いと思える情報をご紹介します。



シスプラチンとはどんな薬?

作用機序

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シスプラチンはプラチナ(白金)を含む金属化合物で、がん細胞内の遺伝子本体であるDNAと結合することにより、がん細胞の分裂を止めて死滅させる抗がん剤です。作用機序には、「マウス実験腫瘍に対して幅広い抗腫瘍スペクトルを有しており」と記載があります。

※作業機序とは医薬品の効果を表す文書で、その医薬品のインタビューフォームに記載があります。インタビューフォームとは医療用医薬品の添付文書の情報を裏付けるために薬剤師などの医療従事者にとって、必要な情報が総合的に記載されている文書のことを言います。

添付文章とは医薬品の基本的や要約情報が記載されている文章で、医薬品メーカーが医薬品ごとに提出を義務付けられています。つまり、医薬品の重要な注意事項については、添付文書とインタビューフォームに記載されているということになります。

点滴で投与する

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シスプラチンは点滴で投与されます。シスプラチンとともに、エトポシドという抗がん剤を投与するシスプラチン・エトポシド療法(EP療法)が抗がん剤治療として確立されているようです。エトポシドは多年草などの根茎がら取り出した成分を合成した抗がん剤です。

細胞の分裂の際にDNAの分裂が進まないようにする働きがあるとされています。エトポシドの作用機序には「小細胞肺がんや悪性リンパ腫などに有効である」との記載があります。

副作用が強い

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シスプラチンは副作用が大変強いと指摘されています。シスプラチンの添付文書を見ると「重篤な副作用が発現することがある」、「副作用が強くあらわれることがある」と記載されています。

またインタビューフォームには、「急性腎不全、汎血球減少等の骨髄抑制、ショック,アナフィラキシー洋症状、間質性肺炎、聴力低下、難聴,耳鳴り」など、多数の副作用が列記されおり注意喚起がされています。

副作用の発現時期と期間

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シスプラチンの副作用の発生時期と期間については、良く見られる副作用と現れやすい発生時期があるとの指摘がありますが、同時にすべての人に副作用が出るとは限らず、また副作用の種類や程度、現れる時期も人により異なるとされています。

抗がん剤の治療による副作用は、早く現れるものから遅く現れるものまで多岐にわたるため、治療を始めてからのそれぞれの時期にあった対応方法が必要とされています。あらかじめ予想される副作用を知り対策を立てておくことで心の準備ができて、副作用の予防が可能になり早く適切な対処が可能になるので、副作用への理解が重要であるとの指摘がされています。

シスプラチンの副作用

腎臓機能障害

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シスプラチンの副作用については、以下のような症状が多く指摘されているようですが、人により症状の現れ方は違うようです。

腎臓(じんぞう)機能障害(腎障害)が発生する可能性が指摘されています。腎臓は老廃物を排泄したり、水分バランスを調節するなど重要な働きをしており、腎障害が起こった場合は重症であることが多いため、副作用が発生すると抗がん剤治療が続けられなくなることがあると指摘されています。

実際にシスプラチンの添付文書には、禁忌(きんき:次の患者に投与しないこと)として、「重篤な腎障害のある患者[腎障害を増悪させることがある。また腎からの排泄が遅れ、重篤な副作用が発現することがある。」と記載されています。

なおカルボプラチンという抗がん剤があり、シスプラチンと同様のプラチナを含む金属化合物の抗がん剤ですが、シスプラチンと比較して腎障害の副作用が軽減されています。ただし血液毒性、特に血小板減少が強くなっていると指摘されています。

抗腫瘍活性はシスプラチンとほぼ同様のためシスプラチンの代わりに使われることもあるとの指摘があります。カルボプラチンの添付文書には、禁忌として「重篤な骨髄抑制のある患者[骨髄抑制は用量規制因子であり、感染症又は出血を伴い、重篤化する可能性がある。]」と記載されています。

嘔吐や食欲不振

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抗がん剤によって引き起こされる嘔吐や吐気には、点滴直後から数時間以内のおこる、点滴終了後24時間以降にみられ数日間続く、点滴すると思っただけで起こる、の3種類が指摘されています。また最近は吐気止めの薬で、この副作用をコントロールできるようになってきているとされています。

食欲不振も副作用として指摘されており、消化器の副作用として添付文書に記載があります。食欲不振に対しては、好きなものを食べるようにして対応してよいようです。

胃腸の不調

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嘔吐、食欲不振と同様に下痢、便秘についても添付文書に副作用として記載があります。どちらの副作用にも水分補給を心がけるようにして、下痢の際には消化によいものを数回ずつ分けてとるようにする、便秘の際には毎日決まった時間にトイレに行くようにする、などを勧められるようです。

骨髄抑制

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骨髄に関する副作用もしばしばみられるとされています。骨髄抑制を言われ、貧血や感染症にかかりやすくなるなどの症状が指摘されています。シスプラチンのインタビューフォームにも「汎血球減少等の骨髄抑制」との項目があります。

また同じくインタビューフォームによれば、パクリタキセルという抗がん剤を併用する際には、パクリタキセルの前にシスプラチンを投与すると骨髄抑制が増強される恐れがあるとされています。

末梢神経障害

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ボタンがかけづらい、手先足先がつめたいなどの副作用も指摘されています。手足のぴりぴり感や刺すような痛み、感覚が鈍くなったりすることがあるようです。しびれは段々と強くなって行く傾向があるとされていて、しびれがひどくなると抗がん剤治療が進められなくなると指摘されています。

難聴

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高音域での難聴と耳鳴りも副作用として指摘されています。稀なケースのようですが、症状が進行してすると回復しずらく治療法も無いようです。早期に発見することが重要と指摘されています。

シスプラチンの添付文書には、「投与量の増加に伴い聴器障害の発現頻度が高くなり、特に1日投与量では80mg/m2以上で、総投与量では300mg/m2を超えるとその傾向は顕著になるので十分な観察を行い投与すること。」との記載があります。

脱毛

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治療2~3週間後あたりから毛が抜け始めるとされています。しかし治療が終了して6~8週間後には毛がはえはじめて約半年後には回復すると指摘されています。一時的に髪質が変わることがあるもののやがて元に戻るとされています。

症状には個人差があるともされています。髪の毛が抜けるときにぴりぴり感が出る場合があると指摘されています。

シスプラチンの使用上の注意点

水分輸液する必要がある

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シスプラチンは腎機能に重大な副作用を及ぼすことがあり、そのダメージを減らすためにシスプラチンの点滴後には、1Lから2Lの輸液を点滴し利尿を増やすようにするようです。尿の量が増えない場合は利尿剤を使うことがあると指摘されています。

尿の量を増やす効果として、腎臓におけるシスプラチンの濃度低下、毒性の原因の1つであるシスプラチンの反応抑制、シスプラチンと腎臓の接触の軽減、などがあるとされています。また普段より多めに、スポーツドリンクなどでの水分補給を勧められるようです。

併用できない薬がある

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シスプラチンの副作用がさらに進む可能性があるような医薬品の併用について、原則禁忌とされているものもありますので注意が必要です。以下に例示をしますが、抗がん剤治療中の他の薬剤の使用については、主治医の指示に従う必要があります。

・アミノグリコシド系抗生物質

アミノグリコシド系抗生物質製剤は感染症の治療の目的で用いられる注射の抗生物質で、腎臓コンド系抗生物質の添付文書には、併用に注意する薬剤としてシスプラチンが挙げられています。また同じく添付文書には腎障害に加えて聴覚障害の発現、悪化の可能性も指摘されています。

・グリコペプチド系抗生物質

グリコペプチド系抗生物質製剤の添付文書にも、シスプラチンと併用すると腎障害、聴覚障害を増強する恐れがあると指摘されています。

シスプラチンを使用できない人

腎臓機能が低下している人

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シスプラチンのインタビューフォームには、以下の3つの禁忌内容とその理由が記載されていますので、原則的に該当する人はシスプラチンを使った抗がん剤治療はできないようです。

1つ目は重篤な腎障害のある患者です。腎障害を増悪させることがあり、また、腎からの排泄が遅れ、重篤な副作用が発現することがあると記載されています。

2つ目は、シスプラチンまたはその他の白金を含む薬剤に対し過敏性の既往歴のある患者です。3つ目は、妊婦又は妊娠の可能性のある婦人と記載があります。

重い肝機能低下のある人

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また、シスプラチンの添付文書には腎障害のある患者に加えて、肝障害のある患者についても「代謝機能等が低下しているので、副作用が強くあわれることがある」とされていて、慎重投与の対象と記載があります。

妊娠している可能性のある人

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上記のとおり妊婦又妊娠している可能性がある婦人には投与しないこと、との記述がシスプラチンの添付文書にあります。「動物実験で、ラットにおいて催奇形(さいきけい)作用、胎児致死率の増加、ウサギにおいて胎児致死率の増加が認められ、また、マウスにおいて催奇形作用、胎児致死作用が報告されている。」との記載があります(催奇形性とは、奇形を作る性質ということです)。

さらに「授乳を中止させること。[母乳中に移行することが報告されている。]」との記載もありますので、注意が必要と思われます。

まとめ

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シスプラチンはプラチナ(白金)を含む金属化合物でがん細胞の分裂を止めて死滅される抗がん剤です。点滴で投与され、シスプラチンとエトポシドという抗がん剤とともに投与する療法(EP療法)は確立されたがん治療法のようです。

シスプラチンの副作用は大変強いことがあり、発生する症状や時期、期間は人により異なることが指摘されています。ただし、発生する副作用を知っておくことで、予防が可能になり早く適切な対処が可能になると指摘されています。

副作用の症状には、腎機能障害、嘔吐、食欲不振、下痢、便秘、骨髄抑制、末梢神経障害(しびれ)、難聴、脱毛など多くが指摘されており、腎機能障害に対して輸液の点滴や十分な水分補給、また副作用を助長するような薬剤(アミノグリコシド系抗生物質やグリコペプチド系抗生物質)の併用を禁止するなどの適切な対策が必要とされています。

また妊婦などは使用を原則禁止(禁忌)とされている人もあるようです。このようにシスプラチンの使用に際しては、医師の指示に従って適切に使用することが極めて重要と言えるでしょう。