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【壊死って何?】意外と身近な怖い症状!壊死に繋がりやすい怪我は?5つの種類や原因・8つの体の部位ごとに徹底解説!

「壊死」という言葉、なんとなく聞いたことはあるけれど具体的にはよく知らない…という方や、その言葉のイメージから「そうそう起きる症状じゃない」と思ってしまっている方は意外と多いのではないでしょうか?しかし、実はこの「壊死」は私達の日常生活の中でも、簡単に起きる症状なのです。壊死とはなんなのか、どのような原因があるのかなどをわかりやすく解説します!



壊死が起きるのはどんな病気がある?

もしも「壊死している」と医師から告げられたら、ほとんどの人は激しく動揺すると思います。「切断」や「命の危険」も伴うイメージが強いので、絶望的な気持ちになる人も少なくはないでしょう。

実は「壊死」というのは私達の体の中で、毎日のように起きている現象でもあるのはご存知でしょうか?生命の細胞は、壊死と再生を繰り返して健康な状態を維持しています。生きていくには「正常、必要な壊死もある」のです。

しかし、この壊死と再生のループ上の仕組みに、外傷や病気などの異変が生じた場合、命の危険や体の一部切断などの重大な症状に繋がるというわけです。何故壊死は起こるのか、壊死した細胞や組織はどうなるのかを、わかりやすく解説致します。

壊死とは?

生物の組織の一部分が死滅

そもそも「壊死」とは何なのかというと、わかりやすく言えば「血液によって酸素と栄養が運ばれなくなってしまった細胞が死滅する」状態のことを言います。血液には酸素や栄養素が含まれていて、細胞は血液からそれらを取り込んで生きています。

生体はこうした細胞の集合体ですので、怪我や病気などの外的要因によって、一部分において虚血(血液が停滞してしまう状態)が起こるとその部分は死んでしまいます。この細胞死のことを「ネクローシス(壊死)」と呼んでいます。

細胞死にはネクローシスと対の現象である「アポトーシス」もあり、このアポトーシスは遺伝子による「プログラミングされた細胞死」であるとされています。おたまじゃくしがカエルになる時、しっぽの部分は消失しますが、あれは成長に伴い不要になった細胞をアポトーシスによって死滅させているからです。

私達の体の中で、異常が起こったりガン化した細胞は、常にアポトーシスによって死滅し体外に排出、あるいは近くの細胞に吸収され健康を保っています。しかし、このアポトーシスの機能が故障してしまった細胞は取り除かれること無く、増殖を繰り返し癌細胞や腫瘍細胞となってしまいます。

細胞膜の破綻

ネクローシス(壊死)が起こると、その細胞は砕けて破壊されます。その際、細胞膜という膜がやぶけてしまうため、細胞の内容物が周囲の組織に流れ出します。

この時、細胞中の消化酵素やサイトカインという情報伝達用のタンパク質が流れ出ることによって炎症発生因子となり、周囲の細胞に重篤な影響を及ぼします。その重症度によっては、一部細胞の壊死が周囲組織全体の壊死に繋がるという危険性もあります。

たったひとつの細胞の壊死が組織全体の壊死に繋がってしまった場合には、切除や切断といった外科的治療を施さないとならなくなる場合もあり得るということです。

「壊疽(えそ)」との違い

よく耳にする壊死(えし)似たような言葉で「壊疽(えそ)」という症状がありますが、これは壊死の状態から腐敗菌感染や疾病の悪化などにより、壊死した組織の腐敗、硬化が進んだ症状のことです。

壊死から壊疽に悪化してしまった場合、最悪の場合その部分の切断をしないと菌が全身に回ったり、神経症状が起こるなどの可能性があります。壊疽に悪化した場合はその部分が黒緑色に変色したり、悪臭を放ったりすることが多く、糖尿病患者の末期症状や凍傷の重篤症状によく現れます。

症状が壊死から壊疽に移行した場合、その組織の再生能力や回復能力は格段に低下するので、機能そのものが失われる危険性も高いと言えるでしょう。

壊死の原因は?

酸素や栄養の欠乏

壊死(ネクローシス)は、外傷や疾病などの要因で血行不良が起こり、細胞に酸素と栄養が届かなくなったことで起こります。細胞というものは血液に含まれる酸素や栄養素などの循環によって生かされているものですので、この血液という大切な命綱を失えばあとは死滅するしかありません。

酸素供給や栄養供給が乏しくなった細胞が死滅し始めると、その周囲に死滅して壊れた細胞から流れでてしまう成分によって炎症が起きたり、同様に細胞死が連鎖するという現象も起こるため、治療が遅れると生命の危険を伴う場合もあります。

血流の低下

なんらかの原因で細胞に供給される血流が低下すると壊死反応が起こるわけですが、近年において最も注目を集め、ニュースやドラマなどにも取り上げられている細胞壊死による症状のひとつに「クラッシュ症候群」というものがあります。

日本国内においてこのクラッシュ症候群が注目されたのは阪神大震災の時です。重量物に長時間押しつぶされていた被災者に次々と現れた症状で、緊急医療現場において災害時には最も危惧される病状のひとつです。

長時間に渡る圧迫により血流が低下した細胞が壊死反応を起こすと、ミオグロビンやカリウム、尿酸や乳酸といった成分が放出されます。圧迫が解除されると、この壊れた細胞から放出された成分が全身に巡るようになり、きちんとした輸液補給や水分管理を行わないと急性腎不全や血管障害を起こし、最悪の場合は死に至るという症状です。

外傷部位が明確でないことや、意識低下がすぐには起こりにくいことから見落とされがちになることもあり、素早い判断で重篤症状に陥る前の対処が重要となります。

物理的原因

壊死は様々な原因で起こります。物理的な原因としては、感電による「電撃傷」や火傷による「熱傷」によるものが多く挙げられます。家庭内でも、電気コードによる感電や熱線による火傷などで起こりやすい原因とも言えます。

これらの外傷は、皮膚表面の傷よりも、さらにその奥の細胞や神経まで熱が到達していることが多くあり、「大したことがない」と自己判断してしまう方も実は多いとされています。放置する内に皮膚の深部で起こっていた壊死部位が腐敗するなどで変色や痛みを起こし、初めて病院に来るという人が意外と多いようです。

近年増加傾向にあり、また私達の日常にも密接に関わるのが「火傷」です。なぜ壊死を起こすほどの火傷が身近なのかというと、その正体は「低温やけど」と呼ばれるものです。ホットカーペットや湯たんぽなどの熱を発する家具に長時間「直接」皮膚を当ててしまうことで、表面の皮膚組織を通過した熱がじっくりと内部の細胞を傷つけていくのが低温やけどです。

始めのうちはひりひりするだけで、軽い火傷だと思っていても、1~2週間し黒変し始めるなどの皮膚症状が出ることがあります。いつまでも火傷の痛みが引かないと感じたら、それは組織の深部で壊死を起こしている可能性がありますので、早急に皮膚科を受診して下さい。

化学的原因

化学製品や毒物などによる「化学性の壊死」も、比較的よく起こると言われています。意外と身近にある薬品でも、使用法を誤ったり事故などによる壊死が起きることがあるのです。

自動車や電池内のバッテリー液も硫酸という劇薬ですし、体温計や温度計の中にも水銀というものが含まれている物があります。アルカリ性の洗剤などの腐食剤などでも事故が起きることもあり、これらに誤って触れてしまったり誤飲してしまった場合、その部分に化学的熱傷が起き、皮膚細胞や筋肉細胞の壊死が起こるということがあります。

また、ハブなど毒性の強い蛇や虫などにより、その毒素によって細胞壊死が起きることもあります。「壊死なんてそんなに身近なものではない」というイメージを起こしがちですが、意外なほど日常の中に壊死の危険性は潜んでいます。

病理的原因

壊死は病気が原因で起こることもあります。血栓症や動脈硬化などの血液循環障害や、糖尿病や腫瘍などによる神経性障害を起こした場合、その末端にある細胞や組織に血流が行き届かなくなり、支配領域が壊死していきます。

血流現象によるものを「梗塞」と呼び、脳や心臓、リンパや血管など様々な組織に起こりうるため、重大な持病を患っている人や生活習慣が乱れている人にも注意が必要というわけです。また、その他の免疫障害を伴う病気などでも壊死反応が起こることがあり、薬剤治療や手術療法などが必要になることもあります。

凝固壊死

「壊死」と一言で言っても、壊死した組織や細胞の質によって、壊死の状態が変わってきます。一般的な壊死の症状のひとつには、「凝固壊死(ぎょうこえし)」と呼ばれる状態のものがあります。

凝固壊死は、壊死した細胞が豊富なタンパク質を含むものだった場合、細胞の輪郭部分だけを残し、核が消失していきます。こうなると、残された輪郭部分は収縮し、周囲の組織が硬化してガチガチに固くなります。壊死して核を消失した細胞の「残存部分」に引っ張られるようにして、その他の細胞も次第に壊死をし始めていき、その壊死部分が拡大していきます。

この凝固壊死は主にタンパク質の豊富な細胞に起こりやすく、そのタンパク質が豊富な細胞はどこかというと「心臓」「腎臓」などです。つまり、心筋梗塞や急性腎不全などによって起こる壊死はそのほとんどが、組織が硬化してしまう「凝固壊死」が起きているということです。

融解壊死(1)

凝固壊死とは対照的に、壊死した細胞が自己の原型を留めないほどに溶けて消失してしまう状態を「融解壊死(ゆうかいえし)」と言います。壊死することによって破綻した細胞膜から、細胞中の消化酵素などが過剰に流出したり作用したりした場合や、細菌や体内に元々存在する真菌に感染したりすると、その酵素や菌が細胞そのものやその周囲組織を巻き込んで溶かし始めます。

この状態になってしまうと、原型を留めていないのですから、その組織の機能そのものが低下や消失してしまう可能性が出てきます。

この融解壊死は主に繊維質が豊富な組織で起こりやすく、代表的な部位は脳や脾臓です。つまり、脳梗塞を起こした場合、その影響で起こる多くの壊死は「融解壊死」となり、機能低下や機能消失の可能性が大きくなってしまうということです。

融解壊死(2)

脳梗塞など、融解壊死を起こしやすい組織周囲には脂肪細胞を豊富に含んだ神経系なども驚くほど密接に関わってきます。この脂肪質を多く含んだ細胞も、融解壊死を起こしやすいとされています。

動脈硬化などで血栓が出来、血行が行き届かなくなることで壊死反応が起きるということは先に述べた通りです。もしもこれが脳へと繋がる血管で起きた場合、脳の虚血症状が進み「脳梗塞」となります。この時、血管から送られてくる酸素や栄養分が極端に欠乏している状態ですので、当然神経細胞にも壊死が起こりやすくなります。

融解壊死を起こした場合、壊死してしまった細胞の死骸や分泌物の残存物質などは、液状粘調となり、外見上はクリーム色のようになります。内部に膿などが出来てしまった場合にも起こりえる状態ですが、例えば脳梗塞を起こした場合、発症からおよそ数時間以内にはこの状態が発生する場合があります。

脳梗塞を疑われる症状が起きた場合には、すぐに救急車などを手配し、早急な治療が必要です。処置が早ければその分壊死範囲は狭くなり、後遺症や合併症の危険性は格段に減りますので、リスクを減らすためにも素早い対処が出来ることが理想的です。

壊疽性壊死

「壊疽(えそ)」は壊死部位に腐敗菌が感染し、壊死した細胞や組織の腐敗が進行し始めた状態のことを指します。この状態の壊死反応を壊疽性壊死と呼びますが、壊疽性壊死は皮膚や四肢に起こってしまうことも多く、最悪の場合は切除・切断を余儀なくされるケースも多い症例です。

また、「ガス壊疽」という言葉を聞いたことはないでしょうか。これも壊疽性壊死の症状のひとつですが、これは感染症によるもので、恐ろしい勢いで全身に壊疽症状が広がり、最終的には死に至るという病気です。

溶血性レンサ球菌、黄色ブドウ球菌、大腸菌、嫌気性菌など原因となる菌は様々ですが、小さな怪我からこういった菌に感染してしまうと、全身に二酸化炭素やメタンガスを生産しながら凝固壊死の症状が拡がっていきます。そのため高熱や全身の痛み、吐き気などを伴い、傷口の黒変や悪臭も発生します。

こういったガス壊疽は戦時中などによく起こっていましたが、近年でも糖尿病や肝硬変などを上手くコントロールできていない方や、抗がん剤や免疫抑制剤などを服用中で免疫機能が上手く働かないという方には起こりえる症状です。

そのような持病を抱えている方や、もしも衛生状態の良くない場所で転んだりして「傷口にばい菌が入った」という可能性があるような怪我をした場合には様子見をせず、必ず医師に相談するようにして下さい。

乾酩(かんらく)壊死

最後は少し特殊な凝固壊死の一種である「乾酪壊死(かんらくえし)」についてです。「乾酪」とはチーズ様のことで、ある種の菌に感染した細胞が壊死すると、その菌の作用によってチーズのような形で壊死反応を起こすことがあります。

そのある種の菌の主な代表となるものは、「結核菌」「梅毒菌」などの感染症の原因菌です。

その他、悪性腫瘍などでも発生することがありますが、好発部位は主に肺や気管支などです。乾酪壊死を起こした結核感染巣はその後石灰化してしまうので、機能低下、機能消失の原因となります。病変の原因が取り除かれれば壊死反応は停止することもありますが、石灰化してしまった部位に関しては再生能力が消失している可能性もあるため、長期的な治療が必要となることもあります。

結核や梅毒というのは現代でまだまだ流行することがある菌です。特に近年では、若年層を中心に梅毒感染が拡大しているという報告もあるため、「自分は大丈夫」とは思わず、まずは徹底した予防や定期的な検診を受ける意識を徹底するべきと言えるでしょう。

壊死の発症箇所やその疾患は?

脳というのは針や糸よりも細い血管や神経が集まっている「生体の聖域」とも言える場所です。そのため、ほんの短時間の虚血状態や、一過性の梗塞でも、その繊細な細胞組織は壊死を起こしやすく、壊死した細胞や組織は適切な処置を施さないと重大な後遺症や命に関わる危険もありえます。

また、脳梗塞だけでなく高血圧などによって血管が破れたりして起こる「脳出血」によっても壊死は起こります。破れてしまった血管は、出血した箇所のその先には血液を循環出来なくなりますので、重要な神経や組織部位での虚血が起こるからです。

「脳梗塞」「脳出血」は中高年に多いとされている病気ですが、近年は食生活の欧米化や不規則な生活リズムによって若年層でも好発する病気となっています。もしも生活習慣に乱れが生じていると感じている方は、一度自分の食生活や睡眠リズムなどの見直しを行うようにしてみましょう。

目というのも、壊死がよく起こる部位です。脳と同じく細い血管や神経が通っている場所なので、網膜剥離やウイルス感染などで血管の損傷が起きた場合に、網膜に血流が流れなくなり壊死が生じることがあります。

「目の脳梗塞」とも言える病気として、「網膜動脈閉塞症」などの症状が現れると、光を完治するための視神経が壊死してしまうために視力を失う、光反射が出来なくなるなどの怖い症状が現れます。動脈硬化などで起きるのは「脳」だけではなく、目やその他の大切な臓器にも現れることを忘れないようにしましょう。

また、ウイルス感染による急性の壊死症状では「急性網膜壊死」というものがあります。これはヒトヘルペスウイルスが網膜に感染した場合に起こる症状なのですが、視力低下や視力喪失以外にも、網膜剥離、視神経委縮、網膜血管閉塞、網膜変性萎縮などの重篤な合併症を生じる危険性が提唱されています。

心臓

心臓の血管が詰まると、その血管の先にある細胞が凝固壊死を起こします。これがいわゆる心筋梗塞、狭心症となり、処置が遅れれば不整脈や心停止の根本原因となります。中高年に好発し、根本改善を行わないと何度も再発するという怖い病気でもあります。

心臓は筋肉が伸び縮みすることで、血液を全身に送り出したり古い血液を吸収し体外へ排出する働きを呼びかけたりする生命の源です。この心筋の細胞が壊死を起こすと、そのような正常な働きが出来なくなるため全身症状を呼び起こし、最悪の場合は死に至ります。

壊死部分の大きさによっては、心臓機能の低下が軽度で済むこともあります。壊死は時間経過とともに拡大するものなので、胸痛や激しい背部痛などの症状が起きたら様子見はせずに直ちに病院に行き、精密な検査を受けることをおすすめします。

骨も細胞の一部ですので、循環が悪くなれば壊死をすることがあります。この骨の壊死で注意が必要なのは、特発性(突発性ではありません)の大腿骨壊死症という股関節の骨の一部が壊死反応を起こす症状です。

股関節に程近いふとももの骨の部分を「大腿骨頭(だいたいこつとう)」と呼びますが、この部分は軟骨に覆われているため血管の量が少なく、全身の骨の中で血流障害を起こしやすい部位とされています。この部分に壊死が起こると、全身の体重を支えることが出来なくなるために歩行障害などの障害が起こります。

この特発性の症状は、男性の場合はアルコールの多飲、女性の場合はステロイド剤(副腎皮質ホルモン)の服用によって起こりやすいということが判明しています。好発年齢も30代~50代と比較的若いうちから発生するため、一生の問題にも繋がります。

壊死範囲が小さいうちに安静や投薬療法などの対処が出来れば、比較的軽度の症状から快癒する可能性も高い症状なので、もしも股関節痛や歩行困難などの症状が現れたら、整形外科で骨の状態を確認するようにしましょう。

皮膚

皮膚は他の部位と比較しても壊死を起こしやすい組織です。身近なところでは低温やけどや感電などによる熱傷や電撃傷によるものや、傷口の化膿から壊死に繋がることもあります。

傷口などからの感染症によって起こる壊死の中でも、丹毒(たんどく)や蜂窩織炎(ほうかしきえん)といった黄色ブドウ球菌やレンサ球菌などの細菌による感染症は、重症化すると壊死性筋膜炎(えしせいきんまくえん)の原因となる怖い感染症です。

顔面や四肢、陰部に好発しやすいとされていますが、もしも感染症にかかってしまった場合は傷口の腫れ、皮膚が赤く硬化する、激痛などの症状が現れ始めます。症状の進行度合いによってはしこりのように固くなったり、潰瘍になってしまうこともあります。

初期、ないしは中期の段階で抗生物質などの投与を行えばほとんどの場合快癒しますが、処置が遅れると神経症状や患部の切除などを余儀なくされる可能性もあります。小さなキズだからと自己判断せず、膿や腫れが引かないようなことがあればすぐに病院に行きましょう。

リンパ

皮膚や骨の壊死ほど多くはありませんが、リンパ節に壊死反応が起こる病気もあります。これは「壊死性リンパ節炎」または「菊池病」と呼ばれる病気で、主に女性に罹患者が多く、年齢も20代~30代の若年層に好発するとされています。

この病気の原因は詳しくはわかっていませんが、多くの場合抗生物質などの投薬が無効となり、長い人は1~2ヶ月は首や脇の下のリンパ節の腫れ、また高熱や発疹などの全身症状が起こる病気です。ほとんどの場合は解熱剤や一時的なステロイド剤投与などで快癒しますが、稀に再発、快癒を繰り返す人もいます。

悪性リンパ腫や白血病のような命に直結する病気ではなく、また膠原病などの全身症状が年単位で続く病気とも少し違いますが、高熱や倦怠感、風邪様の症状が一定期間継続するため、辛さにより精神的なダメージを起こす場合も考えられます。

もしもリンパ節の腫れや長期間熱が引かないなど、「おかしいな」という症状があったら、内科、あるいは血液内科を受診し精密検査を受けてみるほうが良いでしょう。

その他(1)

新生児(生後30日以内)に多く見られる壊死もあり、それが「壊死性腸炎(えしせいちょうえん)」です。低出生体重児や早産児がなるリスクが高い疾患と言われており、特に生まれた時の体重が1000g未満の場合は特に危険性が高いと言うことです。

原因はまだはっきりと分かっていませんが、体の小さな赤ちゃんに起こりやすいことから、腸の未発達による血流障害や細菌の感染などが原因のひとつと考えられています。免疫力の未熟な赤ちゃんの場合、些細な細菌や真菌にも感染しやすくなっているので、出来る限り母乳で免疫力を上げるということが効果的な場合があります。

重篤な症状になると、壊死した腸の一部を切除するなどの措置が必要になることもあり、場合によっては腸が狭くなるなどの後遺症が残ることがありますので、赤ちゃんのお腹が大きく張っている、ミルクの飲みが悪くなるなどの異変を感じたらすぐに病院にかかるようにしましょう。

一説によると、母乳ではなくてミルクをあげていることで壊死性腸炎になるリスクが高くなるということです。そのため壊死性腸炎を予防するためには、できるだけ母乳を与えた方が良いとする医師もいます。

その他(2)

「病気による壊死」の中で、一般的に広く知られているのは「糖尿病の合併症」というイメージではないでしょうか。糖尿病を患うと、合併症により血流障害や神経障害を起こします。そのような状態ですと、小さな怪我や傷、違和感などに気づくのが遅くなったり、細菌感染などを起こしやすくなります。

もう少しわかりやすく言うと、たとえば100℃のお湯に足をつけてしまったら、人は誰でも瞬時に「熱い!」と飛び跳ねると思います。しかし、神経障害を起こしている方はそういった温度に気づくことが出来ない、または極端に遅いため、重度の熱傷などを負いやすいのです。

また、水虫などの真菌はどこにでも潜んでいます。健康な人は自らの体の免疫機能によってそれらの真菌の感染を防いでいますが、糖尿病の人は高血糖と血流障害のために免疫力が極端に低下しているので、いとも簡単に感染し、それが元で化膿、潰瘍化、壊死、壊疽と雪だるま式に悪化してしまうのです。

糖尿病にかかってしまったら、常に慎重なフットケアが求められます。衛生状態の徹底や血行障害の緩和など、医師や専門家のアドバイスも得ながらの適切な予防を心がけるようにしましょう。

壊死した部分はどうなるの?

再生、あるいは線維化

「壊死した」としたら、それは「もう治らない」と同義語のように感じる方は多いのではないでしょうか。これは、一部では確かにその通りです。しかし、もう少し詳細に説明すると、「壊死した部位による」というのが実のところです。

死滅した細胞は、その異常の根本原因が取り除かれれば、基本的には欠損部分の一部やその他の組織が死滅した細胞をカバーするように増殖したり、あるいは線維化したりしてその機能を再開させるように働きかけます。

壊死の度合いが軽ければほぼ完全に戻る細胞もありますし、機能に遜色なく再び活動出来るレベルまで回復するものもあります。また現代医学においては、これらの生体の仕組みを利用し欠損部分を再建する医術も日々進歩しています。

臓器の場合は機能低下

腎臓や胃、腸などの臓器に壊死が起こった場合、壊死部分が治癒したとしても多くはその本来の機能が低下傾向になります。長期的な回復治療を行えば一定度の回復もあり得ますが、個人差があるものなので「絶対に完治する」かどうかは明確に答えられない場合も多いでしょう。

また、壊死の根本原因が急性のものなのか、慢性的な持病なのかでも経過が大きく変わることがあります。急性腎不全などの場合には、細胞壊死が起こっても適切な治療を行うことで一定期間で快癒しますが、慢性腎不全の場合はその進行度合いによって一生涯の治療が必要となることもあります。

再生しない細胞は腐敗する場合もある

残念ながら、現代医学においても未だ再生技術の発展途上になっている部位もあります。その代表が心筋の壊死です。

心筋梗塞を起こした場合、軽度であればその壊死範囲は狭く、日常生活が送れる状態にまで回復することは可能です。しかし、壊死した部分を完全に再生することは難しく、このことから何度も心筋梗塞や狭心症を繰り返してしまう人も多くいます。

また、一部の神経細胞も壊死を起こすと切除が必要になります。よくあるのは、歯の神経です。歯髄壊死という歯の根元にある神経が、虫歯菌の感染などにより壊死を起こすと、治癒せずそのまま腐敗してしまうことがあり、その場合は神経細胞を切除することになります。

壊死は放置すれば拡大していくものですから、出来る限り機能低下を食い止めるための措置ですが、そうならないためには、日々の衛生管理や生活習慣の管理などの心がけが必要となります。

穿孔(せんこう)

消化管や心臓、胃や腸などの「管状、あるいは袋状の臓器」に壊死が起こると、その欠損部分から孔(あな)が開く「穿孔」と呼ばれる症状を引き起こしてしまうこともあります。壊死による二次症状とも言えますが、臓器に大ダメージを与えてしまうためにそのほとんどは手術が必要となります。

また、非常に稀ではありますが「便秘による壊死が大腸穿孔を起こす」という症例も報告されています。つまり、便秘によって腸が圧迫され壊死を起こし、その部分が欠損して穴が開いてしまったという症状です。腸壁の弱っている高齢の方に起こるようですが、「便秘が壊死を起こす可能性もある」ということは頭の片隅に置いておいたほうが良いでしょう。

壊死した際の治療法は?

手術

細胞や組織に壊死が生じた場合、破壊された細胞からの内容物が広がるのを食い止めるために手術や壊死部分の切除を必要とする場合は少なくありません。

よくテレビドラマや映画などで取り上げられる「片足切断」「指の切断」などという大規模な外科手術が必要になる場合、そうしないと壊死の拡大を食い止められず命の危険があるという場合に行われます。また、低温やけどなどの日常的に起こる外傷による壊死の場合にも、必要があれば壊死部分の切除が行われます。

壊死範囲が狭ければ日帰りなどの簡単な手術で済みますが、壊死部分が大きく、体液などの管理がしばらく必要な状況の場合は数日間から数ヶ月間の入院治療が必要になることもあります。特に、足などの体の大きな一部を切断するような状態の場合や血管修復手術などが必要になる場合には、リハビリ治療も含めて半年以上に及ぶ可能性もありえます。

薬物療法

抗炎症剤の塗布や服用など、手術をしない壊死の治療法もいくつかありますが、重症壊死の場合には多血小板血漿療法(PRP)やマゴットセラピー(MDT)といった特殊治療を施す場合もあります。

多血小板血漿療法(PRP)とは自分の血液から血小板を取り出して濃縮し、 その中に含まれる成長因子による作用で傷を治療する手法で、美容外科などでも使用されます。また、マゴットセラピーとはハエの幼虫(蛆虫)を壊死部分に固定し、虫が腐敗した組織を取り除き無菌状態にするという治療法です。

糖尿病など壊死が重篤化しやすい傷病状態の場合、切断を余儀なくされることも多いものですが、こういった特殊治療や薬剤の開発の進展などにより、切断そのものを免れるケースも増えてきています。ただし、こういった薬剤や特殊治療は行える窓口が限られることもありますので、まず医師に治療法の選択肢を必ず問い合わせるようにして下さい。

壊死に関して注意する点は

放置しない

「壊死を放置しないなんて当たり前」と思われた方も多いと思います。しかし、壊死の怖い部分は「深層で起こることもある」ところです。表面の傷が小さく、軽い傷のように見えていたために放置してしまい、数週間後に皮膚変色と激痛によって気がつくということも珍しいことではありません。

典型的な「放置による悪化」の例が、湯たんぽなどの家庭にある器具による低温やけどです。

皮膚組織の損傷はライターなどによる火傷よりも軽度であることも多く、「軽いやけど」と医師でさえ誤ってしまうことさえあります。しかし、皮膚の深部や神経組織まで傷が到達していた場合や傷に菌が感染した場合などに、周囲の組織を巻き込んで壊死が広がっていきます。

このように、「大したことはない」という自己判断が重大な症状を招くことが多いというのが壊死の最も怖いところです。「低温やけどしてしまった」「軽く感電した」など、傷を負うようなことがあった場合、より注意深く観察し、痛みが3日以上続く、悪化してくるなどの異変を感じたらすぐに病院へ行きましょう。

血液の流れを良くする

壊死は血流の低下により起こしやすくなる症状です。特に長時間の圧迫された状態や、血流が滞った末端などに起きやすいものですので、そのような状態は極力避けるようにしましょう。

血管障害などを患っている状態がある場合には、靴ずれなどのちょっとした怪我が治らず、そこから組織壊死を起こすこともあります。まずは体全体の血行をよくするということが大切です。

自分で日頃から出来ることもいくつかあり、その代表的なものが「動脈硬化の予防」です。ほとんどの血管障害は動脈硬化によるものですので、まずは生活習慣をしっかりと見直しましょう。喫煙やアルコールによって血管は細く詰まりやすくなりますし、塩分濃度の高い食事は血流の流れを阻害します。

また、日頃から何かの持病などで服用している薬がある方、血行不良を感じている方なども抹消に壊死が起こりやすいタイプと言えますので、お風呂でマッサージをして血行を促進するなど、まずは今日からでも簡単にできる方法を日々の生活の中に取り入れてみてください。

まとめ

壊死というと、普通に生活しているだけでは起こりえない症状のような印象が大きいと思います。何か重大な怪我や病気にかからないとなり得ない…そう感じてはいませんか?

しかし、見方を少しだけ変えてみると、「壊死」は「細胞の死」です。そして、細胞は今この時、自分たちの体で息づいているものです。これらは毎日、何らかの変化を遂げたり病気や菌と戦い、そして死滅し、新しい細胞へと生まれ変わるものです。このサイクルに異常が生じれば、それが「壊死」となります。

新しい細胞が生まれなければ、その部分は欠落してしまい、生涯にわたって不自由な状態を強いられる可能性もあります。まずは自分の身の回りにどんな壊死の危険があるのか、それを防ぐにはどうしたら良いかを意識する所から始めましょう。