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気胸とは肺に穴が開く病気!突然の胸痛・息切れなど。イケメン病とも呼ばれる5つの症状とは?6つの治療法を紹介!

気胸は肺に穴が開く疾患です。有名な芸能人にも発症した人がいるため、ご存知の方も多いのではないでしょうか。肺に穴が開くと、肺から漏れた空気が胸膜腔に溜まり、溜まった空気が肺を圧迫して肺が縮んでしまいます。肺の収縮の程度によって気胸の重症度は決まり、軽度のものであれば自然治癒が可能ですが、極めて重度のものになると生命の危機となることもあります。そんな気胸の病態、分類、症状、治療法などをまとめました。



気胸って何?

気胸(ききょう)とは簡単に言うと、肺に穴が空いてしまうことをいいます。空いた穴から空気が漏れだすと、だんだんと肺が縮んでいってしまうこととなります。肺から漏れた空気は胸腔の中にたまりますが、胸は肋骨で囲まれているため外側には膨らむことはできません。そのため行き場のない空気は肺を圧迫し、その結果肺は萎んでしまいます。

気胸が生じたような場合は、咳や胸の痛みが出ることが知られていますし、縮んでしまった肺は正常な呼吸運動ができなくなるため、肺の機能は大きく損なわれて、場合によっては生命にかかわる重篤な状態となります。ただ、症状がないこともあるということです。

気胸は外傷によって生じることもありますが、これといった原因がないにもかかわらず、肺が裂けて発症する場合もあります。そういったタイプの気胸のことを、特発性自然気胸と呼んでいます。そうした気胸の場合発症の原因は正確にはわかっていませんが、痩せていて胸の薄い若い男性に多くみられます。

気胸とは

肺から空気が漏れる

気胸は肺から空気が漏れることで生じる疾患です。交通事故や刺傷などの外傷によるものもありますが、そうしたきっかけがないにもかかわらず唐突に生じる自然気胸では、肺の一部に「ブラ」「ブレブ」と呼ばれる袋状のもの(のう胞)ができ、その部分が裂けて穴が開くケースが大半を占めます。

ブラは肺の表面にできたのう胞をさし、ブレブは肺胸膜下にできたのう胞をいいます。しかしブラとブレブの区別はとても困難で、両者をあえて区別せずに「ブラ」と呼ぶ場合が多いようです。

自然気胸の中でも、原因が明らかでないものを「特発性自然気胸」といい、一方肺気腫や肺がんなどの肺疾患が原因で生じたものを「続発性自然気胸」といいます。肺に開いた穴が塞がり、漏れた空気の量が少量であれば問題にならないことも多いのですが、穴が塞がらず空気が漏れ続ける場合には適切な治療が必要となります。

なりやすい人

自然気胸の男女別発症率は、人口10万人あたり男性が18~28人、女性が1.2~6.0人と、圧倒的に女性より男性に多くみられる疾患であることがわかります。特発性自然気胸の場合は、特に長身で胸の薄い痩せた若い男性に多くみられるのが特徴です。その為「イケメン病」などと呼ばれることもあるようです。

痩せ型の長身男性はブラやブレブができやすいため気胸を生じる可能性が高いとされていますが、なぜブラやブレブができやすいのか、その正確な理由はわかっていません。体の発育と、胸郭や肺の発育とのバランスが崩れることによって、ブラが形成されやすくなるとする一説があるようです。

続発性自然気胸の場合は、肺気腫や肺がんなどの肺疾患の方に多くみられるため、高齢の人の頻度が高くなっています。肺気腫の最大因子といえるのが喫煙で、肺気腫の人の8割以上が喫煙者とされています。喫煙は、肺がんのリスクも高めます。

症状の似た病気

気胸の自覚症状は胸痛、咳、息切れ、呼吸困難などですが、症状の似た病気には以下のようなものがあります。

■肺気腫

肺胞の組織が壊れることで、肺の空気を外に吐き出せなくなる疾患です。喫煙者に多くみられる疾患で、続発性自然気胸を生じる原因となる最大の疾患です。症状は息切れ、咳、痰などがみられます。詳しくは後述の「気胸の原因:タバコ」をご覧ください。

■胸膜炎

肺を取り囲んでいる胸膜が炎症をきたした病態です。細菌感染、腫瘍、膠原病などが起因となって生じます。症状は胸痛、発熱などのほか、胸水が貯留するため、肺が圧迫されて息切れや呼吸困難が生じます。

■肋間神経痛

肋骨に沿って走行する肋間神経が何らかの原因で障害されることによって、肋骨に沿って生じる痛みの総称です。帯状疱疹によるものや、胸椎の圧迫骨折、頸椎椎間板ヘルニアなどに伴い症状が現れることがあります。

■肺炎

細菌やウイルス感染によって、肺に炎症をきたした病態をいいます。肺炎の主な症状は発熱、咳、痰などですが、症状が重くなると胸痛や息切れなどを生じるようになります。

■狭心症

狭心症は心臓の冠動脈が動脈硬化によって狭くなっている病態をいいます。心臓の筋肉が虚血状態となり、胸痛や胸の圧迫感を感じます。狭心症の症状は長くても15分程度で消失するのが特徴です。冠動脈が完全に閉塞し、心筋細胞が壊死してしまったものが心筋梗塞で、こちらの場合は症状も激しく長時間続きます。

起こりやすい合併症

年齢が若い場合は気胸に対する治療の腹腔鏡下手術で、処置が必要になるような合併症をきたす頻度はとても低いですが、まれに肺から空気が漏れ続けることがあります。

高齢の場合はもともと呼吸機能が低下しており、肺気腫などの危険因子から生じた続発性気胸である確率が高いことから、呼吸不全や肺炎の合併症がしばしばみられます。

気胸の分類

特発性自然気胸

「特発性自然気胸」とは、これといった発症原因がないにもかかわらず突然気胸を生じるものです。医学用語では理由が定かでないものを「特発性」と呼びますので、特発性自然気胸は原因が不明で自然に生じる気胸という意味です。

肺の一部にブラと呼ばれるのう胞ができ、その部分が破裂することで肺に穴が開きます。ブラができる原因は定かではありませんが、痩せ型で長身の男性に多くみられるのが特徴です。

特発性自然気胸では、肺に穴が開いて一時的に空気が漏れても、すぐに穴が閉じて漏れた空気も血液に溶け込んで消失するケースが多くを占めます。こうした軽症のケースでは自覚症状にも乏しいため、本人が気づかないうちに気胸を生じ、そしていつの間にか治っていることも少なくありません。軽症では特に治療は必要なく、安静を保って経過をみていきます。

問題となるのは穴が塞がらず、空気が漏れ続けるケースです。空気が漏れる量が多いと胸腔内に溜まった空気が肺を圧迫し、肺が縮んでしまいます。すると呼吸機能が大きく低下し、息切れや呼吸困難、胸痛などの症状をきたすようになります。こうしたケースでは胸腔内に溜まった空気を抜くといった医学的処置が必要となります。また、特発性自然気胸は一度治っても再び気胸を生じることがあります。

続発性自然気胸

「続発性自然気胸」は、肺疾患に続発する形で生じる気胸です。肺気腫、肺がん、肺線維症などの肺疾患が起因となることがあります。こうした疾患を持つ人に生じるわけですから、高齢者に多くみられる気胸です。

外傷性気胸

「外傷性気胸」は交通事故などで折れた肋骨が肺を損傷したり、肺に鋭利なものが刺さったりしたときに生じる気胸です。

医原性気胸

外傷性気胸のうち、経胸腔針吸引、胸腔穿刺、中心静脈カテーテル留置、機械的人工換気、心肺蘇生などの医療行為が引き金となって気胸を生じたものを、医原性気胸といいます。

月経随伴性気胸

女性が月経の前後に気胸を発症することがあり、これを「月経随伴性気胸」といいます。これは子宮内膜の成分が肺や横隔膜に生じ、月経と同時に子宮内膜成分が剥がれることによって肺や横隔膜に穴が開いてしまうことによって発症します。

なぜ子宮内膜が肺や横隔膜に生じるのか、その発生機序にはいくつかの説があります。子宮内膜組織が子宮から静脈やリンパ行性に侵入し、胸腔内蔵機に辿り着いて増殖するという説や、子宮内膜組織が卵管から腹腔内への逆流し、腹膜や横隔膜を介して胸腔で増殖するという説、胸膜中皮が異常をきたし、子宮内膜組織に化生するとういう説などです。

女性が気胸になる頻度は低いため、女性が気胸を生じた場合は月経随伴性気胸を疑います。月経随伴性気胸に特徴的な所見としては、約90%が右側の肺に生じること、月経開始の3日前~5日後に気胸が発症すること、2カ月に1回以上の間隔で気胸を生じることなどが挙げられます。

気胸の症状

気胸の症状は、胸膜腔に入った空気の量や、潰れた肺の範囲、気胸を生じる前の肺機能の程度などによって大きく異なります。軽症の場合は自覚症状がなかったり、わずかな息切れや胸痛がみられる程度ですが、重症例では激しい呼吸困難をきたし、場合によってはショックに陥り生命の危機となることもあります。

一般にゆっくり進行する気胸では、急激に生じた気胸よりも症状が軽い傾向にあるとされています。潰れた肺の範囲が広い場合を除き、肺が収縮した状態に体が順応するためです。空気が漏れ続けることがなければ胸膜内に溜まった空気は吸収されていき、肺は再び膨らみ始め、症状は軽減、消失します。

胸に痛み

多くの場合、突然鋭い胸痛を感じます。呼吸困難や咳などの症状も、同時にきたすことが多いとされています。胸痛は発症時に強く感じますが、しばらくすると軽快していく傾向にあります。しかし胸腔内の圧が上昇し続ける緊張性気胸では、病状の悪化に伴い症状も重くなっていき、ついにはショックをきたし生命の危機に陥ることもあります。

突然の胸痛で不安になると思いますが、まずは安静にしましょう。気胸による胸痛は数分で治まることが多く、息苦しさも安静にすることで落ち着くことが多いです。その後は早めに医療機関を受診し、気胸か否かを診断してもらいましょう。

咳がよく出る

痰の絡まない空咳がみられることがあります。咳が胸痛などの症状と同時に、急に出始めた場合は注意が必要です。

息苦しい

肺が縮むことによって呼吸機能が低下するため、息切れをきたすようになります。収縮した肺の範囲が広い場合、じっとしていても呼吸困難が生じるようになります。

背中が痛い

背中や腹部などにも痛みが生じることがあります。

肩甲骨あたりが痛い

肩甲骨や肩、首などにも痛みが生じることがあります。

気胸の検査

聴診

胸部に聴診器を当て、聴診することで気胸がわかることがあります。気胸をきたしていると、肺の一部に正常な呼吸音が聞こえなくなり、その部分を打診すると鈍い太鼓のような音がします。

胸部レントゲン

臨床症状や聴診で肺の異常が疑われた場合は、胸部レントゲン(X線)検査を行います。空洞部分や縮んだ肺の輪郭がレントゲンに写り、気管が押されたりしていないかなども確認できます。

胸部CT

胸部X線よりもさらに詳しい画像診断として、胸部CTを撮影します。胸部CTではブラの有無などがわかるため、気胸の原因がわかることがあります。

気胸の重症度

気胸の重症度は、肺のしぼみ具合などを基準に分類されます。

軽度気胸

軽度気胸(I度)は、肺の頂部が鎖骨より上にあって、肺が少しだけしぼんでいる状態のものです。この程度の気胸であれば特に医療処置は必要とはならないことが多く、安静を保持することで軽快します。胸部レントゲンなどの画像診断による経過観察が必要であるため、多くの場合は外来通院で経過をみていきます。

中等度気胸

中等度気胸(II度)は、肺の頂部が鎖骨よりも下にある状態です。ここまで肺の収縮が進行した状態では、入院治療が必要となります。胸腔内にチューブを留置して、溜まった空気を体外へと排出します。胸腔ドレナージによる持続脱気療法といいます。

高度気胸

高度気胸(III度)は、肺が通常の大きさの半分以下にしぼんでしまっている状態です。できるだけ早く胸腔ドレナージによる持続脱気療法が必要となります。

緊張性気胸

緊張性気胸は最も重篤な気胸です。胸腔内に漏れた空気が著しく肺を圧迫し、また心臓や心血管なども圧迫している状態で、そのままにしておくと呼吸状態が悪化するだけでなく、血圧の低下やショック状態を招くため緊急で治療を要する病態といえます。診断や適切な処置が遅れると致命的となり、死に至ることもあります。

緊張性気胸は特発性自然気胸、続発性自然気胸、外傷性気胸などの全てにおいて起こり得るものです。肺から空気の漏れる部位が、「チェックバルブ」と呼ばれる一方向にのみ作用する弁のような構造となることで生じるとされています。

チェックバルブを形成すると、息を吸い込むときには肺から空気が漏れ出ますが、息を吐くときには弁状になった部位が閉じてしまうため、行き場をなくした胸腔内の空気の量は徐々に増えていきます。胸腔内における空気の貯留量が増大した結果、肺や心血管などを圧迫し、やがては重篤な状態となってしまいます。

緊張性気胸では、一刻も早く胸腔ドレナージによって胸腔内に溜まった空気を体外へ排出する必要があります。通常は胸部レントゲンや胸部CTなどで気胸の確定診断を行いますが、緊張性気胸では検査をしている間に全身状態が悪化する可能性があるため、状況によっては確定診断を待たずに胸腔ドレナージが行われることもあります。

気胸の原因

自然気胸の多くはブラ、ブレブと呼ばれるのう胞が破れることで生じるものですが、なぜそれらができるのか、破れるのか、そのメカニズムは明確にはわかっていません。しかし以下のような誘因が関連しているといわれています。

精神的ストレス

精神的ストレスが誘因となることがあります。職場や学校での対人関係や、仕事、勉強に対する悩みなどをはじめ、転勤で環境が変わったり、夫婦喧嘩をしたりしたときに発症することも多いとされています。

ストレスは体にさまざまな害を及ぼします。ストレス社会と言われる今、ストレスを全く感じない生活を過ごすことはできませんが、趣味に費やす時間を確保するなどして、ストレスを上手に解消していきましょう。

慢性的な疲労状態

身体的ストレスが溜まっているとき、身体が慢性的な疲労状態にあるときは気胸を発症しやすいとされています。深夜まで及ぶ仕事や、徹夜の勉強などで寝不足な状態が続くときは要注意です。事実、学生ではテスト前後に気胸を生じるケースが非常に多いとされています。

慢性的な疲労は体の免疫力を衰えさせ、さまざまな病気にかかりやすくなります。忙しくてもなるべく睡眠時間は十分に確保するようにし、疲労をためこまないようにしましょう。

気圧の変動

特発性自然気胸はブラやブレブが破裂することで生じますので、急激な気圧の変化には注意が必要です。気圧の変化をもたらすもので最も身近なものには飛行機があります。海外旅行を予定している方や、航空機に搭乗する職業の方、潜水士の方などで気胸の既往がある場合は、気胸を発症・再発させないために手術を考慮したほうがよい場合もあります。

急激な気圧の変化によってブラやブレブが破裂すると、緊張性気胸と呼ばれる重度の気胸を生じやすいとされています。緊張性気胸では胸腔内に溜まった空気が肺や心臓を圧迫し、ショックや心停止をきたす危険性もあります。

そのため気胸の既往がある人や、ブラがあると診断されている人は、急激な気圧の変化があるダイビングは避けるべきです。特に水中ダイビングでは浮上できなくなってしまい、大変危険です。

タバコ

肺の疾患といえばタバコ、タバコといえば肺の疾患と言われるくらい、タバコと肺の病気はかねてより関連性が指摘されることが多いのはご存じのとおりです。タバコは肺に回復不能なダメージを与え、喫煙を続けると20年後にはほぼ確実に肺気腫になるといわれています。肺気腫は難治性の気胸を生じる代表的な疾患であり、喫煙は肺気腫の重大因子です。

肺気腫は呼吸細気管支と肺胞が拡張して破壊される疾患です。発病する8割以上が喫煙者とされています。徐々に進行する肺疾患で、主な自覚症状は息切れや咳、痰などです。

肺胞は、酸素と炭酸ガスの交換を行なっています。その肺胞の組織が壊れると、空気を吸うことはできても肺に溜まった空気を吐き出せなくなります。肺胞と肺胞の間の壁が破壊されることによって、いくつもの肺胞がひとつの袋状のものを形成します。こうした肺胞の集まりを気腫性のう胞といいますが、これがいくつも生じた状態が肺気腫です。

肺気腫を生じると肺胞の数が減り、肺がスカスカの状態になります。正常な肺胞が減少してしまうため、呼吸機能が低下します。気腫性のう胞が破裂すると、肺に穴が開いて気胸を生じることがあります。これが、肺気腫による続発性自然気胸です。

一旦壊れてしまった肺胞は、二度と再生されません。気胸の既往がある人は勿論のこと、今は健康な状態にある人であっても、肺気腫の最大誘因である喫煙はやめましょう。

遺伝

近年では遺伝子の解析が進み、気胸になりやすい遺伝子があることがわかりました。BHD症候群やマルファン症候群はその代表例で、いずれも気胸を生じやすくなる遺伝性疾患です。

■BHD症候群

17番染色体に責任遺伝子が存在する常染色体優性遺伝病です。多発性のう胞・反復性気胸などの肺の病変、上半身の丘疹、腎腫瘍が3大主徴です。

■マルファン症候群

常染色体優性遺伝病です。約75%は両親のいずれかからの遺伝で、約25%は突然変異で起こります。大動脈、骨格、眼、肺、皮膚、硬膜など全身の組織が脆くなる疾患で、大動脈瘤や大動脈解離、骨格変異、自然気胸などを生じます。

気胸の治療

自然治癒

気胸の程度が軽症で自覚症状がなければ、特に治療をせず外来で胸部エックス線による経過観察を行います。できるだけ自宅で安静にし、穴が塞がるのを待ちます。経過観察中に悪化するようなことがあれば、医学的処置が必要となります。

ただし発症してからの経過日数が重要となります。発症時より数日経過しているのであれば病状は安定しているといえますが、発症から間もないようであれば進行性の可能性も否定できず、今後悪化する可能性も考慮しなければなりません。病院を受診後も症状が軽快しなかったり、ひどくなったりするようなことがあれば早めに再診しましょう。

初期治療

軽度の気胸に対して胸腔穿刺で脱気するケースもありますが、肺損傷のリスクもあり、軽度であれば安静で自然軽快することも多いため、積極的に行われる治療ではありません。

保存的治療

気胸の程度が中等症や重度で症状があるときは、入院加療の上、胸腔にドレーン(トロッカーカテーテル)を留置して胸腔内に漏れた空気を排出させる治療を行ないます。胸腔ドレーンと呼ばれる管の先には空気の排出状況がわかる箱をつけ、空気の漏れが認められなくなったら抜管します。

この治療は胸腔内の空気を排出させる保存的治療であり、気胸の原因であるブラやブレブに対するものではありません。

また重症度にかかわらず、両側に気胸を生じているケースや、胸水が貯留している気胸では、胸腔ドレナージの適応となります。また、もともとの肺機能が低い場合や、高齢者の気胸、進行状態にある気胸では胸腔ドレナージが考慮されます。

手術

気胸を生じないようにするため、手術が行われることがあります。手術の適応となるのは、左右両方の肺に気胸があるケースや、再発を繰り返すようなケース、ドレーン処置によっても改善が見られない場合、職業的に気圧変化の影響を受けやすいケースなどが挙げられます。

自然気胸に対する外科療法の目的は、原因となるブラを切除することにあります。手術は胸部に小さな穴をあけたところから胸腔鏡を挿し入れて、カメラで観察しながら行う方法と、開胸して行われる方法があります。

胸腔鏡手術は胸に3mm~2cmほどの穴を3カ所ほど開け、その穴から胸腔鏡と器具を挿し入れて行われます。肺の病変部を切除し、術後の体液や空気を外に出すための胸腔ドレーンを留置して終了です。胸腔鏡手術は傷が小さくて済むため侵襲が少なく、術後は2~5日程度で退院できます。また美容的にも優れているため、近年では主にこの手法がとられることが多いようです。

しかし胸腔鏡手術は、開胸して行う手術と比較すると再発率が2~5倍ほど高いというデータが出ています。また病変がいくつもあるときや、広範囲に及ぶ場合は胸腔鏡手術は難しいことがあります。また滅多にありませんが、手術中に出血をきたした場合などの緊急時には対処が遅れる可能性もあります。

付加的治療

ブラやブレブを手術によって切除するだけでは再発予防としては不十分であるため、付加的治療が行われる場合があります。最も広く行われている方法として、吸収性メッシュによるカバーリング術があります。カバーリング術とは、セルロース製のメッシュシートを肺に被せることによって、気胸の再発を防ぐ方法です。メッシュシートは肺組織に吸収され、肺を強化します。

その他の負荷的治療としては、壁側胸膜切除術、臓側胸膜電気凝固術、臓側胸膜剥離術など、胸膜を切除したり剥離したりすることで気胸の再発を防ぐ治療法もあります。

看護方法

大気圧より5~8cmH2O程度陰圧を保っている胸腔内圧ですが、気胸を生じると陰圧が保持できなくなり、肺は萎んでしまいます。この状態を「肺虚脱」といいます。胸腔ドレナージを留置することによって胸腔内に漏れ出た空気が排出されるため、肺の虚脱は改善され、肺は再膨張することが可能です。

胸腔ドレナージによって、胸腔内から気体が排出されている状態を「エアリーク」といいます。胸腔内から排出された気体は、液体の入った水封室で気泡という形で目視できます。気泡が持続してみられる場合、エアリークがあると判断できます。呼気時のみにエアリークが認められる場合は、気胸の程度は比較的軽度です。呼気時、吸気時関係なく持続的に見られる場合は、気胸の程度が大きいことを意味します。

ドレーン回路からの空気の漏れはないか、しっかりと確認しておきましょう。呼吸による胸腔内の陰圧によって、水封室細管の水位は上下します。陰圧が高まる吸気時は水位が上がり、陰圧が弱まる呼気時には水位は下がります。水面の呼吸性移動がみられれば、胸腔ドレーンの回路の気密性が保たれているといえるため、ドレナージが正常に機能していることがわかります。

胸腔ドレナージは胸腔内と外界を交通させることになるため、細菌の逆行性感染をきたす可能性があります。発熱、炎症反応(WBCやCRP)の上昇、刺入部の発赤、熱感、腫脹などの感染徴候には注意が必要です。またドレーンの留置によって患者さんは体動が制限されるため、身体の痛みやストレスなども注意して観察しましょう。

まとめ

気胸は肺に穴が開いて胸膜内に空気が溜まる病態です。自然気胸と外傷性気胸があり、自然気胸は発症原因が定かでない特発性自然気胸と、肺気腫などの肺疾患が原因で生じる続発性自然気胸にわけられます。

自然気胸はブラやブレブと呼ばれるのう胞が破裂することで生じます。特発性自然気胸は痩せ型長身の若い男性が発症する頻度が高いですが、なぜブラがそうした人に生じるのかはわかっていません。続発性自然気胸は肺気腫の人に多く生じるものなので、長年の喫煙者や高齢者に多いとされています。

気胸は軽度なものであれば医学的処置は必要なく、自然治癒が期待できます。そのため軽度気胸では、外来で経過を見ていくことが可能です。しかし中等症以上のものになると入院の上で胸腔ドレーンを留置し、胸腔内に溜まった空気を排出する必要があります。病院を受診したときは軽度であっても、その後症状が進行する可能性もあるため、症状がよくならなかったり悪化する場合は必ず再診するようにしましょう。

特発性自然気胸ではブラやブレブが生じる原因は定かでありませんが、精神的ストレスや身体的疲労などが影響するとも言われています。休息をとり体を休め、趣味に費やす時間を確保するなどして、疲労やストレスを溜め込まないようにしましょう。また喫煙は肺気腫の原因であり、気胸を発症するリスクを高めます。気胸の既往がある人は勿論ですが、そうでない人もできるだけ禁煙を心がけましょう。