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ピオグリタゾンはどんな薬か?血糖値を下げるなどの作用機序、心不全や膀胱がんのリスクなどの副作用について解説!

インスリン抵抗性改善薬と言われるピオグリタゾン。運動や食事療法、他の糖尿病薬を服用しても、コントロールが難しかった糖尿病の患者さんにとって、強い味方になるお薬です。けれど、浮腫や膀胱がんのリスクなど、気になる副作用もあります。ピオグリタゾンの作用や副作用を知って、上手にお薬と付き合う方法をお教えいたします。



ピオグリタゾンとは?

ピオグリタゾンは、一般名(成分名)はピオグリタゾン塩酸塩になります。商品名は先発薬が「アクトス錠」「アクトスOD錠」であり、「ピオグリタゾン○○」という商品名のついた後発薬が、薬品メーカーから多数販売されている糖尿病治療薬のことです。

2型糖尿病治療薬になります

■血糖値を下げる作用があります

ピオグリタゾンは、「インスリン抵抗性改善薬」「2型糖尿病治療薬」に分類される、内服することで血糖値を下げる作用があります。

■通常、成人は15~30mgを1日1回朝食前又は朝食後に内服します

ピオグリタゾンの用法は、1日1回朝食前または、朝食後に内服します。用量は、患者さんの状態にもよりますが、15mgから開始して、患者さんの血糖値や状態に応じて30mg~45mgまで増加することもあります。

ピオグリタゾンの作用機序は?

脂肪細胞に存在する受容体に結合します

■核内受容体PPARγに作用するピオグリタゾン

脂肪細胞が肥大化すると、インスリンの働きを悪くする物質が放出されます。ピオグリタゾンは、肥満細胞の中の「脂質糖代謝」に関わっている核内受容体(PPAR)の、特にPPARγと呼ばれる部分に、ピンポイントに結合して、インスリンの取り込みを改善させる作用があります。

善玉アディポサイトカイン(別名 アディポネクチン)を増やす

■善玉アディポネクチンを増やし、悪玉アディポサイトカイン(レジスチン、TNFα)減らします

アディポサイトカインとは、脂肪細胞から分泌される様々な生理活性物質の総称のことです。

アディポサイトカインには、人の体に影響を与える上で善玉・悪玉と呼ばれる物質に分けられます。

ピオグリタゾンは、悪玉と呼ばれるインスリン抵抗性を示す「レジスチンやTNF−α」と呼ばれる物質の産生を抑えるとともに、インスリン抵抗性を防ぐアディポネクチンを増やし効果的に働かせる作用があります。

インスリン抵抗性を改善することで、血糖値を下げる

普通は、食事をして血糖値が上昇すると、それに反応して膵臓からインスリンが分泌され、その指令によって筋肉や肝臓が、血液中のブドウ糖を取り込み、血糖値を下げます。しかし、インスリン抵抗性の糖尿病の場合には、血糖値が高くなりインスリンは分泌されるのですが、様々な問題で筋肉や肝臓が、ブドウ糖を取り込まなくなるため高血糖が維持されてしまいます。ピオグリタゾンは、肥満細胞の中の悪玉亜アディポサイトカインを減らす事で、インスリン抵抗性を改善し、血液の中のブドウ糖を効果的に取り込めるようにすることで、血糖値を下げます。

ピオグリタゾンの効果・効能は何ですか?

糖質の消化・吸収を遅らせる作用薬 VS インスリン抵抗性改善薬

経口糖尿病薬には大きく2種類に分類することができます。

■αーグルコシターゼ阻害薬

一つは、糖尿病患者さんは、高血糖の状態に体が慣れてしまっているため、インスリンの分泌のタイミングが遅れてしまいがちです。そのため、小腸から吸収されたデンプンが分解され、αーグルコシターゼに変化することを薬剤(αーグルコシターゼ阻害薬)を服用することによって遅らせ、その結果として糖質の消化・吸収の時間が遅くなり、血糖上層とインスリン分泌のタイミングを合わせることを狙った薬剤のことです。糖質の分解を遅らせることで、食後の高血糖を改善します。

■インスリン抵抗性改善薬

もう一つは、インスリンは分泌されているのに、インスリンに抵抗性を示す肥大化した肥満細胞に作用して、インスリン抵抗性を改善して、筋肉や肝臓などに糖を取り入れ血糖値を下げる作用にインスリン抵抗性改善薬です。

ピオグリタゾンは、インスリン抵抗性改善薬に分類され、αーグルコシターゼ阻害薬であまり効果がなかった糖尿病患者さんについても、血糖値を下げる効果が認められています。ピオグリタゾンは、他の糖尿病薬で効果がなかった時に、その薬効を上乗せさせる事ができるお薬になります。

肝臓や筋肉、脂肪組織のインスリンの作用を高める

ピオグリタゾンは、肝臓や筋肉、肥満組織に存在する肥満細胞の核内受容体に作用して、インスリン抵抗性を改善させるお薬です。インスリンの取り組みを阻害する物質を抑え、インスリンを脂肪細胞に取り込ませやすくすることで、血液にあるインスリンを取り込み、インスリンの作用を高めます。

インスリン抵抗性を改善する事で、食後の過血糖を改善します

■食事療法・運動療法を行っていても十分な効果が得られない場合に効果があるお薬です。

ピオグリタゾンは、他の糖尿病薬を併用していたり、運動療法や食事療法を行っているにも関わらず、血糖値が安定しない方に適応になるお薬です。

インスリンは膵臓から分泌されているのに、肥満細胞が肥大化してしまたことで、インスリン取り込ませない有害物質が増加したりインスリンを取り込む力が低下してしまった肥満細胞の受容体に、ピンポイントに作用する事で、徐々にアディポサイトカインのバランスを整えていきます。

アディポサイトカインのバランスを整える事で、食後に血糖が増加した際にも、速やかに筋肉や肝臓、血管壁などの肥満細胞がやインスリンの感受性を高め、糖分を素早く取り込むことで、過血糖を改善していきます。

さまざまな合併症の予防にもなる

■糖尿病を放置しておくと合併症を引き起こしやすくなる

糖尿病は、全身の疾患と言われています。血糖コントロールが不十分で、余分な糖分が血管の中に放置されたまま維持されると、血管の壁や神経に悪い影響を与え、動脈硬化や高血圧、更には心筋梗塞や脳梗塞、末梢神経障害、糖尿病性腎障害や網膜症などを起こす可能性があります。

ピオグリタゾンは、脂肪細胞にあるPPARと呼ばれる受容体に作用する事で、インスリン情報を伝達するシステムを正常化していきます。これによって、糖尿病そのものだけでなく、高血圧や動脈硬化を予防することにもつながります。

ピオグリタゾン添付文書にも記載されている副作用とは?

浮腫や急な体重の増加

日本で行われた臨床試験の結果で、女性の多くみられる副作用として、浮腫がありました。これは、インスリンを併用しているかどうかによっても、浮腫が出現する率が変わ変わっているのも特徴です。

ピオグリタゾン単剤か他の糖尿病薬との併用の場合は、男性約4%に対し女性の発現率は10%以上、インスリン併用の場合には、男性が約10%に対し、女性発現率は約30%でした。

女性の方は、ピオグリタゾンの服用を始めたら、浮腫や急な体重増加がないか、毎日体重測定をしたり、下腿の内側を指で押して圧痕が残らないかどうかを観察するようにしてください。

体に余分な水分がたまったまま放置してしまうと、心臓や呼吸等にも負担がかかるようになりますのでご注意を。

心不全

この薬の禁忌疾患に、心不全とその既往歴がある方が対象になります。ということは、副作用として循環血漿量が増加し、心不全を起こす可能性があるということができます。

浮腫や体重が急激に増加した、体動時に息切れや動悸などの症状があるなどを自覚した時は、早めに医師の診察を受けるようにしてください。

心不全は、早く症状を見つけることが、対処方法も軽く済むことになります。「気のせい?」で済ませずに、自分が感じている症状を医師に伝えることが、症状を改善する早道です。

低血糖

低血糖症状は、インスリン注射を併用して使用している患者さんの約30%の方に見られる症状です。このお薬の作用が、脂肪細胞のインスリンの取り込みを回復する作用があるため、インスリン抵抗性が改善してくるにしたがって低血糖症状を起こす可能性が高くなります。

ピオグリタゾンの服用を開始してから、低血糖を起こすようになった時は、インスリンの種類や単位を減らす必要がありますので、早めに医師の診察を受けます

また、インスリンだけでなく、経口糖尿病薬の方でも、低血糖を起こす可能性があります。低血糖が起きた時の準備(ブドウ糖や飴玉などの所持)を常にしておくことも忘れずに行って下さい。

横紋筋融解症

副作用の割合は不明ですが、横紋筋融解症発症したとされる報告があったとされています。

横紋筋融解症とは、骨格筋細胞が溶けたり壊死したりすることで、筋肉痛や脱力などの症状を起こす病態のことを言います。高脂血症薬などでまれに起こる副作用として、以前から知られている副作用でもあります。

問題となるのは、筋肉が溶けたり壊死する際に大量に流れ出る筋肉の成分(ミオグロビン)が、腎臓に負担をかける事で、腎不全になってしまう可能性があることです。お薬を服用し始めた後で、特に運動や生活に変化もないのに、変な筋肉痛や脱力が出現した時には、病院を受診することが大切です。

膀胱がんのリスクが高まる

■服用期間の長さでリスクが高まる

海外で行われた、糖尿病患者を対象にした疫学研究の中間報告で、糖尿病と膀胱がんの発生リスクに関連性はないと報告されています。けれど、ピオグリタゾンを2年以上服用している糖尿病患者を見た時には、膀胱がんの発生リスクが高まる傾向であったとこともの報告されました。

他の研究結果でも膀胱がんの発生リスクが高まる結果となっていることからも、ピオグリタゾンは服用期間が長くなると、膀胱がんのリスクが高まる傾向にあるようです。

だからと言って、服用を中止すると考えるより、このお薬の効果を上手に使いながら、生活や体質を改善して血糖値を安定させ、違うお薬にスイッチしていくことようにするといいのかもしれませんね。

ピオグリタゾン服用の際の疾病禁忌は?

心不全の方または心不全で治療されたことがある方

動物実験でも、循環血漿量が増加した結果と思われる心臓の重さの増加が指摘されていました。

臨床的にも、心不全が悪化したり、心不全を発症したとい報告があり、現在心不全の治療をしている方や、心不全を治療したことがある方には禁忌となっています。このお薬を提示された時は、「心不全と言われた」ことを、必ず医師に伝えて下さい!

速やかな高血糖の是正が必要な方

ピオグリタゾンは、肥満細胞に働きかけ、アヂポサイトカインのバランスを整える事で、インスリン抵抗性を改善し、血糖値を安定させる維持~増悪期に使用する薬剤になります。また、インスリンの分泌はあるのに、肥満細胞がうまく働かないという状態に対して使う薬剤でもあります。

そのため、輸液やインスリンなどを用いて、速やかに高血糖を是正する必要がある重症ケトーシス、糖尿病性昏睡または前昏睡状態になる方、インスリンの分泌がない1型糖尿病の患者さんには効果が期待できないため、禁忌となります。

重篤な肝機能障害・腎機能障害がある方

ピオグリタゾンは、消化管粘膜から吸収され、肝臓で代謝され、腎臓で排泄されます。そのため、重篤な肝機能障害があると、お薬が代謝されず蓄積する可能性があります。

また、重篤な腎機能障害がある場合のも禁忌になります。これは、代謝物質が排泄されず蓄積する可能性があることや、重篤な副作用の一つである横紋筋融解症が生じた時に、命に関わる状態になる確率が高くなるなどのことから、禁忌疾患となります。

その他の疾患

他に、主成分ピオグリタゾン塩酸塩に過敏症がある方は、ショックを起こす可能性があるため禁忌になります。

また、重症感染症にかかっている時や、周術期、大きな外傷を受けた時など、この薬剤で血糖コントロールを行う事が適切ではない状態の場合には、投与を避けるべき状態と考えられます。体に起こっている変化とお薬の作用機序を考えると、当然ともいえますよね。

まとめ

いかがでしたか?ピオグリタゾンは、肥満細胞の受容体にピンポイントに働き、インスリン抵抗性を改善する良いお薬です。けれど、やはり様々な副作用もあります。

2型糖尿病は、生活習慣を改善する事で、血糖値を安定させる可能性があります。お薬の作用を上手に使いながら、お薬だけに頼らず、運動や食事療法も継続して、体質を改善することも大切です。慢性疾患だからこそ、自分の体を、セルフコントロールしていくように心掛けて下さいね!