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胸骨の骨折とは?どんな治療をしてどれくらい期間がかかる?痛みなどの4つの症状や原因・対処法など徹底的に解説!

最近、胸部を強打してしまったという人や、胸部に痛みを感じる人は胸骨を骨折している可能性があります。胸骨骨折とはどんな症状なのか、どんな治療をするのか、治るまでにどれくらいかかるのか詳しくご紹介します。



胸骨骨折はどんな外傷?

胸骨骨折とはどのような骨折でしょうか?

胸骨骨折とは、胸に外からの大きな圧力を受けることにより、胸の前側の中心にある胸骨(きょうこつ)という骨が折れてしまうことです。主に打撲、転倒、衝突、墜落などに伴う鈍的外傷によって引き起こされます。

胸部の骨折の中でも、胸骨を骨折することは比較的まれなケースだといわれています。胸部外傷の5%ほどの発生率で、すべての外傷性骨折の中でも約3~8%ほどで、頻度としてはかなり少ないものです。

ちなみに胸を形成している胸骨、肋骨、肩甲骨、鎖骨、胸椎のうち、もっとも多くみられる外傷は肋骨の骨折だそうです。

元々胸骨が骨折することは非常に稀ですが、近年では交通事故の際に胸骨部分を強打することで、骨折する例があり、車を利用する方に多く見られるようになりました。胸骨が骨折しても、場合によってはバストバンドで固定しておけば、自然に快方に向かうこともありますが、ひどい場合は手術も適応になります。

胸骨の場所は?

胸の真ん中にある

胸骨は鎖骨の間から下へ体の正面中央にかけてある、ネクタイのような縦形の骨です。

胸骨の一番下の端っこはみぞおちの中央付近まで剣の先のように突出しているため「剣状突起」と呼ばれているそうです。胸骨はその剣状突起を含め、胸骨の一番上の「胸骨柄」、胸骨柄の下にある「胸骨体」の3部から成り立っています。

これらは胸椎や肋骨とともに胸郭を形成しています。肋骨から分化して出来た骨だと考えられていて、肋骨と肋軟骨を介して繋がっています。

胸骨と繋がっている形で12本の肋骨があり、それらが内臓を守るように胸を取り囲んで胸郭を形成しています。胸郭は心臓や肺をはじめ、腹腔内の肝臓、脾臓、腎臓の一部を保護しています。胸郭は息を吸ったときに広がり、吐いた時には縮んで、それに伴って胸骨や肋骨も動きます。

胸骨骨折の症状は?

疼痛および圧痛がある

胸骨骨折の症状としては自覚症状として、骨折部位と一致した部分に疼痛や圧痛などがあります。骨折部分を軽く押した時に痛むという症状が一般的です。骨折した場所から離れた胸を圧迫した場合も、痛みが現れることもあります。

また、深呼吸をしたり咳をしたりなど、胸を動かすと骨も動くために痛みが強くなります。肋骨骨折の場合も押すと痛みを生じますが、肋骨骨折なら呼吸をするのも苦しいくらいの痛みですが、胸骨骨折はそれほど傷みは強くないのが特徴です。

腫れる

胸骨骨折は、傷みがあまり強くありませんが、腫れがでてくることがあります。腫れの多くは胸骨を打った打撲で赤みを赤みを帯びて腫れている場合がほとんどです。内出血が多いので、赤紫色や青黒い色をした打ち身と腫れがあります。

腫れについても、肋骨骨折に比べると酷くないことが多く、骨折とは気づかない人も多く見受けられます。そして胸骨骨折は骨の軸に対して垂直に骨折する「横骨折」が一般的で、骨折した箇所の頭に近い方の骨がもう一方にかぶさる形になることが多いようです。

胸骨の裏には心臓をはじめ重要な臓器がたくさんありますので、骨折に伴って発生する胸腔内臓器の損傷がないか早めに整形外科を受診して確認しましょう。

皮下出血が現れる

胸骨骨折では、強打して骨折することが多い為、腫れとともに皮下出血が現れてきます。皮下出血は、強打した部分の血管が破壊されることで起きます。出血したら数分で血液は固まっていくのですが、皮膚内に吸収されなかった血液は、どんどん皮下脂肪へと広がっていき、それが赤紫に腫れたりするのです。

胸骨骨折では、この皮下出血とともに打撲があるため痛みも伴います。皮下出血がある場合は、その状態によっては、注射器で吸い取ったり、皮膚切開をして血液を出してしまう処置法もあります。

皮下出血は通常、軽く打撲した時と同じ回復状態を示します。皮下出血だけ見ればおよそ1ヶ月ほど、赤紫や青黒さが残り、そのまま黄色くなって治癒するという経過です。

骨折した部分に段差が生じる

胸骨骨折した場合には、骨折した部分に傷みが生じていますが、そこを軽く押してみると若干のひずみが見られます。これによって胸骨のずれを見つけ、骨折の診断に役立てます。実際にエコーを取ると、骨折している部分に段差が写ってきます。

胸骨骨折の原因は?

前胸部の強打

胸骨骨折の原因は、主に前胸部の強打がほとんどです。歩いていてつまずいて転んだところに強打して骨折したり、ちょっとした場所にぶつけても起こることがあります。また一番多いのは交通事故時の骨折です。

とくに自動車のドライバーは、交通事故の衝突時にハンドルで胸を強打して骨折するという例が多いようです。 またシートベルトの締め付けによる外傷も少なくないのだとか。

また、野球のバットやボールが胸に強く当たってしまったり、ウエイトトレーニング中にベンチプレスが胸に落下したりなど、スポーツ中の例も少なくないそうです。さまざまな所に骨折要因が隠れています。

応急処置の方法は?

患部に厚手のタオルなどを当てる

胸骨骨折をしてしまった場合、まず痛みがきますので、それに対して対処が必要になります。すぐに医院に行けない場合や、痛みがひどい場合は簡単に行える対処法があります。タオルがあれば、それを患部に軽く当てておくだけで、胸骨が固定されて動きが少なくなり、痛みも少しだけ軽減されるようです。

外傷を受けたときなどの緊急処置の基本は「RICE処置」と呼ばれています。患部の出血や腫れ、疼痛を防ぐため患部を安静(Rest)にする。氷で冷却(Icing)する。弾性包帯やテーピングで圧迫(Compression)する。患肢を挙上(Elevation)するという4つの行為の頭文字をとったものです。RICE処置はスポーツ外傷を始め外傷の緊急処置の基本ですので、憶えておくといざという時に役立ちます。

ただ、胸骨骨折を起こす場面は交通事故のことが多い為、二次的な外傷から意識障害が起こったり、頭部頸部などにも損傷が起こり、ショックを起こしている場合もありますので、このような場合は、頭を動かさずにそのまま救急車を呼びましょう。

救急車を呼ぶ

交通事故などで強く胸を打ち、胸骨骨折が起こっていると想定される場合は、もしかすると胸腔内出血を起こしている場合もあります。痛みが酷かったり、ふらついて歩けないなど少しでもおかしいなと感じる症状もあると思います。

その際に気を付けたいのが、呼びかけても意識がない場合は、頭を動かさないことです。また呼びかけて返事のない時には、早急に救急車を呼び対応してもらいましょう。

胸骨だけが骨折していると思われる場合は、身近にある長めの布などで胸骨の周りを固定しておくと痛みが少なく感じるようです。外傷が多い場合は、止血の方を先に行い後は救急車が来るまで待ちましょう。

胸骨骨折の疑いがある場合はどうしたらいいの?

整形外科を受診する

肋骨骨折が疑われる場合は、整形外科の受診になります。骨折はその部位や程度によって、急ぐべきものとそうでないものとがあります。肋骨骨折は、程度に違いはありますが、日常で軽い打撲から起こったようなそれほどひどくない骨折なら、バストバンドで固定するだけで治癒に向かいます。

ところがひどい胸骨骨折の場合は、胸腔内にも内出血していたり臓器にも合併症が起こっている場合があります。合併症というのは、胸骨が骨折した際に心臓のほうに骨が追いやられて、心臓が強く圧迫されることがあります。

これを「心挫傷(しんざしょう)」と呼びますが、中には心臓が破裂してしまう場合もあり、大変怖い状態になります。この様な心配がある時は、専門医に骨折した場所と心臓との関係をしっかり見てもらっておくと安心です。

整形外科に受診した場合は、まず触診とレントゲン検査で胸骨に骨折が起こっていないかを検査します。

胸骨骨折の診断方法

胸壁の触診

胸骨骨折の診断は、胸部の触診とX線撮影によって行われます。胸骨に圧痛がありレントゲンで確認できれば確実に胸骨骨折だと診断されるそうです。

触診とともに患者の訴えと視診も併せて、他の病気の可能性についても確認を行うため、とくに医師の経験やスキルも重要なのだとか。

治療としては保存療法が原則で、多くの場合は手術をしなくても治るそうです。

胸部単純X線撮影

肋骨骨折をした場合は、胸壁を触診するのと、胸部単純X線撮影により診断が確定します。胸部単純X線撮影では、胸骨の側面を撮影すると診断を付けやすいようです。

胸部単純X線撮影では、写真に肺と肋骨が重なったりして骨折が判定しにくい事があるため、最近ではエコーで念のため検査を行う事もあるようです。その時は、骨がずれていないかや、胸腔内に出血が起こって血腫ができていないかを調べます。

胸骨骨折はその折れ具合によっては、心臓や気管を傷つけてしまう事もあります。これらを的確に胸部単純X線撮影を使って検査することで、合併症を早期発見する手助けになるのです。

胸骨骨折の治療方法

消炎鎮痛薬の内服

胸骨骨折の治療法としては、ひび程度のものから完全に折れてしまったものでも、骨折していることで痛みが生じます。痛みの程度は大小あるにしても、この痛みを取るのにロキソニンなどの消炎鎮痛剤を服用することである程度の痛みが解消されます。

こうして消炎鎮痛剤を飲みながら、骨折が自然につくのを待ちます。

冷湿布の貼付

痛みが軽い症例の場合、消炎鎮痛剤とともに湿布薬も処方され経過を観察されます。

胸骨骨折は、基本的に骨の癒合を待つしかないそうです。ほとんどの場合、数週から1~2ヶ月ほどで癒合して痛みも治まります。その間は鎮痛剤と湿布薬を医師の指示どおり使い、痛みを感じないように静かに過ごすしかありません。

固定帯による圧迫固定

胸骨骨折の場合は、骨がくっつくまでバストバンドという胸のあたりを包帯のような固定帯で固定することが治療方法として多いようです。固定帯はバストバンドの他に、トラコバンドというものもあるようです。

こういった固定帯を使用することで、骨のずれがこれ以上酷くならないようにし、安静にしていればよくなっていきます。おおよそ1~3週間の固定でほとんど痛みはなくなるそうです。

胸部固定サポーターは、他の部位の骨折に使うギプスなどと違い、呼吸を妨げないために柔軟にできています。バストバンドは、固定用の部分が厚い伸縮性がある生地ででているので、ある程度の動きがとりやすく、しかも適度な固定具合で患部をサポートしてくれるため、日常生活がしやすく作られています。

この骨自体の固定がしにくい部分の骨折に対してもバストバンドなどは、固定することで痛みを抑える効果があり、完全に固定しないことで不必要な可動性を抑え、痛みを抑えながら固定するのが目的になります。

高度な骨折の場合は手術が必要

一般的に胸骨骨折は外科的な処置をせずとも保存的に治療できます。しかし、かなり稀ですが骨折の転位が高度なひどい骨折の時などは手術が行われることもあります。

他にも呼吸困難感が強く、骨折片によって肺や心臓、血管など他の臓器に損傷がある場合にも手術などの外科的治療が必要になります。

また、バンドなどで固定して一定期間が過ぎても痛みが治まらない場合もあります。骨折した部分がくっついて治っていくことが完全に停止してしまうという「偽関節(ぎかんせつ)」と呼ばれる症例です。これは骨折の重篤な後遺症のひとつだそうです。 つまり骨がずっとくっつかずに動いている「偽の関節」のような状態が続くのです。

その場合は、胸骨専用のロッキングプレートで骨を固定したり、本人の別の骨を移植をしたりという手術が行われるそうです。

まとめ

胸骨の骨折は、胸部の外傷の中では稀ではありますが、安静にするだけで治るものもあれば、偽関節のようにずっと治らずに手術することになってしまう重篤なものまで症状は様々です。

肺や心臓など身体の重要な器官に近い骨だけに、放っておくと大変な事態になる可能性もあります。胸を打ったりして、痛みがある場合は我慢せずに迅速に整形外科を受診されることをおすすめします。