TOP > 部位から探す > 上半身 > 気道・肺・気管支 > 肺胞出血って何?3つの薬剤や膠原病などの原因、ステロ イドやpeepを使った3つの治療法などを徹底的に解説します!

肺胞出血って何?3つの薬剤や膠原病などの原因、ステロ イドやpeepを使った3つの治療法などを徹底的に解説します!

いきなり肺胞出血と言われても、わかりませんよね。いきなり喀血(かっけつ)したり、咳き込んだりしたら、パニックになります。どういう症状なのか、そしてどんな治療を行うのか、調べてみました。疑いと言われた方、または診断された方の参考資料となるために解説しましたので、読んでみてください。



肺から出血してしまう肺胞出血って?

肺胞出血は、肺胞という毛細血管から出血することを言います。聞いたこともない方もたくさんいらっしゃると思います。これから一緒に勉強していきましょう。自分に思い当たる方がいらっしゃったり、家族、友達…。思い当たる方がいらっしゃった場合、早期発見のためにも設備の整った、専門の医者がいるところに行って、診てもらいましょう。そして疑いと言われたり、確定された方も今一度、治療方法などを一緒に見ていきましょう。

肺胞出血は病気じゃない?

症状

肺胞出血は、肺胞毛細血管の段階で血管が破れ、びまん性※に肺胞出血を来す病態のことを言います。原因疾患はさまざまですが、 肺胞毛細血管炎を伴う場合と、伴わない場合に大別されます。そして、どの病気から肺胞出血を引き起こしているのか、症状や検査の結果から複数の病気を比べ、合理的に確定する鑑別診断が行われます。

肺胞出血とは、症状であり、病名ではありません。これはどういうことかと言うと、私たちは心身に不調を感じると、病院に行きます。そして、自覚している症状を話します。肺胞出血では、血痰、息切れ、息苦しい、喀血、貧血などです。これを症状と言います。そして、病名とはいろいろな症状が集まっていることを指し、それを医者が判断し、病気の名前を告げます。これが病名です。

※びまん性…病変がはっきりと限定せず、グレーゾーンで、全身や、内蔵全体の広範囲に広がっている状態のこと。

メカニズム

肺は、肺胞と呼ばれる小さな袋からなっていて、ぶどうの房のように集まって、スポンジのように柔らかい臓器です。そして空気を吸い込んでいる機能の気管支が、ぶどうでいうところの茎に値します。肺胞は毛細血管が網の目のような構造を形成して、薄い壁でできていて、毛細血管が傷ついて、肺胞腔内に血液が出てしまうことを、肺胞出血と言います。

肺胞に出た血液は、気管支を通り、口の中に出てくるので、喀血や血痰などの症状が出てきて、本人により自覚されます。そして肺全体に生じた場合(びまん性肺胞出血)肺で空気を吸う機能が損傷されるので、息を吸うことが難しくなります。多くの血液が出てしまうと、身体を巡っている血液量が少なくなり、血圧が下がったり、貧血になったりし、身体のいろいろな器官の機能が著しく下がり、重症になります。

肺胞出血とびまん性肺胞出血

肺胞出血は、上記で述べた通り、肺胞毛細血管の段階で血管が破れ、びまん性に肺胞出血を来す病態のことを言います。そしてびまん性肺胞出血とは肺胞腔内に血液が溢れることによって起こる、まれな病態のことを言い、発症すると、呼吸状態が急激に悪化し、重篤な状態になることが多いとのことです。少しややこしいかもしれませんが、肺胞出血とびまん性肺胞出血は同義語で、略語です。

薬剤による原因

抗凝固薬

抗凝固作用(アスピリン、ワーファリン、tPA、ウロキナーゼなど)や、またははフィブリン溶解※作用を有する薬剤を使用した場合は、肺胞出血の出現は、一般的に抗凝固療法の程度に大きく左右されると推定されます。治療として出血を起こしやすい状態にしているので、使用している限り、肺胞出血を起こす可能性を否定できません。

フィブリン溶解※…プラスミンと呼ばれるタンパク分解酵素が、凝固血栓を分解していくことを指す。プラスミンは、血漿中ではプラスミノーゲンという物質で存在しているが、修復された血管の内皮細胞から遊離されたプラスミノーゲン活性化因子によって限定分解され、プラスミンとなる。

プラスミノーゲンまたはプラスミノーゲン活性化因子が、凝固血栓中のフィブリンと呼ばれる血液凝固に欠かせないタンパク質にしっかり付着することで、プラスミノーゲン活性化因子が活発となり、効率的にプラスミンが産生され血栓を分解していく。

プロピルチオウラシル

プロピルチオウラシルとは成分のことで、製品で言うと、プロパジール錠のことです。概説は、甲状腺ホルモンを抑える薬です。バセドウ病などに用います。

作用は、甲状腺ホルモンが多すぎると、代謝が異常に高くなります。汗をかいたり、微熱が続いたり、手が震えたり、イライラしたり、食べても痩せていくような症状が現れます。なので、甲状腺ホルモンの合成を抑え、分泌を減らします。結果、甲状腺機能亢進のさまざまな症状が改善されます。

アミオダロン

抗不整脈の薬です。私たちの心臓は規則正しく動いていますが、鼓動が乱れることにより、正常な拍動が行えなくなることがあります。この状態が不整脈です。そして、不整脈の治療薬としてアミオダロン(商品名:アンカロン)を服用します。

心臓の拍動には電気信号が関わっていて、その電気信号が心筋細胞に伝わることによって、心臓の収縮、拡張が繰り返されます。他の抗不整脈が効かないか使用できない場合、アミオダロン(商品名:アンカロン)が使われます。生命の危機がある再発性不整脈に使われます。不整脈の中でも心室細胞、心室性頻拍、心房細動などの治療に使用されます。このように不応期の延長により、不整脈を治療し、心臓の拍動を正常にする薬がアミオダロン(商品名:アンカロン)です。

膠原病による原因

全身性エリテマトーデス(SLE)

この病気は全身性で、さまざまな場所、臓器に、多彩な症状を引き起こすと言われています。皮膚(頬など)に出来る発疹が特徴で、狼に噛まれたような赤い紅斑が現れます。発熱、全身倦怠感など炎症を疑わせる症状と、関節、皮膚、腎臓、肺、中枢神経などのさまざまな症状が一気に、あるいは経過観察をしていくうちに起こってきます。

本来、体内に侵入してきた細菌などを攻撃してくれている免疫が勘違いを起こし、自分自身の細胞や組織を攻撃してしまいます。そしてそれは「自己免疫疾患」と言います。全身性エリテマトーデスは、この疾患の代表的な病気です。経過中は、良い状態と悪い状態を繰り返すのが特徴です。この病気の原因は、今のところ不明ですが、免疫の異常が、病気の成り立ちに重要な役割りを果たしています。

グッドパスチャー症候群

まれな自己免疫疾患で、肺内部への出血や進行性の腎不全などが起こります。一般には息切れや喀血の症状が見られます。化学療法薬や、血漿交換などを使用して、肺や心臓への恒久的な損傷を防ぐように治療します。

この病気は、若い男性に多くみられます。遺伝的になりやすい人もいます。このような人は、タバコの煙や、溶媒※などの生活環境物質や、ウイルス性上気道感染により、自身の身体の特定した部位に対する抗体ができることがあります。なので、グッドパスチャー症候群はアレルギー疾患ではありません。自己免疫疾患に入ります。

これらの抗体は、肺胞の壁や肺の毛細血管、腎臓のろ過装置などにある、特定の組織に損傷をあたえます。そして抗体は炎症を誘発し、肺機能や腎機能を低下させます。

ANCA関連血液炎

ANCA(アンカ 抗好中球細胞質抗体※)関連血管炎は、は血管炎症候群の中でも、小型血管炎と言って、細動脈、毛細血管、細静脈などの細い血管に起こります。炎症が起きている血管の壁に、ANCAという自己抗体の発現が多くみられるのが特徴です。

ANCA関連血管炎は、「全身型」と言って、全身の臓器に血管炎を発症するタイプと、「臓器限局型」と言って、腎臓にのみ血管炎を発症するタイプがあります。「全身型」には顕微鏡的多発血管炎、ウェゲナー肉芽腫症、アレルギー性肉芽腫性血管炎があり、日本人に多いのは、顕微鏡的多発血管炎です。

そして、改名ですが、ウェゲナー肉芽腫症は現在「多発血管炎性肉芽腫症」に、アレルギー性肉芽腫性血管炎は現在「好酸球性多発血管炎性肉芽腫症」にそれぞれ変わっています。「顕微鏡的多発血管炎」の症状は、肺への影響だと、肺胞出血、間質性肺炎で、腎臓への影響だと、高血圧、糸球体腎炎、急速な腎障害に分けられます。

※抗好中球細胞質抗体…最近見出された腎と肺を中心とした小型血管炎を示す症例で効率に見出される自己抗体のこと。

その他の原因

ウイルス性肺炎

ウイルスによる肺の病気は、かぜ症候群として知られています。多くは自然治癒しますが、中には下気道※2へと進展し、肺炎を合併することがあるそうです。肺炎の原因は、?ウイルス自体が肺炎を起こすケース、?ウイルスと細菌が混合感染するケース、?ウイルスが先行感染し、続いて細菌が二次的に肺炎を起こすケースの3つがあります。

一般的には細菌感染を合併症した肺炎が多くなります。ウイルス性肺炎は、子供にしばしば見られ、成人では比較的まれな病態です。健常な成人に発症した肺炎の原因ウイルスに関する検討の結果では、インフルエンザによるウイルスが最も多く見られます。

※1 かぜ症候群…くしゃみ、鼻水、鼻づまりを主な症状とする上気道感染症のこと。のどの痛み、発熱、全身倦怠感、頭痛、下痢などを伴うケースがある。8~9割がウイルス感染によるもの。

※2 下気道…気管から気管支までのことを「下気道」と言う。

ARDS

正式名は急性呼吸窮迫症候群で、しばしばARDSと略します。さまざまな原因に続発する、急性の肺の損傷です。肺の間質や肺胞腔(空気を入れる袋状のこと)に水分と細胞浸潤(液体がしみこんでぬれること)が見られ、酸素化(血液の中に酸素を取り込むこと)が損なわれます。その本体は、血管内皮細胞が損なわれ、血管の透過性が進行し、その結果もたらされる急性肺水腫※で、極めて予後が悪い状態です。

※肺水腫…心臓の液体成分が血管の外へ滲み出てしまうことを言う。

治療

ステロイド

私たちの身体には数多くのホルモンが存在しています。その中のひとつとしてステロイドホルモンがあり、女性ホルモンと男性ホルモンなどの性ホルモンや、副腎皮質でつくられる糖質コルチコイドや、鉱質コルチコイドがあります。身体を維持するのために重要な働きをする大切なホルモンですが、大量に服用した場合に、薬理作用といって、体内での本来の働きと異なった働きが見られます。

膠原病の治療に用いるステロイドは、糖質コルチコイドです。膠原病の原因は、まだはっきりとわかっていませんが、本来、外的に対して働く免疫反応が、自分の身体の成分に対して攻撃してしまう免疫異常や炎症が、病気の進行に深く関わっていると考えられています。ステロイドは、このような免疫反応や、炎症を抑えることにより、治療に役立つと考えられています。

しかし、注意が必要なのは、正常な免疫反応も抑えてしまう作用があるということです。副作用のひとつとしての、感染に対する抵抗力の低下は、治療効果と裏腹な関係にあるのです。

血漿交換療法

血液中の血漿(けっしょう)だけを交換するので、血漿交換法と呼ばれます。病因物質を除去するためには、血液から血漿部分だけを分離し、その分離した血漿は全て破棄します。そのままでは、身体に必要な成分も失ってしまうため、代替の血漿成分を浄化した血液とともに戻します。これを、単純血漿交換療法と言います。たとえば、肝臓が機能しなくなったときや、血中の成分を除く方法がほかに見つからない場合などに用います。

人工呼吸器

侵襲的陽圧換気(気管切開)を行う場合、人工気道を挿入し、人工呼吸回路と接続して換気を行います。このとき患者は、人工気道、人工呼吸器回路、人工呼吸器を介してしか呼吸ができないようになっています。使用する場合には、電源や圧縮空気、圧縮酸素の配管を接続します。吸気時には吸気弁※が開き呼気弁※が閉じた状態になり、吸気側の回路を介して吸気動作が行われます。

自発呼吸は受容体で感知した情報に基づいて呼吸中枢で換気の指令を出し、呼吸筋で換気運動が行われますが、人工呼吸管理中は、患者の状態や検査データに基づいて医師が人工呼吸器の設定を行い、人工呼吸器で換気動作が行われます。なので、患者の状態を的確に評価することが重要です。

※吸気弁…外部の空気を取り込んで、逆流を防止する。

※呼気弁…患者の肺の反動により吐きだされる肺内の空気を外部に排出させる。

PEEPとは、呼気の終末に大気圧に開放しないで、陽圧を持続するものです。陽圧をかけることにより肺胞の虚脱を防ぎ、酸素化能の改善を目的とします。

まとめ

いかがでしたでしょうか。肺胞の出血など確かに不安になる症状で心配になりますよね。もし病院に行ってない方で、症状が出てしまった場合は、不安ですが、早期発見という意味でも、膠原病に詳しい専門医や、呼吸器内科などの整った病院に行かれた方がいいと思います。