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バセドウ病ってどんな病気?副作用って?首の腫れにご用心!5つの初期症状を見逃さない為の予防法から8つの治療法を公開!

甲状腺機能亢進症の代表とも言えるバセドウ病。有名人でも闘病を明かした人もいるので、病名は聞いたことのある方も多いのではないでしょうか?バセドウ病は自己免疫疾患のひとつで、甲状腺が異常に働きすぎている状態です。ここではバセドウ病の症状や治療法、検査などについてご紹介します。



バセドウ病とは?原因や予防法はあるの?

私たちには甲状腺という臓器を持っています。甲状腺とは首の前面のちょうどのどぼとけの下あたりにあり、代謝を正常に保つための大切なホルモンを作り出して、血液中に分泌するという大切な役目を持っています。

バセドウ病は、甲状腺の病気の中でも「甲状腺機能亢進症」の代表的なもので、甲状腺ホルモンが過剰に作られてしまうために、様々な症状が起こる病気です。日本人の100人中、2~6人ほどいると言われ、男女比では男性1人に対して女性が4人と、女性に多く見られます。年齢別にみると20~30代が全体の過半数を占め、次いで40~50代となっています。

バセドウ病になると新陳代謝が活発になり過ぎるため、わかりやすく言うと常にジョギングしているような状態なので、多汗や疲れやすいなどの身体的な症状が見られます。精神的にも落ち着きがなくなり、イライラしたり不眠なども見られるそうです。

バセドウ病にかかると、根本的に治療するのは難しいこともあります。しかし、過剰に作られている甲状腺ホルモンを上手にコントロールしていれば、生活に支障なく、健康な人と変わらない生活を送ることができきるそうです。

では、どうしてバセドウ病になるのでしょう?きちんとした治療を受けるためにも、バセドウ病という病気について詳しく知り、その予防などについてご紹介します。

バセドウ病になる原因

免疫の異常

バセドウ病の原因の一つに「免疫」が関係しています。免疫とは、身体に入ってきた外敵を攻撃して身体を守る仕組みです。ところが、まれに自分の身体を攻撃してしまう「抗体」がつくられてしまう病気があり、これを「自己免疫疾患」と言いますが、バセドウ病もこの一つなのです。

バセドウ病の場合は、甲状腺を異常に刺激する抗体が身体のどこかで作られてしまっているのですが、なぜ抗体ができるのかは解明されていません。この抗体がどんどん甲状腺を刺激するために、甲状腺は次々と甲状腺ホルモンを作り出してしまうのだそうです。

喫煙

オランダの研究グループによると、タバコを吸っている方は、吸っていない方に比べて約2倍もバセドウ病になりやすいという観察結果があります。

タバコの煙には、甲状腺の機能に悪影響を及ぼす可能性のある物質が含まれていることが知られています。甲状腺はヨードを原料にして甲状腺ホルモンを作っていますが、タバコに含まれる「チオシアネート」という化学物質は、甲状腺の正常なヨードの取り込みを妨げる作用があるそうです。これにより、甲状腺ホルモンの産生に悪影響があると考えられています。

これがどよのうにバセドウ病に関係してくるのかは、はっきりと解明されていませんが、タバコの煙に含まれるチオシアネートのような化学物質が、免疫系に異常な反応を起こさせているのではないか、またはこれらの化学物質が甲状腺に異常を起こし、それが免疫系に及んでいるのではないかと言われています。

ストレス

バセドウ病の発症にストレスが関係するかということは、様々な研究などが行われています。最近の研究では、バセドウ病の発症前の過去1年間にストレスの多い出来事が関係するという報告があります。

特に20~30代の女性に多いバセドウ病ですが、ちょうどそのころの女性は、就職・結婚・出産・子育てなどのライフイベントを迎える方が多く、またそれに伴う引っ越しなどもあり、本人が思っている以上にストレスを受ける機会が多いものです。こうしたストレスが知らず知らずに重なることで、バセドウ病の発症につながっているかもしれません。

ストレスはバセドウ病に限らず、自己免疫機能の異常を起こす疾患に大きく関わっていると考えられていますので、過度なストレスには十分注意しましょう。

遺伝

バセドウ病は、ある程度遺伝的な素質も関係していると言われています。親がバセドウ病の場合、子供が発病する確率などは詳しく分かっていません。ただ、バセドウ病の方の15%くらいは、親が兄弟も同じ病気にかかっていることがあるそうです。また、遺伝が関係しているとしても、男の子の方が発病しにくいと言われています。

バセドウ病は発病前に甲状腺が腫れてくることが多いそうです。甲状腺が腫れている方は、家計内にバセドウ病などの甲状腺疾患の方がいるケースも良くあるので、こうした場合には、半年から1年に1度のペースで診察を受けていた方がいいそうです。

バセドウ病の初期症状

動悸・息切れ

バセドウ病の症状として挙げられるものは、疲れやすい、手足が震える、多汗、やせ、暑がりなどがあり、どれも甲状腺機能亢進症の特徴的な症状です。

中でも代表的な症状が「動悸」「息切れ」になります。患者さんによっては寝ていても動悸が気になって眠れないという人もいるほどです。これはバセドウ病は代謝が亢進するため、通常よりもたくさんの酸素が必要になるために起こるもので、じっとしても走っているのと同じような状態にあるので、いつも心臓が余分に働いてしまっているそうです。

普通はじっとしているときの脈拍は1分間に60~80くらいですが、バセドウ病の方は1分間の脈拍が100を超えるということもあります。

顔つき・首

バセドウ病の症状に「眼球突出」という眼の症状があります。甲状腺ホルモンの影響などで、眼球の周りの筋肉が腫れてしまうために、眼球が前に出て顔つきが変わったように見えるそうです。眼球が出てくるほどでなくても、上まぶたが腫れたり、まぶたが上の方に引っ張られて眼が大きくなったように見えることもあります。このようなバセドウ病による眼の異常を「バセドウ病眼症」といいます。こうした眼の異常は、バセドウ病の患者さん全体の約3~5%と言われています。

また多くの場合、甲状腺の腫れが見られ、これはバセドウ病以外の甲状腺の病気でも見られる症状だそうです。その腫れ具合は人によって異なり、甲状腺全体が腫れあがるタイプと、一部がしこりにように盛りあがるタイプがあります。自分で気づくよりも他の人に指摘されて気づくということも多いようです。自気になる場合には、鏡を見ながら少しあごを上げ、つばを飲み込んんでみてください。甲状腺に腫れがある場合は、のどぼどけの下でしこりが大きく上下するのが分かります。

体内の症状

甲状腺ホルモンは身体にとって必要不可欠なのですが、過剰に分泌されると、身体が無駄にエネルギーを使い過ぎてしまって、身体の中でも様々な症状が起こってくるそうです。

例えば甲状腺ホルモンの過剰分泌によって、腸のぜん動運動が活発になり、下痢や軟便を起こすこともあります。その他にも皮膚がかゆくなる、筋肉が衰えるなどがあり、1日のリズムも微妙に狂ってきてしまうため、寝起きが悪く午前中はずっと調子が悪いという人も多いそうです。

さらには精神的にも不安定になり、イライラしたり、集中力がない、落ち着きがないといった症状が現れます。そのため仕事の能率が落ちたり、子どもの場合は学校の成績が急激に低下することもあります。疲れやすい上に精神的な安定も失われるわけですから、そうしたことを減らすためにも、きちんとした治療を受ける必要があります。

食欲増進

過剰な甲状腺ホルモンのために代謝が上がっているので、とてもお腹がすいて良く食べるようになります。しかし食欲が増してもエネルギーがたくさん消費されるので体重が減少することがあるそうです。

痩せるのは高齢者に多く、若い人ではエネルギーの消費以上にたくさん食べてしまいがちなので、逆に太ってくる方もいるようです。現代の食事では、少量でカロリーを充分とれるものがたくさんあるので、極端にやせる人も減っていると見られます。

月経不順

甲状腺ホルモンや甲状腺の機能に異常が起こると、卵巣機能や月経にも影響することが分かっています。甲状腺が働き過ぎている状態のバセドウ病の場合は、月経量が少なくなり、月経周期も長く、無月経になることもあるそうです。抗甲状腺薬を飲むことで、甲状腺の働きが正常になれば、月経も正常に戻ると言われています。

バセドウ病を伴う病気

心臓の病気

バセドウ病はきちんと治療を受ければ、大きな心配のない病気です。しかし放置しておくと重大な合併症を引き起こす可能性もあります。その代表的なものが心臓の病気です。特に高齢者の場合は、老化も心臓に影響を与えているので注意しなくてはならないとのことです。

甲状腺ホルモンが過剰になっていると、心臓も通常よりたくさん働かなくては成らない状態にあります。すると心臓にも大きく負担がかかって疲れきってしまうので、不整脈を起こしたり、心不全といった心臓がきちんと働けない状態になったりすることにつながるのだそうです。

甲状腺クリーゼ

バセドウ病の患者さんが、他の病気で大きな手術をしたり、重い感染症にかかったりして身体が強いストレスを受けた時に「甲状腺クリーゼ」という状態が起こることがあります。

甲状腺クリーゼになると、体温計で測りきれないほどの高熱や、激しい頻脈、下痢、流れるような汗、意識の混濁または意識不明といった症状が起こり、命にかかわるほどの非常に危険な状態になります。但し、最近では治療も進歩しており、また、バセドウ病を放置している方が少ないので、ここまで深刻な状態になることはほとんどなくなったそうです。

甲状腺中毒性周期性四肢マヒ

朝起きた時に、手足とくに足が動かなくなることで気づかれることが多く、「甲状腺中毒性周期性四肢マヒ」という症状で、男性に見られる症状だそうです。発作は長くても数時間で自然に治まるものですが、何度も繰り返し起こるのが特徴です。この症状は甲状腺ホルモンの濃度を正常にコントロールすれば起こらなくなるとのことです。

高血糖

バセドウ病では食事の吸収が良くなるためで、血糖値が高くなり、尿に糖が出ることも多いそうです。これがバセドウ病によって起こっているのか、糖尿病を合併しているのかを検査で見極める必要がありますが、バセドウ病によって起こっているのであれば、バセドウ病を治療すれば改善されるとのことです。

バセドウ病の検査方法

血液検査

バセドウ病の検査では血液検査が中心です。血液中の甲状腺ホルモンの量を測り、過剰になっているかどうかを調べます。また、血液中に甲状腺を刺激する特殊な抗体が有るかどうかも調べられ、この抗体が存在すれば、バセドウ病と診断されます。

●主な検査項目

1.「甲状腺ホルモン」と「甲状腺刺激ホルモン」の測定

甲状腺機能の把握には、欠かせない血液検査です。バセドウ病では「甲状腺ホルモン」が高くなり、「甲状腺刺激ホルモン」が測定できないくらいに低くなります。

2.甲状腺刺激ホルモン受容体抗体の測定

これも採血で簡単に測定できます。バセドウ病であれば陽性となります。その他、甲状腺に対する抗体も測定します。

アイソトープ検査

ほとんどの場合で血液検査によって診断がつくのですが、中には血液検査だけでは不十分な場合もあります。その場合はアイソトープ検査を行います。これは放射性ヨウ素を使用し、バセドウ病であれば甲状腺ホルモンを大量に作るために、その原料であるヨウ素が非常に多く甲状腺に集まることを利用した検査です。

検査方法は、1日目にアイソトープのカプセルを服用し、24時間後に甲状腺に放射性ヨウ素がどのくらい取り込まれているのかを検査し、甲状腺の機能を調べます。アイソトープの服用のため、妊娠中の方はこの検査を行えません。また、授乳中の場合も検査後は数日間の授乳は禁止となります。

アイソトープ検査を受ける場合は、検査7日前からヨウ素を多く含む食品や薬を摂ることはできません。具体的には、海草類やうがい薬などの使用を中止します。出汁に使用する昆布なども禁止です。ヨード制限に関しては、正しい検査結果を得るためにも病院からの指示をしっかり守る必要があります。

バセドウ病の治療法

内服薬

バセドウ病の治療は、過剰に作られ過ぎている甲状腺ホルモンを下げて、甲状腺機能亢進症状を和らげることが必要です。これには甲状腺ホルモンを合成する機能を抑える働きのある「抗甲状腺薬」が使用されます。抗甲状腺薬を指示通りに毎日定期的に服用していれば、自然に甲状腺ホルモンが下がり始め、早い方では1ヶ月、遅くても3~4ヶ月ほどで正常値となり、症状もかなり良くなるそうです。

抗甲状腺薬で抑えていると、次第に甲状腺を刺激している抗体も少なくなって、これが消失すれば、抗甲状腺薬を中止できる可能性もあるとのことです。ただし、そこまでには長期的な治療が必要で、万が一甲状腺刺激抗体が高いまま薬を止めてしまうと再発も考えられます。

●この治療の注意点

  • 毎日きちんと忘れず内服すること
  • 定期的に甲状腺ホルモンの量を調べながら(血液検査)、抗甲状腺薬も加減すること
  • 副作用のチェックを定期的にすること

アイソトープ治療

検査でも使用されるアイソトープ(放射性ヨウ素)ですが、バセドウ病の治療にも用いられます。検査では甲状腺にヨウ素が集まることを確認することが目的でしたが、治療においては、甲状腺に放射性ヨウ素を集めて、その働きで甲状腺の細胞を減らすことが目的です。甲状腺の細胞が減少すれば、おのずと甲状腺ホルモンの分泌量も減少します。

放射性ヨウ素カプセルを服用して、およそ2~6ヶ月で甲状腺ホルモンの分泌が減少していきます。手術のように傷が残ることもなく、首の腫れも治まって、薬より早い効果が現れるのが利点と言えます。但し、検査の時と同様に事前にヨウ素を含む食品・薬が制限されます。禁止期間などは病院の指示に従ってください。

しかし、この治療によって甲状腺の細胞が減り過ぎ、逆に甲状腺機能低下症をおこす可能性もあるというリスクもあります。残念ながらこれを完全に防ぐ方法はないので、もし甲状腺機能低下となった場合には、甲状腺ホルモン薬を服用することでコントロールしていくことになります。甲状腺ホルモン薬は副作用のない安心な薬だそうです。

手術

バセドウ病の手術の目的は、過剰にホルモンを分泌している甲状腺を外科的に切除することです。抗甲状腺薬による重篤な副作用を起こしてしまったり、バセドウ病に悪性腫瘍が合併していたりする場合には手術が進められることが多いようです。

手術の方法には、甲状腺の適正量を残す「亜全摘」と、甲状腺を全て切除する「全摘」があります。従来は甲状腺機能の正常化を期待して「亜全摘」が標準的に行われていましたが、正常になる方は約半数ほどだそうです。現在では様々なことを考慮して甲状腺のほとんどを取る「準全摘」か、「全摘」が行われていることが多いようです。

「準全摘」・「全摘」となると、甲状腺がなくなるので術後にバセドウ病を再発することはなくなりますが、甲状腺機能低下症となりますので、生涯甲状腺ホルモン薬の服用が必要となります。この薬は副作用もなく、妊娠・授乳中も服用できますし、何よりバセドウ病に比べると心身への負担が少ないと言います。内服量が定まれば体調も安定し、通院頻度も少なくなるそうです。

抗甲状腺薬の副作用

かゆみ・皮疹

最も多い副作用がかゆみや皮疹で、薬を服用してから2~5週間以内に起こります。副作用が起こる頻度は、およそ10人に1人で、抗ヒスタミン剤を併用することでかゆみや皮疹が消えることも多いようです。抗ヒスタミン剤が効かずに、全身に赤い発疹が出来るような重症な場合には、抗甲状腺薬を変更もしくは中止して、その他の治療方法を検討することになるそうです。

肝機能異常

バセドウ病の症状の一つにも肝臓の検査で異常が見られることがありますが、この場合には薬を服用することで甲状腺の機能が正常になれば改善するそうです。

抗甲状腺薬の副作用で肝機能異常を起こる場合は、甲状腺ホルモンの変化の過程で起こるので、飲み始めて2週間から3ヶ月目くらいまでに起こることが多いので、抗甲状腺薬を飲み始めたら2週間ごとに肝機能の検査が行われます。

自覚症状が出ることはほとんどないのとのことですが、まれに黄疸が出ることもあり、その場合には抗甲状腺薬の中止も必要となりますが、一時的な軽い肝機能異常であれば薬は継続することが可能なこともあるそうです。

無顆粒球症

無顆粒球症とは、白血球の中の「顆粒球」という細菌を殺す働きをする細胞がなくなってしまう副作用です。頻度は1000人に1~2人ほどで少ないケースですが、非常に注意が必要です。

この副作用が起こると、身体を守る機能が落ちて、38℃以上の高熱や、水も飲めないほどの喉の痛みに襲われるそうです。無顆粒球症も飲み始めて3ヶ月以内に起こることが多いのですが、まれにそれ以降にも起こることがありますので、定期的な検査が必要になります。

症状が風邪に似ているため、間違って放置しないようにしなくてはいけません。症状が出たら薬を中止して、病院を受診しましょう。診断するためには早急に血液検査が必要になります。

その他まれな副作用

抗甲状腺薬の服用を初めて2~3週間以内に、発熱と関節痛が起こる場合があります。この場合の関節痛は、痛むところが変わるのですが、主に腕や足の関節に起こるそうです。

他にも、主に「チウラジール」という抗甲状腺薬を服用している方に見られる副作用では、腎臓や肺の血管に炎症を起こす副作用もあります。ひどい場合は肺から出血したり、腎不全を起こして透析が必要になる場合もあります。この副作用は飲み始めて数年経過してから起こることもあるので、薬を飲んでいる間は常に注意が必要だそうです。

バセドウ病と妊娠

妊娠中・授乳中にバセドウ病と診断された場合

妊娠中にバセドウ病と分かっても、妊娠は継続できます。しかし、薬できちんとコントロールされていないと、流産、早産、妊娠高血圧症候群が増加すると言われています。また出生後の赤ちゃんが新生児甲状腺機能亢進症を起こすこともあります。そのため、バセドウ病で薬が必要な場合は、妊娠中も続けなくてはいけません。

妊娠週数が進んで中期から後期になると、バセドウ病はやや軽快が見られ、薬を内服している人では薬の必要量が減り、中止できることもよくあるそうです。しかし、出産後には再びバセドウ病が悪化することが多く見られます。

妊娠中や授乳中の抗甲状腺薬は2種類ありますが、プロピルチオウラシル(チウラジール、プロパジール)が望ましいと考えられており、母乳等への移行もなく、赤ちゃんの甲状腺機能にも影響しないそうです。適切に薬を使用し、バセドウ病をコントロールしながら妊娠期・授乳期を過ごしましょう。

バセドウ病治療中に妊娠を希望する場合

1日1~2錠のプロピルチオウラシルを飲むことで、甲状腺機能がコントロールされている状態での妊娠ならば、何も問題はないそうです。妊娠したからといって薬を止める必要もありません。

妊娠を希望する場合には、手術でバセドウ病を治療しておく方法もあります。但し、手術直後は甲状腺機能の低下が見られ、妊娠を希望する場合には、甲状腺ホルモン薬を内服して、甲状腺機能を正常にコントロールしてからがいいでしょう。

またアイソトープ治療後、6ヶ月間は避妊をする必要があります。放射性ヨウ素の大部分は1ヶ月もすると身体から消失すると言われていますが、絶対に安全であるために避妊期間は6ヶ月間としています。

バセドウ病眼症の治療法

ステロイド治療

バセドウ病眼症の治療では、まず視神経の障害や眼の裏の筋肉に炎症があれば、ステロイド治療があります。症状が軽い場合は飲み薬でいいのですが、強い症状の場合や飲み薬では効果がうすい名愛には、大量点滴療法が行われます。

ステロイドパルス療法と言われる治療法ですが、その方法は、3日間連続でステロイドを点滴し、4日休むというやり方を2~3回繰り返します。これによりまぶたの腫れや赤みがなくなり、眼の奥の痛みが消えるそうです。また、眼を動かす筋肉の炎症が治まってくると、眼の動きも良くなるそうです。

その後、3ヶ月にわたって少量のステロイドの飲み薬を飲むことになりますが、急激に薬を減らしたり、中止したりするとまたバセドウ病眼症が復活するかもしれないので、注意が必要です。

放射線治療

ステロイド治療の他には、放射線治療があります。これは眼窩部に放射線を数回に分けて照射する治療法です。ステロイドの投与ほど速効性はありませんが、全身の副作用がほとんどないのが利点です。

他に持病があってストロイドを使用することができない方や、高齢でステロイド投与が難しい場合などの適している方法とのことです。入院治療で行っているとこともありますが、最近は通院で放射線治療を行っているところも多くあるそうです。

手術

まぶたの手術や、目の周りを囲んでいる骨の一部を削って眼窩内圧を下げる手術、目の奥の脂肪組織を切除する手術は、重い症状やステロイドでは効果がうすい場合に有効と言われています。また、目の周りの筋肉の位置や長さを調節する手術は、複視(物が二重に見える)の改善に効果があるそうです。

正面を見たときに両目の位置がずれている場合には、斜視の手術が施される場合もあるとのことです。いずれにしても、専門的な技術が必要な手術なので、この場合には専門の眼科医のもとで行う必要があります。

食事方法

バセドウ病眼症に限らず、バセドウ病の食事で注意することをいくつかご紹介します。

まず、代謝が亢進されてエネルギー消費が盛んになるので、それなりにエネルギーを摂る必要があり、同時にたんぱく質もしっかり摂取するようにしましょう。さらに、ビタミンA・B群・Cもたくさん必要としますので、これらも不足のないようにして、カルシウムも多めにしましょう。

甲状腺ホルモンの材料となるヨードはあまり気にしなくてもいいようですが、昆布やとろろ昆布を大量に連続で食べるようなことは避けましょう。他の海藻類については一般的に制限されることはないようです。

代謝が高まっているので汗をかきやすく、また下痢も起こしやすくなっていますので、水分は十分に摂取してください。逆にアルコールや刺激物は動悸を激しくしたり、肝機能に影響しますので、できるだけ控えましょう。

完治までには

ステロイド、放射線、手術など様々な方法があり、それらにより目の周りの筋肉の炎症が一度は治まっても、経過を見ているうちに再び症状が現れることもあります。症状が軽度の場合は自然に治まることもあるようですが、病状によっては再度入院治療となり、放射線やステロイドなどの治療が必要となることもあるとのことです。

こうして治療の経過にはいくつかの波があるものですが、年を追うごとに良好になることも多く、数年後には日常生活が支障なく送れているようです。完治にはとても時間がかかりますが、焦らず、長い目でみて治療を続けてください。

バセドウ病眼症でステロイド使用の副作用

糖尿病

ステロイドによって血糖値が高くなることがあります。もともと糖尿病の持病がある人は、必ずといっていいほど血糖値がさらに高くなります。治療前や治療中に血糖を測定し、必要に応じてインスリンなどの薬を使って、血糖を下げる治療も並行して行われます。

胃・十二指腸潰瘍

治療のされていない潰瘍がある場合にはステロイドは使用できないそうです。治療の前に胃カメラの検査を行われる場合もあります。また、潰瘍がなくても副作用で潰瘍が起こらないように、予防的に胃薬を処方されることもあります。

感染症

ステロイドを使用すると、それによって感染に対する抵抗力が落ちてしまうそうです。治療の前に胸部レントゲンで結核などがないことを確認しますが、化膿した傷口や水虫などがあれば医師に伝えておきましょう。

精神症状

ステロイド治療中は眠れなくなることも多いので、寝る前に軽い睡眠剤を飲むこともあります。日中もイライラしてしまう、気分が落ち着かない、強い不安感を感じるなどの症状が見られることもあるそうです。

眼圧上昇

治療中に眼圧が高くなる場合がありますので、定期的に眼圧を測定して経過をみていくそうです。眼圧とは眼球内の圧力のことで、目の異常を知る重要な手がかりでになるもので、特に、緑内障を調べる際には、必ず行なわれている検査です。

骨粗鬆症・大腿骨頭壊死

ステロイドは骨粗鬆症を促進させてしまうので、骨塩定量検査を行い、必要に応じて骨粗鬆症治療薬を併用するとのことです。また、まれに大腿骨壊死を生じることもあるそうです。

バセドウ病にならないための予防法は?

生活リズムを規則正しくする

バセドウ病の予防のためにも、バセドウ病を悪化させないためにも、規則正しい生活リズムが大切になります。甲状腺機能に異常が起ると、生活のリズムが乱れやすくなり、ひどい場合には昼夜逆転することも少なくありません。 睡眠・運動・食事のとり方に気をつけ、できるだけ規則正しい生活を心がけましょう。

特に睡眠はバセドウ病の発症に大きく関わると言われており、脳や体に休養を与えるだけでなく、乱れた体内時計をリセットする重要な役割を果たしています。過労などを起こさないよう十分な睡眠を取るようにしましょう。

自分のリラックス法を見つける

不安やイライラなどはバセドウ病の症状にも見られますが、こうした日常的なイライラは治療を妨げることにもなり、再発の原因ともなります。自分なりのリラックス法を見つけ、上手に気分転換をして、ストレス解消しましょう。

例えば、読書、絵を描く、音楽を聴く、散歩、森林浴などなんでもかまいません。自分にとって癒しとなることを日常的に取り入れるといいですね。また、病気のことで不安があれば医師に相談するなど、不安は溜めこまないようにしてくださいね。

禁煙をする

嗜好品がバセドウ病に影響するかどうかの研究がされており、中でもタバコとの関連が強いと考えられています。特に女性への影響を指摘されているそうです。

タバコを吸うとバセドウ病が起こりやすくなり、しかも治りにくく、眼球突出にもなりやすいと言われています。治療を施しても再発率が高くなり、治療がどんどん長引いてしまうことになりかねませんので、バセドウ病にタバコは厳禁と言えるでしょう。

まとめ

バセドウ病は甲状腺の働きに異常を来し、甲状腺ホルモンが必要以上に生産されてしまう病気です。甲状腺ホルモンは全身の新陳代謝を高めるホルモンなので、過剰に分泌されると代謝が異常に活発になることで、心身に様々な影響を及ぼすことになります。

バセドウ病は女性に多いのですが、甲状腺の異常が気付かれにくく、うつや更年期などと勘違いしている人も多いそうです。まずは、動悸・息切れ・頻脈などが見られるときにはかかりつけの内科などで相談してみてもいいでしょう。

あるいはご自身で首の腫れをチェックしてみましょう。全体的に腫れていると分かりにくく、太ったように見えるかもしれません。鏡をみながら唾液を呑み込んでみると、のどぼとけのしたに大きく動くものがあれば、それは甲状腺の腫れである可能性があります。その場合は専門医を受診してみてください。

バセドウ病は治療が長期にわたることもありますが、きちんと治療すれば健康な方と変わらない生活が送れるとのことです。焦らず気長に治療を続け、薬などを指示通りに服用し、また、喫煙している場合は直ちに禁煙して、バセドウ病の完治をめざしましょう。