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甲状腺が腫れる原因とは?首をチェックしたら痛みのないしこりがある?!6つの治療方法や3つの予防法を紹介!

甲状腺は喉ぼとけの下にある重さ約10グラムの” 蝶々 “のような形をしたホルモンを作る臓器です。普段は触っても分かりませんが、病気になると腫れてきます。実は甲状腺の病気は女性に多く、場合によっては手術・通院治療など、ずっと病気と付き合うことにもなりかねないのです。甲状腺が腫れた場合、どんな病気があるのか、症状や治療方法などをまとめましたので、ご参考にしてください。



甲状腺の腫れ!原因や治療法は?

「甲状腺が腫れる」「甲状腺の病気」と言っても、ピンと来る人はなかなかいないかもしれません。甲状腺が身体のどこにあって、どんな働きをしているのか知らない方も多いと思います。現に、甲状腺が腫れていても気づかず、風邪で内科を受診したときに指摘されて初めて気付いたなんてことも多いそうです。

「うつ」だと思っていたら「甲状腺」だったという話を聞いたことがありませんか?甲状腺の病気が一般的にあまり知られていないために、他の病気と思いこんでしまったり、そのうち治るだろうと病院に行かなかったりすることもあるそうです。しかし、実は多くの人がかかっている病気です。

甲状腺の病気には様々なものがあり、見た目には同じように甲状腺が腫れているだけなので区別はつきません。甲状腺が腫れが分かったら、専門医の診断を受ける必要があり、場合によっては手術が必要になることもあるのです。

ここでは、甲状腺が腫れる原因や、それを引き起こす甲状腺の病気、もし甲状腺の病気になった場合にはどのような治療方法があるかなどをご紹介します。

甲状腺の役目

甲状腺ホルモンを作っている

甲状腺は喉元にある蝶の様な形をした臓器で、食物に含まれているヨウ素(ヨード)を材料に甲状腺ホルモンを2種類合成して、血液中に分泌しています。甲状腺ホルモンとは、身体の新陳代謝を活発にするホルモンで、神経や活動の調整なども行うとても大事なホルモンです。甲状腺ホルモンは元気の素と言われています。

甲状腺ホルモンは量が多すぎても少な過ぎてもいけません。この量は、脳下垂体から分泌される「甲状腺刺激ホルモン(TSH)」によって調整されています。血液中の甲状腺ホルモンが少なくなると、脳下垂体はそれを察知して甲状腺刺激ホルモンをたくさん分泌します。すると、甲状腺はたくさんの甲状腺ホルモンを出すようになるのです。血液中の甲状腺ホルモンが多くなった時は逆の作用が起こるという仕組みです。

甲状腺ホルモンの働き 1.脳の活性化

甲状腺ホルモンは全身に作用をしていますが、脳の活性化にも欠かすことができないもので、脳の発達に大きく関わっています。

赤ちゃんが甲状腺の病気になる確率は少ないといわれていますが、甲状腺疾患を患っている人が多い家系に生まれると、その赤ちゃんも甲状腺の病気になりやすいそうです。赤ちゃんが甲状腺ホルモンを患ってしまうと、知能障害やクレチン症などを発症しやすいといわれており、脳の発達に障害が出たり、成長に障害が出たりするそうです。

また子供にいらいら、多動性、集中力の低下、手の震えなどの症状が表れたら、何れにせよすぐに病院で診断してもらうことが重要でしょう。

甲状腺ホルモンの働き 2.体温の調節

代謝とは、脂肪や糖分を燃やしてエネルギーをつくり出し、体の熱産生を高めることです。甲状腺ホルモンはこの代謝を活発にするホルモンですから、足りなくなると「低体温」になることがあります。冷え・疲れやすい・むくみなどがある場合は、甲状腺の機能が低下してホルモンが少なくなっていることも多いそうです。

甲状腺ホルモンの働き 3.心臓や胃腸の活性化

心臓は甲状腺ホルモンの影響を受けやすいそうです。甲状腺ホルモンが多いと、心臓の筋肉が収縮を強めてしまうので最高血圧が上がります。さらに脈が早くなったり、動悸(ドキドキする感じが強くなる)や不整脈が多く見られるそうです。甲状腺ホルモンが少ないときには脈が遅くなったり、心筋の収縮が弱くなったりするとのことです。

胃腸も影響を受けやすい臓器のひとつで、甲状腺ホルモンが少ないと胃腸障害(便秘)、腸閉塞、逆流性食道炎、胸の違和感などが起こりやすくなるとのことです。やはり多すぎると食欲はあるのに痩せたり、下痢になったりということがあるので、甲状腺ホルモンは適度な量を保たれていないと、身体が正常に機能しなくなることが分かりますね。

甲状腺ホルモンの働き 4.新陳代謝の促進

甲状腺は新陳代謝を活性化させるホルモンを分泌させる臓器です。私達が普段食べている食べ物から栄養を摂取しエネルギーに変え身体の構成に利用しています。甲状腺で分泌されたホルモンで新陳代謝をコントロールし、健康を保っています。この甲状腺が過剰に分泌しても、低下してもいけません。

甲状腺ホルモンは子供の成長にとってもとても重要です。健やかに健康で成長するためには、甲状腺が正常に働いていないといけないといわれており、甲状腺のホルモンが異常になると成長が止まってしまったりと、様々な症状が表れます。

甲状腺が腫れる原因は?

自己免疫の異常

甲状腺に異常が起こると自己免疫力に影響を及ぼします。甲状腺の病気は何種類かありますが、代表的な疾患にバセドウ病と橋本病があります。バセドウ病の場合、ホルモンが過剰に分泌してしまい動悸、多汗、手足の震え、下痢、眼球が飛び出る、集中力の低下、月経不順などになります。

また橋本病の場合は、甲状腺ホルモンの分泌低下により、自己抗体が人体の正常な組織を破壊し始めます。これにより物忘れ、むくみ、乾燥、食欲不振、便秘、眠気、月経不順などの症状が表れます。

どちらの疾患も原因は自己免疫の異常によるものです。甲状腺ホルモン分泌の乱れにより、自己免疫力が正常に働かなくなると、このような症状が表れます。

外敵の侵入から身を守る為に働くはずが、自らの体を外敵だと判断し、自分の体を攻撃してしまうのです。

ストレス

人間は呼吸、心拍数、血圧、体温など、さまざまな働きを司る「自律神経系」、ホルモンの分泌を司る「内分泌系」、外部から侵入してくる異物から自身の身体を守る「免疫系」などの働きが、バランス良く機能することで健康を維持しています。これらは大きなストレスや、日々のストレスが重なり過ぎると、システムのバランスを崩し、あらゆる体調不良を起こすと言われています。

甲状腺疾患もストレスが原因で発症しやすい病気といわれています。ある女性は結婚と勉強のストレスから甲状腺ホルモンが乱れ、イライラや動悸、気分の変動が激しい、情緒不安定などの症状に1年間悩んだといいます。もし、日頃からストレスが多く、このような症状が起こる場合は、すぐに医師に相談するとよいでしょう。

出産を機に発症することも

甲状腺疾患は出産を経験をした女性に起こるケースが多いようですが、原因は分かっていません。妊娠中は胎児を異物と捉えないように、胎盤から免疫を抑えるホルモンを分泌していますが、その胎盤が出産後に体内から排出されると、免疫の抑制が解除されて、自己免疫が強くなるそうです。

妊娠・出産というのは、女性の身体の中で劇的な変化が多く、甲状腺も少なからずその影響を受けていると考えられます。出産が終わり甲状腺ホルモンの分泌が乱れても、通常は元の正常な状態に戻るといわれています。しかし、そのまま症状が悪化する人もおり、橋本病を発症してしまうこともまれにあるようです。

甲状腺が腫れた場合に考えられる病気

良性腫瘍

甲状腺良性腫瘍にもいくつか種類があります。

■腺腫様(せんしゅよう)甲状腺腫・腺腫様結節(結節性甲状腺腫)

甲状腺に大小のしこりができる疾患です。原因は分かっていませんが、遺伝により発症することもあるそうです。良性でなおかつ甲状腺ホルモンの分泌がされていれば、通常は通院により治療を受けるのが普通だといわれており、重い症状が出るようなことはないといわれているようです。

■プランマー病

通常、甲状腺腫瘍は甲状腺ホルモンを分泌しないといわれていますが、プランマー病は甲状腺ホルモンが異常に分泌するそうです。この腫瘍はほとんどの場合良性だといわれています。

■甲状腺嚢胞(のうほう)

この病気は、袋状のものが甲状腺にできる病気です。この袋状のものの中に液体が溜まってしまうので、治療では数回に渡り溜まった液体を取り出すそうです。

■濾胞腺腫(ろほうせんしゅ)

痛みのないしこりができるのが特徴です。濾胞腺腫は日本人の発症率が多いタイプだそうで、この腫瘍はほとんどが良性の腫瘍なので、通院しながら大きさのチェックをして見守るそうです。甲状腺ホ ルモン剤で腫瘍が小さくなることもあるそうです。

悪性腫瘍

甲状腺の悪性腫瘍、いわゆる「甲状腺癌」にも色々な種類があり、それによって特徴や治療法が異なってきます。

■甲状腺乳頭がん

甲状腺癌では最も発症率が高いそうです。特徴としては、痛みを伴わないしこりやリンパ節が腫れる程度で、進行はゆっくりで、性質はおとなしいそうです。この癌は肺や骨への転移はあまりないといわれています。治療としては甲状腺の摘出手術が基本です。もし頚部に移転している場合は、頚部リンパ節を切除します。

■甲状腺濾胞がん

甲状腺濾胞がんは骨や肺などに移転する可能性もあるそうですが、性質は比較的大人しく、進行もスローです。しかし進行してしまうと、気管や反回神経などに浸透し、組織を破壊していくそうです。初期症状は、痛みが伴わないしこりが甲状腺内にできるくらいです。気管や反回神経に浸透した場合は手術で全摘出するか、切除術をするそうです。肺や骨への転移がある場合には、全摘出後に「アイソトープ治療」という特殊な治療を施す場合もあります。

■甲状腺髄様がん

この癌の発症確率はとても低く、甲状腺癌の中でも1.5%の発症率だといわれています。甲状腺内にあるC細胞が癌になったのが甲状腺髄様癌です。症状は、食べ物が飲み込みにくい、声が枯れる、息がしにくいなどです。こちらも手術療法が行われます。

■甲状腺未分化がん

この癌は発症してから進行がとても早いといわれています。しかし、突然甲状腺にこの癌ができる訳ではなく、しばらくの期間、濾胞癌や乳頭癌などが甲状腺にいた物が未分化癌になってしまうそうです。この癌を発症する人はほとんどが高齢者だそうです。症状はかすれ声、呼吸困難、痛みなどです。

■甲状腺悪性リンパ腫

この癌を発症する多くの方が高齢者の女性だといわれています。この癌の発生率は比較的低くいといわれており、橋本病(慢性甲状腺炎)が重症化すると、甲状腺悪性リンパ腫になるそうです。症状としては、甲状腺の急な腫れや、腫瘍ができるなどで、食べ物が飲み込みにくい、声が枯れる、息がしにくいなどの状態になるそうです。

単純性びまん性甲状腺腫

単純性びまん性甲状腺腫は、甲状腺ホルモンは正常にも関わらず甲状腺が腫れる病気です。腫れる以外にはこれといった症状はなく、治療も必要ないほどあまり心配ない病気だそうです。しかし、普通の人より将来的に橋本病やバセドウ病を発症する確率が高くなるようです。

甲状腺の疾患は産後に出やすいので、もし妊娠した場合は医師に、この病気に罹ったことがあることを知らせ、定期的に検査をするようにすると安心かもしれませんね。

甲状腺機能亢進症

甲状腺ホルモンが分泌され過ぎるとこの病気になります。この甲状腺機能亢進症になると、交感神経が乱れるので、自律神経失調症のような症状がでます。疲労感や手足の震えなどが起こり、動機、息切れなども起こることから、パニック障害になったと思うこともあるようです。

女性に多い甲状腺疾患ですが、他の甲状腺疾患に比べ、バセドウ病は20~50歳代の青年や壮年もかかる人が比較的多いそうです。また、眼球突出、動悸、甲状腺の腫れなど、よく聞くバセドウ病の症状が出ない場合もあります。

■甲状腺機能亢進症の症状

・動悸や息切れ・よく汗をかく・イライラする・手が震える・よく食べる・やせる・下痢・暑がりになる・疲れやすい・生理不順・体温上昇・落ち着きがなくなるなど

甲状腺機能低下症

甲状腺機能低下症は甲状腺のホルモンの分泌量が低くなるために起こる病気です。症状に浮腫みが出る人も多いようです。皮膚は乾燥しがちになったり、抜け毛がひどくなる人もいます。

消化機能に症状が出ると、よく便秘になったりします。脈が遅くなることもあり、体重が増加したり、疲労感を感じたり、冷え性のように寒がりになったりすることもあるようです。

また、ホルモン量の分泌が少なくなると、うつのような症状が出ることから、うつになったのかと誤解することもあるようです。症状としては、記憶障害、眠気、気力が出ない、精神機能低下、抑うつ症状などです。

この甲状腺機能低下症の代表的な疾患は、橋本病です。若い年代の女性から、中高年の女性に発症するのが特徴で、比較的広い年代の女性に発症します。症状は甲状腺機能に低下がなければ、甲状腺が腫れる以外に目立った症状が見られません。

亜急性甲状腺炎

中年の女性に多い疾患です。亜急性甲状腺炎は、甲状腺の組織が壊れる、甲状腺のホルモンが血液に侵入することにより、甲状腺が腫れたり痛みを起こします。原因はよく分かっていませんが、ウイルスの感染によりなるのではないかといわれています。慢性化はしないですし、比較的治りやすい病気だそうです。

動悸、息切れなどの甲状腺ホルモンが多い時の症状とともに、甲状腺が硬く腫れて、痛みや発熱などの症状がでます。症状が重いときは、痛みや動悸を抑える薬を服用し症状を改善させます。普通は数ヶ月で快方するといわれていますが、その人の症状によっては長引くこともあるようです。また、病気中は甲状腺ホルモンが少なくことがるあるそうです。

甲状腺の病気が起きているかチェックの仕方

首~喉ぼとけ辺りの腫れがないか

甲状腺は首の喉の位置にあり、異常がない場合は外からは全くわかりません。異常があると首から喉ぼとけのあたりが腫れて、外から見てもわかるようになります。ご自身でチェックする一番簡単な方法は首の腫れを見ることです。ほとんどの方が、この腫れを見つけて病院を受診することが多いそうです。

甲状腺に異常がある場合に現れる症状

甲状腺の病気になると色々な症状が表れますが、様々な他の疾患の症状ともよく似ているため、違う病気と勘違いしてしまうこともよくあるといいます。

甲状腺の病気になったときには、以下のような症状が表れますので、気になる症状があるかセルフチェックし、似たような症状が多くみられる場合は甲状腺の病気が疑われますので、すぐに病院に行って診てもらいましょう。

■甲状腺の病気になると起こるといわれている症状

・喉周辺が腫れている

・よく下痢をするようになった

・前よりも目が出ているような気がする

・抜け毛がひどくなった

・いつも心臓がドキドキして、動悸が激しい

・便秘をする

・手が小さく震える

・いつも眠い

・汗をたくさんかくようになった

・痩せた

・疲労感がひどい

・いつも暑い

・顔や手がむくむ

・イライラする

・首にしこりがある

・落ち着きがなくなった

・いつも寒い

・肌が乾燥している

・肌がカサカサする

・生理不順

・やる気が出ない

・脈が遅い

・喉に違和感を感じる

・不妊である

・身体にかゆみを感じる

病院での甲状腺の検査方法は?

血液検査

血液検査の目的は、身体の状態を間接的に調べることです。検査結果はあくまでもひとつの判断材料で、すべてが数値だけで判断されるものではありませんが、今後のさらに詳しい検査や治療をすすめるにあたって、大きな指標となります。甲状腺機能を調べる血液検査で測定される、主な項目は以下の通りです。

○遊離サイロキシン(FT4)/遊離トリヨードサイロニン(FT3)

この遊離サイロキシンが低いと、橋本病の疑いがあります。その反対で高いと、バセドウ病の疑いがあるということです。

○甲状腺刺激ホルモン(TSH)

これは脳下垂体から分泌されるホルモンです。甲状腺ホルモンが血液中に多いまたは少ないかで分泌量に変動があるとされています。また検査時の体調により、分泌量が変わることもあるといわれています。

○サイログロブリン(Tg)

この値は腫瘍があるときに高くなるそうです。過去に甲状腺を全摘出していても、数値が高い場合は再発の可能性もあり得るとされていますが、大きな数値の変動がなければ大丈夫だといわれているそうです。また、この値が高くても、この検査だけでは悪性か、良性かは分からないそうです。

その他必要に応じて甲状腺関連の検査項目が追加されたり、一般的な検査が行われたりします。

超音波検査

甲状腺に超音波をあてることにより、甲状腺のサイズ、リンパ節が腫れているか、しこりの有無、性状などを調べることができます。甲状腺の疾患を疑われた場合、まず血液検査と超音波検査が行われることが多いようです。レントゲンなどと異なり被ばくもなく、痛みなどもありません。手で外から触っても確認できないしこりや、大きさの変化などをチェックし比べます。検査時間は約10分ほどとのことです。

穿刺吸引(せんしきゅういん)細胞診

甲状腺癌の良性か悪性かを診断するのに、優れています。採血に使う針と同じ大きさの針を甲状腺に刺し、細胞を取ります。超音波を当てながら、確実に針を刺して診断が行われます。針を刺すので多少の痛みはありますが、採血と同じくらいなので、麻酔などはありません。

CTやMRI

CTを使い甲状腺周辺の臓器などの位置関係を調べます。CTでは造影剤を使用しますので、もし造影剤にアレルギーがある場合は、事前に伝えるようにしましょう。甲状腺癌の場合、気管や食道などに移転していなか、または肺や骨に移転していなか、再発していなかなどを調べます。

甲状腺の病気になった場合の治療方法は?

薬物療法「甲状腺ホルモン薬」

「甲状腺ホルモン薬」は、橋本病などの甲状腺ホルモンが減少する病気や、甲状腺摘出やアイソトープ治療後に甲状腺ホルモンが足りなくなるので、その補充を目的に使用されます。また、甲状腺腫瘍の治療では、甲状腺ホルモンが不足すると腫瘍が刺激されて大きくなってしまうので、それを防ぐために甲状腺ホルモン薬が使われることもあります。

化学合成物の「チラージンS」や「チロナミン」という甲状腺ホルモン薬がありますが、安定的な甲状腺ホルモンの維持のために、原則として「チラージンS」が用いられるそうです。服用回数は1日1回なのでそれほど負担ではないですね。しかも人間の甲状腺ホルモンを化学的に合成したものなので、ほぼ副作用が起こることもないそうです。

薬物療法「抗甲状腺薬」

「抗甲状腺薬」は、バセドウ病などの甲状腺機能が亢進した時に用いられる薬です。現在「メルカゾール」と「チウラジール/プロパジール」の2種類があり、消化管から吸収されると甲状腺に取り込まれ、甲状腺ホルモンの合成を抑える働きがあります。

メルカゾールの方が効果があると言われているため、メルカゾールが使われることが多いのですが、近いうちに妊娠を希望している場合には、チウラジール/プロパジールは母乳に出ないので、こちらが用いられるそうです。

放射線治療(外照射)

甲状腺腫瘍を破壊または成長させないために、病巣部に放射線を照射する治療法です。放射線外照射は、機会を使って体外から放射線を照射します。1回の照射時間は数分ですが、治療期間が必要な照射量によって数週間から数ヶ月かかり、その間はほぼ毎日通院しなくてはなりません。

放射線はなるべく病巣に限定して照射されますが、周囲の正常組織に影響が出るので、のどの痛みや唾液の分泌障害などの副作用が起こることがあります。

アイソトープ治療(放射性ヨウ素内用療法)

アイソトープ治療とは、放射性ヨウ素のカプセルを服用し、甲状腺の腫れを小さくする治療法です。ヨウ素は甲状腺細胞にとって、なくてはならない物で、ヨウ素を摂取しようと甲状腺は働きます。つまり、エサだと思って取り込んだヨウ素が、実は放射性物質なので甲状腺組織を破壊するのです。これがアイソトープ治療(放射性ヨウ素内用療法)で、放射線を体内に取り込むので「内照射」とも言われます。但し、特別設備が必要なので実施されている施設が限られているのが現状です。

この治療の前には一定期間、甲状腺ホルモン薬や抗甲状腺薬を中止し、さらに食事もヨウ素を制限した内容とする必要があります。甲状腺細胞がヨウ素に飢えている状態を作り出し、治療で服用する放射性ヨウ素の効果を高めるためだそうです。

■バセドウ病のアイソトープ治療

通院もしくは入院しての治療となります。治療方法は、放射性ヨウ素の入ったカプセルを服用するだけで痛みや傷の心配はないそうです。これによって甲状腺の細胞数を減らして過剰に分泌されているホルモンを減少させる効果が期待されます。薬を服用するよりも治療期間を短くでき、手術のような負担がないのがよい特徴で、約2~6ヶ月で甲状腺ホルモンの分泌を少なくできるそうです。

■悪性腫瘍のアイソトープ治療

摘出できなかった転移した甲状腺がんの細胞を殺すために行われます。甲状腺がんから転移した細胞には、甲状腺と同様に放射性ヨウ素を取り込む性質があります。そのため放射性ヨウ素が転移した甲状腺がんに取り込まれ、そこで内部からがん細胞を破壊していくという治療方法です。こちらは放射性ヨウ素の量が多いので、入院治療が必須となります。

手術療法

甲状腺疾患の手術には次の3通りがあります。甲状腺の側に「副甲状腺」という組織がありますが、手術の時にはこれは残す方法が取られているそうです。

■バセドウ病の手術

甲状腺ホルモンを過剰に分泌している甲状腺を切除して、甲状腺機能を安定化させる治療方法です。入院治療となり、手術は全身麻酔で行われます。手術の前に飲んでいた抗甲状腺薬は手術後にすぐに中止できますが、甲状腺を全摘出する場合には甲状腺ホルモン薬を飲まなくてはならなくなります。バセドウ病の治療を続けるよりも甲状腺ホルモンを飲んだ方が負担も少なく、体調も安定するそうです。

■良性腫瘍の手術

甲状腺にできたしこりを取り除く治療法です。病状にもよりますが、原則的にはしこりがある方の甲状腺だけを切除するので、身体に負担は少ないとのことです。甲状腺は片方だけになっても、きちんと働いてくれるので、橋本病の合併がなければホルモン不足も起こらないそうです。

■悪性腫瘍の手術

病巣がある側の甲状腺を切除し、関連が深い頚のリンパ節を脂肪組織と一緒に摘出(リンパ節郭清)するのが標準的な治療法です。病巣が複数あったり、腫れたリンパ節があらかじめわかっているなど、病気の広がり具合によって切除する範囲やリンパ節を郭清する範囲が変わってきます。それによっては甲状腺全てを摘出することもあるそうです。

化学療法

薬剤を用いてがん細胞を死滅させたり、増殖を止める治療方法です。内服や注射による方法は「全身療法」と言われ、薬剤が血液を通って全身のがん細胞に行き渡ります。一方、脳脊髄液、臓器、腹部などに薬剤を直接注入する方法は「局所化学療法」と言われ、薬剤が注入された場所のがん細胞に働きます。どちらの方法を取られるかは、がんの種類や病期によって変わります。

現在、色々な甲状腺がんに対する承認薬が出てきています。

甲状腺を腫れさせない!予防法は?

ストレスをためない

ストレスは万病の素で、体内のバランスを崩して色々な体調不良を引き起こすと言われています。甲状腺も影響を受けると言われており、甲状腺の腫れを起こす原因になります。

現代社会はストレス社会と言われており、ストレスと上手につきあう方法を身につけて行かなくてはならないでしょう。ストレスをゼロにしようと思わずに、ある程度ストレスを抱えることがあっても、その日のうちに解消する方法を見いだせると良いですね。

ストレスを溜めないライフスタイルの基本は「睡眠、食事、仕事、運動、休養」の要素をバランスよく取り入れることです。平日はどうしても仕事だけに偏りやすいのですが、1日15分でも運動をしたり、仲間と楽しい食事をするように心がけて生活の偏りを減らしていきましょう。さらに心の健康に関する情報や知識を身につけることも、ストレスと上手につきあう有益な方法です。

免疫力を高める

こちらでは、甲状腺が腫れる病気の多くは免疫力の低下が引き金となって発病する自己免疫疾患と言われています。免疫力を下げる原因にストレスもありますので、やはりストレスを溜めないことが大切になってきます。ではその他の免疫力をあげる方法をご紹介します。

○ビフィズス菌や乳酸菌でT細胞の働きを高める

腸には免疫細胞がもっとも多く存在します。ビフィズス菌や乳酸菌を摂取することで、悪玉菌の繁殖を抑え、T細胞の働きを活発にします。T細胞とは、強力な攻撃力で侵入してくる異物を迎え撃つ細胞です。ビフィズス菌はオリゴ糖がないと生きていけないため、一緒に摂取すると尚良いでしょう。

○ビタミンをたっぷり!

ビタミン類は、免疫機構と深い結び付きがあります。

ビタミンA:菌の侵入を防ぐ粘膜の形成を助ける

ビタミンB:糖質、脂肪、たんぱく質の代謝を促し、疲労や倦怠感をなくす

ビタミンC:マクロファージを活性化し、ウイルスの侵入を防ぐ

ビタミンE:細胞膜の酸化を防ぐ働きがあります

○ゆっくりと入浴する

ゆっくりお風呂に浸かって身体が温まると、血液循環がよくなり、自律神経にも良い効果が得られます。自律神経はホルモンや内臓の働きにも直結しているので、自然治癒力や免疫機能がアップすると言われています。

抗酸化力のある食品を摂取する

免疫力の低下は、体内の活性酸素の増加によることも多いと言われています。この活性酸素を除去するには、抗酸化力の強い成分を含む食品を摂取することも効果的です。最も代表的な栄養成分として、ビタミンC、ビタミンE、カロテン類を豊富に含む食品があります。他にもフラボノイド、カテキン、タンニン、ケルセチン、アントシアニン、イソフラボンなどに代表されるポリフェノール類、セサミノール、ショウガオール、アスタキサンチン、セレニウム、フィチン酸など含む食品も抗酸化作用があります。

○ビタミンC

野菜類・・・キャベツ、ブロッコリー、かぼちゃなど

いも類・・・ジャガイモ、サツマイモ

果実類・・・柿、ミカンなど

○ビタミンE

油脂類、ナッツ類など

○カロテン

βカロテン…シソの葉、にんじん、春菊、ほうれんそう、にら、小松菜、かぶの葉、チンゲン菜など

リコピン…トマト(トマトの赤い色素成分。βカロテンよりも抗酸化作用が強いと言われています)

○ポリフェノール

緑茶、ブロッコリー、ブルーベリー、黒豆、黒ゴマ、大豆

○その他の食品

生姜、味噌など

まとめ

おそらく普段はあまり意識することのない甲状腺という臓器ですが、身体にとってとても大事な役割を果たしており、甲状腺がきちんと働いていないと、全身のあらゆるところに不調が起こるそうです。それは、甲状腺が「甲状腺ホルモン」という、人間が健康的に活動するために欠かせないホルモンを作っているためです。

甲状腺が腫れる病気には様々なものがありますが、甲状腺が腫れているだけできちんと機能しているならば経過観察となるようです。甲状腺機能に異常が起こり、甲状腺ホルモンの適切な量が保たれていない場合は、薬や手術、放射線などの治療が必要になることもあり、治療も長くかかってしまうことも多いとのことです。

また、甲状腺が腫れる病気には悪性腫瘍(がん)もあります。比較的おとなしい性質のものが多いそうですが、やはり「がん」なので手術や放射線治療、化学療法など身体に負担のかかる治療方法になります。しかも甲状腺を全摘出した場合には、甲状腺ホルモンが作られませんので、一生甲状腺ホルモン薬を飲み続けることになります。

もし、喉ぼとけのあたりが腫れている、しこりがあるという場合には、すぐに病院を受診しましょう。また、なんとなく身体の調子が悪いけど、病院でもよくわからないというときも甲状腺に原因があるかもしれません。一度、血液検査で甲状腺ホルモンの数値を見てもらうといいそうです。